JPS6253358B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はインクジエツト記録用シートに関する
ものであり、特に画像濃度が高く、画像の色調が
鮮明で、かつ解像度が高いインクジエツト記録用
シートに関するものである。 近年、インクジエツト記録方式は高速印字、低
騒音性、記録パターンの融通性及び多色印字が容
易である等を特徴として、情報器機をはじめとし
て、種々の用途に於いて優れた地位を有するもの
である。更に多色インクジエツト方式により形成
される画像は通常の多色印刷によるものに比較し
て遜色なく、製版が不要であり、作成部数が少な
い場合には通常の方式による多色印刷より安価な
ことから、インクジエツト方式を単なる記録用途
にとどめず、多色印刷の分野にまで応用する試み
が為されている。 一般の印刷に使用されるアート紙やコート紙は
インクの吸収性が著しく劣るため、インクジエツ
ト記録終了後もインクが長時間表面に残り、取扱
い者が触れたり、装置の一部に触れたりして、記
録面がこすられた場合、残留インクで画像が汚れ
る。又、高濃度画像部では、多量に付着したイン
クが吸収されないまま混合し、或は流れ出すなど
の問題があり、実用性はない。 つまり、当該記録シートとしては、濃度の高
い、鮮明な画像が得られ、しかも、インクの吸収
が早くてインクの流れ出しなどが起らないこと、
加えて、該シート面上でのインクドツトの横方向
への拡散を抑制し解像度をあげることが同時に要
求される。 しかるに、本来インクの吸収性と解像度、つま
りインクの横方向への拡散と言つた特性は吸収性
が高くなれば横方向への拡散も増長し、これを制
禦すれば、吸収性自体も減少すると言つた相矛盾
する特性であることは自明である。これらを解決
するために、紙のサイズ性を調整したり、比表面
積の大きな填料、例えばクレー、タルク、炭酸カ
ルシウム、尿素ホルマリン樹脂等を抄込んだり、
微細なシリカを塗布したりして表面にインク吸収
能を持つた塗層を設けるなど、ある程度のインク
ジエツト適正を持たせたものが提供されている
が、これらの殆どのものは、インクジエツト適正
のうちの一部分は満足するものの画像の色調の鮮
明さや、通常のオフセツト印刷のような多色印刷
にみられる見栄えのする画像を得ることは出来な
いし、塗層を設ける場合でも特に解像度を得る為
には顔料に制約があり特殊なものが主として用い
られる。 ここに本発明者らは、インクの吸収性、インク
ドツトの横方向への拡散及び多色記録の画像の鮮
明さや、仕上りの視覚効果などが記録シート表面
に適用される顔料の種類、接着剤等に多大の影響
を受けるとの知見に基き、鋭意検討した結果、本
発明に到達した。 即ち、本発明は支持体表面に無機顔料、有機顔
料及び水性高分子接着剤を含有する被覆層を設け
るに当り、該被覆層中の無機顔料と有機顔料の比
率を95：５〜65：35の範囲とし、好ましくは有機
顔料として約0.02〜約0.8ミクロンの粒子径を有
する非フイルム形成性プラスチツク粒子を使用す
ることによりインクジエツト記録シートに重要な
インク吸収性、色調の鮮明さ、解像度つまり、イ
ンクドツトの横方向への拡散などをバランスよく
改良できることを見い出したことによるものであ
る。 本発明の記録シートは光学読取りバーコード印
刷用記録シートとして用いた場合にも、エツヂの
はつきりした濃度の濃い印刷面が得られ、好まし
いものである。 上述の非フイルム形成性プラスチツク粒子を含
む被覆層がいかなる理由にて本発明課題に適合す
るのか、理論的因果は明確ではないが、一般にエ
マルジヨンタイプの懸濁粒子は表面が適度に親水
性であり、しかも本質的にプラスチツク粒子内部
には水性ビヒクル、特に当該記録シートに於いて
は水性インクを吸込まないと云う疎水性の部分と
の割合が、インクジエツト適正に重要なインクの
吸収性を阻害することなしに横方向へのインクの
拡散を制禦するためと考えられる。更に本来水性
インクの吸収能力の高い無機顔料と該有機顔料の
比率が特定の範囲に於いてその効果が著しく顕著
であることも上述のような疎水性と親水性のバラ
ンスを考えれば理解できる。又、被覆層のインク
の吸収能力を維持したまま平滑性、光沢等を与え
る為にグロスカレンダー処理が特に有効であり、
その処理温度が該有機顔料のガラス転移温度であ
る約100℃前後が有効であることも後述するよう
に理解できる。 本発明に適当なプラスチツク粒子の有機材料は
例えば、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポ
リメトキシスチレン、ポリクロルスチレン等のポ
リモノビニリデン芳香族、ポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルシクロヘキサン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニリデン等のポリオレフイン
およびポリハロオレフイン類、ポリメタクリレー
ト、ポリクロルアクリレート、ポリメチルメタク
リレート等のα、β―エチレン性不飽和酸のエス
テル類等及びこれらの共重合体である。本発明に
使用される非フイルム形成性プラスチツク顔料粒
子は特に好ましくは一種またはそれ以上のビニル
単量体望ましくは例えばスチレンのような主とし
て炭化水素単量体であるビニル単量体からエマル
ジヨン重合してつくられた約0.02〜約0.8ミクロ
ンのサイズ範囲を有する、水性高分子接着剤に不
溶性の非フイルム形成性の球状または橢円体粒子
の形である。 無機顔料としては、例えばクレー、タルク、け
いそう土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫
酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、
サチンホワイト、けい酸アルミニウム、水酸化ア
ルミニウム、酸化けい素、けい酸カルシウム、リ
トポン等が単独あるいは２種類以上の混合物とし
て使用される。 水性高分子接着剤としては、例えば酸化澱粉、
エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類、カゼ
イン、ゼラチン、大豆蛋白、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセル
ロース誘導体、ポリビニルアルコール、無水マレ
イン酸樹脂、通常のスチレン―ブタジエン共重合
体、メチルメタクリレート―ブタジエン共重合体
等の共役ジエン系重合体ラテツクス、アクリル酸
エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は
共重合体等のアクリル系重合体ラテツクス、エチ
レン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテ
ツクス、或はこれらの各種重合体のカルボキシル
基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体
ラテツクス、メラミン樹脂等の熱硬化合成樹脂系
接着剤等が用いられる。これらの接着剤は顔料
100部に対して２部〜50部、好ましくは５部〜30
部用いれば充分であるが顔料の結着に充分な量で
あればその比率は特に限定されるものではない。
しかし100部以上の接着剤を用いると被覆層のイ
ンク吸収性を阻害することもあり、あまり好まし
くない。 更に必要ならば顔料分散剤、増粘剤、流動変性
剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、着色剤等を適宜配
合することは特性を損なわない限り何ら差し支え
ない。 本発明の塗工機としては、一般に顔料塗被紙の
製造に用いられているブレードコーター、エアー
ナイフコーター、ロールコーター、ブラツシユコ
ーター、カーテンコーター、チヤンブレツクスコ
ーター、バーコーター、グラビアコーター等いづ
れも適用出来る。塗被量は通常0.5g／m²〜40g／
m²、好ましくは5g／m²〜30g／m²である。 塗布後の乾燥は通常の乾燥方法、例えばガスヒ
ーター、電気ヒーター、蒸気加熱ヒーター、熱風
加熱等の各種方式で、塗被層が該当する有機顔料
のガラス転移温度以上にならないように乾燥して
塗布シートを作る。 塗被層を乾燥するため用いられる空気の温度
は、該塗被層中の有機顔料のガラス転移温度より
実際上は高い温度に加熱されるが、高速度空気乾
燥機中の乾燥の間、塗被層の表面温度は乾燥機中
の空気温度より実際には50〜60℃低いことが知ら
れている。この温度差は塗被層中からの水の蒸発
により冷却されるためと考えられ、塗被層の温度
は実質的にすべての水分が塗被層から蒸発するま
で乾燥空気の温度に達しない。したがつて、乾燥
は非常に高温な空気を用いて行つても、塗被層
は、有機顔料のガラス転移温度以下の温度を保つ
たまま乾燥することが可能であり、本発明の目的
を達成する。 支持体としては、適度のサイジングを施した紙
や、無サイズ紙、さらには熱可塑性合成樹脂フイ
ルム等が使用でき、その材質に特に制限はない
が、熱可塑性合成樹脂フイルムとしては、通常ポ
リエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リメチルメタクリレート、酢酸セルロース等が用
いられる。支持体に塗被層を設けただけのシート
は、平滑性、解像度に劣り、インクジエツトによ
る多色印刷後の画像が今一つ見栄えがしない。し
たがつて前述のように塗布、乾燥後、例えばスー
パーカレンダー、グロスカレンダーなどで加熱加
圧下ロールニツプ間を通して表面の平滑性を与え
ることによりインクジエツト画像の仕上りをよく
することが可能である。この場合、スーパーカレ
ンダー加工は塗被層を圧縮しかつ緻密にするため
インクジエツト適性の要素の一つであるインク吸
収能を若干低下させる。これに対して、グロスカ
レンダー加工は表面中に一時的可塑状態を起させ
て、これにより基質を過度に圧縮することなく、
高度の仕上げが得られるため、よりかさ高の塗被
層が得られ、このかさ高さがインクの吸収性をよ
り高く与えるため本発明の目的のためには望まし
い。更にこれら加工の際、スーパーカレンダー、
グロスカレンダーなどから該塗被層に加えられる
温度が該塗被層中の有機顔料のガラス転移温度付
近以下であることが必要である。該有機顔料のガ
ラス転移温度より30℃以上高い温度で処理する
と、平滑性はより得られるものの、有機顔料の融
着、被膜化が進みインクジエツト適性の重要な要
素であるインク吸収性を低下させることになる。 以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、こ
れらの例に限定されるものではない。尚実施例に
於いて示す部及び％は重量部及び重量％を意味す
る。 以下に実施例中の諸物性値の測定方法を示す。 (1) インク吸収速度 インクジエツト用水性インクのインク滴
0.0006mlを表面に付着させた瞬間から全部が吸
収されるまでの時間を顕微鏡下で測定した。
（秒）。３秒以下が望ましい。 (2) 解像度 インクジエツト用水性インクの直径100μの
インク滴を表面に付着させ、吸収された後でイ
ンク滴の印した面積を測定して直径を算出し
た。（μｍ）。直径が小さい方が解像度が良好と
なる。250μｍ以下で実用上問題ない。 (3) インク吸収能力 インクジエツト装置で４色のインクを重ねて
打ち、その部分のインクの流れ出しを観察し
た。 実施例 １〜19 各種の無機顔料を用いて下記の水性塗被液を調
成した。 無機顔料 80部 有機顔料（Ｌ―8801旭ダウ製プラスチツクピグメ
ント平均粒子径0.4μｍ） 20部 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.3部 ポリビニルアルコール（クラレ製pVA117） ５部 水 157.2部 塗液固型分 40％ ついで坪量63g／m²のコート原紙に乾燥固型分
片面10g／m²となるようにエアーナイフコーター
にて塗抹し、エアーキヤツプドライヤーにて乾燥
した。 更に、チルドロールの表面温度70℃のスーパー
カレンダーにて表面を平滑にして記録シートを得
た。 又、比較として上記配合より有機顔料を除き無
機顔料100部とした他は全く同様にして、比較用
記録シートを得た。 これらの記録シートについて解像度を測定した
結果を表１に示す。

【表】 表１から明らかな如く無機顔料のみでは解像度
を得にくいが、有機顔料を配合することによつ
て、全ての顔料で解像度が改良出来た。 実施例 20〜23 重質炭酸カルシウム50部、軽質炭酸カルシウム
50部からなる無機顔料の混合物をポリアクリル酸
ソーダ0.1部により水中分散させ、この分散液に
酸化澱粉を５部加え、更に有機顔料として
LYTRON RX―1259（モンサント製ポリスチレ
ンプラスチツクピグメント、平均粒子径0.5μ
ｍ）を乾燥固型分として０部〜120部加え充分撹
拌して固形分含有量42％の塗被液とした。上記塗
被液を各々坪量73g／m²のコート原紙に乾燥固型
分が10g／m²となるようにコーテイングロツドに
より塗布し、100℃の熱風で30秒間乾燥後、ニツ
プ圧30Kg／cm、表面温度100℃、速度30m／min
の条件でグロスカレンダー掛けを行い記録シート
を得た。得られた記録シートの性質を表２に示
す。

【表】 表２から明らかな如く、実施例20〜23の無機顔
料：有機顔料の比率が95：５〜65：35の範囲が解
像度、インク吸収速度及びインク吸収能力に於い
て優れている。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持体表面に無機顔料、有機顔料及び水性高
   分子接着剤を含有する被覆層を設けた記録シート
   に於て、無機顔料と有機顔料の比率が95：５〜
   65：35であることを特徴とする記録シート。 ２ 有機顔料の粒径が0.02〜0.8ミクロンの非フ
   イルム形成性プラスチツク粒子である特許請求の
   範囲第１項記載の記録シート。 ３ 有機顔料がポリスチレンプラスチツクピグメ
   ントである特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   の記録シート。 ４ 記録シートがインクジエツト記録用紙である
   特許請求の範囲第１項記載の記録シート。 ５ 記録シートが光学読取りバーコード用紙であ
   る特許請求の範囲第１項記載の記録シート。