JPH0215431Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は体感音響振動装置に関し、特に椅子形
式の体感音響振動装置に関する。

背景技術 体感音響振動装置はスピーカの如く空気伝播に
よる楽音伝達をなす音響装置による効果のみなら
ず、可聴域より更に低い領域の低音をも特殊なト
ランスジユーサにより人体の接触する部材の機械
振動に変換してこれを直接体感させることにより
豊かな臨場感を聴取者に与えんとするものであ
る。

体感音響振動装置の具体的な構成は種々提案さ
れているが、座つてくつろいだ状態で臨場感溢れ
る演奏を楽しむことの出来る椅子形式のものが既
に開発されている。当該体感音響振動装置におい
ては、例えば低音域電気信号に応じて機械振動を
発する振動体が背凭部中央などに内装されてい
る。ところが、背凭部内には体圧を支えるフレー
ム及びバネ部材等がかなり密に設けられており、
振動体を組み込むスペースを確保することが難し
く、上記フレーム及びバネ部材などの配置及び形
状を複雑なものとせざるを得ないという問題があ
つた。

考案の概要 本考案は上記した点に鑑みてなされたものであ
つて、その目的とするところは椅子本体の構造を
変更する必要がなく、しかもヘツドレストから遠
い位置へも充分な振動を伝えることが出来、スピ
ーカ等の音圧発生器から発せられる音が外部騒音
に妨げられることなく聴取者に伝わる体感音響振
動装置を提供することである。

本考案による体感音響振動装置は、背凭部を備
えた椅子と、該背凭部の枢体となるフレームに機
械的に連結される脚部材を含むヘツドレストと、
脚部材の上端部に一体的に取り付けられれて一定
の取付面積を有する振動伝達部材と、該振動伝達
部材の略中央に取り付けられて電気信号に応じて
機械振動を発生する振動体と、振動伝達部材の両
端部近傍に固着された音圧発生器とを有し、振動
伝達部材のうち音圧発生器が固定された部分は振
動体が設けられた部分に対して揺動可能となつて
いることを特徴としている。

実施例 本考案は車載用とは限らないが、以下、一実施
例としての車載用シートを添付図面を参照しつつ
説明する。

第１図に示される如く、当該車載用シートは通
常のように、座部１と、該座部に揺動可能に取り
付けられた背凭部２と、背凭部２の上部に設けら
れたヘツドレスト３とを備えている。背凭部２内
には体圧を支える為のフレーム２ａ及び例えば複
数の上下方向に並列なＳ字バネ２ｂが設けられて
いる。第２図及び第３図にも示されるように、ヘ
ツドレスト３の鋼管などから成る一対の脚部材３
ａと、該脚部材の上端部に覆設されたクツシヨン
部材３ｂとを有している。フレーム２ａの上部に
は一対の鋼管等を加工してなる筒状部材４が例え
ば溶接によつて取り付けられており、脚部材３ａ
は該筒状部材に相対的に嵌合して固定されてい
る。

脚部材３ａの上端部には背面略中央部に振動体
５が取り付けられた板状の振動伝達部材７が例え
ば溶接によつて一体的に取り付けられている。振
動体５は例えば、ボイスコイルを固定側として、
ドライバユニツトに磁気回路部を電気信号に応じ
て往復動せしめることによつて機械振動を発生す
るものであつて、その具体的な構成についてはこ
こでは詳述しない。

ここで、振動伝達部材７は一定の取付面積を有
しており、該振動伝達部材を設けたことによつ振
動体５から発せられる機械振動が、座部１及び背
凭部２のいわゆるヒツプポイントやトールソーエ
リアへも充分に伝達されるようになつている。ま
た、該振動伝達部材はクツシヨン部材３ｂに対す
る機械的補強効果をも有しているのである。な
お、振動伝達部材７と脚部材３ａとの結合方法と
しては上記した溶接に限らず、ボルト止め等、他
の方法であつても良いことは言うまでもない。

クツシヨン部材３ｂの左右両端部は斜め側方に
向かつて屈曲しており、クツシヨン部材３ｂの屈
曲された部分であつて振動伝達部材７の両端部近
傍にはスピーカユニツト８ａ及び小型キヤビネツ
ト８ｂからなる一対のスピーカシステムが設けら
れ、且つ振動伝達部材７の前面に固着されてい
る。ここで、振動伝達部材７の上記スピーカシス
テムが固定された部分、即ち両翼部７ａは、振動
体５が設けられた中央部分７ｂに対してヒンジ７
ｃを介して揺動可能となつている。また、ヒンジ
７ｃは所定のフリクシヨンを以つて動作するよう
になされており、両翼部７ａを中央部分７ｂに対
して所望の角度位置にて固定し得る。

なお、図示されてはいないが、背凭部２及びヘ
ツドレスト３の所定位置には、脚部材３ａと筒状
部材４が嵌合され且つ固定されたときに接続せし
められて振動体５及びスピーカユニツト８ａに音
声信号等の伝達をなすプラグ及びジヤツクが各々
設けられている。

効 果 以上詳述した如く、本考案による体感音響振動
装置においては電気信号に応じて機械振動を発す
る振動体が、内部スペースに比較的余裕のあるヘ
ツドレスト内に配置され、且つ背凭部内のフレー
ムに機械的に連結された脚部材の上端部に一体的
に取り付けられた振動伝達部材に取り付けられて
いる。従つて、上記振動体から発せられた機械振
動は、該振動伝達部材を介していわゆるヒツプポ
イント及びトールソーエリア等、ヘツドレストか
ら遠い部分に充分伝達され、聴取者は臨場感溢れ
た演奏を楽しむことが出来るのである。また、体
圧を支えるために背凭部内に設けられるフレーム
やバネ部材等の構造を変えなくともよいので椅子
全体としてのコストの低減が図り易くなつている
と共に、安全規格によつて座席構造が厳密に規定
されている車両搭載用のものに好適なのである。

更に、本考案による体感音響振動装置において
はスピーカ等の音圧発生器が上記振動伝達部材の
両端部近傍に設けられているので、該音圧発生器
から発せられる音が外部騒音に妨げられることな
く聴取者に伝えられるのである。

例えば車載用の場合、スピーカは通常、リアウ
インド下方に位置せられるのでロードノイズ、エ
ンジン音及び振動等により、スピーカから発せら
れる音がかき消される。その為、スーパーウーフ
アを取り付けたり、所定イコライザで補正した
り、単に音量を上げるなどの方法がとられてい
る。しかし、これらの方法では後部座席に座つた
者にとつてはかえつて騒音となり、また音量増大
による車内反響が運転にとつての障害となつてい
た。本考案においては上述したように、音圧発生
器を振動伝達部材の両端部近傍に設けることによ
つてこの問題を解決しているのである。また、本
考案による体感音響振動装置においては、振動伝
達部材のうち音圧発生器が固定された部分が、振
動体が設けられた部分に対して揺動可能となつて
いるでので、音圧発生器の耳孔の極く近傍に位置
せしめ得るので外部騒音による妨害がより削減さ
れるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車載用シートの全体斜視
図、第２図及び第３図は該車載用シートの一部詳
細図である。 主要部分の符号の説明、２……背凭部、２ａ…
…フレーム、３……ヘツドレスト、３ａ……脚部
材、３ｂ……クツシヨン部材、５……振動体、７
……振動伝達部材、７ａ……両翼部、７ｂ……中
央部分、７ｃ……ヒンジ、８ａ……スピーカユニ
ツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 背凭部を備えた椅子と、前記背凭部の枢体とな
   るフレームに機械的に連結される脚部材を含むヘ
   ツドレストと、前記脚部材の上端部に一体的に取
   り付けられ一定の取付面積を有する振動伝達部材
   と、前記振動伝達部材の略中央に取り付けられて
   電気信号に応じて機械振動を発生する振動体と、
   前記振動伝達部材の両端部近傍に固着された音圧
   発生器とを有し、前記振動伝達部材の前記音圧発
   生器が固定された部分は前記振動体が設けられた
   部分に対して揺動可能となつていることを特徴と
   する体感音響振動装置。