JPH0228104Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用シートにおける着脱可能な
ヘツドレストを格納しておくためのポケツトに関
する。

最近のバン型自動車の中には、第１ａ図および
第１ｂ図に示すように、フロントシートのヘツド
レストを取り外してシートバツクをフルリクライ
ニングさせると、このフロントシートのシートバ
ツクとリヤシートのシートクツシヨンとが間隔を
隔てることなく連続し、この結果、フルリクライ
ニング状態のフロントシートとリヤシートが、連
続した長尺のベツド面を形成するようになつたも
のが見受けられる。また、第２図のようにシート
を折りたたみ収納する際にも、フロアパネルとの
干渉をさけるためにヘツドレストを取りはずして
おく場合がある。

上記のような自動車のフロントシートのヘツド
レストは、シートバツクに対して着脱可能になつ
ており、したがつて、上記のようにベツドを形成
しているときに、取り外されたヘツドレストを室
内のいずれかへ走行振動などによつて揺れ動くこ
とのないように保持させておく必要が出てくる。

このための手段としては、室内の適所に設けた
ポケツトに、ヘツドレストの脚部を挿入するよう
にして保持させることが考えられるが、車室内側
壁などによく見掛ける樹脂製のポケツトでは、挿
入された状態でヘツドレストががたつくため、適
当でない。また、自動車におけるポケツトとして
は、実開昭57−84138号公報に示されているよう
な、シートバツクの背面に設ける袋状のポケツト
も存在するが、このものは、もともと雑誌等の比
較的軽いものを収納するためのものであり、ある
程度の重量を有し、しかも２本の脚が突き出たヘ
ツドレストを、揺れ動かないように安定的に保持
するには不適当であり、また、袋部の耐久性にも
問題がでることは明らかである。

本考案は、上記の事情のもとで考え出されたも
ので、その目的は、枕部の下部から２本の脚が突
き出たような形状を有する自動車用シートのヘツ
ドレストを安定的に保持するためのポケツトであ
つて、しかもコストおよび車体重量の増加を招く
ことないポケツトを提供することである。

このような目的を達成するため、本考案では、
次の技術的手段を講じている。

すなわち、本考案は、シート材の左右両側辺と
底辺を基板に対して連続して止めることにより、
このシート材と基板とによつて規定されるポケツ
ト空間およびシート材の上辺と基板とによつて規
定されるポケツト開口が形成されるようになして
いるとともに、所定厚みをもつ枕部とこの枕部の
厚み方向中間部から延出するシヤフト状の一対の
脚とを有するヘツドレストを、上記一対の脚を上
記ポケツト開口からポケツト空間内に差し込むこ
とにより格納するヘツドレスト格納用ポケツトで
あつて、 上記シート材のヘツドレストの一対の脚に当た
る部分に折り返し部を設ける一方、上記シート材
の弾性緊張力を上記ヘツドレストの脚部に作用さ
せることにより、上記ポケツト空間に挿入された
上記ヘツドレストをその脚の先端部および枕部を
基板に対し押圧固定して格納することができるよ
うに、上記シート材の上辺の長さを設定した上記
ポケツト開口を備えることを特徴とする。

上記シート材とは、布、樹脂製のシートなど、
自由にたわみうる薄状のもののすべてを包含する
概念である。また、このシート材を止めるべき基
板は、たとえば、車室側壁のトリム、あるいはシ
ートバツクの背面板を選択することができる。上
記シート材と基板とが協働して形成するポケツト
空間内にヘツドレストをその脚から挿入すると、
２本の脚の下端部がポケツト空間の底部のシート
材に強く当たるが、本考案でのシート材には、脚
が当たる部分に折り返し部を設けることにより、
この部が三重構造になつているので、強度的に十
分強く、シート材が破けるといつたことはない。
また、上記ポケツト空間の開口部を形成するシー
ト材の上辺の長さは、ヘツドレストの脚が上記ポ
ケツトに挿入格納さることによつて上記上辺が弾
性緊張するように設定されている。そのため、上
記シート材の上辺の弾性緊張力が反作用として上
記ヘツドレストの脚部に作用し、上記ポケツト空
間に挿入された上記ヘツドレストの脚の先端部お
よび枕部を基板に対して押圧する。これよつて、
ヘツドレストを、基板上に揺れ動くことなく安定
的に保持格納することができる。

しかも、本考案のポケツトは、基本的には、一
枚のシート材を必要とするだけであるので、コス
トはきわめて安く、また、車体重量の増加を招く
といつた心配もない。

以下、本考案の好ましい実施例を図面を参照し
つつ具体的に説明する。

図面には、本考案のポケツトを車室側壁のトリ
ム板に横方向に二個所続けて形成した例を示して
いる。そのうちの一のポケツトに関して見ると、
シート材１は、ヘツドレスト２の一対の脚３，３
の当たる部分に設けた折り返し部４，４を形成し
た後の形状がほぼ四辺形を呈している。このシー
ト材１は、これの両側辺５，５および底辺６が基
板たる上記トリム板７に対して連続的に止められ
ることにより、トリム板７と協働してポケツト空
間を形成している。シート材１をトリム板７に対
して上記のように止めるための手段としては、縫
い付け、あるいは溶着など、どのような手段を用
いてもよいが、シート材として塩化ビニルシート
などの樹脂製シートを用い、また、トリム板７の
表面に樹脂シートの表皮が張られている場合に
は、溶着手段を採用するとその作業が容易とな
り、好都合である。

また、シート材１の下辺部近傍には、ヘツドレ
スト２の一対の脚３，３の間隔と対応する間隔で
折り返し部４，４が設けられ、この部のシート材
１を三重構造としている。これは、材料シートを
裁断する際にその下辺部近傍の横方向の長さに余
裕をもたせておき、この余裕分を取り除くように
してこのシートを第３図に表れているように三角
形状に折り返すなどして簡単に形成することがで
きる。このような折り返し部４，４を形成するこ
とにより、ヘツドレスト２の脚３，３がポケツト
空間の底部のシート材１に突き当つても、このシ
ート材１が破れるといつたことはなくなる。

さらに、上記ポケツト空間の開口部を形成する
シート材１の上辺８の長さは、第５図に示すよう
に、ヘツドレスト２の脚３，３が上記ポケツトに
挿入格納さることによつて上記上辺８が弾性緊張
するように設定されている。すなわち、ヘツドレ
スト２は、上記シート材１の上辺８の弾性緊張力
の反作用が上記ヘツドレスト２の脚部３，３に作
用するため、ポケツト空間に保持された状態で
は、その脚３，３の先端部および枕部９がトリム
板７押圧される。したがつて、ヘツドレスト２
を、トリム板７上に揺れ動くことなく安定的に保
持収納することができる。

上記シート材１の上辺８は、ヘツドレスト２が
挿入された状態で、第５図に示すように、トリム
板と協動して台形形状を呈する。上底と下底およ
び高さが決められた台形の斜辺の長さの合計は、
その台形が等脚台形のとき最も短くなることか
ら、上記トリム板７と上記上辺８によつて形成さ
れる上記台形形状が等脚台形となるような位置に
おいて、上記上辺８が弾性緊張力を発揮するよう
に上記シート材１の上辺の８の長さを設定する。

上述のように構成されたポケツトに、ヘツドレ
スト２の脚３，３を挿入すると、ポケツトの左右
中心位置において上記脚３，３が保持されるとと
もに、上記シート材１の上辺８に弾性緊張力が発
生し、ヘツドレスト２の脚３，３の先端および枕
部９がトリム板７に押圧される。これにより、ト
リム板７に対して垂直方向および上下左右方向に
ずれ動くことなく上記ヘツドレスト２を安定して
保持格納することができる。

なお、図示例では、第５図に表れているよう
に、シート材１の上辺８に袋部１１を形成し、こ
れにゴム紐１２を通挿してこのゴム紐１２の端部
をトリム板７に止着し、ヘツドレスト２を保持し
ないとき第５図仮想線で示すようにポケツト開口
部が閉じた状態となるように構成している。この
ようにすると、ポケツト不使用時の外観がよくな
るほか、ゴム紐の弾力により雑誌などを弾性的に
トリム板側に押圧保持することができるようにな
るので、本考案のポケツトを小物用ポケツトとし
ても使用することができるようになるので好都合
である。

なお、本考案の範囲は、図面に示した実施例に
限定されないことは勿論である。

たとえば、図示例では、二個所のポケツトを横
方向に連続させて設けたが、これは、単一のポケ
ツトとしてもよいし、また、小物用ポケツトとと
もに連続して設けること、あるいは、三個所以上
のポケツトを連続して設けることもできる。

また、図示例では、車室側壁のトリム板を基板
として選択しているが、その他自動車用シートの
シートバツクの背面を基板として選択してもよ
い。

以上のように、本考案の自動車用シートのヘツ
ドレスト格納用ポケツトは、ヘツドレストを走行
振動などによつて揺れ動くことなく安定的に収納
保持することができ、しかも強度十分であるとと
もに、コストがそれほどかからないという優れた
効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図、第１ｂ図および第２図は、着脱可能
なヘツドレストを有するシートの例を示す側面
図、第３図は、本考案のヘツドレスト格納用ポケ
ツトの一例を示す斜視図、第４図は、第３図の
−線断面図、第５図は、第４図の−線断面
図、第６図は、第４図の−線断面図である。 １……シート材、２……ヘツドレスト、３……
（ヘツドレストの）脚、４……折り返し部、５…
…（シート材の）側辺、６……（シート材の）底
辺、７……基板（トリム板）、８……（シート材
の）上辺。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シート材の左右両側辺と底辺を基板に対して連
   続して止めることにより、このシート材と基板と
   によつて規定されるポケツト空間およびシート材
   の上辺と基板とによつて規定されるポケツト開口
   が形成されるようになしているとともに、所定厚
   みをもつ枕部とこの枕部の厚み方向中間部から延
   出するシヤフト状の一対の脚とを有するヘツドレ
   ストを、上記一対の脚を上記ポケツト開口からポ
   ケツト空間内に差し込むことにより格納するヘツ
   ドレスト格納用ポケツトであつて、 上記シート材のヘツドレストの一対の脚に当た
   る部分に折り返し部を設ける一方、上記シート材
   の弾性緊張力を上記ヘツドレストの脚部に作用さ
   せることにより、上記ポケツト空間に挿入された
   上記ヘツドレストをその脚の先端部および枕部を
   基板に対し押圧固定して格納することができるよ
   うに、上記シート材の上辺の長さを設定した上記
   ポケツト開口を備えることを特徴とする、ヘツド
   レスト格納用ポケツト。