JPH0223393Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野： 本考案はプラスチツク射出成形金型の中間ロツ
ク装置に関するものである。

従来技術： プラスチツク射出成形金型は、周知の如く成形
する物品の形状に応じて種々の形式のものが採用
されている。そして成形された物品を取出するた
めに、固定側ダイブロツクに対して可動側ダイブ
ロツクを移動させて型を開く際、先づ射出機のノ
ズルに直結したスプール形成の基板から成形物を
含むダイ組込みプレートが可動盤と共に所要距離
移動し、しかる後成形型接合面を開いて成形物を
ダイのキヤビテー内から取出し得るように雄型と
雌型とが自動的に分離する動作をさせるため、雄
雌両型を一定距離閉じて移行できる係止装置を必
要とし、この係止装置としてはダイプレートの外
側で係止部片の弾性力と摩擦力とで設定値以上の
外力が作用しないと係止が解けないようにしたク
ランプ構造のものを使用しているが、この種の装
置は高価なものになるので、多く金型を使用する
場合、当然製品コストにも影響する。また金型の
外側に取付けるものであるから、成型機に対する
着脱時や保管に際し邪摩になり、他の物と接触し
て傷めるようなおそれあり、また耐用期間も短か
い等種々の問題点がある。

考案の目的： 本考案は斯かる現況に鑑みてなされたものであ
つて、金型の外部に取付けることなく、簡単な構
成で金型内部に組込んで長期使用に耐える構成と
し、低廉で有用な金型の中間ロツク装置を提供す
ることにある。

考案の構成： 射出成形金型におけるコアープレートには、適
宜配分で複数個所に、その盤面に直交して廻り止
め座ぐりと取付けねじ穴を穿設し、該コアープレ
ートに対向するキヤビテイプレートにはロツク孔
を前記ねじ穴軸芯に合致せしめて所要数設け、こ
のロツク孔には、テーパーシヤンク部を有する調
節ボルトと、外径が前記ロツク孔に滑合して、適
宜長さで孔内径を前記ボルトのテーパーシヤンク
に合致し、かつ孔一端部で前記ボルトのねじ部に
係合する部分を設けた軟化点の高い合成樹脂製の
ロツク片とを組合せたものを嵌挿し、該調節ボル
トのねじ部をコアープレートのねじ穴に螺合植設
する構成としたものである。

このロツク装置として用いる合成樹脂製の筒状
ロツク片には軟化点が高くて機械的強度の高い樹
脂を使用する。

実施例： 以下本考案装置を実施例図について詳述すれ
ば、第１図及び第２図に示すものは本考案のロツ
ク装置であり、第３図で示すものは調節ボルト１
であつて、シヤンク２は適宜勾配のテーパーシヤ
ンク２′部とねじ部２″とからなり、頭部３は丸形
で六角のねじ込み穴３′付きのものである。第４
図及び第５図に示すものはロツク片５であつて、
軟化点が高く機械的強度大なる樹脂、たとえばナ
イロン６６などにより形成されたものであり、一
端に角形の廻り止め座６を備え、外径Ｄは使用す
るロツク孔（後述）の内径とほぼ合致する寸法に
して適宜長さの円筒体で、前記調節ボルト１を挿
通するテーパ孔７が軸心に穿設してあり、該テー
パー孔７の内周は、調節ボルト１のテーパーシヤ
ンク部２′と同じ勾配孔にして廻り止め座６側端
部７′がボルトのねじ部２″と螺合するように形成
してある。

このように形成されたボルト１はロツク片５に
嵌挿螺合して一体的に組合せ、該調節ボルト１の
ねじ部２″を予め均等に配置穿設されたコアープ
レート１１の植込みねじ穴１３にそれぞれ植設し
て配設し、廻り止め座ぐり１３′に廻り止め座６
を嵌め、キヤビテイープレート１２側には各ロツ
ク片５が滑合するロツク孔１４をそれぞれに合致
するように設けてロツク装置１０を構成する。

斯くの如く構成したことにより、成形金型２０
を操作する際、型が閉じて樹脂の圧入成形が終る
までは、第６図示のようにコアープレート１１と
キヤビテイープレート１２とが当接しているの
で、両プレートのロツク装置１０はロツク孔１４
にロツク片５が嵌合しており、この状態でロツク
片５の周面とロツク孔１４内周面とは強く接触し
た状態にある。

やがて成形機の移動盤（図示省略）が後退開始
すると、金型２０は該移動盤側に取付けられてい
るコアープレート１１とキヤビテイプレート１２
とがロツク装置１０により連結状態にあるので、
成形機ノズル１５に連結する固定側基盤２１付属
のプレート２２とキヤビテイプレート１２との接
合面から分離し（図示省略したが組込まれている
バネ力による）、第７図に示す如く射出ノズル２
３からの樹脂注入湯道２６に注入された樹脂と成
形キヤビテイ２４内に注入成形された製品Ａとの
接合頚部２５で樹脂が破断して湯道部で固まつた
部分が露出した状態でキヤビテイプレート１２以
後が移動盤と共に後退する。

而して所要距離移動盤が後退すると、固定側の
基盤２１付属プレート２２に基端を植設されたガ
イドピン２７の頭部２７′とキヤビテイプレート
１２とが当接すると、移動盤の後退が続くにつれ
てコアープレート１１はそのまま移動するが、キ
ヤビテイプレート１２はガイドピン２７の頭部２
７′によつて移動を阻止されることになるので、
それまで結合状態にあつたロツク装置１０のロツ
ク片５とロツク孔１４との摩擦係止力がコアープ
レート１１に作用する移動推進力に負けて、ロツ
ク片５はコアープレート１１と共に移動してロツ
ク孔１４から外脱し、第８図示のように両プレー
ト１１，１２の接合面が分離し、成形物が露出す
ることになり、以後成形物は周知の手段で突出し
ピンによる押し出し作用で離形し、また湯路に残
つていた樹脂はロツク装置１０の動きでキヤビテ
イプレート１２がガイドピン２７頭部２７′に当
接した時点でプレート２２が基盤２１から引離さ
れて、その際遊離し、取除くことができ、成形の
一工程が終了する。そして次の成形作業のために
型が閉じるときには分離した各部がガイドピンに
よつて無理なく閉じ合せ、この際ロツク孔１４に
ロツク片５は挿入されて元の状態に戻る。

このようにしてキヤビテイプレート１２とコア
ープレート１１とが中間ロツクされる状態を繰返
すうちに、ロツク孔１４に対するロツク片５の接
触力が低下すると、当然中間ロツクが円滑に行わ
れ難くなるので、この状態になると、調節ボルト
１をその頭部３に設けてある角穴３′にレンチを
嵌めて適宜量ねじ込むことにより、廻り止め座６
に係合して静止しているロツク片５に対し、ボル
トのテーパーシヤンク部２′が押し込まれること
になるから、樹脂製のロツク片５はその外周が拡
張させられることになり、再びロツク孔１４周面
との接触力が高められる。従つて調節ボルト１の
ねじ込み量を加減調節して係止力の補正を行うこ
とにより正常な運転操作が維持できるのである。

なお、このロツク片５は前記したように、機械
的強度の高い樹脂製であるから頻繁な嵌脱操作に
も耐久性を備え、従つて長期の使用ができるので
ある。また本考案装置は上記したような機能を発
揮するので、金型の設計上中間ロツクの必要ある
個所に任意使用できることは云うまでもない。

考案の効果： 叙上の如く本考案装置は極く簡単な構成で小型
化されたものであるから、金型の内部に組込んで
使用することができ、従つて金型の取扱い上も邪
摩にならず便利に処置できるのであり、係止力の
低下に対しては調節ボルトを操作してロツク片と
ロツク孔との接触力を補正できるので長期使用に
耐えるものであり、しかも構造簡単であるから廉
価で提供できて故障も生じ難い等実用上多くの利
点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の一実施例を示すものであつ
て、第１図は組立状態を示す縦断面図、第２図は
第１図の−視図、第３図は調節ボルトの側面
図、第４図はロツク片の縦断面図、第５図は第４
図の−視図、第６図乃至第８図は作動態様を
示す図である。 １…調節ボルト、２…シヤンク、２′…テーパ
ーシヤンク、２″…ねじ部、３…頭部、５…ロツ
ク片、６…廻り止め座、７…テーパー孔、７′…
孔端部、１０…ロツク装置、１１…コアープレー
ト、１２…キヤビテイプレート、１３…ねじ穴、
１３′…廻り止め座ぐり、１４…ロツク孔、２０
…金型、Ａ…成形製品。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 射出成形金型におけるコアープレートには、適
   宜配分で複数個所に、その盤面に直交して廻り止
   め座ぐりと取付けねじ穴を設け、該コアープレー
   トに対向するキヤビテイプレートにはロツク孔を
   前記ねじ穴軸芯に合致せしめて所要数設け、この
   ロツク孔には、テーパーシヤンク部を有する調節
   ボルトと、外径が前記ロツク孔に滑合して適宜長
   さで孔内径を前記ボルトのテーパーシヤンクに合
   致し、かつ孔一端部で前記ボルトのねじ部に係合
   する部分を設けた軟化点の高い合成樹脂製ロツク
   片とを、組合せたものを嵌挿し、該調節ボルトの
   ねじ部をコアープレートのねじ穴に螺合植設した
   ことを特徴とするプラスチツク射出成形金型の中
   間ロツク装置。