JPH0223867Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイスクブレーキに関する。

デイスクブレーキには、デイスクの一側におい
てキヤリアを車両の非回転部材に固定し、そのキ
ヤリアには、デイスクをはさんで配置した一対の
摩擦パツドをデイスクの軸線方向に摺動可能に保
持すると共にキヤリパを摺動可能に保持し、その
キヤリパには、一方の摩擦パツドに臨むピストン
が嵌合されるシリンダ部と、前記デイスクをまた
ぐブリツジ部と、他方の摩擦パツドの背面に臨む
脚部とを形成したものがあり、このものの作動
は、シリンダ部内に供給される圧油によりピスト
ンとキヤリパとを相対変位させてピストン側の摩
擦パツドをデイスクに当接させる一方、その反力
によりキヤリパをピストンに対して変位させてそ
の脚部で他方の摩擦パツドをデイスクに当接さ
せ、これにより、デイスクの回動を制動させるよ
うになつている。

この種のデイスクブレーキにおいては、摩擦パ
ツドの振動等を防止するためにパツドスプリング
を備えており、このようなパツドスプリングに
は、キヤリアの内側壁に密着される基部と、基部
に設けられ該キヤリアの内側壁に係止される抜け
止め部と、基部から伸び摩擦パツドをキヤリアに
押圧する押圧部とで構成されるものがある。しか
しながら、上記パツドスプリングは、その押圧部
の所定以上の変位に対しては、何等、規制手段が
設けておらず、そのため、例えば振動テストや組
付け時の作業ミスで所定以上の変位を該押圧部に
与えると、パツドスプリングは、変形してその機
能が破壊されることとなつた。

一方、上記問題点を解決する手段として、パツ
ドスプリングの押圧部を剛性を有する強い部材で
形成することが考えられるが、この手段を用いる
と、パツドスプリングの摩擦パツドを押圧する力
が極度に増大することで、摩擦パツドのキヤリア
に対する摺動抵抗が大きくなつて摩擦パツドの作
動に悪影響を及ぼしたり、また、ばね常数が大き
くなることで多少の製造誤差範囲内の寸法のばら
つきによつても、そのパツドスプリングによる荷
重が大きくばらつき、物によつては押さえ荷重が
発生しないという虞れもあつた。

本考案は、上記実情に鑑みてなされたもので、
その目的は、常に、所定の力で摩擦パツドをキヤ
リアに対して付勢すると共に押圧部の所定以上の
変位に対して変形が防止されるパツドスプリング
を備えたデイスクブレーキを提供することにあ
る。

かかる目的を達成するために、本考案にあつて
は、一対の摩擦パツドをキヤリアに対して押圧す
るパツドスプリングの押圧部をデイスクの軸方向
と平行状にかつ摩擦パツドの変位範囲の全幅にわ
たつて伸ばすとともに押圧部の変位領域に該押圧
部の所定以上の変位を規制する規制部を該パツド
スプリングに設けた構成としてある。

このような構成とすることにより、振動テスト
や組付け時において、パツドスプリングの押圧部
が所定以上変位しようとしても、該パツドスプリ
ングの規制部により規制されるので、該パツドス
プリングの押圧部は、所定範囲内に保持されるこ
ととなり、パツドスプリングは、そのばね常数を
小さくとることも可能となつて振動を受けても常
にキヤリアに対してばらつきの小さい所定の力で
付勢することができる。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図〜第４図において、１は車両の非回転部
材（図示略）に固定されるキヤリアで、該キヤリ
アはデイスク２の周回り方向に間隔をおいた脚部
１ａ，１ｂを有している。この各脚部１ａ，１ｂ
は、デイスク２の周方向において互いに対面する
内壁３，３と、段部４，４と、連結部５，５とを
有しており、この段部４，４には、該各脚部１
ａ，１ａ内側に装着された、後述するパツドスプ
リング６，６を介して一対の摩擦パツド７，７
が、デイスク２を挾んで摺動可能に支持されてい
る。各連結部５，５には、ボア８，８が穿設され
ている。この各ボア８，８内には、キヤリパ支持
ピン９，９の一端側が摺動可能に嵌入されてい
て、該各キヤリパ支持ピン９，９の他端側には、
キヤリパ１０が固着されている。このキヤリパ１
０は、シリンダ部と、一対の摩擦パツド７，７及
びデイスク２を跨ぐブリツジ部１０ａと、脚部１
０ｂとを有していて、そのシリンダ部内に嵌挿さ
れているピストンを該シリンダ部内に圧油を供給
することにより作動させて一方の摩擦パツド７を
デイスク２に押し付け、その反力でキヤリパ１０
を摺動させて該キヤリパ１０の脚部１０ｂにより
他方の摩擦パツド７をデイスク２に押し付けるこ
とより制動力が与えられる。

パツドスプリング６は、基部１１と、抜け止め
部１２と、押圧部１３と、規制部１４とから概略
構成されている。基部１１は、一対の脚部１１
ａ，１１ａと、該一対の脚部１１ａ，１１ａをそ
の上端部でつなぐブリツジ部１１ｂと、一対の脚
部１１ａ，１１ａの下端部が折曲された折曲部１
１ｃ，１１ｃとからなり、該一対の脚部１１ａ，
１１ａ及びブリツジ部１１ｂは前記キヤリア１の
内壁３に当接され、各折曲部１１ｃ，１１ｃは、
前記段部４に当接される。このとき、前記ブリツ
ジ部１１ｂは、デイスク２を跨ぎ、また、前記一
対の脚部１１ａ，１１ａ及び前記各折曲部１１
ｃ，１１ｃのデイスク２の軸線方向における端部
には、それぞれ爪部１１ｄ，１１ｄ，１１ｅ，１
１ｅが形成されており、該各爪部１１ｄ，１１
ｄ，１１ｅ，１１ｅにより基部１１はキヤリア１
に対して位置決めされる。

抜け止め部１２は、前記基部１１を構成するブ
リツジ部１１ｂ下端から前記折曲部１１ｃ，１１
ｃの折曲方向とは反対側の斜め下方に延出してお
り、該抜け止め部１２は、前記基部１１の折曲部
１１ｃ，１１ｃが前記段部４に当接していること
から、連結部５側面に弾性力をもつて係合され
る。したがつて、このことにより、パツドスプリ
ング６は、確実にキヤリア０に装着され、第３図
中、上方に該パツドスプリング６が抜け出ること
はない。

押圧部１３は、ばね力を発生する連結部１５を
介して基部１１とつながつている。連結部１５
は、一端側が規制部１４と異なる位置において基
部１１の上端からキヤリパ１０のブリツジ部１０
ｂに向けて延び、その他端側は、途中で方向を変
えて前記摩擦パツド７側へ湾曲している。この連
結部１５の他端側に、押圧部１３が連結されてお
り、この押圧部１３はデイスク２の軸方向と平行
状にかつ摩擦パツド７，７の変位範囲の全幅にわ
たつて伸び、前記一対の摩擦パツド７，７を同時
に当接するに充分な長さとなつている。すなわ
ち、押圧部１３は、断面略半円状の長尺部材とさ
れ、各折曲部１１ｃ，１１ｃに載置された摩擦パ
ツド７，７は上方から、すなわちデイスク２の半
径方向外方から内方に向けて押圧部１３により押
圧されることになる。これにより、間接的に摩擦
パツド７はキヤリア１に摺動可能に支持される。

規制部１４は、基部１１上端から延びて前記押
圧部１３の変位領域に位置しており、該規制部１
４と押圧部１３の該規制部１４との当接点とは、
第３図に示すように所定間隔ａがとられている。
この所定間隔ａは、パツドスプリング６の材質に
より、弾性限度内で且つ疲労限度内で設定するべ
きであり、これにより、パツドスプリング６は、
常に一定のばね性を維持する。尚、パツドスプリ
ング６は、例えば不銹鋼を用いることにより防錆
機能をもたせるのが好ましい。

したがつて、このような構成からなるデイスク
ブレーキは、例えばパツドスプリング６の組付け
時の作業ミスや振動テストの繰り返しで、該パツ
ドスプリング６の押圧部１３に大きな力が働いて
も、該押圧部１３は、所定間隔ａ変位すると、規
制部１４により規制されるため、それ以上変位す
ることはなくなり、押圧部１３は、弾性限度を越
えて変位することはなくなることから、パツドス
プリング６は、変形することはない。そのため、
パツドスプリングは、そのばね常数を小さくする
ことができることになり、振動に対してばらつき
の小さい適度な付勢力を常にキヤリア１に抗して
摩擦パツド７，７に付与することになる。故に、
各摩擦パツド７，７は、その摺動に支障をきたす
ことなくキヤリア１に対する振動が防止される。

以上一実施例について説明したが、本考案にあ
つては、次のようなものも含む。

連結部１５を複数設けて、基部１１と押圧部
１３とを連結してもよい。

規制部１４は、２つに限られるものでない。

折曲部１１ｃを省いて、直接、基部１１の下
端を段部４に当接させてもよい。

本考案は以上述べたことから明らかなように、
常に、適度な付勢力で摩擦パツドをキヤリアに対
して付勢することができると共に、押圧部の所定
以上の変位を規制してパツドスプリングの変形を
防止することができる。

またパツドスプリングの押圧部は摩擦パツドの
変位範囲の全幅にわたりデイスクの軸線方向とほ
ぼ平行に伸びているので、摩擦パツドはその全幅
にわたつて押圧部から押圧されることになり、し
たがつて摩擦パツドの振動が極力抑制される。

のみならず、摩擦パツドが摩耗しても押圧部は
上記のごとく摩擦パツドの全幅にわたつて伸びて
いるので、摩耗によりパツドの厚さが薄くなつて
も押圧部は常に摩擦パツドの全幅にわたつて当接
しているので押圧力が減少することがなく、上記
と相まつてパツドの振動の防止がより一層完全に
なる。さらに押圧部は一対の摩擦パツド７，７の
変位範囲の全幅にわたつてのびてこれらのパツド
を押圧するのであるから、一対の摩擦パツドはほ
ぼ均一な力で押圧される。

さらに規制部は、連結部とともにデイスクの半
径方向外方にのびているので、これらをフイバー
フロー沿いに形成することができ、したがつてこ
れらの機械的強度を大にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るパツドスプリングを組
み込んだデイスクブレーキの平面図、第２図は、
第１図の正面図で、左半分のみを示す図、第３図
は、第２図の一部拡大断面図、第４図は、本考案
に係るパツドスプリングの拡大斜視図である。 １……キヤリア、１ａ……脚部、６……パツド
スプリング、７……摩擦パツド、１０……キヤリ
パ、１１……基部、１２……抜け止め部、１３…
…押圧部、１４……規制部、１５……連結部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 デイスクの一側で車両の非回転部材に固定さ
   れ、該デイスクの周回り方向に間隔をおいた脚部
   を有するキヤリアと、 前記キヤリアにその両脚部間において前記デイ
   スクの軸線方向へ摺動可能に支持された一対の摩
   擦パツドと、 前記キヤリアに前記デイスクの軸線方向へ変位
   動可能に保持され、前記摩擦パツドを押圧するキ
   ヤリパと、 前記キヤリアに対して前記摩擦パツドを押圧す
   るパツドスプリングとからなり、 前記パツドスプリングは、一枚の板材から形成
   され、前記脚部の内壁に密着される基部と、該基
   部に設けられ前記キヤリアに係止される抜け止め
   部と、該基部から前記デイスクの半径方向外方に
   伸びて前記脚部方向に折り返された連結部と、該
   連結部の先端部に連設され、かつ少なくとも一対
   の摩擦パツドの変位範囲の全幅にわたりデイスク
   の軸線方向とほぼ平行に伸びて一対の摩擦パツド
   を前記脚部に前記連結部の弾性によつて押圧する
   押圧部と、前記連結部と異なる位置において該基
   部から前記押圧部側へ屈曲して伸び前記押圧部よ
   りも前記デイスクの半径方向外方に位置して該押
   圧部の所定以上の変位を規制する規制部とを有
   し、前記連結部及び規制部は該パツドスプリング
   を展開した状態で同一方向へ前記基部から延びて
   いるとともに、前記連結部は前記一対の摩擦パツ
   ドをほぼ均一の力で押圧するように設けたことを
   特徴とするデイスクブレーキ。