JPH0228511B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、自転車のペダルに靴を固定する装置
に関する。

（従来の技術） 特に特許において、一方では、いかなる手動操
作を介在させずに靴を自転車ペダルに容易に位置
ずけ、他方では位置決めした靴が意図的に（サイ
クリストが足を地面に付けようとするときに）又
は倒れた結果自動的に迅速に外れるようにしたタ
イプの多数のいろいろな装置が既に提案されてい
る。

仏国特許第2442175号が開示するこのタイプの
装置では、ペダルに、靴底をこのペダルに当接し
続けるために靴底の下に固定された取付支持体と
協働するようにされた靴保持手段が備えられてい
る。この保持手段は固定した前方の手段と、弾性
装置によつてその靴保持位置の方へ付勢された動
作可能な後方の手段と、からなる。

靴を前記ペダルに位置決めするのは２段階で行
なわれる。即ち、前方へ進ませて、取付支持体が
前方保持手段に当接する位置まで取付支持体を動
かし、次いで、踵を下げて、取付支持体をスナツ
プ作用で後方保持手段内に係合させる。意識的に
外すには、足を横にひねつて後方保持手段を開き
始めさせるのである。

この装置は、操作の点からはたいへんに満足の
いくものである。試験的な形で行なつた実際的な
テストでは、靴をペダルに位置決めすることもそ
の靴を外すことも非常に簡単かつ迅速で自然な操
作であることが事実上証明されている。

先に引用した特許の第２３〜２６図の実施例で
は、動作可能な後方保持手段は、横方の水平軸
（ペダルの回動軸心に平行である）に旋回するよ
うに取付けられ、長手位置に位置したばねによつ
て作動される一本のレバーからなる。この軸支さ
れたレバーには、上から見たときにＶ字形をなす
２つの面によつて取付支持体と協働するようにさ
れた爪が一対又は一本設けられている。従つて、
楔作用により取付支持体の横方向変位は保持レバ
ーの後方の旋回動に変換され、結果的に、靴が解
放されるのである。

上記の構成は、大規模生産及び広範囲の販売流
通の本質的な必要条件である極度の簡素性及び低
価格の点から特に有利である。さらに、レバーの
旋回軸を横方向に配置しているので保持爪（また
は複数の爪）の引抜きが自由に、かつ確実に行な
われ、従つて、横方向に外れると同時に、靴が解
放可能となる。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この構成には以下の主たる欠点
がある。即ち、自転車の走行中に取付支持体がペ
ダルに加える作用力の向きは前、下、後、上と順
番に変化する。実際のところ、下向きの作用力
は、次の場合（例えば、始動時、登坂時にペダル
の上に立つ場合）に比較的激しくなり得るもので
あつて、保持レバーにこの保持レバーを開く方向
に直接に生じる。

この結果、上記作用力によつて靴がペダルから
不適当な時期に外れやすくなるが、このことは安
全及び性能の両方の観点から明らかに受け入れら
れない。

本発明の目的は、上記の欠点を克服することで
ある。

（問題を解決するための手段・作用・効果） この目的を達成するため、本発明の靴固定装置
は、靴底の下に固定された取付支持体と、この取
付支持体を通常ペダル上に押え付けて保持する保
持手段を備えるペダルとで構成され、 前記保持手段がペダルに対して自転車の長手方
向に移動可能に取付けられ、かつ前記取付支持体
の後端部に係合すべく弾性部材により前方に付勢
される保持爪からなり、さらに、 前記ペダルは前記保持爪に対向配置されるペダ
ルの一端側に、取付支持体の突部と係合して取付
支持体の回動中心を定める固定爪を有し、かつ前
記保持爪が位置するペダルの他端側に、前記取付
支持体の後縁外周面と摺接する支承面を有する少
なくとも１つの固定支承手段を備え、前記取付支
持体の回動により前記後縁外周面が前記弾性部材
に抗して保持爪を後方に押圧し、前記取付支持体
をペダルから離脱させるようにしたことを特徴と
している。

この構成により、固定支承手段が取付支持体の
後方移動を妨げるストツパとなり、かつ取付支持
体の回動をガイドする支承面を形成する。

そして、取付支持体の回動により後縁外周面が
保持爪を後方に押し出し、ペダルから取付支持体
が離脱できることになる。

このようにして、本発明の構成によれば、通常
のペダリング中に保持爪が後方に押し出されるこ
とがないので靴が偶発的に後方に外れない。

また、本発明の実施態様によれば、固定支承手
段の支承面がペダルの上面に関して鉛直に突出し
ており、保持爪がペダルの軸方向に延びた所定幅
の断面コ字状レバーで形成されているため、保持
爪の保持突部により取付支持体の後端部を押え、
しかもペダルに設けた凹部支承ハウジング内に保
持爪の球状突部が嵌合するようになつているの
で、保持爪は取付支持体を上方に引張る力に対し
て後方に移動せず、取付支持体の回動時にのみ球
状突部を軸心として後方に旋回移動できるように
なつている。

この結果、本発明の装置は、正常なペダリング
操作によつてペダルに対して作用する上下、左右
方向への力は全て吸収されペダルから靴がはずれ
ることはなく、また足をひねつた場合等のペダル
操作以外の力によつて足に無理な力が働いたとき
には靴を安全にペダルから離脱させることができ
る。

（実施例） 図面に示された固定装置は、ほぼ矩形の薄板状
の取付支持体／及びペダル・スピンドル３を横切
るペダル２から構成されている。なお、ペダル・
スピンドル３によつてペダル２はペダル・クラン
ク（図示しない）に普通のやり方で装着されてい
る。

つま先の位置は第１図及び第２図の上部、第３
〜７図の左部にある。

取付支持体１はプラスチツク材料又は軽合金製
の部品であつて、その形状は鉛直長手平面に関し
て対称形となつている。取付支持体１の底面は平
面であり、また、その上面は靴底の部分４、即ち
中足のレベルに位置する部分にほぼ合致するため
に少しへこんでいる。

取付支持体１を靴底の上記部分に取付けるのに
は３本の沈みねじ５を長孔６に挿通している。な
お、長孔６は取付支持体１の長手方向の調節を可
能にするためのものである。

取付支持体１の前方中央部は、先の丸い形状の
突部７を有し、その頂部８は、その縁に対して階
段状に後退している。取付支持体１の後端部には
かなりの幅の横に伸びた凹部９が形成されてい
る。前記凹部９の底１０は、取付支持体１の下面
に平行な平面となつている。この凹部９には横方
向に開口がないが、各側が斜めの鉛直壁１１ａ，
１１ｂで終つている。この壁は、前方向点を有す
るＶ字状である。この凹部９の各側で、取付支持
体１の後縁外周面は、突部７の湾曲中心“０”に
鉛直軸心を置く円筒の一部１２ａ，１２ｂの形状
を有する。

ペダル２には、平らな上面１３を有し、その寸
法は、取付支持体１の寸法より少しばかり大きく
されている。前記ペダル２の前方中央部には、上
面１３から少し上方へ突出しており、また、へこ
んだ凹状湾曲部としての保持カツプ１５を備えた
固定の爪１４を備えている。保持カツプ１５は、
後方に開いたＶ字状をしており、また、取付支持
体１の突部７に係合する円弧形の底部を備えてい
る。ペダル２の後部には、上面１３から上方に突
出した一対の横方向ストツパを形成する固定支承
手段１６ａ，１６ｂが設けられている。このスト
ツパ１６ａ，１６ｂの前方壁は、取付支持体１の
後縁外周面１２ａ，１２ｂに係合する円筒形状の
支承面１７ａ，１７ｂとなつている。ストツパ１
６ａ，１６ｂには、例えばポリテトラフルオロエ
チレン等の低摩擦係数の表面被覆が設けられてい
る。

ペダル２の後側には幅広のレバーの形をした保
持爪１８が塔載されている。そして、この保持爪
１８はその上端に前方に屈曲した保持突部１９
を、また、その下端に同じく前方へ屈曲した球状
突部２０を備えている。ここで、保持突部１９の
先縁には、後述する機能を持つ面取り２１、及び
凹部９の壁１１ａ，１１ｂに係合する２つの側壁
２２ａ，２２ｂを有する点に注意されたい。ペダ
ル２の後面の底部には、保持爪１８の突部２０を
受入れるようにされた横方向に伸びた凹状支承ハ
ウジング２３が形成されている。

ペダル２は、スピンドル３の裏側に、前記スピ
ンドル３と同じ高さの所に長手方向の孔２４が形
成されている。前記孔２４内には、ねじ２５が進
退自在に取付けられ、その頭部は孔２４内に収容
された弾性部材としてのコイルばね２６によつて
前方に付勢されている。ねじ２５のねじ端は、ペ
ダル２の後面及び保持爪１８の中央部に前記保持
爪１８の後方へ突出るように形成された適当な開
口を貫通している。前記ねじ２５のねじ部分には
ローレツト付きナツト２７が螺合されて、ばね２
６の加える力を保持爪１８に伝達して、ハウジン
グ２３内の突部２０の転動の中心によつて作り出
される想像上の横軸心を中心にして前記保持爪１
８が前方に旋回変位するようにしている。ナツト
２７のねじ込み深さを変えることにより、ばね２
６の圧縮の程度を変えることができ、結果的に前
記ばね２６の加える力の強さを変えることができ
るのである。

ここで、ペダル２のすべての構成部品の質量
は、平らな上面１３が上を向き、かつ水平線に対
して少し傾斜しており、そして、固定の爪１４の
位置が動作可能な爪１８を担持した後方より高く
なるように選定され、かつ分布されている点に注
意願いたい。

この装置の使い方及び作動は以下の通りであ
る。

この装置に足を係合させるために、サイクリス
トは、足をほぼ水平位置に置き、突部７が爪１４
に当接するまで前進させる。

この操作は、ペダル２が重力の作用で最初に自
然に傾斜しているから、非常に容易に行なうこと
ができる。足を続けて前進させることは、（カツ
プ１５がへこんだＶ字形をしているために）取付
支持体１をペダル２の長手軸心に、心合せする効
果と、ペダル２の後側が持上げられる効果とが得
られる。サイクリストが、次いで踵に軽く力を入
れてやると、取付支持体１の後縁（面取りされて
いるのが好ましい）が爪１８の面取り部２１に作
用して、爪１８が開くのである。取付支持体１を
ペダル２の上面１３に当接させるとすぐに、爪１
８が閉じて保持部１９が凹部９内に収容される。

通常のペダル操作が行なわれている間は、足の
作用力は取付支持体１を介してペダル２に伝達さ
れる。前向きの力は固定の爪１４によつて吸収さ
れる。下向きの力はペダル２の上面１３によつて
吸収される。後向きの力は摺接支持ストツパ１６
ａ，１６ｂによつて吸収される。上向きの力は固
定の前方の爪１４及び動作可能な後方の爪１８の
保持突部１９によつて吸収される。取付支持体１
が突起１９と接触する領域１０は水平で、かつ、
突部２０の湾曲中心とほぼ鉛直方向に向かい合つ
ているので、この鉛直方向の引摺り力では保持爪
１８を開こうとするトルクは発生しない。従つ
て、通常のペダル操作状態の下では靴を保持する
保持爪１８を偶発的に開かせようとする力はない
ことがわかる。

靴をペダル２から外すのは、サイクリストが停
止したいときに意図的に、又は取付支持体１とペ
ダル２との間に異常な横方向の力が発生したとき
の落車中に、足をひねることにより行なわれる。
第６図及び第７図は、足を外向きに外す動きを示
している。

それぞれの靴を外すには、サイクリストが踵に
横方向の力を加えてやればよい。すると、取付支
持体１がその平面内で点０を中心に旋回するとと
もに、突起７が前方の爪１４のカツプ１５の底で
転動する。この回転は側方ストツパ１６ａ，１６
ｂによつて案内される。即ち、この側方ストツパ
１６ａ，１６ｂの円筒摺接支承面１７ａ，１７ｂ
と取付支持体１の後縁外周面１２ａ，１２ｂと協
働するのである。面１７ａ，１７ｂを被覆してい
る減摩物質がこの動きを容易にする。

取付支持体１の回動変位は、凹部９の内壁１１
ａの傾斜によつて、操作用で保持爪１８の対応す
る壁２２ａにスラストが働く理由により可能であ
る。前記保持爪１８は、ねじ２５を介してばね２
６を圧縮しながら、その球状突部２０を中心に後
方へ旋回変位する。保持突部１９は取付支持体１
の凹部９から離脱するために、取付支持体１は自
由に逃げることができるようになる。

内向きにひねつた場合も、靴が外れる過程は同
じであるが、この場合、外部制御面１１ｂ−２２
ｂの協働によつて行なわれる。

靴をペダル２に保持するのに必要な力は、ロー
レツト付きナツト２７を進退させることによつて
サイクリストの体力又はペダル操作のスタイルに
合致させることができる。

以上から明らかなように、ここで説明した装置
は、信頼性が非常に高く、かつ、使用しやすい上
に、デザインが非常に簡素で、製造費が安い。

また、容易にわかるように、本発明の範囲及び
精神のいずれからも逸脱することなく、多数の異
つた構成を採用することができる。

即ち、前述の記載から、取付支持体１に加わる
後向きの作用力を吸収する固定支承手段が、取付
支持体１の回動中心に鉛直に向き合つて置かれて
取付支持体１に形成された同径の孔内に係合可能
な鉛直の単純な円柱スタツドで構成することもで
きる。上記の孔は開口部を末広がりとして、靴の
着脱時に取付支持体１がペダルに対して旋回変位
できるようにしておく。

また、取付支持体１の回動中心の後方にスタツ
ドを配することも考えられる。この場合、このス
タツドは、取付支持体１の下方に形成され、中心
を前記回動中心に置く円弧状スロツト内に係合す
ることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は取付支持体のめの上面図であり、第２
図は第１図の階段面−に沿つてとつた前方断
面図であつて、靴底の下に固定された取付支持体
を示しており、第３図は長手方向対称面−
（第４図）に沿つてとつた前方断面図であつて、
靴をペダルの所定位置に配した本装置の全体を示
しており、第４図はペダルの所定位置にある取付
支持体の上面図であり（なお、靴は取除いて遮ぎ
るものがないようにしてある）、第５図はペダル
のみの詳細を示しており、この図は第４図の−
断面に沿つてとつたものであり、第６図は第３
図に似た図であつて、靴が横方に外れる動きを示
しており、第７図は第４図に似た図であつて、同
じ横方向の外れを示している。 １……取付支持体、２……ペダル、４……靴底
の一部、１８……爪、２６……ばね。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 靴底の下に固定された取付支持体１と、この
   取付支持体を通常ペダル上に押え付けて保持する
   保持手段を備えるペダル２とで構成され、 前記保持手段が、ペダルに対して自転車の長手
   方向に移動可能に取付けられ、かつ前記取付支持
   体の後端部に係合すべく弾性部材２６により前方
   に付勢される保持爪１８からなり、さらに、 前記ペダル２は、前記保持爪に対向配置される
   ペダルの一端側に、取付支持体の突部７と係合し
   て取付支持体の回動中心を定める固定爪１４を有
   し、かつ前記保持爪が位置するペダルの他端側
   に、前記取付支持体の後縁外周面と摺接する支承
   面を有する少なくとも１つの固定支承手段を備
   え、前記取付支持体の回動により前記後縁外周面
   が前記弾性部材に抗して保持爪を後方に押圧し前
   記取付支持体をペダルから離脱させるようにした
   自転車ペダルの靴固定装置。 ２ 固定支承手段の支承面がペダルの上面に関し
   て鉛直に突出しており、前記支承面と取付支持体
   の後縁外周面とは取付支持体の突部先端が位置す
   る固定爪の凹状湾曲部１５を中心とした円筒の一
   部をなしていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の装置。 ３ 固定支承手段は低摩擦係数の表面被膜を備え
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の装置。 ４ 保持爪は、ペダルの軸方向に延びた所定幅の
   断面コ字状レバー部材であり、その上方端は前方
   に曲げられ、取付支持体の後端部上面を押える保
   持突部１９を有し、下方端も前方に曲げられペダ
   ル後端の下方に設けた凹部支承ハウジング内に嵌
   合する球状突部２０を有している特許請求の範囲
   第１項ないし第３項のいずれかに記載の装置。 ５ 保持爪が取付支持体の後端部上を支承する接
   触域は前記取付支持体の底面に平行な平面であ
   り、保持爪は球状突部の中心軸回りに旋回可能と
   なつている特許請求の範囲第４項記載の装置。