JPH0232832Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は例えばデイーゼルエンジンに使用され
るマウンテイングプレートの取付構造に関する。

（従来技術） 本考案が対象とするマウンテイングプレート
は、クラツチハウジングをエンジン本体に取り付
けるための取り付けフランジとして作用する部材
で、シリンダブロツクの一方の端壁の外面にボル
トで固定され、その外周部にクラツチハウジング
がボルトで固定される。

一方、シリンダブロツクの上記端壁外面には、
クランク軸の周囲にオイルシールを保持するため
のオイルシールケースも固定される。

このようにシリンダブロツクの一方の端壁外面
には、マウンテイングプレートとオイルシールケ
ースとが固定される。そして、従来のマウンテイ
ングプレートは、全体がオイルシールケースと概
ね同一平面上に並ぶ平坦かつ環状の板で形成され
ており、その中央部に設けられた比較的広い開口
の内側にオイルシールケースが入り込んでいる。
その結果、オイルシールケースの外周縁とマウン
テイングプレートの内周縁とは、概ねクランク軸
の半径方向に対向しており、より具体的には、例
えばオイルシールケースの下部外周縁に対して、
その真下に、マウンテイングプレートの開口の下
部内周縁が位置している。

そして、上記内周縁と外周縁との間には、クラ
ツチハウジングの内部へ埃が侵入することを防止
するために、ダストシールが設けられる。無論、
このダストシールは、オイルシールケースの下部
外周縁（すなわち下面）に対しては、下方から着
座する。ところがこの構造では、シリンダブロツ
クの下側に配置されるオイルパンをオイルシール
ケースの下側まで延ばすことができない。すなわ
ち、オイルパンをそのように延ばして容量を増加
させることができず、仮に、その様に延ばしてオ
イルパンをオイルシールケースの下面に固定する
と、ダストシールを下面に併設することができな
くなる。

又、全体が平板状である従来のマウンテイング
プレートを採用し、しかも、オイルパンをオイル
シールケースの下側まで延ばした構造でも、マウ
ンテイングプレートをオイルシールケースの外側
の面（クラツチハウジング側の面）に重ね合わせ
て配置すると、両者間にダストシールを配置でき
る。

ところがこの構造では、オイルシールケースを
取り付けるための段部をシリンダブロツクの端壁
外面に形成する必要がある。より具体的に説明す
ると、一般にシリンダブロツクの端壁外面には、
オイルシールケースを取り付ける取付面と、マウ
ンテイングプレートを取り付ける取付面とが形成
されるが、上述の如く段部を形成する構造では、
マウンテイングプレート全体が平坦であるため
に、マウンテイングプレートの取付面をオイルシ
ールケースの取付面に対して、オイルシールケー
スの厚さ分だけ軸方向外側（クラツチハウジング
側）へ突出させる必要がある。その結果、マウン
テイングプレートの中央部開口にオイルシールケ
ースが入り込んだ従来構造と比べ、シリンダブロ
ツク端壁、ならびに、マウンテイングプレートと
それに固定されるクラツチハウジングが軸方向外
側に位置することになり、エンジンの全長が増加
するという不具合が生じる。

（考案の目的） 本考案は、オイルパンをオイルシールケースの
下側まで延ばすことができ、しかも、オイルシー
ルケースとマウンテイングプレートとの間にダス
トシールを問題なく配置でき、又、シリンダブロ
ツクのオイルシールケース取付面とマウンテイン
グプレート取付面とを同一平面上に並べることが
できる構造を提供しようとするものである。

（考案の構成） 本考案は、シリンダブロツクの端壁外面にオイ
ルシールケース取付面とマウンテイングプレート
取付面とを同一平面上に並ぶ状態で形成し、上記
オイルシールケース取付面にオイルシールケース
を密封状態で固定し、オイルシールケースに取り
付けたオイルシールをクランク軸に嵌合し、板金
製のオイルパンをシリンダブロツクの下側に配置
し、シリンダブロツクの下面とオイルシールケー
スの下面とにオイルパンの上端部をオイルパン固
定用ボルトにより固定し、クラツチハウジング連
結用のマウンテイングプレートをオイルシールケ
ースの周囲において上記マウンテイングプレート
取付面に固定し、オイルパンとマウンテイングプ
レートの下部との間に、クラツチハウジングをマ
ウンテイングプレートに固定するためのボルト及
び上記オイルパン固定用ボルトを操作するための
間〓を下方に開放した状態で形成し、オイルシー
ルケースの外周部の近傍においてマウンテイング
プレートにシリンダブロツクから離れる方向に張
り出した張出部を形成し、該張出部をオイルシー
ルケースの外周部にシリンダブロツクと反対側か
ら重ね、張出部とオイルシールケースの外周部の
間に全周わたつてダストシールを設けたことを特
徴としている。

（実施例） 第１図は本考案を採用したデイーゼルエンジン
の垂直縦断面部分図、第２図は第１図の−矢
視部分略図、第３図は第２図の−矢視部分略
図である。第１図においてシリンダブロツク１の
端壁２は軸受ボス３を下部に備えている。ボス３
にはメタルキヤツプ５が下方からボルト６により
固定されており、ボス３とキヤツプ５により軸受
メタル７を介してクランク軸８が支持されてい
る。シリンダブロツク端壁２の外面には板状のオ
イルシールケース１０とマウンテイングプレート
１１が後述する如く取り付けてある。ケース１０
は孔の内周によりオイルシール１２を保持してお
り、シール１２の内周がクランク軸８の端部に嵌
合している。

シール１２から外方へ突出したクランク軸８の
先端にはフライホイール１６がボルト止めされて
いる。フライホイール１６はクラツチ（図示せ
ず）に連結しており、それらを囲むクラツチハウ
ジング１７の外周端がマウンテイングプレート１
１の外周部に密封状態で固定されるようになつて
いる。フライホイール１６の外周にはリングギヤ
１８が取り付けてあり、リングギヤ１８を駆動す
るためのスタータモータ１９がプレート１１の上
部に対してハウジング１７と反対側から固定され
ている。

第２図の如くシリンダブロツク端壁２はメタル
キヤツプ５が収容される切欠部２０をボス３の下
側に備えている。前記オイルシールケース１０は
切欠部２０を閉鎖しており、ケース１０の上部と
左右両側部が複数のボルト２１により端壁２に密
封状態で固定されている。ケース１０の下面１０
ａはシリンダブロツク１の下面１ａと同一平面上
に並んでおり、これらの下面に１ａ，１０ａに第
３図の如くオイルパン２３上端の側縁フランジ２
４及び端縁フランジ２５が複数のボルト２６によ
り固定されている。

第２図の如くマウンテイングプレート１１は大
形の部材で、上端及び下端はそれぞれシリンダブ
ロツク１の上端近傍及びオイルパン２３の底部近
傍に達しており、又左右の側部はシリンダブロツ
ク１の左右両側に大きく張り出している。前記ス
タータモータ１９はプレート１１の一方の張出側
部に固定されるようになつている。マウンテイン
グプレート１１の外周部の複数箇所にはクラツチ
ハウジング１７（第１図）を固定するためのボル
ト孔２７が設けてある。

プレート１１は境界線３０よりも内側の部分が
張出部３１となつている。第１図の如く張出部３
１はケース１０をフライホイール１６側から覆う
位置まで張り出している。第２図の如くプレート
１１は張出部３１の上側近傍及び左右両側近傍の
部分が複数のボルト３２により端壁２に固定され
ている。又プレート１１の上端部もボルト３３に
より端壁２に固定されている。張出部３１はプレ
ート１１の中央部から下部にかけて設けてあり、
張出部３１の概ね上半部にクランク軸８が通過す
る切欠き３４が設けてある。切欠き３４の内周は
ケース１０の外周３５に沿つてその内側近傍を延
びており、切欠き３４の周縁部はケース１０の外
周部にダストシール３６を介してフライホイール
１６側から重なつている。ダストシール３６は切
欠き３４の全周に沿つて設けてあり、第１図の如
くケース１０の外周部表面にはダストシール３６
を装着するための溝又は切欠きが設けられてい
る。張出部３１はオイルパン固定ボルト２６より
も下方へ大きく延長されており、この延長部分３
７を設けることにより、プレート１１の下部とオ
イルパン２３の間に大きい隙間３９が形成され、
この隙間３９を利用してボルト２６の着脱作業を
容易に行うことができるようになつている。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によると、マウンテ
イングプレート１１に設けた張出部３１とオイル
シールケース１０の間にダストシール３６を介装
するようにしたので、クラツチハウジング１７内
に埃等が侵入することを防止でき、図示の如くオ
イルパン２３の端部をオイルシールケース１０に
固定するようにした場合においても、クラツチハ
ウジング１７の内部を密封することができる。

又、上記本考案の効果を従来構造と比較してよ
り詳細に説明すると以下の通りである。

すなわち、板金製のオイルパン２３を使用する
と、鋳物製のオイルパンを使用する場合に比べ
て、軽量化や加工の簡単化を実現できる。

又、オイルパン２３は、シリンダブロツク１の
下面１ａよりも軸方向外側に位置するオイルシー
ルケース１０の下方まで延長し、その下面１０ａ
に固定すると、オイルパン２３の容量を増加させ
ることができる。

ところが、従来のマウンテイングプレートは、
張出部３１を備えておらず、その開口内周縁が、
オイルシールケース１０の外周縁の外側（例えば
第２図で境界線３０と同じ位置）に位置してい
る。

そのために、従来構造において、オイルパン２
３をオイルシールケース下面１０ａに固定する
と、下面１０ａとマウンテイングプレートとの間
にダストシールを設けることが不可能になる。

一方、板金製オイルパン２３は、鋳物製オイル
パンの様に一部分を単独で分解できるような構造
ではないので、第２図のボルト孔２７に挿入され
てクラツチハウジング１７の下部をマウンテイン
グプレート１１に取り付けるためのボルト５０
（第１図）及び前記オイルパン固定用ボルト２６
を操作するために、オイルパン２３とマウンテイ
ングプレート１１の下部との間に、外部空間に連
通する作業用空間（〓間３９）を設ける必要があ
る。

その結果、上述の如くオイルシールケース下面
１０ａにダストシールを併設できない構造では、
外部から〓間３９及び下面１０ａの下側を通つて
埃などがクラツチハウジング１７の内部に侵入す
る。

これに対し、本考案では、先に詳細に説明した
ように、マウンテイングプレート１１に張出部３
１を設け、その張出部３１をオイルシールケース
１０に対してシリンダブロツク１と反対側から重
ねて両者間にダストシール３６を設けているの
で、マウンテイングプレート１１の開口（切り欠
き３４）の全周にわたつてダストシール３６を設
け、クラツチハウジング内への埃の侵入を防止で
きる。換言すれば、ダストシール３６により埃の
侵入を防止した上で、オイルパン２３をオイルシ
ールケース１０の下側まで延ばし、オイルパンの
容量を増加させることができる。

又、全体が平板状である従来のマウンテイング
プレートを採用し、しかも、オイルパン２３をオ
イルシールケース１０の下側まで延ばした構造で
も、マウンテイングプレートをオイルシールケー
ス１０の外側の面（第１図で右側の面）に重ね合
わせて配置すると、両者間にダストシールを配置
できる。

ところがこの構造では、オイルシールケース１
０を取り付けるための段部をシリンダブロツク１
の端壁外面に形成する必要がある。より具体的に
説明すると、一般にシリンダブロツク１の端壁外
面には、オイルシールケースを取り付ける取付面
と、マウンテイングプレートを取り付ける取付面
とが形成されるが、上述の如く段部と平坦なマウ
ンテイングプレートを組み合わせた構造では、マ
ウンテイングプレートの取付面をオイルシールケ
ースの取付面に対して、オイルシールケースの厚
さ分だけ軸方向外側（クラツチハウジング側）へ
突出させる必要がある。その結果、マウンテイン
グプレートの中央部開口にオイルシールケースが
入り込んだ従来構造と比べ、シリンダブロツク端
壁、ならびに、マウンテイングプレートとそれに
固定されるクラツチハウジングが軸方向外側に位
置することになり、エンジンの全長が増加すると
いう不具合が生じる。

これに対して本考案では、先に詳細に説明した
ように各部を構成することにより、オイルシール
ケース１０を取り付ける取付面と、マウンテイン
グプレート１１を取り付ける取付面とを問題なく
同一平面上に並べることができ、上述の段部を設
けた場合の不具合をも解消できる。

（変形例） なお本考案を具体化する場合、張出部３１をそ
の外周側のマウンテイングプレート本体とは別体
の部材で構成することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の垂直縦断面部分図、第
２図は第１図の−矢視部分略図、第３図は第
２図の−矢視部分略図である。 １……シリンダブロツク、２……端壁、８……
クランク軸、１０……オイルシールケース、１１
……マウンテイングプレート、１２……オイルシ
ール、１７……クラツチハウジング、３１……張
出部、３６……ダストシール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクの端壁外面にオイルシールケ
   ース取付面とマウンテイングプレート取付面とを
   同一平面上に並ぶ状態で形成し、上記オイルシー
   ルケース取付面にオイルシールケースを密封状態
   で固定し、オイルシールケースに取り付けたオイ
   ルシールをクランク軸に嵌合し、板金製のオイル
   パンをシリンダブロツクの下側に配置し、シリン
   ダブロツクの下面とオイルシールケースの下面と
   にオイルパンの上端部をオイルパン固定用ボルト
   により固定し、クラツチハウジング連結用のマウ
   ンテイングプレートをオイルシールケースの周囲
   において上記マウンテイングプレート取付面に固
   定し、オイルパンとマウンテイングプレートの下
   部との間に、クラツチハウジングをマウンテイン
   グプレートに固定するためのボルト及び上記オイ
   ルパン固定用ボルトを操作するための間〓を下方
   に開放した状態で形成し、オイルシールケースの
   外周部の近傍においてマウンテイングプレートに
   シリンダブロツクから離れる方向に張り出した張
   出部を形成し、該張出部をオイルシールケースの
   外周部にシリンダブロツクと反対側から重ね、張
   出部とオイルシールケースの外周部の間に全周に
   わたつてダストシールを設けたことを特徴とする
   エンジンのマウンテイングプレート取付構造。