JPH0231671B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はインクの微小液滴を飛翔させて、文
字、画像を形成するインクジエツト記録方式を使
い、色再現性、耐水性、光沢等に優れた記録画像
を記録媒体上に形成する方法に関するものであ
る。 近年、インクジエツト記録方式は、高速、高解
像度、低騒音であり、多色化が容易であり、記録
パターンの融通性が大きい等を特徴として、漢字
をはじめ、種々の図形情報のハードコピー、その
他多くの用途に於いて、急速に普及している。 特に各種のインク液が使えること及び記録パタ
ーンの融通性が大きいことを利用して、コンピユ
ーター端末等のカラーハードコピーを得る手段と
して注目されている。更に多色インクジエツト方
式により形成される画像は通常の多色印刷による
ものに比較して遜色なく、作成部数が少ない場合
には通常の製版方式によるより安価なことからイ
ンクジエツト記録方式を多色印刷やカラー写真印
画用の分野にまで応用する試みがなされている。 一般に、インクジエツト記録方式としては、荷
電量制御方式、電界制御方式等の加圧振動型、対
向電極との間の電圧によつて静電的に加速噴出す
る静電加速型、圧力パルスによつてインクを押し
出すオンデマンドタイプの圧力パルス型、或は超
音波の振動によりミストを発生させるインクミス
ト方式等があるが、いづれにしても液状のインク
滴を記録用媒体に付着させて記録画像を得るもの
である。 一般の印刷に使用される上質紙やコーテツド
紙、写真印画紙のベースとして使用されるパライ
タ紙やレジンコーテツド紙及びオーバーヘツドプ
ロジエクター等の光透過型記録媒体として使用さ
れる透明高分子フイルム等はインクの吸収性が著
しく劣るため、インクジエツト記録用に使用した
場合、インクが長時間表面に残り、装置の一部に
触れたり、取扱い者が触れたり、連続して排出さ
れたシートが重なつたりして、記録面がこすられ
た場合、残留インクで画像が汚れたり、流れたり
などして鮮明な画像を得ることは困難である。し
たがつて、従来の水性インクをもつてしては、こ
れらの記録媒体に鮮明なインクジエツト記録をす
ることは実用上不可能であつた。揮発性の高い油
性インクを使用すれば、画像の乾燥は早くなるの
で上記の欠点はないが、臭気、有害性等の点で好
ましくない。 そこで、インクジエツト記録方式によつて記録
するときには、インク特に水性インクの吸収性が
良く、記録用媒体に付着したインク滴が速やかに
インク受理層中に吸収され、見掛上乾いた状態に
なること、更に吸収されたインクドツトの径が必
要以上に大きくならないこと等が記録用媒体に要
求される。更にコンピユーター端末のプリンター
やプロツターとして各種カラーハードコピーが得
られるようになると、オーバーヘツドプロジエク
ター等の光投影タイプの記録媒体としても使える
ような透明フイルム上にインクジエツト画像が得
られるものとか、写真印画紙やコーテツド紙に多
色印刷をした場合の如く光沢のある表面を持つイ
ンクジエツト記録媒体が要求されるようになつ
た。 一般にインク吸収性のあるインク受理層はイン
クを吸収し保持するための空隙を多く有する必要
があり、そのため当然空隙の多いインク受理層
は、層中に、空気との界面を多く有し、表面もミ
クロな凹凸を多く有することになり、光を乱反射
し、透過を防げるため、光沢が出にくく、また不
透明になる。更に空隙に浸透したインクに光が到
達しにくくなるため画像の色が白つぽくなり、色
再現性や色濃度が低下する。 本発明は、鮮明なインクジエツト記録画像を透
明または不透明な記録用媒体上に作成する方法を
種々検討した結果成されたもので、支持体上に主
として熱可塑性有機高分子微粒子及び接着剤から
なるインク吸収性の良好なインク受理層を設け、
インクジエツト装置によつてインクを噴射し、イ
ンク受理面に記録画像を形成したのち、インク受
理層に可塑剤を付与し加熱することによつてイン
ク受理層中の空隙を無くし層中にインクがトラツ
プされた透明なフイルムを形成する記録媒体の処
理方法を提供するものである。 以下に、本発明について詳細に説明する。本発
明で使用する支持体としては、ポリエステル、ポ
リスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、
酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン
等の透明なフイルム、あるいは、これらに白色顔
料を充填あるいは微細な発泡による白色フイルム
更に、一般紙、コーテツド紙、バライタ紙、レジ
ンコーテツド紙及び金属箔等の不透明なシート状
物質等が用いられる。紙層中やフイルム層中に充
填される白色顔料としては、例えば酸化チタン、
硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、クレ
ー、タルク等通常填料や塗料用顔料及び練り込み
等で使用される多くのものが使用可能である。こ
れら支持体の厚みについても特に制限はないが、
通常10μm〜300μmのものが多く使用される。又、
該フイルムとインク受理層の接着を改善するた
め、コロナ放電処理、サンドプラスト処理、火炎
処理その他の一般的な接着性改善のための処理
や、下引層を設けることも可能である。この場合
の下引層としては通常ゼラチン、ニトロセルロー
ス等の樹脂層が主として用いられる。 透明支持体上に設けられるインク受理層は、イ
ンク吸収能力を与えるために、常温で微粒状の熱
可塑性有機高分子を主材料とし、適量の接着剤を
加えて、塗布乾燥することで容易に得られる。微
粒状の熱可塑性有機高分子の組成としては例え
ば、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリメ
トキシスチレン、ポリクロルスチレン等のポリモ
ノビニリデン芳香族、ポリ塩化ビニル、ポリビニ
ル−シクロヘキサン、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニリデン等のポリオレフイン及
びポリハロオレフイン類、ポリメタクリレート、
ポリクロルアクリレート、ポリメチルメタクリレ
ート等のα、β−エチレン性不飽和酸のエステル
類等及びこれらの共重合体である。 本発明に使用される微粒状の熱可塑性有機高分
子は、好ましくは一種またはそれ以上のビニル単
量体からエマルシヨン重合をしてつくつたいわゆ
るスラリー状のプラスチツクピグメントやその乾
燥物及び固体状のプラスチツクを各種手段によつ
て粉砕した微粉末や、微粒状に成形した粉末等し
て得られる。その場合、熱可塑性有機高分子微粒
子の大きさとしては0.05μm〜50μmの平均粒子直
径を持つものが通常使用され、好ましくは0.1μm
〜20μm程度の平均粒子直径を持つものが使用さ
れる。 本発明ではこれら有機微粒子を主顔料とし、そ
れに通常、顔料に対して２部〜30部、好ましくは
５部〜20部程度の接着剤を混ぜて水又は適当な溶
媒とに分散し塗料として、前記支持体上に塗布、
乾燥してインク受理層とする。 インク受理層中に使用される接着剤としては、
例えば酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱
粉、デキストリン等の澱粉類、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセ
ルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋
白、ポリビニルアルコール及びその誘導体、無水
マレイン酸樹脂、通常のスチレン−ブタジエン共
重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重
合体等の共役ジエン系重合体ラテツクス、アクリ
ル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体
又は共重合体等のアクリル系重合体ラテツクス、
エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体
ラテツクス、或はこれらの多種重合体のカルボキ
シル基等の官能基含有単量体による官能基変性重
合体ラテツクス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱
硬化合成樹脂系接着剤等が用いられる。又、カチ
オン変性をした澱粉やポリビニルアルコール更に
窒素含有各種カチオン性樹脂等を併用することも
可能である。 更に、必要ならば顔料分散剤、増粘剤、流動変
性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、着色剤等を適宜
配合することは何ら差し支えない。 塗工機としては、一般に顔料塗被紙の製造に用
いられているような、ブレードコーター、エアナ
イフコーター、ロールコーター、ブラツシユコー
ター、カーテンコーター、チヤンプレツクスコー
ター、バーコーター、グラビアコーター等いづれ
も適用出来る。 塗布後の乾燥は、通常の乾燥方法例えばガスヒ
ーター、電気ヒーター、蒸気加熱ヒーター、熱風
加熱等の各種方式で乾燥して、塗布層を作る。そ
の際該塗布層に加えられる温度が使用している熱
可塑性有機高分子微粒子の融点以下であることが
必要である。 該有機顔料の融点より高い温度に該塗布層が達
するような乾燥をすると該有機顔料の融着、被膜
化が進み、インク受理層の重要な要素であるイン
ク吸収性を低下させることになる。 塗層は１回に必要量を設けてもよいし、又２回
以上重ね塗りすることによつて必要な適性を持た
せることも可能である。 本発明でインク受理層中にインクを付与する方
法、つまりインクジエツト記録装置としては、加
圧振動型、静電加圧型、圧力パルス型等各種方式
のものが開発されているが、要はインク液を微小
な滴又はミストにして飛翔させ、記録媒体上の所
定の位置に付着出来るものであれば、その方式、
インク液の種類等に特に制限はない。ただし、使
用するインク液中の着色染料は水溶性の直接染料
酸性染料及び塩基性染料等が一般に使用に適して
いる。 支持体上に熱可塑性有機高分子微粒子のインク
受理層を設け、該インク受理層にインクジエツト
記録装置で文字や画像を記録したままの状態で
は、インク受理層が空隙を沢山有しているために
画像は白つぽく不透明である。 本発明ではこのインクジエツト記録画像を持つ
インク受理層に可塑剤を付与し、加熱することに
よつて、該熱可塑性有機高分子微粒子を融解、融
着し被膜化することによつて透明な層に変化させ
る工程が必要である。 インク受理層に可塑剤を付与する方法として
は、インクジエツト記録後のインク受理層に可塑
剤を直接塗布したり、スプレーによつて付着させ
たり、可塑剤浴に浸せきする方法、インクジエツ
ト記録時又は後に専用に設けたノズルから可塑剤
を噴射し、インクの付着してないインク受理面及
び又はインクの付着した部分に可塑剤を付着させ
る方法等がある。この場合、可塑剤は出来るだけ
全面に均一に付着させる方が有効である。加熱す
る方法としては熱した金属板や金属ロールに圧着
させたり、電気ヒーターや赤外ランプ等の輻射熱
による方法及び熱風など特にその手段に制限はな
い。その際表面を平滑に成形するために透明なプ
ラスチツクフイルム等を当てておいて加熱圧着す
ることも有効である。更に、インク受理層と表面
に当てるフイルムの間に熱溶融するようなプラス
チツク粉末やプラスチツクフイルム等をはさんで
から加熱溶融することも出来る。加熱圧着する面
を鏡面、粗面及び特殊なパターンを彫んだ面とす
ることにより加熱溶融後の表面に目的の光沢をつ
けたり凹凸をつけることも可能である。 更に、加熱熱可塑性樹脂に使われるような紫外
線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、安定剤等をイン
ク受理層に含有させておいたり、可塑剤と共に付
与することは、形成された熱可塑性高分子皮膜の
劣化を防ぎ、更にインクジエツト画像の染料の耐
候性を向上させるために望ましい。 本発明で言う可塑剤とは、比較的揮発性の小さ
い液体で、高分子物質に添加してその弾性率、ガ
ラス転移点を低下すると共に、溶融粘度を減少し
て加温した場合の変形を容易にする物質であり、
主として有機酸エステル類、リン酸エステル類、
スルフオン酸エステル及びアマイド、脂肪酸エス
テル類、ポリエステル類、エポキシ系可塑剤、含
塩素可塑剤等がある。特にフタル酸エステル類は
有効であり、代表的な例としては、ジメチルフタ
レート（DMP）ジエチルフタレート（DEP）、
ジブチルフタレート（DBP）、ジヘプチルフタレ
ート（DHP）、ジ−ｎ−オクチルフタレート
（DnOP）、ジイソオクチルフタレート（DIOP）、
ジ−（２−エチルヘキシル）−フタレート
（DOP）、ジノニルフタレート（DNP）、ジイソ
デシルフタレート（DIDP）、ジトリデシルフタ
レート（DTOP）、ジアリルフタレート（DAP）、
ブチルベンジルフタレート（BBP）、ジシクロヘ
キシルフタレート（DCHP）、ジー（２−エチル
ヘキシル）−テトラハイドロフタレート
（DOTP）等があげられる。 この様にして形成された、支持体上に熱可塑性
有機高分子微粒子と接着剤よる成るインク受理層
にインクジエツト記録後、可塑剤を付与して加熱
処理された記録媒体は、記録画素の鮮明さ、色再
現性及び色濃度の点で優れ、耐水性、耐光性の優
れた透明で光沢のあるインクジエツト画像媒体と
することが出来る。 本発明では可塑剤が下可欠であるが何故可塑剤
を付与することによりこの様に優れた記録画像が
得られるのかは、可塑剤がインク受理層を構成し
ている熱可塑性有機高分子のガラス転移点、溶融
粘度等に作用して変形を容易にし、インク受理層
中の空隙をうめ易く、皮膜化を容易にしているこ
とにあると考える。 本発明で支持体として透明な高分子フイルムを
使用した一体機では、インクジエツト画像は全く
透明なフイルム状の記録媒体として得られるため
に、オーバーヘツドプロジエクター用の原稿とし
て優れている。 また、支持体として白色顔料を塗抹したコーテ
ツド紙やバライタ紙及びレジンコーテツド紙等高
級印刷用紙や写真用支持体等を用いた場合は、イ
ンクジエツト画像は不透明な支持体上に光沢のあ
る皮膜として得られ、色再現性、色濃度、解像度
の優れた強光沢画像を提供する記録用媒体として
優れている。 更に支持体として写真業会で知られている絹
目、微粒面等の表面を持つものを使用すれば、そ
れに相当する面として得られ、またインク受理層
を皮膜化する時に、型付面に圧着すればそれに相
当する型付表面を持つインクジエツト記録画像と
することも出来る。 以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、こ
れらの例に限定されるものではない。尚実施例に
於いて示す部及び％は重量部及び重量％を意味す
る。 実施例 １ コロナ処理をした75μmのポリエステルフイル
ムに、接着剤としてポリビニルアルコール（クラ
レ社製PVA117）５部、熱可塑性有機高分子微粒
子としてＬ−8801（旭ダウ製ポリスチレンプラス
チツクピグメント）50部及び水95部からなる塗料
を固形部15ｇ／m²になるように塗布、乾燥した。
これを記録用媒体としてインクジエツト装置で画
像を記録後ジー（２−エチルヘキシル）−フタレ
ートを２ｇ／m²塗布し、105℃の熱風を10秒間あ
ててインク受理層を透明化した。 透明フイルム上に形成されたインクジエツト画
像は鮮明で高解像度であり、オーバーヘツトプロ
ジエクター用の原稿として充分満足出来るもので
あつた。 実施例 ２ 原紙の裏面に透明ポリエチレン層を設け、表面
にチタンを含有したポリエチレン層を設けた写真
用支持体に、接着剤としてスチレン−ブタジエン
共重合体ラテツクス２部、熱可塑性有機高分子微
粒子として、LYTRONRX−1259（モンサント製
ポリスチレンプラスチツクピグメント）を50部及
び水98部よりなる塗料を固形分で20ｇ／m²になる
ように塗布し、105℃の熱風ドライヤーで乾燥し
た。これを記録用媒体としてインクジエツト装置
で画像を記録後、ジ−ｎ−オクチルフタレートを
スプレーで充分に噴付け表面温度80℃の鏡面のス
チールロールに圧し着けて加熱した。 支持体上に形成されたインクジエツト画像は鮮
明で高解像度であり、色濃度が高く強光沢表面を
持つ、光沢写真印画紙に似た記録媒体となつた。

【表】 ＊ 比較は可塑剤付与する前の状態で加熱し
たものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持体上に、熱可塑性有機高分子微粒子及び
   接着剤よりなるインク受理層を設けた記録用媒体
   に於いて、該インク受理層にインクジエツト記録
   後、可塑剤を付与し、加熱して該熱可塑性有機高
   分子微粒子を融着、成膜することを特徴とする記
   録用媒体の処理方法。