JPH0232527Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、可倒式ウインドシールドガラスを有
する車両に用いるワイパ装置であつて、ウインド
シールドガラスを倒置する際にこれに対応して簡
単に倒置させることができるようにした車両用ワ
イパ装置に関する。

［従来の技術］ 車両用ワイパ装置は、車両のウインドシールド
ガラスの前面に付着した雨水等を払拭して運転者
の視界を確保するための装置である。このワイパ
装置は、使用時にはモータの駆動力を受けてワイ
パアームが回動し、該ワイパアーム先端に装着し
たワイパブレードがガラス面の払拭動作を行な
い、一方、不使用時には、ワイパアームとワイパ
ブレードはウインドシールドガラスの下部に横向
きに定置されるようになつている。

このことからウインドシールドガラスを前方へ
水平に倒置できるようにした可倒式ウインドシー
ルドガラスを有する車両においては、ガラスを倒
す際に前面に配設されたこのワイパ装置の取扱い
が問題となる。

普通、ワイパ装置は、ブレードを備えたアーム
ピースを保持するリテーナがアームヘツドに回動
自在に軸支されており、このアームピースまたは
リテーナと前記アームヘツドとの間にスプリング
を張設してワイパ使用時にブレードをガラス面に
対して付勢して所定の払拭効果を得る一方で、洗
車時等必要に応じてワイパアームをブレードと共
にウインドシールドガラス前方に倒し、ロツクバ
ツクできるようになつている。

しかし従来のロツクバツク機構では、ブレード
及びワイパアームを斜め前方にまでしか倒すこと
ができないので、ウインドシールドガラスの倒置
の際にはワイパアーム等を工具を用いて取外さね
ばならず、作業に手間を要し外した部品を粉失す
る惧れもあり、また、置き場所に困るという欠点
があつた。

本出願人は、以前に、アームヘツドを、ワイパ
シヤフトに固定した第１アームヘツドとこれに回
動自在に軸支した第２アームヘツドによつて形成
してワイパアームを水平方向に回動できるように
なしたワイパ装置に関して出願済（実開昭58−
157515（実開昭60−64163号公報）、実願昭58−
157516（実開昭60−64164号公報）、実願昭58−
161684（実開昭60−68851号公報）、等）であるが、
本考案はこれらをさらに改良したものである。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上記事実を考慮し、ウインドシールド
ガラスを倒置する際にワイパアームを取外すこと
なく、しかも手操作で簡単に水平状態に倒置する
ことのできる車両用ワイパ装置を得ることを目的
とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案に係る車両用ワイパ装置では、ワイパア
ームのリテーナとワイパシヤフト間のアームヘツ
ドを、ワイパシヤフトに固定した第１アームヘツ
ドと該第１アームヘツドに回動自在に軸支した第
２アームヘツドによつて形成し、該第２アームヘ
ツドをリテーナと共に前記第１アームヘツドに対
して倒置可能とし、前記第１アームヘツドまたは
第２アームヘツドのいずれか一方のアームヘツド
には回動係止片と該回動係止片を回動するための
回動レバーとを有するばね付勢された回動式固定
部材を装着すると共に、他方のアームヘツドには
前記回動係止片との係止部を設けた構成としてい
る。

［作用］ 前記回動レバーを操作することにより前記回動
係止片と前記係止部との係合離脱を行ない、これ
によつてこれらアームヘツドを互いに固定し、ま
たは固定を解除できるようになした。

［実施例］ 以下、本考案を添付図面に示した一実施例に基
づいて説明する。

第１図は、本考案の一実施例に係るワイパ装置
を装着した可倒式ウインドシールドタイプの車両
を一部省略して示す概略正面図である。ウインド
シールドガラス１０は、その下端両側に設けられ
た一対のヒンジ１２によつてフロントボデー１４
側に倒せるようになつている。ワイパ装置１６
は、アームヘツド部がワイパシヤフト１８にナツ
ト２０で固定された第１アームヘツド２２と、該
第１アームヘツド２２の他端にピン２４によつて
回動自在に軸支された第２アームヘツド２６とで
形成されている。第２アームヘツド２６の他端に
はピン２８によつてリテーナ３０が回動自在に軸
支され、さらに、リテーナ３０の先端にはアーム
ピース３２が固着され、アームピース３２の先端
にブラケツト３４を介してワイパブレード３６が
取付けられている。ワイパシヤフト１８は、ボデ
ー内において、モータの回転力を往復回転運動に
変換するリンク機構と直結されており（図示せ
ず）、ワイパ使用時には所定角度の範囲で回動す
るようになつている。これにより、ワイパシヤフ
ト１８に固定されたワイパアーム及びワイパブレ
ードを扇状に往復運動させ、ワイパブレード３６
がウインドシールドガラス１０面上を払拭するよ
うになつている。

リテーナ３０は第２図及び第３図に示すよう
に、中空なコ字状に形成されており、内側にアー
ムピース３２と第２アームヘツド２６間に張設し
た引張スプリング３８が備えられている。引張ス
プリング３８の一端はアームピース３２のリテー
ナ３０側の端部に係止されており、他端は中央が
くの字状に曲折した連結金具４０を介して第３図
におけるピン２８の下方の第２アームヘツド２６
端部に設けた固定ピン４２に係止されている。引
張スプリング３８は、第３図の実線に示すように
リテーナ３０が第２アームヘツド２６と略直線上
にあるとき、リテーナ３０及びアームピース３２
を反時計方向に付勢し、アームピース３２の先端
に取付けられたワイパブレード３６をウインドシ
ールドガラス１０面上に所定の力で押圧せしめる
ようになつている。これにより、ウインドシール
ドガラス１０に確実にブレードが当接し効果的に
払拭できるようになつている。一方、引張スプリ
ング３８は、第３図の二点鎖線に示すようにリテ
ーナ３０が死点を越えて時計方向に回動され切除
部４４が第２アームヘツド２６の上面に当接する
位置にまで斜め上方に倒されたとき、リテーナ３
０及びアームピース３２を時計方向に付勢してロ
ツクバツク状態となる。これにより洗車等の作業
を容易に行なうことができるようになつている。

アームヘツド部は前述のようにワイパシヤフト
１８側の第１アームヘツド２２と、これに回動自
在に連結された第２アームヘツド２６とから形成
されている。第１アームヘツド２２は、第２図に
示すように、２段に曲折した形状をなしており、
曲折中間部２２Ａの上面側は、半円柱状に突設さ
れピン２４が略水平方向に挿通するようになつて
いる。第１アームヘツド２２の曲折先端部２２Ｂ
は第２アームヘツド２６内まで延設されており、
その端部には後述する回動式固定部材４６の回動
係止片４６Ａと係合する係止用凹部２２Ｃが形成
されている。

一方、第２アームヘツド２６は全体が略Ｌ字状
に形成されており、その曲折部２６Ａが前記第１
アームヘツド２２の曲折中間部２２Ａにピン２４
で軸支されている。第２アームヘツド２６はその
下面２６Ｂが第１アームヘツド２２の棚部２２Ｄ
に当接して第３図における反時計方向の回動を阻
止されている。第２アームヘツド２６の中央部付
近には角孔４８が穿設されており、その両側に突
設された膨出部２６Ｃ，２６Ｃにピン５０が挿通
され、このピン５０に第２アームヘツド２６を第
１アームヘツド２２に固定するための回動式固定
部材４６が回動自在に軸着されている。回動式固
定部材４６はピン５０を回動軸として同一方向に
回動する回動係止片４６Ａとこれを回動させるた
めの回動レバー４６Ｂとを有している。回動レバ
ー４６Ｂは、止めねじ５２で第２アームヘツド２
６に一端を固定されたスプリング５４によつて第
３図において時計方向に付勢されており、これに
よつて第３図に実線で示すように回動係止片４６
Ａが前記第１アームヘツド２２の曲折先端部２２
Ｂに形成された係止用凹部２２Ｃに付勢状態で係
止されるようになつている。回動レバー４６Ｂの
下端部には第２図に示すように両側に突出部４６
Ｃ，４６Ｃが形成されており、この突出部４６
Ｃ，４６Ｃが角孔４８の両縁部に当接し、スプリ
ング５４の付勢力による回動レバー４６Ｂの第３
図における時計方向の回動が所定位置で阻止され
るようになつている。

以上のように構成された本実施例ワイパ装置の
使用状態は次の通りである。車両の走行時、停車
時等、通常の使用時には第３図に実線で示すよう
に回動式固定部材４６の回動係止片４６Ａが第１
アームヘツド２２の曲折先端部２２Ｂに形成され
た係止用凹部２２Ｃに付勢状態で係止されるよう
になつているので、第２アームヘツド２６のピン
２４を回動軸とする第３図における時計方向の回
動が阻止され、一方、第２アームヘツド２６はそ
の下面２６Ｂが第１アームヘツド２２の棚部２２
Ｄに当接して第３図における反時計方向の回動を
阻止されているから、第２アームヘツド２６は第
１アームヘツド２２に対して回動不能に固定され
ることになる。しかし、第４図に示すようにリテ
ーナ３０は第２アームヘツド２６に対しピン２８
を中心に回動可能であるから、ウインドシールド
ガラス１０の洗浄時等には二点鎖線の位置へロツ
クバツクすることができる。

次にウインドシールドガラス１０をフロントボ
デー１４側に倒す際には、回動式固定部材４６の
回動レバー４６Ｂを押せば第３図に二点鎖線で示
したように回動係止片４６Ａの係止用凹部２２Ｃ
への係合を解除でき、第２アームヘツド２６を車
両前方へ回動可能となる。したがつて、この状態
でウインドシールドガラス１０を倒すと、第５図
に示すようにウインドシールドガラス１０とほぼ
一体に回動する。リテーナ３０は引張スプリング
３８によりウインドシールドガラス１０側へ付勢
されているから、第５図の位置からピン２８を中
心に下方へ回動してしまうことはない。

回動式固定部材４６は第５図の解除状態におい
てもスプリング５４の付勢力が作用して突出部４
６Ｃが角孔４８の両縁部に押圧当接しているか
ら、走行中であつても振動によりがたつくことは
ない。

本実施例では第２アームヘツド２６側に回動式
固定部材４６を設け、第１アームヘツド２２側に
係止用凹部２２Ｃを設けたが、逆に第１アームヘ
ツド２２側に回動式固定部材４６を設けることも
できる。

また、第２アームヘツド２６の下面２６Ｂを第
１アームヘツド２２の棚部２２Ｄに当接させて第
３図における反時計方向の回動を阻止するように
したが、回動係止片４６Ａを係止用凹部２２Ｃに
嵌合させてこの係合部のみで第２アームヘツド２
６の第１アームヘツド２２に対する回動を阻止す
るようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案に係る車両用ワイパ
装置では、アームヘツドの途中でアームをブレー
ドと共に水平方向へ回動自在に形成したので、ウ
インドシールドガラスを倒す際にアームを取外す
必要がなく、またアームヘツドの固定、解除を回
動係止片の係合離脱で行なうので、これを回動レ
バーのワンタツチの操作で行なえる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るワイパ装置を装着した可
倒式ウインドシールドタイプの車両を一部省略し
て示す概略正面図、第２図は同実施例に係るワイ
パ装置の主要部を示す平面図、第３図は第２図の
−線に沿つた断面図、第４図及び第５図は同
実施例に係るワイパ装置の使用状態を示す側面図
である。 １０……ウインドシールドガラス、１８……ワ
イパシヤフト、２２……第１アームヘツド、２６
……第２アームヘツド、３０……リテーナ、４６
……回動式固定部材、４６Ａ……回動係止片、４
６Ｂ……回動レバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 可倒式ウインドシールドガラスを有する車両に
   用いるワイパ装置において、ワイパアームのリテ
   ーナとワイパシヤフト間のアームヘツドを、ワイ
   パシヤフトに固定した第１アームヘツドと該第１
   アームヘツドに回動自在に軸支した第２アームヘ
   ツドによつて形成し、該第２アームヘツドをリテ
   ーナと共に前記第１アームヘツドに対して倒置可
   能とし、前記第１アームヘツドまたは第２アーム
   ヘツドのいずれか一方のアームヘツドには回動係
   止片と該回動係止片を回動するための回動レバー
   とを有するばね付勢された回動式固定部材を装着
   すると共に、他方のアームヘツドには前記回動係
   止片との係止部を設け、前記回動レバーを操作す
   ることにより前記回動係止片と前記係止部との係
   合離脱を行ない、これによつてこれらアームヘツ
   ドを互いに固定し、または固定を解除できるよう
   になしたことを特徴とする車両用ワイパ装置。