JPH0216613Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、水耕栽培装置に関し、特に培養液を
常時供給する必要がなく、かつ過剰の培養液供給
となることのない水耕栽培装置に関する。

＜従来技術＞ 水耕栽培においては培養液を栽培植物に供給す
る必要がある。そこで培養液を常時又は頻繁に供
給し続ける培養液供給手段を不要とするため、培
養液の貯液部を設け、該貯液部に貯液された培養
液を栽培植物の根に接触させ、吸収させる方法が
ある。

しかしこの方法では、栽培植物の根が伸長して
貯液部内の培養液に浸漬し、過剰の培養液供給に
よる過水分、過栄養状態となり、また根に供給さ
れる酸素が不足し、栽培植物の生育に好ましくな
かつた。

さらに、根が多量の培養液に浸漬されている
と、植物の成長に伴う培養液の窒素、リン酸、カ
リウム等の組成吸収が選択的になつてしまうた
め、培養液を貯液部に補給する場合に組成の変化
に対応した調整を必要としていた。

＜目的＞ 本考案は以上のような従来の欠点を解消し、培
養液を常時供給する必要がなく、根が過栄養状
態、酸素不足となることのない水耕栽培装置を提
供することを目的とする。

＜構成＞ 本考案は培養液の貯液部と、栽培植物を該貯液
部に接触させないように支持する支持部と、該支
持部上に載置され、栽培植物の根の貫通を阻止し
うる透水性部材と、前記貯液部に貯液された培養
液を吸上げる吸上げ部材と、からなる水耕栽培装
置である。

＜実施例＞ 次に図面により本考案の実施例を説明すること
とする。第１図には本考案の一実施例たる水耕栽
培装置１が示されている。

２は培養液の貯液部であり、作地等の用地Ｇを
掘削して形成した任意の長さ、幅、深さの掘溝内
壁に沿つて水密性シート２ａを配設し、溝底より
適宜の高さｈまでを貯液部２としている。

貯液部２は第１図のように半地下とすることが
培養液の温度変化を小さくするために好ましい
が、この他、木製、プラスチツク製等により無蓋
の筐体とすること、およびこれを地表上に設置す
ることは本考案の変更実施例である。

３は支持部であり、栽培植物４を貯液部２に接
触させないように支持している。支持部３は貯液
部２内に設置された支持台３ａにより形成され、
支持台３ａは、溝底から高さｈよりも高い位置に
栽培植物４を支持するように形成されている。

５は透水性部材であり、栽培植物４の根を包む
ように配設されている。該透水性部材５は、栽培
植物４の根の下面のみを被覆するものとしてもよ
い。

透水性部材５は、ポリビニルアルコール、ポリ
エステル、ナイロン等の不織繊維からなる不織シ
ート状体により構成され、吸水性を有し、栽培植
物の根の貫通を阻止し得る微細な孔隙を有するも
のとする。孔隙は例えば直径50μｍ以下とするこ
とが好ましい。

６は吸上げ部材であり、その端部が貯液部２内
で培養液に浸漬され、中央部が支持部３上に載置
され、透水性部材５に接触している。

吸い上げ部材６は布その他吸水性を有する素材
を採用するものとし、透水性部材５と同じ素材と
してもよい。

また、吸い上げ部材６は透水性部材５と一体化
して形成してもよい。

７は被覆部材であり、断熱、遮光性のよい材料
により形成し、必要に応じて設けるものとする。

被覆部材７を設けた場合には、培養液の太陽熱
等による液および／または根圏の温度変化を防止
し、又は光の照射によるクロレラ発生を防止する
ことができる。

このような水耕栽培装置１により水耕栽培を行
なう場合には、植物４が育苗された培地ブロツク
Ｂを透水性部材５により包み、ピン８その他の手
段で固定する。尚、該培地ブロツクＢを用いずに
育苗された栽培植物を直接透水性部材５により包
むものとしてもよい。

而して貯液部２に貯液された培養液は吸い上げ
手段６により吸い上げられ、透水性部材５を通し
て栽培植物４に供給される。従つて、給液手段を
設ける必要がない。吸い上げ手段６は、吸い上げ
手段６内部の空隙間でおこる毛細管現象と、吸い
上げ手段と支持台２ａとの間に形成される空隙間
でおこる毛細管現象の相作用により、培養液を吸
い上げる。

而して、植物４の成長に伴なつて伸長する根は
培地ブロツクＢから進出するが、下面および側面
に配設された透水性部材５によりそれ以上の進出
は阻止される。従つて、植物４の根が直接貯液部
の培養液に浸ることがなく、過剰の栄養付加によ
る障害が生じない。

而して、吸い上げ部材６により吸い上げられた
培養液が植物４の根に供給され、根は培養液を吸
収する。一方、吸い上げ手段は、根による培養液
の吸収量に応じて貯液部２から培養液を吸い上げ
るため、貯液部２に残つた培養液は組成変化を生
じない。従つて、貯液部の培養液を補給する場合
に窒素、リン酸、カリウム等の養分の組成を調整
して補給する必要はなく、一定の組成の培養液を
補給すればよい。

第２図には他の実施例が示されている。これ
は、第２図ａに示すように、作地等の用地Ｇを掘
削して形成した任意の長さ、幅、深さの掘溝内壁
および掘溝の周辺の用地Ｇ表面に水密性シート２
ａを配設して貯液部２および支持部３を形成し、
第２図ｂ又は第２図ｃに示すように、支持部３に
吸い上げ部材６、透水性部材５を載置したもので
ある。

第３図には更に他の実施例が示されている。第
２図ａに示す掘溝を所定の間隔を空けて２個掘削
し、該２個の掘溝内壁および掘溝の周辺の用地Ｇ
表面に水密性シート２ａを配設して貯液部２およ
び支持部３を形成し、支持部３に吸い上げ部材６
をそれぞれ載置し、該吸い上げ部材６上に透水性
部材３および栽培植物４を載置したものである。

また、第２図ａに示す掘溝内壁に水密性シート
を配設して形成した貯液部２内に波板（図示せ
ず）を載置して支持部としてもよい。

第２図ａ，ｂ，ｃ、第３図に示す装置において
は、水密性シート２ａは柔軟なプラスチツクフイ
ルムでもよいし、また掘溝に換えて木製、プラス
チツク製等の筐体として地表上に載置してもよ
い。

更に、いずれの実施例においても貯液部２およ
び支持部３は一体に形成してもよいし、プラスチ
ツクフイルムとプラスチツク成形品の組み合わせ
としてもよい。

＜効果＞ 本考案は以上のような構成であるので、次のよ
うな効果を有する。

保水性培地には適量の培養液が吸い上げ手段
により供給され保持されているから、培養液を
常時又は頻繁に供給する必要がなく、停電等に
よる給液トラブルにも対応でき、設備投資も低
減できる。

栽培植物の根が貯液部に侵入しないので、過
水分、過栄養状態となることがなく、また酸素
不足による障害も生じない。

植物の培養液吸収において、培養液の組成の
変化が生じないので、培養液の補給の際に組成
の調整が不要となり、液補充が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図ａ
は他の実施例の一部省略断面図、第２図ｂ，ｃ、
第３図は他の実施例の断面図である。 １……水耕栽培装置、２……貯液部、３……支
持部、５……透水性部材、６……吸い上げ部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 培養液の貯液部と、 栽培植物を該貯液部に接触させないように支
   持する支持部と、 該支持部上に載置され、栽培植物の根の貫通
   を阻止しうる透水性部材と、 前記貯液部に貯液された培養液を吸上げる吸
   上げ部材と、 からなる水耕栽培装置。 ２ 貯液部が、用地を掘削して形成された溝内に
   水密性シートを配設して形成されてなる前記登
   録請求の範囲第１項記載の装置。 ３ 支持部が貯液部内に載置された支持台により
   形成されてなる前記登録請求の範囲第１項又は
   第２項記載の装置。 ４ 透水性部材が栽培植物の根を包むように配設
   されてなる前記登録請求の範囲第１〜３項の何
   れか１つの項記載の装置。