JPH0219139Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、寝返りを容易に行なえるように床
板を横方向に傾斜自在としたベツトに関する。

〔従来の技術〕

一般に広く用いられているベツトは、平担な床
板の上にマツト等を載置したものであるが、この
ような構造によると、長期療養中の重症患者や老
人患者が寝返りを打つような時には、自分一人で
は困難であるのは勿論のこと、他人の助けをかり
るにしても面倒且つ困難なこととなる。

そこで、このような問題に対処するものとし
て、例えば特公昭52−41706号公報や実開昭53−
68192号公報によれば、ベツトの中央部に長手方
向に延びる回転軸（中心軸）を設け且つ該回転軸
の回りにベツトを回転自在とした構成が開示され
ている。このような構成によれば、回転軸を介し
てベツトを任意の方向に傾けることにより、簡単
に寝返りを打つことが可能となる。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記特公昭52−41706号公報に開示
のものは、ベツト上面の床板を可撓板で構成し且
つ該可撓板の左右両側部を床板支持枠より外方に
延出させた構造であつて、ベツト上面の可動板
（当該公報における床座）を傾けた際には前記可
撓板の下降側の側縁部が湾曲することにより、布
団等のずり落ちを防止するようにしたものであ
る。しかしながら、このような構造によれば、ベ
ツト上面における左右両側部の剛性が極めて低
く、使用者がこの左右両側部から落下する危険性
があるばかりでなく、ベツト上面を傾けた際にお
ける下降側湾曲部の剛性も当然に低いことから、
布団等のずり落ちを確実に防止することが困難と
なる。

一方、上記実開昭53−68192号公報に開示のも
のは、ベツト上面における左右両側部（当該公報
における落下防止板）が油圧シリンダの動作によ
り折曲される構成であるため、ベツト上面を傾斜
させるための駆動装置以外に、上記の油圧シリン
ダを別途設置せねばならず、この油圧シリンダの
ための油圧給排回路が必要になりひいてはコスト
の上昇を来す等の種々の問題を生ずる。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、かかる点に鑑みてなされたもので
あつて、ベツト上面における左右両側部の剛性を
十分に高めた上で、ベツト上面の傾斜動作とその
左右両側部の折曲動作とを連動構成することによ
り、該折曲動作のための油圧シリンダ等の使用を
不要にし、もつて、安全性優れ且つベツト傾斜時
における布団等のずり落ちが確実に防止でき而も
コストの低廉化が図られるベツトを提供すること
を目的とし、その具体的技術手段とするところ
は、ベツト支持枠に固定された床板支持枠に床板
を設置してなるベツトおいて、前記床板支持枠
は、両側の２本の引掛棒と、この２本の引掛棒の
前後方向の両端を固定した２つの固定枠桟と、こ
の２つの固定枠桟の中心部を貫通して回転自在に
固定された中心棒と、この中心棒を中心部で中心
棒と一体回転するよう固定と共にこの中心棒と両
引掛棒の間に位置する２本のガイド棒のそれぞれ
の前後方向の両端を支持固定し、且つ、前記２つ
の固定枠桟の互いに向かい合う側に隣接して位置
する２つの回転枠桟からなり、前記床板は、前記
２本のガイド棒に下面を支持された横板と、該横
板の両側にそれぞれヒンジ部材を介してＶ字型に
折曲可能に連結された横側板との集合からなり、
且つ、前記横側板は、前記引掛棒の上方に係脱自
在に載置された鉤部と、前記横板の下方へ延長さ
れて該横板と前記横側板と逆Ｖ字型になることを
阻止する回転止め部とからなると共に、この回転
止め部を前記横板の下面に係止させる方向に付勢
するばねを設け、更に、前記床板支持枠の中心棒
を回転及び係止自在な回転装置を具備したところ
にある。

〔作用〕 上記のような技術的手段によると、ベツト支持
枠に固定した床板支持枠の２つの回転枠桟と２本
のガイド棒が中心棒を中心にして左右方向へ回転
するので、このガイド棒に下端を支持された横板
もこれと共に回転傾斜する。一方、横板の両側に
ヒンジ部材を介して連結されている横側板は、横
板の傾斜に伴い一方側の横側板の鉤部が引掛棒に
沿つて摺動しながら傾斜状態となつて横板との間
でＶ字型の谷間を形成する。これは、本の引掛棒
の両端がベツト支持枠に固定した固定枠桟に固定
しているためにガイド棒と一緒に回転しないため
である。又、この時、他方の横側板の鉤部は、引
掛棒より離反するが、この横側板の回転止め部は
横板の下面に係止して該横側板と横板とが逆Ｖ字
型になることを阻止するのでこの両者間は平面状
態に維持される。中心棒の回転は回転装置によつ
て、左右いずれの方向へも回転することができる
ので、横板及び横側板の集合からなる床板もいず
れの方向へも傾斜させることができる。又、横側
板の鉤部は、ばねによりその回転止め部が横板の
下面に係止する方向に付勢されているので、上記
のようにＶ字型に折曲されていた横板と横側板と
が元の状態に容易に復帰できることとなる。

〔実施例〕

この考案の実施例のベツトについて以下図面に
基づいて説明する。

このベツト１は、ベツト支持枠２と、このベツ
ト支持枠２に固定された床板支持枠３と、この床
板支持枠３に設置した床板４からなる。

前記ベツト支持枠２は、４つの支柱５と横桟６
等からなるベツトの骨格であつて、床板支持枠３
を支えるものである。

前記床板支持枠３は、両側の２本の引掛棒７
と、この２本の引掛棒７の前後方向の両側を固定
した２つの固定枠桟８と、この２本の固定枠桟８
の中心部を貫通して回転自在に両端を保持された
中心棒９と、この中心棒９の両端側を中心部で固
定すると共にこの中心棒９と両引掛棒７の間に位
置する２本のガイド棒１０のそれぞれの両端を支
持固定し、且つ、前記２つの固定枠桟８の互いに
向かい合う側に位置するように配設した２つの回
転枠桟１１からなる。このような構成であるため
に、２本のガイド棒１０の両端を支持固定してい
る２つの回転枠桟１１は、この２本のガイド棒１
０及び中心棒９と共に該中心棒９を中心に２本の
引掛棒７と２つの固定枠桟８で囲まれた空間内で
回転自在となつている。

前記床板４は、前記２本のガイド棒１０と直交
し且つその下端をガイド棒１０に支持固定された
横板１２と、該横板１２の両側に蝶番１３を介し
てＶ字型となるように折曲可能に連結された横側
板１４の集合からなる。この横側板１４は、引掛
棒７の上方に係脱自在に載置された鉤部１５と、
横板１２の下方へ鉤部１５から延長した回転止め
部１６を有すると共に、該回転止め部１６に固定
された引掛棒１７には一端側を前記ガイド棒１０
に固定したばね１８の他端側と連結されている。
従つて、通常はこのばね１８によつて引張られて
いるので、横板１２と横側板１４は、その接続部
分の上面は平面の状態となつている。

又、前記中心棒９の固定枠桟８よりも外側へ突
出した部分には、回転装置１９が設けられてい
る。この回転装置１９は、中心棒９に固定した扇
形歯車２０と、この扇形歯車２０に噛み合うよう
に固定枠桟８に設けた枠体２１に支持された軸２
２に固定したウオーム歯車２３と、このウオーム
歯車２３の軸２２の延長でベツト１の側方に設け
た回転ハンドル２４からなる。

以上の構成からなるこの考案の実施例のベツト
の作用について説明する。まず、床板４上に布団
等の寝具を置いてから、通常の状態で使用する場
合には、床板４が水平状態、すなわち、横板１２
及び横側板１４の上面が水平に維持された状態で
ある。このような状態で長時間上向きに寝ている
患者が、姿勢をかえる場合には、回転装置１９の
回転ハンドル２４を回転させることによつて、軸
２２、ウオーム歯車２３及び扇形歯車２０を回転
させて中心棒９を回転させる。すると、この中心
棒９に固定されている２つの回転枠桟１１もこれ
に伴つて回転するので、この２つの回転枠桟１１
に両端を支持固定された２本のガイド棒１０も回
転し、従つてこの２本のガイド棒１０に固定して
いる各々の横板１２も同方向へ中心棒９を中心に
して回転する。しかし、２つの固定枠桟８に両端
を支持固定された引掛棒７は回転しないので、引
掛棒７に沿つて横側板１４の鉤部１５が摺動しな
がら傾斜状態となつて、横側板１４は蝶番１３を
境にして横板１２に対してＶ字型に折れ曲つた状
態となる。このようにして、すべての横板１２が
傾斜して床板４を所定方向へ傾ける。従つて、こ
の床板４上に寝ている患者は、容易に寝返りをう
つことが可能となるのである。

次に、再び元の状態に戻す場合には、前述とは
逆方向に回転ハンドル２４を回転させるだけでよ
い。すると、中心棒９も逆向へ回転するので、横
板１２は水平に戻る。このとき、横側板１４はば
ね１８の作用によつて蝶番１３を中心に回転し
て、横板１２とその上面が同じ水平になる。尚、
ばね１８の力が働かない時でも、自重によつてこ
の状態に戻るが、このばね１８は更に、通常時に
おいて物がぶつかつた時のように横側板１４を上
方へ引掛けたような時でも、元の状態へ直ちに戻
す作用を有する。又、回転止め部１６は、逆に、
横側板１４上に物が載つた時にも逆Ｖ字型には回
転しないようにした回転止めの作用を有する。

〔考案の効果〕

以上のようにこの考案によれば、ベツト上面の
床板の傾斜動作と、その左右両側部の折曲動作と
を連動構成せしめたことから、前記床板と一体回
転可能な中心棒を回転させるための単一の回転装
置を設けるだけで、前記２種の動作を同時に行わ
せることが可能となり、従来のようにベツト上面
の左右両側部を折曲動作させるための駆動装置を
別途設ける必要がなくなり低コスト化が図られる
ことになる。更に、床板の傾斜時には、下降側の
横側板の鉤部が引掛棒に確実に引掛けられ且つ上
方側の横側板の回転止め部が横板の下面に係止し
て逆Ｖ字型になることを阻止されるので、ベツト
上面の左右両側部の剛性が十分に確保できること
となつて、安全性の向上が図られると共に、布団
等のずり落ちが確実に防止されることになる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示し、第１図はベツ
トの斜視図、第２図は第１図の−線断面図、
第３図は第１図の−線断面図、第４図乃至第
６図は第１図の−線断面説明図、第７図はベ
ツトの側面図で回転装置の説明図をそれぞれ示
す。 １……ベツト、２……ベツト支持枠、３……床
板支持枠、４……床板、７……引掛棒、８……固
定枠桟、９……中心棒、１０……ガイド棒、１１
……回転枠桟、１２……横板、１３……ヒンジ部
材（蝶番）、１４……横側板、１５……鉤部、１
６……回転止め部、１８……ばね、１９……回転
装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ベツト支持枠に固定された床板支持枠に床板を
   設置してなるベツトにおいて、 前記床板支持枠は、両側の２本の引掛棒と、こ
   の２本の引掛棒の前後方向の両端を固定した２つ
   の固定枠桟と、この２つの固定枠桟の中心部を貫
   通して回転自在に固定された中心棒と、この中心
   棒を中心部で中心棒と一体回転するよう固定する
   と共にこの中心棒と両引掛棒の間に位置する２本
   のガイド棒のそれぞれの前後方向の両端を支持固
   定し、且つ、前記２つの固定枠桟の互いに向かい
   合う側に隣接して位置する２つの回転枠桟からな
   り、 前記床板は、前記２本のガイド棒に下面を支持
   された横板と、該横板の両側にそれぞれヒンジ部
   材を介してＶ字型に折曲可能に連結された横側板
   との集合からなり、且つ、前記横側板は、前記引
   掛棒の上方に係脱自在に載置された鉤部と、前記
   横板の下方へ延長されて該横板と前記横側板とが
   逆Ｖ字型になることを阻止する回転止め部とから
   なると共に、この回転止め部を前記横板の下面に
   係止させる方向に付勢するばねを設け、 更に、前記床板支持枠の中心棒を回転及び係止
   自在な回転装置を具備した、 ことを特徴とするベツト。