JPH0228287Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の分野 本考案は、自動車におけるシヨツクアブソーバ
のピストンロツド回転防止装置に関するものであ
る。

従来技術とその問題点 従来より、自動車の走行中シヤシスプリングが
受けた衝撃によつて発生する固有振動を吸収し、
振動を早く減衰させて乗心地を良くするために、
シヨツクアブソーバが設けられている。このシヨ
ツクアブソーバは、通常、アクスル側に連結され
るシリンダと車体側に連結されるピストンとを備
えており、そのピストンロツドの上端部はクツシ
ヨンゴムを介して車体側のブラケツトに取付られ
ている。

ところで、近年、車体重量の変動や道路事情等
によりそれぞれに適応した減衰特性を電気的に制
御するようにした減衰力可変式シヨツクアブソー
バが提供されている（実開昭58−140804号公報）。
すなわち、ピストンロツドの中心にコントロール
ロツドを挿通し、このコントロールロツドをピス
トンロツドの上端に取り付けたアクチユエータに
よつて適宜角度回転させることにより、ピストン
に設けた油の流通路を切り換え、減衰特性を変え
るものである。この場合、ピストンロツドが回転
しては上記アクチユエータも同じく回転してしま
うため、該アクチユエータはボデー等に衝突し、
損傷するおそれがある。このことから、ピストン
ロツドを所定位置で回転規制する必要がある。ピ
ストンロツドは上述のとおりクツシヨンゴムを介
して車体側ブラケツトに取付られており、クツシ
ヨンゴムの摩擦力により一応の回転規制はなされ
ているものの、大きな衝撃が加わると、瞬間的に
クツシヨンゴムとピストンロツドの受座面とが離
れ、これが度重なつて少しずつピストンロツドが
回転してしまうことになる。

そこで、ピストンロツドの一部を円形以外の異
形断面とし、この部分を車体側ブラケツトの異形
孔に挿通してピストンロツドの回転を規制する方
法が考えられる。しかしながら、これでは、衝撃
が加わつてピストンロツドが上下動したり揺動し
たとき、ピストンロツドとブラケツトとがこすれ
合い、不快なこすれ音が発生したりピストンロツ
ドが摩耗するといつた問題がある。すなわち、ピ
ストンロツドはブラケツトに対しある程度自由に
揺動できるように取り付ける必要があり、上記の
方法はこの点で好ましくない。

また、上記の場合にはピストンロツドを回転規
制するために、専用のブラケツトが必要となり、
このブラケツトを一旦車体フレームに固定する
と、車体フレーム自体も他のタイプ（例えばピス
トンロツドを回転規制しないタイプ）には使用で
きなくなるという問題がある。

考案の目的 本考案はかかる問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、ピストンロツドをある程度自由
に揺動し得る状態で回転規制し、ピストンロツド
と他部材とのこすれ音や摩耗の発生を防止すると
ともに、ピストンロツドを回転規制するタイプと
そうでないタイプとで部品を共用できるシヨツク
アブソーバのピストンロツド回転防止装置を提供
することにある。

考案の構成 上記目的を達成するために、本考案はクツシヨ
ンゴムの片側をピストンロツドに回転不能に係合
した受座部材に回り止めする一方、上記ブラケツ
トのゴム着座面に凹凸面を有するセツトプレート
を着脱自在にかつ回り止めして取り付け、この凹
凸面に上記クツシヨンゴムの他側を圧接して回り
止めすることによつて、ピストンロツドの回転を
クツシヨンゴムを間にして車体側ブラケツトで規
制するようにしたものである。

実施例の説明 第１図、第２図は本考案の第１実施例を示し、
１はシヨツクアブソーバのシリンダ、２はピスト
ンロツド、３はピストンロツドに中心に挿通され
た減衰力可変用のコントロールロツド、４はダス
トカバーである。上記ピストンロツド２は、車体
フレーム（図示せず）に固定されたブラケツト５
の挿通孔５ａを遊貫通しており、ピストンロツド
２がある程度自由に揺動し得るようになつてい
る。６，７はブラケツト５の上側と下側とに配置
されたクツシヨンゴムで、その中央孔にピストン
ロツド２が挿通されている。

８は受座部材の一例であるワツシヤで、下側ク
ツシヨンゴム７の下面側に接着されている。この
ワツシヤ８は、第２図のように中央に中形以外の
異形孔８ａを有しており、この異形孔８ａにピス
トンロツド２の異形断面部分２ａを挿通すること
によりピストンロツド２に対し回転不能となつて
いる。

９は上記ブラケツト５の下面側のゴム着座面に
配置されたセツトプレートで、第３図に示すよう
に中央にピストンロツド２が遊貫通する孔９ａを
有し、両端部にはブラケツト５の内側面に沿う折
曲部９ｂを有している。そして、上記折曲部９ｂ
をブラケツト５の内側面に形成した爪５ｂに係合
させることにより、下方に落ち止めされ、かつ折
曲部９ｂがブラケツト５の内側面に当接すること
により、回り止めされている。また、セツトプレ
ート９の下面には下側クツシヨンゴム７の上面に
圧接する凹凸面９ｃがプレス加工等により形成さ
れており、その摩擦抵抗によつて下側クツシヨン
ゴム７を回り止めしている。

１０は上記コントロールロツド３を電気的に操
作するアクチユエータ、１１はアクチユエータ１
０をピストンロツド２にし回転不能に取り付ける
ための取付ブラケツトである。この取付ブラケツ
ト１１は上側クツシヨンゴム６の上面に接してお
り、ピストンロツド２に螺合したナツト１２を締
め付けることにより、取付ブラケツト１１とワツ
シヤ８とでクツシヨンゴム６，７を上下から挟着
し、ピストンロツド２をガタツキなく保持してい
る。

上記のように、ピストンロツド２に回転不能に
係合したワツシヤ８と下側クツシヨンゴム７とが
接着にて回り止めされ、下側クツシヨンゴム７と
セツトプレート９とは凹凸面９ｃの摩擦抵抗によ
り回り止めされ、かつセツトプレート９は固定部
であるブラケツト５に回転不能に取り付けられて
いるため、結局ピストンロツド２の回転は規制さ
れている。しかも、衝撃によつてピストンロツド
２に横方向の外力が加わつても、ワツシヤ８とブ
ラケツト５との間にクツシヨンゴム７が介在して
いるため、ゴムの弾性によりある程度の揺動が自
由となり、ブラケツト５との間でこすれ音が発生
したりピストンロツド２が摩耗するといつた問題
がない。また、ピストンロツド２を回転規制する
必要のない通常のシヨツクアブソーバとして用い
る場合には、上記セツトプレート９を取り外すだ
けで、ブラケツト５、クツシヨンゴム６，７、ワ
ツシヤ８といつた他の部品はそのまま共用でき、
コストメリツトが大となる。

第４図は第２実施例を示し、下側クツシヨンゴ
ム７の上面側を円形、下面側を矩形などの異形断
面とする一方、ブラケツト５の取付孔５ｃにセツ
トプレート９の引つ掛け部９ｄを嵌合して着脱自
在に取り付けるとともに、ワツシヤ８にクツシヨ
ンゴム７の下面側を嵌合回り止めする矩形など異
形凹部８ｂを設けたものである。

第５図は第３実施例を示し、ブラケツト５のピ
ストンロツド挿通用の孔５ａを矩形とするととも
に、下面に凹凸面（図示せず）を形成したセツト
プレート９の上面に上記矩形孔５ａに嵌合する矩
形凸部９ｅを設け、セツトプレート９をブラケツ
ト５に対し回り止めしたものである。

なお、上記各実施例ではワツシヤ８が受座部材
である場合を示したが、これに限らず、アクチユ
エータ１０の取付ブラケツト１１を受座部材とし
てもよい。この場合には、取付ブラケツト１１と
上側クツシヨンゴム６とを接着あるいは異形断面
の嵌合にて回り止めするとともに、ブラケツト５
の上面側に凹凸面を有するセツトプレート９を取
り付け、この凹凸面に上側クツシヨンゴム６の下
面側を圧接させて回り止めすればよい。

また、受座部材とクツシヨンゴムとの回り止め
手段としては、上記のような接着や異形断面の嵌
合のほか、セツトプレートと同様に凹凸面の摩擦
抵抗による回り止めでもよい。

また、本考案のピストンロツド回転防止装置は
減衰力可変式シヨツクアブソーバに限らず、その
他のシヨツクアブソーバにも適用できることは勿
論である。

考案の効果 以上の説明で明らかなように、本考案によれば
ピストンロツドに回転不能に係合した受座部材と
クツシヨンゴムとを回り止めし、ブラケツトのゴ
ム着座面に回転不能に取り付けたセツトプレート
の凹凸面とクツシヨンゴムとを摩擦抵抗にて回り
止めしたので、ピストンロツドの回転が防止され
るとともに、ピストンロツドとブラケツトとの間
にクツシヨンゴムが介在しているので、ピストン
ロツドがクツシヨンゴムの弾性によりある程度自
由に揺動することができ、ピストンロツドとブラ
ケツトとのこすれ音や摩耗の発生を防止できる。
また、セツトプレートはブラケツトに対し着脱自
在であるため、セツトプレートを取り外せば、ブ
ラケツトやクツシヨンゴムなどの部品はピストン
ロツドを回転規制しないタイプにそのまま使用で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の第１実施例を示し、
第１図はピストンロツド回転防止装置の縦断面
図、第２図はワツシヤの平面図、第３図はセツト
プレートの斜視図、第４図は第２実施例の要部断
面図、第５図は第３実施例の要部の分解斜視図で
ある。 １……シリンダ、２……ピストンロツド、３…
…コントロールロツド、５……ブラケツト、５ｂ
……爪、６，７……クツシヨンゴム、８……ワツ
シヤ（受座部材）、９……セツトプレート、９ｃ
……凹凸面、１０……アクチユエータ、１１……
取付ブラケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンロツドの上端部をクツシヨンゴムを介
   して車体側のブラケツトに装着したシヨツクアブ
   ソーバにおいて、上記クツシヨンゴムの片側をピ
   ストンロツドに回転不能に係合した受座部材に回
   り止めする一方、上記ブラケツトのゴム着座面に
   凹凸面を有するセツトプレートを着脱自在にかつ
   回転不能に取り付け、この凹凸面に上記クツシヨ
   ンゴムの他側を圧接して回り止めしたことを特徴
   とするシヨツクアブソーバのピストンロツド回転
   防止装置。