JPH0225931Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はクランクケースを低圧予圧室としたク
ランク室圧縮掃気式二サイクル内燃機関のクラン
クシヤフトに関するものである。

従来技術 クランクケースを低圧予圧室としたクランク室
圧縮掃気式二サイクル内燃機関においては、クラ
ンクケースの容積をできるだけ縮小させてクラン
クケース圧縮の圧縮比を高め、かつ重量軽減を図
るため、従来では、第１図ないし第２図に図示す
るように、一対のクランクウエイトａを円盤状に
形成し、ピストン等に働く慣性力を打消すことに
寄与しない部分に円孔ｂを設け、同円孔ｂの両端
を盲栓ｃで密閉したものがあつた。

解決しようとする課題 しかしながら、クランクウエイトａの強度を損
なわない程度に円孔ｂを大きく形成することがで
きないので、充分な軽量化を図ることができず、
また円孔ｂの数を増すと、盲栓ｃの数も増え、孔
明け作業を含め、作業工数がかさんだ。

課題を解決するための手段および作用効果 本考案はこのような難点を克服した二サイクル
内燃機関のクランクシヤフトの改良に係り、左右
一対のクランクウエイトと該ウエイトの中心部に
軸部を一体に形成するとともに、両ウエイト部を
クランクピンを介して相互に一体に結合するクラ
ンクシヤフトにおいて、クランクピン嵌合部と、
クランクウエイト回転中心を挟んで該嵌合周辺部
と反対側の慣性力および遠心力打消し部分を除く
クランクウエイト回転中心部を含む相対する端面
に肉抜き部を形成し、該肉抜き部を密閉してクラ
ンクウエイト体積を増大させる蓋部を前記クラン
クウエイトの前記端面および外周部を覆つて装着
したことを特徴とするものである。

本考案では、左右一対のクランクウエイトと該
クランクウエイトの中心部に軸部を一体に形成す
るとともに、両ウエイト部をクランクピンを介し
て相互に一体に結合するクランクシヤフトにおい
て、クランクピン嵌合部と、クランクウエイト回
転中心を挟んで該嵌合周辺部と反対側の慣性力お
よび遠心力打消し部分を除くクランクウエイト回
転中心部を含む相対する端面に肉抜き部を形成し
たため、クランクシヤフトの軸部の延長線に位置
したクランクウエイト端面の中心部をも肉抜きす
ることができ、クランクシヤフトの強度とクラン
クウエイトの回転慣性を著しく減ずることなく、
クランクシヤフトの軽量化を充分に図ることがで
きる。

また本考案においては、前記肉抜き部を密閉し
てクランクウエイト体積を増大させる蓋部を前記
クランクウエイトの前記端面および外周面を覆つ
て装着したため、該クランクウエイトへの蓋部の
装着用段差が生ずることがなく、該クランクウエ
イトの表面は凹凸のない平滑な面に形成され、混
合気の無用な撹伴による損失がなくなり、特に高
速回転域での損失が極力抑制され、機関効果が向
上する。

さらに本考案では、前記肉抜き部を覆う蓋部の
外周縁部を前記クランクウエイトの外周部外側面
にかしめ付けしたため、前記クランクウエイトが
加熱されて該クランクウエイト外周部と蓋部とに
熱膨張差が生じあるいは、回転中心線方向の衝撃
や振動が加わつても蓋部が前記クランクウエイト
から脱落する惧れが全くない。

実施例 以下第３図ないし第５図に図示された本考案の
一実施例について説明する。

１は二サイクルガソリンエンジンのクランクケ
ースで、同クランクケース１は上下二分割され、
ベアリング２を介してクランクシヤフト３は前記
クランクケース１に回転自在に枢支されている。

また前記クランクシヤフト３は、それぞれ軸部
５を一体に備えた一対のクランクウエイト４と、
該一対のクランクウエイト４のピン孔６に一体に
装着されるクランクピン１１と、前記クランクウ
エイト４に一体に嵌着されるカバー１２とよりな
つている。

しかして前記クランクウエイト４の相対する端
面７では、鍛造または鋳造により、クランクウエ
イト４の強度を損なわずかつピストン等に働く慣
性力を打消すことに寄与しない部分、すなわち、
クランクピン嵌合周辺部４ａと、クランクウエイ
ト回転中心を挟んで該嵌合周辺部４ａと反対側の
慣性力および遠心力打消し部分４ｂとを除くクラ
ンクウエイト回転中心部分を含む相対する端面部
分が合理的に肉抜きされ、同クランクウエイト４
の他端面外周縁９には切欠き１０が形成されてい
る。

また前記カバー１２には、前記クランクピン１
１が貫通されうるに足る孔１３が形成されるよう
に、同カバー１２はプレス加工により製作され
る。

第３図ないし第５図に図示の実施例は前記した
ように構成されているので、前記カバー１２の孔
１３をクランクウエイト４のピン孔６に合致させ
た状態でカバー１２をクランクウエイト４に嵌合
し、カバー１２の端縁１４をローリングかしめす
ると、クランクウエイト４の肉抜き部８はカバー
１２で密閉される。

またクランクウエイト４にカバー１２が装着さ
れて、同クランクウエイト４の外周面は円板状に
形成されているため、クランクケース１内の混合
気に対するクランクシヤフト３の回転抵抗が小さ
い。

さらにクランクウエイト４の肉抜き部８はカバ
ー１２で密閉されて空洞に形成されているため、
クランクケース１内の容積を減少させて圧縮比を
高めることができ、エンジンの性能を向上させる
ことができる。

さらにまたクランクウエイト４はカバー１２で
空洞に形成されているため、エンジンの軽量化を
図ることができる。

しかもクランクウエイト４では、クランクウエ
イト４の強度を損なわずかつピストン等に働く慣
性力を打消すことに寄与しない部分を合理的に肉
抜き８したため、クランクウエイト４の機能を充
分に保持している。

またクランクウエイト４は鍛造または鋳造によ
り製造され、カバー１２はプレス加工により製作
され、両者４，１２はローリングかしめで結合さ
れているため、工数が少なく、生産性が高い。

前記した実施例では、クランクウエイト他端面
外周縁９に切欠き１０が形成されたが、第６図に
図示するように、同切欠き１０に溝１５を形成し
てもよく、このようにすれば、クランクウエイト
４にカバー１２をより強固に固着することができ
る。

また肉抜き部８の気密をより確実にするため
に、クランクウエイト４とカバー１２との接合部
に接着剤を介在させてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の二サイクル内燃機関のクランク
シヤフトの横断正面図、第２図は第１図の−
線に沿つて截断した一部縦断側面図、第３図は本
考案に係る二サイクル内燃機関のクランクシヤフ
トの一実施例を図示した縦断側面図、第４図はそ
の分解斜視図、第５図は第３図の要部拡大断面
図、第６図は他の実施例を要部拡大断面図であ
る。 １……クランクケース、２……ベアリング、３
……クランクシヤフト、４……クランクウエイ
ト、５……軸部、６……ピン孔、７……端面、８
……肉抜き部、９……他端面外周縁、１０……切
欠き、１１……クランクピン、１２……カバー、
１３……孔、１４……端縁、１５……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右一対のクランクウエイトと該ウエイトの中
   心部に軸部を一体に形成するとともに、両ウエイ
   ト部をクランクピンを介して相互に一体に結合す
   るクランクシヤフトにおいて、クランクピン嵌合
   部と、クランクウエイト回転中心を挟んで該嵌合
   周辺部と反対側の慣性力および遠心力打消し部分
   を除くクランクウエイト回転中心部を含む相対す
   る端面に肉抜き部を形成し、該肉抜き部を密閉し
   てクランクウエイト体積を増大させる蓋部を前記
   クランクウエイトの前記端面および外周部を覆つ
   て嵌合し、該蓋部の外周縁部を前記クランクウエ
   イトの外周部外側面にかしめ付けしたことを特徴
   とする二サイクル内燃機関のクランクシヤフト。