JPS6345102Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば乗用車等に音響用振動伝達装置
を付設する場合に好適なるシートにおける音響用
振動体の取付構造に関する。

近時音響用振動伝達装置が提案されているが、
音響用振動伝達装置とは、音楽等の聴取において
従来のスピーカでは聴取者に伝達し得ない低音部
分をフイルタで取り出し、これを増幅した後に音
響用振動伝達装置用振動体で振動波に変換し、こ
れを聴取者の身体に伝え、耳から知覚する通常の
音波によるものと併せて身体でも音楽を感じられ
るようにし、以つて音楽聴取に係る臨場感を向上
させることのできるという装置である。

上記音響用振動伝達装置は昨今の音楽を愛好す
る若者層の好みに合致し、極めて需要の高い装置
と考えられ、また斯かる装置を乗用車等の乗物に
適用させれば走行時の音楽聴取において一層の快
適性を発揮する。

しかるに、乗用車等における従来の乗員用シー
トに音響用振動伝達装置の振動体を取り付けよう
とする場合、振動波をシートのクツシヨン材等を
介して乗員に伝達させる関係上振動体をシートの
クツシヨン材の面に密着させて取り付けなければ
ならず、従来の取り付け方法によれば組付けが面
倒であつた。また振動体自体はシートに対し点の
如き位置を占め、スポツト的に振動波を生ぜしめ
るが、これを面的に振動を生じさせるためには振
動体の取り付けられる部分の周囲のクツシヨン材
を硬くする必要が生じ、これでは着座時に座り心
地が悪くなつてしまい、好ましいものではない。

本考案者は上記問題に鑑みこれを有効に解決す
べく本考案を成したものである。

本考案の目的は、例えば乗用者等に音響用振動
伝達装置を設ける場合に、音響用振動体をシート
に取り付けることにおいて、組付工数を削減で
き、且つシート上振動波を面的に生じさせると共
にシートの座り心地を良好に保つことを企図した
シートにおける音響用振動体の取付構造を提供す
ることにある。

本考案の特徴は、クツシヨン性を有する座部、
背もたれ部を有するシートにおいて、振動体をク
ツシヨン材から成るパツドに組み込み、このパツ
ドを上記座部等の裏面に固定すると共に、該パツ
ドの硬さを上記座部等の硬さ以上にしたことにあ
る。

以下に本考案の一実施例を添付図面に基づき詳
述する。

先ず、音響用振動伝達装置の電気的構成を概説
する。第１図においてシート１に座つた聴取者２
に対し、従来通りの音響装置、すなわちチユーナ
或いはカセツトテープレコーダ等、アンプ類３に
より音楽等に係る電気信号を生じさせ、スピーカ
４で電気音響変換を行つて音波が与えられる。一
方、音楽等に係る電気信号を別途に取り出してロ
ーパスフイルタ５で低音部（例えば150Hz以下）
のみを取り出し、この低音に係る信号を低域用の
特殊パワーアンプ６で増幅し、その増幅された電
気信号によつてシート１に配設された変換器、す
なわち音響用振動体７，７が駆動され、振動波が
振動体７，７により発生し、シート１のクツシヨ
ン性の座部１ａ、背もたれ部１ｂを介して聴取者
２の身体に直接的に伝達される。

以上の如く音響用振動伝達装置とは、音響の電
気信号から低音部を取り出し、これのパワーを高
めて振動波として発生させる構成部分をいい、ロ
ーパスフイルタ５、特殊パワーアンプ６、振動体
７から成る。また振動体７により生ぜしめられた
振動波は聴取者２の車体に伝えられる必要がある
ため、その伝達媒体としてのクツシヨン性の座
部、背もたれ部を具備したシート１が必要とさ
れ、その結果、音響用振動伝達装置の効果を高め
且つその取付けを簡易化するためには振動体７の
シート１への取付構造が重要となる。

次に乗用車の如き車両のシートにおける振動体
の具体的取付構造を説明する。

第２図は、例えば乗用車等の一人着座用のシー
トの外観を示すもので、この一つのシート１に対
して音響用振動伝達装置の振動体７はクツシヨン
性を有する座部１ａ、背もたれ部１ｂの裏面に
夫々横に並べて２個ずつ合計４個配設されること
になる。ただし、この取付個数は任意に定めるこ
とができる。

第３図はシート１の縦断側面図であり、座部１
ａ、背もたれ部１ｂはクツシヨン材８，８によつ
て形成され、振動体７は座部１ａ、背もたれ部１
ｂのクツシヨン材８，８の下面或いは背面に取り
付けられる。振動体７はウレタン等によつて形成
されるパツド９に収納され、この収納状態にてパ
ツド９を座部、背もたれ部を成すクツシヨン材
８，８の下面又は背面に形成された凹部８ａ，８
ａに収容して取り付けられるものである。

第４図は第３図中の４−４線の断面図であり、
その左半分は右半分と対称であるため省略され
る。この図では振動体７の取付構造が具体的に示
されている。座部１ａのクツシヨン材８はその中
央部分に乗員が着座するための平坦部８ｂとその
両側に隆起部８ｃを有して成る。クツシヨン材８
の下部には所定のスペースS₁が形成されており、
このスペース内にて両側にその断面形状が略コ字
型のシートフレーム１０が配設され、クツシヨン
材８は、このシートフレーム１０上に載置固定さ
れることになる。通常両側のシートフレームの間
には、平面形状が略波形のシートスプリング１１
が並列に複数設けられており、シートスプリング
１１はその両端がコイルスプリング１２に係止さ
れ、このコイルスプリング１２を介してシートフ
レーム１１に連結される。それ故、クツシヨン材
８の平担部８ｂなどの大部分はシートスプリング
１１の上に位置することにより、これによりシー
トスプリング１１はクツシヨン材８を弾性的に支
持することになる。

ただ、第４図に示される本考案に係る振動体７
が取り付けられる部分については別の構造が採用
される。つまり、当該部分のクツシヨン材８の下
面には所定幅にて座部の幅方向に凹部８ａが形成
され、この凹部８ａの中に振動体７を収納し一体
的に形成された、ウレタン等から成るパツド９が
収容され、このパツド９の背面にシートスプリン
グ１１を位置せしめ、シートスプリング１１でパ
ツド９をクツシヨン材８方向に押圧せしめて振動
体７に係るユニツトを座部１ａに取付けるように
構成している。

以上において、パツド９もクツシヨン材から成
り、クツシヨン性を有するものであるため、座部
１ａにおける座り心地性を良好に保つことができ
る。また上記において、クツシヨン材８とシート
スプリング１１の間にパツド９を挟み込むように
したが、接着剤等によりクツシヨン材８にパツド
９を直接に貼着することもできる。

振動体７を収納するパツド９は、第５図に示さ
れるように直方体の形状を有し、その一面に振動
体と略同形状の凹部が２個形成され、この凹部に
振動体７，７を収納して成るものである。このよ
うに振動体がパツド９によりユニツト化されるた
めその取扱いが容易となる。またパツド９の硬さ
加減を適宜に定めることにより座り心地性を良好
に維持しつつ、振動の質を、つまりスポツト的な
振動から面的な振動へ、変えることができる。通
常は、パツド９の硬さをクツシヨン材８の硬さよ
りも硬くするのが望ましい。

上記実施例では、座部１ａの下面の振動体の取
付構造を説明したが、背もたれ部１ｂの背面にお
ける取付構造も上記と同様である。

以上の説明で明らかなように本考案によれば、
振動体をパツドでユニツト化してシートに取り付
けるようにしたため、組付工数を削減することが
でき、またシートの座り心地を良好に保ちつつ振
動を面的に発生させ、より有効な音響用振動伝達
効果を生じさせる等の諸効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は音響
用振動伝達装置の構成図、第２図は振動体の取付
位置を示すシート斜視図、第３図はシートの縦断
側面図、第４図は第３図中４−４線に係る半截断
面図、第５図は振動体を収納したパツドの斜視図
である。 なお図面中、１はシート、７は振動体、８はク
ツシヨン材、９はパツド、１０はシートフレー
ム、１１はシートスプリングである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クツシヨン材より形成される座部、背もたれ部
   を有するシートにおいて、上記クツシヨン材の硬
   さ以上の硬さを有するクツシヨン性パツドに振動
   体を組み込み、該パツドを上記座部、背もたれ部
   の少なくともいずれか一方のクツシヨン材の裏面
   に当接するようにし、かつ該パツドの裏面にシー
   トスプリングを位置させるようにしたことを特徴
   とするシートにおける音響用振動体の取付構造。