JPH0223352Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、灯心草人形に関し、より具体的には
少なくとも上半身とスカートとが灯心草によつて
構成された灯心草人形に関する。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする問題点〕

縫いぐるみ製、合成樹脂製又は木製等の人形に
布製のスカートを着せたものは種々市販されてい
る。一般に、布製のスカートは過度に柔らかいた
め、そのままでは自重により垂れ下がり、スカー
ト特有の末広り状態（フレアー形状）を維持する
ことができない。そこでスカートの末広り状態を
維持するために、布に剛性付与のための糊を強く
浸したり、或いは針金の骨組みにより内側から支
持する等の手段が講じられてきた。

しかしながら、糊で固める場合には、経時的に
糊気が消散し、長時間経過後には布の自重により
垂れ下がり、最早末広り状態を維持できなくなつ
てくるという問題がある。また、針金の骨組みを
利用する場合には、スカートの上部から下部にか
けての実質的に全高さにわたる大掛りな骨組みが
必要となり、スカートとの寸法合わせも含め骨組
み自体の製作に手間がかかるばかりでなく、一旦
骨組みを製作した以上、その骨組みの形状によつ
てスカートのフレアー角も一義的に規定され、最
早変更することはできなくなる。

一方、灯心草を利用した従来の人形についてみ
た場合、その工夫は極めて低度なものであり、ス
カートを有する人形に至つては、スカートが上部
から下部に直立するものや、僅かばかり末広りと
なつているものが限度であつた。しかも、スカー
ト特有の皺寄せ（ギヤザー）を有するものは、未
だ考案されておらず、単純なる態様のものに限ら
れていた。その理由は、灯心草人形は他の材質の
人形とは異なり、加工の自由度が制限されている
とともに、専ら手工業によつて造られるものであ
るため、皺寄せの末広りスカートとするには相当
な時間を要すると考えられていたためである。

本考案の目的は、灯心草の持つ材質の特性を有
効に利用することにより、布製スカートにおける
ような糊浸けや針金の骨組みを要することなく、
皺寄せ末広り状のスカートを有する灯心草人形を
提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上記目的を達成するために、灯心草
によつてなる上半身とスカートとを有する灯心草
人形において、上記スカートは、灯心草条を揃え
てレースをもつて縫い合わせることにより中空状
に形成されるとともに、その上部を絞ることによ
り皺寄せ状に構成されており、さらに上記スカー
トはその内側上部に挿入されたスカート保持部材
によつて末広り状に構成されていることを特徴と
する灯心草人形を提供する。

〔作用及び効果〕

本考案では、灯心草の次のような特性に着目し
ている。すなわち、個々の灯心草条は比較的弱
く、剛性も不充分であるが、複数の灯心草条を揃
えてレース縫いにより一体化させて中空体とした
場合には、灯心草条の長手方向には各灯心草条が
互いに補強し合いながらも、中空体の周方向には
依然充分な柔らかさを維持し得る。従つて、中空
体の上部を絞るだでけ容易に皺寄せを形成でき
る。而も、中空体の内側上部のみにスカート保持
部材を挿入するだけで中空体を末広り状（フレア
ー状）とでき、その末広り状態はレース縫いで一
体化補強された灯心草自体の長手方向の剛性で保
持することができるため、フレアー状態保持のた
めにスカートの下部を内側から支持する必要はな
い。従つて、布製スカートのような、糊浸けや針
金の骨組みを必要としない。

灯心草製スカートのフレアー角は、上記中空体
上部の絞り量やスカート保持部材の形状及び寸
法、並びに当該保持部材の挿入位置等を適宜選択
するだけで容易に変更することができる。従つ
て、スカートの全長にわたる針金の骨組みを変更
するよりは、はるかに容易にフレアー角の変更を
行うことができる。

上述した如く、灯心草製スカートは、その長手
方向については比較的剛性を有する。従つて、ス
カート自体が人形を机等に立てるための台部材と
して機能することができる。而も、灯心草は周知
の如く軽量な材質であるため、スカートが人形の
自重によつて変形する心配も殆どなく、また人形
の重量支持のための丈夫な脚部も不要となる。但
し、人形の座りを良くするために、別途台部材を
設けることは一向に差し支えない。

本考案においては、スカートを形成するため
に、灯心草条を縦に揃えて単にレース縫いをする
だけでよい。従つて、手工業によつても比較的能
率よく製造することができる。

以上のように、本考案によれば、灯心草で構成
された上半身に対して、スカートも灯心草で構成
できるので、灯心草の持つ土俗的感覚をほぼ人形
全体にわたつて醸し出すことが可能となり、スカ
ートのみを布製とするような、材質の違和感も与
えない。従つて、美観の面からも、本考案の人形
は優れたものとなる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を添付図面に基づき説明
する。

第１図〜第３図は本考案の３つの実施例を示し
ている。これらの実施例においては、灯心草を束
ねたり、編んだり、撚ることによつて構成された
上半身１と、灯心草条を縦に揃えてレース２で縫
うことにより構成された皺寄せ末広り状の中空ス
カート３と、このスカートの絞られた内側上部に
挿入されたスカート保持部材４，４′と、上記上
半身１に取付けられた頭部６と、を有することは
全て共通している。

第１図の実施例では、上半身１がスカート３の
絞られた上部に接着により、取付けられている。
この第１図では、スカートの上部が絞られること
により皺寄せとなつている状態が最もよく現れて
いる。

第２図の実施例では、上半身１をスカート３の
上部に取付けるために、スカート保持部材４から
上方に突出する保持杆５を上半身１に挿入させて
いる。頭部６は、上半身１に対して接着により取
付けてもよいが、上記保持杆５をさらに頭部６に
挿入させることで取付けてもよい。尚、上半身１
のスカート３への取付けにおいて、保持杆５と接
着とを併用してもよいことはいうまでもない。

第３図の実施例では、スカート３が上半身１に
対して一体的に構成されている。すなわち、上半
身１を構成する灯心草の一部を残して、この一部
を利用してスカート３を構成してものである。ス
カート３の内側上部に挿入されたスカート保持部
材４′は、上下に延びる保持杆５′を有している。
この保持杆５′は、スカート３がもともと上半身
１と一体的に構成されているので、この両者を取
付けるために利用されるのではなく、上端にて頭
部６まで挿入されることにより、この頭部６を上
半身１に取付ける機能を果たすことになる。更
に、保持杆５の下端は、人形の座りを良くするた
めの台部材７に連結されている。

本考案は、上述した実施例に限定されるもので
はなく、種々な変形が可能である。例えば、スカ
ート保持部材４，４′の形状や寸法は、所望のス
カートフレアー角に応じて種々変更でき、また上
半身の構成方法も種々することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る灯心草人形を
示す一部分解斜視図であり、第２図は本考案の他
の実施例に係る灯心草人形を示す断面図であり、
第３図は本考案のさらに他の実施例を示す一部切
欠正面図である。 １……上半身、２……レース、３……スカー
ト、４，４′……スカート保持部材、５，５′……
保持杆、６……頭部、７……台部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 灯心草によつてなる上半身１とスカート３と
   を有する灯心草人形において、上記スカート
   は、灯心草条を揃えてレース２をもつて縫い合
   わせることにより中空状に形成されるととも
   に、その上部を絞ることにより皺寄せ状に構成
   されており、さらに上記スカートはその内側上
   部に挿入されたスカート保持部材４，４′によ
   つて末広り状に構成されていることを特徴とす
   る灯心草人形。 (2) 前記上半身１は、前記スカート３に対して別
   体であり、接着により当該スカートの上部に取
   付けられていることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載の灯心草人形。 (3) 前記上半身１は、前記スカート３に対して別
   体であり、前記スカート保持部材４から上方に
   延びる保持杆５を挿入することにより取付けら
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項に記載の灯心草人形。 (4) 前記スカート保持部材４′は、上下に延びる
   保持杆５′を有しており、この保持杆の上端は
   人形の頭部６に連結され、上記保持杆の下端は
   台部材７に連結されていることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の灯心草人
   形。