JPH0229240Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、クランクギヤに咬合うガバナギヤ
をクランクケース底部に貯留した潤滑油に浸漬し
て設けたエンジンのガバナ装置に関する。

〈従来の技術〉 従来、上記ガバナ装置においては、ガバナギヤ
に装備したガバナウエイトやガバナスリーブの摺
動部に潤滑油が充分ゆきわたるようにガバナウエ
イトを潤滑油内に浸漬されて設けられていた。

〈考案が解決しようとする問題点に しかし、ガバナウエイトが潤滑油内で作動する
ときに、潤滑油の存在がガバナウエイトの移動抵
抗となり、潤滑油の粘性が高くなる低温時にはガ
バナ特性に悪影響を及ぼすことがあつた。

〈問題を解決するための手段〉 この考案は、ガバナウエイトの作動規制構造に
改良を加えることで上記従来欠点を解消しようと
したものであり、クランクギヤに咬合うガバナギ
ヤをクランクケース底部に斜めに立設した支軸に
遊転支承し、ガバナギヤの上部に上方を斜め上向
き状に開口した周壁を立設するとともに、この周
壁の内部にガバナウエイトを装備し、周壁の開口
下部を潤滑油面よりやや低く設定して、ガバナウ
エイトを潤滑油中に配設し、周壁によつてガバナ
ウエイトの最大作動量を接当規制するよう構成し
た点に特徴がある。

〈作用〉 上記構成によると、エンジン停止状態では潤滑
油が周壁内に流入してガバナウエイトやガバナス
リーブの摺動部に充分ゆきわたる。また、ガバナ
ギヤは斜めに立設した支軸に遊転支承され、ガバ
ナギヤの上部に上方を斜め上向き状に開口した周
壁が立設されていることから、ガバナギヤが高速
で回転すると、周壁内の潤滑油は遠心力で勢い強
く回されて上方開口から飛散放出され、周壁内に
潤滑油が無い状態でガバナウエイトは軽く作動で
きるようになる。

〈実施例〉 第３図に縦軸型エンジンのクランクケース部分
での横断平面が、第２図に第３図でのＡ−Ａ断面
が示されている。

底部に潤滑油を貯留したクランクケース１には
クランク軸２及びカム軸３が縦向きに支承され、
互いにクランクギヤ４及びカムギヤ５で咬合連動
されている。

クランクケース１の底部に形成されたクランク
軸支承ボス６にはガバナギヤ取付け用ボス部７が
連設され、このボス部７に斜めに立設した支軸８
に、クランクギヤ４に咬合するガバナギヤ９が遊
転支承されている。

このガバナギヤ９の上面には軸心方向視で小判
形の周壁１０が上方開口状に立設されるととも
に、その内部に一対のガバナウエイト１１，１１
が支点ピン１２，１２を介して枢着され、かつ、
支軸８の上方突出部分にガバナスリーブ１３が摺
動自在に装備されている。そして、上記周壁１０
の開口下部が潤滑油面Ｌよりやや低く設定される
とともに、周壁１０の開口端内縁でガバナウエイ
ト１１の最大作動量が接当規制されるようになつ
ている。

又、ガバナスリーブ１３の先端は、クランクケ
ース下部に水平支承されたガバナ軸１４の内端に
設けたアーム１５に接当支持され、ガバナウエイ
ト１１の遠心作動に伴うガバナスリーブ１３の上
方突出力がガバナ軸１４の回転に変換されてケー
ス外のガバナ機構に伝えられるようになつてい
る。

尚、ガバナギヤ９の上面の周部には潤滑油飛散
用羽根１６が放射状に設けられている。又、クラ
ンクケース１の下部に水平支承したPTO軸１７
がスクリユーギヤ１８，１９を介してカム軸３に
連動連結されている。

上記構成によると、ガバナギヤ９が高速で回転
することによつて周壁１０内の潤滑油は遠心力で
勢い強く回されて上方開口から排出され、ガバナ
ウエイト１１は潤滑油の抵抗を受けることなく作
動する。又、周壁１０は円形でないために潤滑油
はこの周壁１０によつても上方に跳ね上げられ、
ギヤ周部の羽根１６と共働してクランク室上部に
も充分潤滑油を供給する。

〈効果〉 以上説明したように、本考案によれば、ガバナ
ギヤをクランクケース底部に斜めに立設した支軸
に遊転支承し、ガバナギヤの上部に上方を斜め上
向き状に開口した周壁を立設するとともに、この
周壁の内部にガバナウエイトを装備し、周壁の開
口下部を潤滑油面よりやや低く設定して、ガバナ
ウエイトを潤滑油中に配設し、周壁によつてガバ
ナウエイトの最大作動量を接当規制するように構
成したので、周壁をして、ガバナウエイトの最大
移動量規制機能とガバナウエイト周囲の潤滑油を
排除する機能を発揮させることができる。このた
め、ガバナギヤを支承する支軸をクランクケース
底部に斜めに立設し、ガバナギヤの上部に上方を
斜め上向き状に開口した周壁を立設するだけの簡
単な改造でガバナ特性の安定化を図ることができ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図におけるＡ−Ａ断面図、第２図
は、第１図におけるＢ矢視図、第３図は縦軸型エ
ンジンの横断平面図である。 １……クランクケース、２……クランク軸、４
……クランクギヤ、８……支軸、９……ガバナギ
ヤ、１０……周壁、１１……ガバナウエイト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ クランク軸２を支承したクランクケース１の
   底部に潤滑油を貯留し、クランクギヤ４に咬合
   うガバナギヤ９をクランクケース底部に斜めに
   立設した支軸８に遊転支承し、ガバナギヤ９の
   上部に上方を斜め上向き状に開口した周壁１０
   を立設するとともに、この周壁１０の内部にガ
   バナウエイト１１を装備し、周壁１０の開口下
   部を潤滑油面Ｌよりやや低く設定して、ガバナ
   ウエイト１１を潤滑油中に配設し、周壁１０に
   よつてガバナウエイト１１の最大作動量を接当
   規制するよう構成してある縦軸型エンジンのガ
   バナ装置。 ２ 周壁１０が軸心方向視で異径に構成されてい
   る実用新案登録請求の範囲第１項に記載のガバ
   ナ装置。