JPH022981Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は軽量化を図ることができるデイスクブ
レーキに関する。

〔従来技術〕

従来、２輪車用デイスクブレーキとしては、デ
イスクの一側において車両の非回転部分に設けら
れ、前記デイスクを狭んで配置された一対のパツ
ドのうち一方のインナーパツドを、前記デイスク
の軸線方向へ移動可能に支持案内する肩部とブレ
ーキトルクを受けるトルク受け面とを有する板状
のキヤリアと、該キヤリアに、前記デイスクの軸
線方向へ移動可能に取り付けられ、前記パツドを
前記デイスクに押圧するキヤリパとを具備したデ
イスクブレーキが知られている。そして、このデ
イスクブレーキにおいては鋼板からプレス加工に
より板状のキヤリアを形成している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、このような従来のデイスクブレーキ
においては、第６図に示すようにキヤリア１に支
持されてデイスク２の軸線方向へ摺動するパツド
３の摺動長を、パツド３が新品の状態からそのラ
イニング３ａが全部摩耗するまでの間確保するた
め、キヤリア１の板厚ｔを比較的厚く（約６mm）
しなければならず、その重量が大となり、また比
較的厚い鋼板からプレス加工によりキヤリア１を
形成しなければならないため、このプレス加工に
使用するプレス機械も大型のものが必要となり、
経費が嵩むという欠点があつた。

本考案は、従来のものがもつ以上のような問題
点を解決したデイスクブレーキを提供することを
目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、前記目的を達成するために次のよう
な構成としている。即ち、デイスクの一側におい
て車両の非回転部分に設けられ、前記デイスクを
狭んで配置された一対のパツドのうちの一方のイ
ンナーパツドを、前記デイスクの軸線方向へ移動
可能に支持案内する肩部と、ブレーキトルクを受
けるトルク受け面とを有する板状のキヤリアと、
該キヤリアに、前記デイスクの軸線方向へ移動可
能に取り付けられ、前記一対のパツドを前記デイ
スクに押圧するキヤリアとを具備したデイスクブ
レーキにおいて、前記肩部のコーナーを、前記デ
イスク側へプレス成形により所定量押し出して前
記肩部に突起及び凹所を形成している。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第４図に
基づいて説明する。第１図中１１は二輪車用デイ
スクブレーキのキヤリアであり、このキヤリア１
１はデイスク１２の一側において車両の非回転部
分に固定されている。キヤリア１１にはキヤリパ
１３がデイスク１２の軸線方向へ移動可能に取り
付けられている。デイスク１２の両側にはこのデ
イスク１２を狭んで一対のパツド即ちインナーパ
ツド１４とアウタパツド（図示せず）が配置され
ている。インナーパツド１４はキヤリア１１にデ
イスク１２の軸線方向へ摺動可能に支持案内さ
れ、アウタパツドはキヤリパに取り付けられてい
る。キヤリパ１３にはインナーパツド１４に対向
してこのインナーパツド１４をデイスク１２側へ
押圧するピストン（図示せず）がデイスク１２の
軸線方向へ移動自在に設けられている。

キヤリア１１は鋼板からプレス加工により略Ｕ
字形に形成されたもので、内側に一対の中段即ち
肩部１５が形成されている。また、キヤリア１１
の内側には肩部１５に直交して形成され、ブレー
キトルクを受けるトルク受け面１６が設けられて
いる。肩部１５には、第３図に示すインナーパツ
ド１４の裏金１４ａに突出状に形成された耳部１
４ｃが摺動可能に載せられており、インナーパツ
ド１４は肩部１５によりデイスク１２の軸線方向
に移動可能に支持案内される。

また、肩部１５のコーナーには、この肩部１５
のコーナーをデイスク１２側へプレス成形により
所定量押し出すことにより形成された突起１７及
び凹所１８が形成されている。この突起１７は、
キヤリア１１の板厚を従来品より薄くして軽量化
を図るために形成されたもので、凹所１８は突起
１７を形成するために必然的に形成されるもので
あるが、インナーパツド１４の摺動案内範囲及び
トルク受け強度に関係するのでむやみに大きくす
ることはできない。この凹所１８は、トルク受け
面１６と略平行な壁面１８ａと、この壁面１８ａ
と略直交する壁面１８ｂと、略方形の底面１８ｃ
とから形成されている。トルク受け面１６から壁
面１８ａまでの長さＳは、肩部１５に載せられる
インナーパツド１４に形成された耳部１４ｃのデ
イスク１２の軸線方向と直交する方向の長さＸの
約1/2とされ、肩部１５のトルク受け面１６と直
交する端面１５ａから底面１８ｃまでの長さｈ
は、インナーパツド１４の裏金１４ａのトルク受
け面１６と接触する当接面のデイスク１２の軸線
方向と直交する方向の長さＹの約1/2とされてい
る。なお、キヤリア１１のデイスク１２と反対側
の面１１ａから壁面１８ｂまでの長さは、キヤリ
ア１１のデイスク側の面１１ｂから突起１７のデ
イスク側端面１７ａまでの長さと略等しくされて
いる。

しかして、前記のように構成されたデイスクブ
レーキが使用されると、デイスク１２の両側の一
対のパツドが摩耗するが、凹所１８を前記のよう
な寸法に形成すると、第４図から分るように、キ
ヤリア１１の板厚を従来のキヤリア１の板厚ｔよ
り適宜薄くして板厚t′としても、インナーパツド
１４が新品の状態から、そのライニング１４ｂが
全部摩耗するまでの間インナーパツド１４の裏金
１４ａは、キヤリア１１に突起１７が形成されて
いるため、キヤリア１１の肩部１５に係合してい
るので裏金１４ａの円滑な摺動移動が得られる。
またデイスク１２の軸線方向のトルク受け面１６
の長さ範囲Ｔは突起１７が形成されたために従来
のキヤリア１の板厚ｔと同一となり、従つてトル
ク受け面１６により従来同様ブレーキトルクを確
実に受けることができる。従つて、この実施例に
よれば軽量化及びコストの低減が図られる。

なお、前記実施例においては、キヤリア１１の
肩部１５、トルク受け面１６にインナーパツド１
４の裏金１４ａを直接接触させたが、これに限ら
れることなく、第５図に示すように、前記実施例
のキヤリア１１と同一構成のキヤリア２１に、こ
のキヤリア２１の肩部及びトルク受け面を全面覆
うステンレスまたはステンレス同効材料（錆を生
じず、摩擦係数が小さく、耐摩耗性が大なる材
料）からなる保護部材２２を取り付けてもよい。
このようにすれば、キヤリアとインナーパツドと
の間の錆の発生によるインナーパツドの摺動不良
を防止することができるばかりか、前記実施例よ
りさらに円滑なインナーパツドの摺動が得られ、
摺動部の耐摩耗性が向上する。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、キヤリア
の肩部のコーナーを、デイスク側へプレス成形に
より所定量押し出して前記肩部に突起を形成した
ので、パツドの摺動及びブレーキトルク受けの機
能を保持してキヤリアの板厚を薄くすることがで
き、これにより軽量化を図ることができ、かつキ
ヤリアを形成するための使用プレス機械を小形と
することができるため、経費がかからず、安価な
デイスクブレーキを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、第２
図はそのキヤリアの斜視図、第３図はそのインナ
ーパツドの背面図、第４図は第１図の−線に
沿う断面図、第５図は本考案の他の実施例を示す
キヤリアの一部の斜視図、第６図は従来のデイス
クブレーキの一例を示す第４図同様の断面図であ
る。 １１，２１……キヤリア、１２……デイスク、
１３……キヤリパ、１４……インナーパツド、１
５，２２……肩部、１６……トルク受け面、１７
……突起、１８……凹所、１８ａ，１８ｂ……壁
面、１８ｃ……底面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) デイスクの一側において車両の非回転部分に
   設けられ、前記デイスクを挾んで配置された一
   対のパツドのうちの一方のインナーパツドを、
   前記デイスクの軸線方向へ移動可能に支持案内
   する肩部とブレーキトルクを受けるトルク受け
   面とを有する板状のキヤリアと、該キヤリア
   に、前記デイスクの軸線方向へ移動可能に取り
   付けられ、前記一対のパツドを前記デイスクに
   押圧するキヤリパとを具備したデイスクブレー
   キにおいて、前記肩部のコーナを、前記デイス
   ク側へプレス成形により所定量押し出して前記
   肩部に突起及び凹所を形成したことを特徴とす
   るデイスクブレーキ。 (2) 前記凹所は、トルク受け面と略平行な壁面
   と、この壁面と略直交する壁面と、略方形の底
   面とから形成され、前記トルク受け面から該ト
   ルク受け面と略平行な前記壁面までの長さは、
   前記肩部に載せられるインナーパツドに形成さ
   れた耳部の前記デイスクの軸線方向と直交する
   方向の長さの約1/2とされ、前記肩部のトルク
   受け面と略直交する端面から前記凹所の底面ま
   での長さは、前記インナーパツドの裏金のトル
   ク受け面と接触する当接面の前記デイスクの軸
   線方向と直交する方向の長さの約1/2とされた
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のデイスクブレーキ。