JPH0234675Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、フイルムをモータ乃至はぜんまいに
より自動的に一駒づつスプールを巻き上げるカメ
ラにおけるクラツチ装置に関する改良である。

この自動巻上げに応じてシヤツターチヤージや
その他の自動チヤージ作動が行なわれ、更に又フ
イルムの１駒送り自動停止装置も作動し、これら
がフイルムの有無にかかわらず行なわれる装置は
公知に属するものであるが、その構造が複雑であ
つてカメラの小型化のための制約が多い又スプー
ル駆動式のものにはフイルムの誤装填による欠点
もあつた。

本考案は、構造が簡単でカメラの小型、軽量化
が可能となるばかりか、スプール駆動式でもフイ
ルムの未装填時でも、巻止め、シヤツターチヤー
ジ、オートフオーカス等の各操作が可能でカメラ
の操作上のデモンストレーシヨンを可能とし、フ
イルムのオートローデングに際してフイルムのリ
ーダ部が過ぎてスプールと係合するまでの空送り
が可能で、スプロケツトによるフイルム送りから
スプールのみによる送りへの移行を行ない爾後ス
プール駆動送りとなり且つフイルムの巻戻しにも
何等の支障のないものである。

しかしてこのために本考案は、動力源からスプ
ールに至る第１の伝達系、スプールの回転力をス
プロケツトに伝える第２の伝達系、スプール上の
フイルム在否を検知する手段を具備した上記第１
の伝達系から第２の伝達系を選択切換する駆動抵
抗のないクラツチ機構、その他スプロケツトから
の巻止め、各チヤージ機構や巻上げ巻戻し切換手
段等よりなるものである。

次に図面に示した本考案の一実施例により詳細
に説明する。

第１図の要部斜視図において、１はスプールで
フイルムが巻込まれるものであり、モータＭより
詳細は省略されているが一般の減速機を介する第
１の伝達系２をもつて駆動されるもので、このス
プール１の周速度は後記するスプロケツト３の周
速度より早くなつている。

スプール１には、これに対し回動自在の、爪
４′を有する爪車４が設けられ、この爪車４の内
周に凹欠部５を有する。しかして爪車４の内周に
位置してスプール１と一体的に回転する環状体６
が形成され、これに設けた突起７が前記凹欠部５
内に位置しスプリング８をもつて爪車４は突起７
と凹欠部５とが係合状態に維持されている。更に
環状体６には、前記凹欠部５内に一端が位置する
クラツチ爪９が枢着され、他端はクラツチ板１０
の係合部１０′と係合するようにばね１１が介装
されている。即ちこれら爪車４、クラツチ爪９並
びにクラツチ板１０等によりクラツチ機構１２を
形成する。

クラツチ機構１２のクラツチ軸１３に設けたギ
ヤ１４は、スプロケツト３と連動するギヤ１５と
の間に第２の伝達系１６をもつて回転が伝えられ
たスプロケツト３を回転し、且つ巻戻しクラツチ
１７を介して各種のチヤージ機構１８（詳細省
略）に動力を伝達する。又巻上げ巻戻し切換手段
は、従来用いられている手動或は自動による切換
手段であつて、巻上時は第１の伝達系２よりギヤ
１９を介してスプール１に、巻戻し時には減速、
巻上げ、巻戻し切換機構２′の巻戻し切換により
ギヤ２０より巻戻し軸２１に第３の伝達系２２を
介して行なわれる。

なお、前記クラツチ機構１２の凹欠部５、クラ
ツチ爪９及び係合部１０′等は１か所より示して
ないがこれを２か所或はそれ以上設けてもよい。

次に作用を説明すると、先づフイルムＦが装填
されていないで、絞り、シヤツタ等の点検のため
のデモンストレーシヨンをなう場合、レリーズの
押圧を放すとモータＭは回転する。すると、第１
の伝達系２を介してスプール１が回転し、環状体
６、クラツチ爪９、爪車４、クラツチ板１０は共
に回転し、更に第２の伝達系１６を介してスプロ
ケツト３を回転して巻止め並びにチヤージ機構１
８を作動してフイルムＦの１駒を送る作動と同一
の作動を行なうことによりシヤツタチヤージやそ
の他自動チヤージ作動等がチヤージ機構１８でな
される。

次にパトローネを装填してフイルムリーダ部分
を裏蓋内に位置してのオートローデイングでは、
フイルムＦの一側のリーダー部分のパーフオレー
シヨンは、前記同様な作動でスプロケツト３の歯
と係合して送られ、リーダ部分がスプール１に巻
きとられこのリーダ部分が過ぎるとフイルムＦの
他側のパーフオレーシヨンが爪車４の爪４′と係
合する、しかしてスプロケツト３の周速よりスプ
ール１の周速が早くなつているのでフイルムＦに
より爪車４の回動が環状体６より遅くなりクラツ
チ爪９の一端は凹欠部５の一側と衝合しばね１１
の蓄力に反してクラツチ爪９を回転し係合部１
０′との係合が外れてクラツチ機構１２を介する
伝動は断たれて、スプール１の回転でフイルムＦ
は巻取られる。即ちスプロケツト３のフイルムＦ
の送り量よりスプール１の周速とにずれが生じ、
この際スプロケツト１にはフイルムＦの引出し力
量及びチヤージ機構１８のチヤージ力量が加わつ
ており、この力量の総和はクラツチ爪９とクラツ
チ板１０の係合部１０′における衝合力量となつ
ており、前記ずれの運動は、クラツチ爪９とクラ
ツチ板１０の回動に要する摩擦力に打ち勝つこと
はできず、クラツチ爪９とクラツチ板１０の係合
部１０′とは衝合して両者は一体的結合状態にあ
るが、この時は実際上スプロケツト３とスプール
１との両者でフイルムＦは巻取られている状態と
なつている。

しかしてスプール１による巻上げが一旦開始さ
れるとスプロケツト３が受持つフイルムＦの送り
力量が急減し、クラツチ爪９とクラツチ機構１２
の係合部１０′との衝合力量も減ずることになり
前記した如くクラツチ機構１２は断の状態即ち第
２の伝達系１６への伝動力は失なわれ、爾後この
状態でフイルムＦはスプール１のみで巻上げられ
る。

このように本考案は、前記ずれの力量は弱いス
プリング８に抗するのみであるから、フイルムが
スプールに巻付けられる際のずれの作用が緩衝作
用を生じフイルムに対し無理な力が加わらず円滑
且つ安定した作動が得られ、又従来の一方向クラ
ツチの場合の如くクラツチ断の状態で回動する摩
擦抵抗もなくこの種カメラに内蔵される小馬力の
モータに対する動力損失が極めて小さくすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示したもので第１図は要
部斜視図、第２図はクラツチ部分の平面図であ
る。 符号、１はスプール、２は第１の伝達系、３は
スプロケツト、４は爪車、５は凹欠部、６は環状
体、９はクラツチ爪、１０はクラツチ板、１２は
クラツチ機構、１６は第２の伝達系、Ｍはモー
タ、Ｆはフイルム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 原動機からスプールに動力を伝達する第１の伝
   達系と、スプールからスプロケツトに動力を伝達
   する第２の伝達系とを有し、これら第１の伝達系
   と第２の伝達系との両伝達系を選択切換するクラ
   ツチ機構が設けられ、該クラツチ機構を解除する
   ための爪車が前記スプールに回動自在に設けら
   れ、この爪車がフイルムのパーフオレーシヨンと
   係合したとき前記クラツチ機構を解除することを
   特徴とするスプール駆動方式カメラのクラツチ装
   置。