JPH022762B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はコンベヤベルトの製造方法に関する。

（従来の技術） コンベヤベルトとしては、芯体をカバーゴムで
覆被したものが従来より用いられている。

（発明が解決しようとする課題） しかし、その種従来のコンベヤベルトでコーク
ス、焼結鉱等の高熱物質を搬送すると、その高熱
によりベルトが損傷してしまう。

そのため、高熱物搬送時には散水による冷却を
行なつているが、300〜500℃にも達する高温物を
搬送すると、どうしてもカバーゴムの搬送面に焼
窪み等の損傷が生じ、また、カバーゴムの摩耗も
大きく、ベルト寿命が短かくなる原因となつてい
た。

本発明は上記に鑑み、耐熱、耐摩耗性に優れた
コンベヤベルトを能率良く製造する方法を提供す
ることを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明の特徴とするところは、ゴム製基盤の表
面に複数のセラミツクス製小片を接着したブロツ
ク体を複数成形し、このブロツク体を、ベルト幅
方向略全長に亘る芯体を有するベルト本体の搬送
面側に、ベルトの周方向全長に亘つて複数並設状
とすると共に、ベルト幅方向全長に亘つて複数並
設状とし、ベルト幅方向両端のブロツク体のゴム
製基盤から、ベルト幅方向両端のセラミツクス製
小片の外側方を覆う耳部を立ち上がり形成してお
く点にある。

（作 用） ベルト搬送面を耐熱性、耐摩耗性に優れたもの
とする方法としては、搬送面を耐熱性、耐摩耗性
に優れた材料で成形することが考えられる。

そこで、耐熱性、耐摩耗性に優れた材料として
セラミツクスを本発明では用いている。

このセラミツクスを用いる場合、ベルト搬送面
を単一の材料により成形するのは、可撓性を要求
されるコンベヤベルトにとつては困難なことであ
る。

そのため、搬送面に接着するセラミツクスは複
数とする必要があり、また、割れ等を防止する上
では可及的にセラミツクスを小片に分割するのが
好ましい。

しかし、ベルト搬送面は長尺であるため、セラ
ミツクス製小片をひとつずつ搬送面に接着するの
は非常に面倒なものである。

そこで、セラミツクス製小片で接着したブロツ
ク体を予め成形し、このブロツク体をベルト搬送
面に長手方向に並設するようにすれば、長尺のベ
ルトに直接小片を接着するのに比べ作業能率が良
い。

また、コンベヤベルトにあつては、その強度保
持の観点から、本体はベルト幅方向略全長に亘る
芯体を有するものとされる。そのため、幅方向寸
法の異なるベルトを製造する場合、広幅のベルト
を幅方向に関して切断することは芯体の存在によ
り困難なものである。よつて、異なる幅寸法のベ
ルトを製造する場合は、異なる幅寸法のベルト本
体を製造する必要がある。しかし、ブロツク体を
幅方向に複数並設状とすることで、ベルト幅方向
両側のセラミツクス製小片の保護や剥離防止等の
観点から、ゴム製基盤から耳部を立ち上がり形成
した幅方向両端のブロツク体については、異なる
幅寸法のベルト本体にも共通のものを用いること
ができる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。

第１図はベルトコンベヤ装置を示し、コンベヤ
ベルト１が駆動プーリー２と従動プーリー３との
間に巻き掛けられると共に、このベルト１の裏面
側を案内する多数の案内小プーリー４が備えられ
ている。又、ベルト１のリターン側の長さ方向中
途部には、ベルト１の搬送面側を案内する前後一
対の上案内大プーリー５と、これら両プーリー５
間の下方にあつてベルト１裏面側を案内する下案
内大プーリー６とが備えられている。

第２図に示すように、ベルト１は、ベルト本体
８と、ブロツク体９と、介装体１０とから構成さ
れている。

ベルト本体８は、市販のベルトを用いたもので
あつて、ベルト幅方向略全長に亘る芯体１２と、
芯体１２の両側部側を覆被する左右一対の耳カバ
ーゴム１３と、芯体１２の表裏面を覆被する表裏
カバーゴム１１，１４とから成る。

芯体１２としては、各種帆布１５にゴム糊を塗
布浸潤させたものを所要の幅および厚さ（布層
数）に折畳んだもの等が使用される。これ以外
に、芯体１２としてはスチールコード等を採用す
るようにしてもよい。

カバーゴム１１，１３，１４は、耐熱、耐摩耗
性の加硫ゴムとされている。

ブロツク体９は芯体１２の表面を介装体１０を
介して覆被することで、ベルト１の搬送面側を主
構成するものである。このブロツク体９は芯体１
２の表面に介装体１０を介してベルト１の長さ方
向に関して複数並設状とされると共に、ベルト１
の幅方向に関しても複数並設状とされている。

そして、ブロツク体９は基盤１６と多数の小片
１７とからなる。

基盤１６は未加硫ゴムを素材とするもので、厚
さは要求されるベルト強度によつて数mmから10数
mm程度とされている。そして、ベルト幅方向両端
のブロツク体９の基盤１６から、小片１７の外側
方を覆う耳部２０が立ち上がり形成されている。

小片１７は耐熱、耐摩耗性を有するセラミツク
ス製で、ベルトの大きさによつて異なるが平面視
１cm²程度以上の方形状とされると共に、厚さ２mm
から数mm程度とされ、基盤１６表面上に、基盤目
状又は千鳥状に規則正しく多数配設されて、小片
１７が基盤１６に加硫接着されることで、基盤１
６表面が小片１７により覆被されている。

小片１７の基盤１６に対する加硫接着は基盤１
６表面および小片の裏面の双方にゴム用接着剤を
塗布した後、基盤１６表面に小片１７を並設し
て、基盤１６表面を小片１７により覆被状とする
と共に、これらを熱加硫接着する。尚、接着効果
を高めるために、接着助剤を接着剤と併用するこ
ともある。

介装体１０は、基盤１６と共に緩衝層を構成す
るもので、この緩衝層により、ベルト１上に搬送
物が落下した際等の緩衝が緩和吸収される。この
介装体１０は、未加硫ゴムを素材とするもので、
必要に応じて厚さ２mm以上数mm程度の薄板状とさ
れている。そして、芯体１２の表面が単一又は複
数の介装体１０により覆被され、この介装体１０
を介して、ブロツク体９が芯体１２に加硫接着さ
れることで、多数の小片１７により、ベルト１の
搬送面側が主構成される。尚、小片１７表面と、
耳部２０表面とは略面一とされている。

ここで、ブロツク体９の上記加硫装置は、表カ
バーゴム１１の表面、介装体１０の表裏両面およ
びブロツク体９の裏面に夫々接着剤１８を塗布し
た後、ブロツク体９を基盤１６を下にした状態
で、介装体１０を介して、芯体１２表面上に載置
すると共に、これらを熱加硫接着する。

なお、ベルト１の幅方向に隣接する小片１７間
及び、ベルト１長手方向に隣接する小片１７間に
は0.5〜２mm程度の隙間を設けるようにした方が
ベルト１の屈曲に対して好ましい。この隙間を設
けた場合には、その隙間に、基盤１６に対する小
片１７の加硫接着時に、基盤１６のゴム及び接着
剤１８等を該隙間に目地として装入させて、これ
らにより隙間を埋めるようにしてもよい。

上記のように構成した実施例によれば、ベルト
１の搬送面側の略全体に、セラミツクス材料から
成る多数の小片１７を敷設固着しているので、ベ
ルト１により、コークス、セメントクリンカー、
焼結鉱等の高熱物質を搬送した場合でも、高熱物
質の高熱により、ベルト１に焼窪み等の損傷が生
じることはなく、また、高熱物質の凹凸状とされ
た塊表面との接触によつて激しい摩耗が発生した
りすることもなく、ベルト１を従来より長寿命と
できる。

また、セラミツクス小片１７の表面仕上を良く
すれば、小片１７に搬送物の粉塵等が付着しにく
くなるので、ベルトコンベヤ装置に例えばチツプ
式ベルトクリーナを備える必要がないと共に、金
物によるベルトの輪切り損傷がなく、また小片１
７の硬度が高くなるので、ベルトコンベヤ装置に
備えられたスカートゴムとベルト１の搬送面側と
の接触によるベルト１の損傷の惧れもない。

さらに、小片１７を、ゴムから成る緩衝層を介
して、芯体１２に敷設固着しているので、ベルト
１上に搬送物が落下した際等の衝撃は緩衝層によ
り好適に緩和吸収され、従つて、例え小片１７が
セラミツクスという硬質の材料により成形されて
いる場合でも、上記衝撃によつて、小片１７が破
損、損傷されたりする惧れはない。

そして、未加硫ゴムから成る基盤１６表面に多
数の小片１７を加硫接着することで、ブロツク体
９を構成した後、ブロツク体９を、未加硫ゴムか
ら成る介装体１０を介して、芯体１２の表面上に
並設状として、これらを加硫接着することで、多
数の小片１７を、ベルト１の搬送面側の略全体に
敷設固着するようにしているので、幅や厚さの異
なる各種ベルトを製造する場合でも、単一種類の
ブロツク体９を共通に使用することができる。特
に、ベルト幅方向に関してもブロツク体９は複数
並設状であるため、幅寸法の異なるベルトであつ
ても、幅方向両端の耳部２０を有するブロツク体
９は共通のものを用いることができる。

第３図は本発明の第２実施例に係り、本体８に
介装体１０を介することなくブロツク体９を加硫
接着したものを示している。

第４図は本発明の第３実施例を示すもので、市
販のベルトから、表カバーゴム１１及び、両側の
耳カバーゴム１３の芯体１２より上部側を除去し
て、ブロツク体９を介装体１０を介して加硫接着
したものを示している。

第５図は本発明の第４実施例を示すもので、傾
斜状として使用されるベルト１に本発明が適用さ
れており、ベルト１は搬送方向に向かうに従つて
上位又は下位となる傾斜状とされている。ベルト
１には、第１小片１７′を備える第１ブロツク体
９′と、第２小片１７″を備える第２ブロツク体
９″とがベルト１の長手方向に交互に第１実施例
同様の方法で備えられている。第１小片１７′の
表面は、成形時又は成形後の加工により、ヤスリ
状又はスパイク状の凹凸状とされている。又、第
２小片１７″は平滑面とされている。

第４実施例では、ベルト１が傾斜状とされてい
るが、表面が凹凸状とされた第１小片１７′と搬
送物との摩擦が大であつて、第１小片１７′上で
は搬送物は転がりにくいので、ベルト１による搬
送物の搬送を良好に行なうことができる。

尚、上記第６実施例では、第１ブロツク体９′
と第２ブロツク体９″とをベルト１の長手方向に
交互に配設したが、この配設形態は、ベルト１を
どのような傾斜角度で使用するかで適宜変更する
ものであつて、例えば、ベルト１の長手方向に関
して隣接する第１ブロツク体９′間に２〜３個程
度又はそれ以上の第２ブロツク体９″を挟む場合
もあり、更には、第１ブロツク体９′のみを使用
して、第２ブロツク体９″を使用しない場合もあ
る。

なお、セラミツクス製小片を例えば円板状、球
状、その他の形状としてもよい。又、実施例にお
ける数値はあくまで一例であつて、ベルトの幅、
厚さ、用途に応じて変更されるものであり、実施
例の数値に限定されるものではない。

又、本発明は、芯体をナイロンその他のカバー
材により覆被したものをベルト本体とするものに
対しても適用可能である。

更に、実施例では、緩衝層をゴムから成るもの
としたが、緩衝層をその他のエラストマー等の弾
性材料から形成するようにしてもよい。エラスト
マーとしては、例えば、熱可塑性エラストマー、
弾性繊維、弾性発泡体等がある。

（発明の効果） 本発明によれば、ベルト搬送面側をセラミツク
ス小片とした耐熱、耐摩耗性に優れたコンベヤベ
ルトを製造するに際し、そのセラミツクス製小片
を接着したブロツク体をベルト周方向だけでなく
幅方向にも並設状とし、さらに、ベルト幅方向両
外側のセラミツクス小片の外側方を覆う耳部を幅
方向両端のブロツク体の基盤から立ち上がり形成
しているため、この幅方向両端のブロツク体を異
なる幅寸法のコンベヤベルトに共通して用いるこ
とができる。これにより、コンベヤベルトの製造
における作業能率の向上と、ブロツク体の共通化
によるコスト低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の第１実施例を示す
もので、第１図はベルトコンベア装置の簡略側面
図、第２図はベルトの製造方法を説明するための
説明図、第３図及び第４図の各図は本発明の第
２、第３各実施例の製造方法を説明するための説
明図、第５図は本発明の第４実施例を示す簡略縦
側断面図である。 １…コンベヤベルト、８…ベルト本体、９…ブ
ロツク体、１６…基盤、１７…小片、２０…耳
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ゴム製基盤の表面に複数のセラミツクス製小
   片を接着したブロツク体を複数成形し、このブロ
   ツク体を、ベルト幅方向略全長に亘る芯体を有す
   るベルト本体の搬送面側に、ベルトの周方向全長
   に亘つて複数並設状とすると共に、ベルト幅方向
   全長に亘つて複数並設状とし、ベルト幅方向両端
   のブロツク体のゴム製基盤から、ベルト幅方向両
   端のセラミツクス製小片の外側方を覆う耳部を立
   ち上がり形成しておくことを特徴とするコンベヤ
   ベルトの製造方法。