JPS6316217Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば乗用車等に音響用振動伝達装置
を備える場合に主に組付性を良好なものとしたシ
ートにおける音響用振動体の取付構造に関する。

近時、音響用振動伝達装置が提案されており、
この装置は、音楽等の聴取において従来のスピー
カでは聴取者に伝達することが困難な低音部分を
フイルタで取出し、これを増幅した後に振動体で
振動波に変換し、これを聴取者の身体に伝え、耳
から知覚する通常の音波によるものと併せて身体
でも音楽を感じられるようにし、以つて音楽聴取
について臨場感を向上させることができる装置で
ある。

従つて上記の如き音響用振動伝達装置は昨今の
音楽を愛好する若者層の好みに合致し、極めて需
要の高い装置と考えられ、また斯かる装置を乗用
車等の乗物に適用すれば走行時の音楽聴取におい
て一層の快適性を発揮する。

しかるに、乗用車等における従来の乗員用シー
トに前述の音響用振動伝達装置の振動体を取り付
けようとする場合、振動波をシートのクツシヨン
材等を介して乗員に伝達させる関係上振動体をシ
ートのクツシヨン材の面に密着させて取付けなけ
ればならず、従来の取付け方法によれば組付けが
面倒であつた。また振動体そのものはシートに対
して点の如く位置を占め、特に振動体を固設した
シートの部分は局部的に硬くなつてしまうため、
シートの座る部分が凹凸状態に形成され。着座時
に座り心地が極めて悪いものとなつてしまう。

本考案者は上記問題に鑑みこれを有効に解決す
べく本考案を成したものである。

本考案の目的は、例えば乗用車等に音響用振動
伝達装置を設ける場合に、音響用振動体をシート
に取り付けることにおいて、組付工数を大幅に削
減して加工性を向上し、且つシートにおける振動
波を面的に生じさせると共にシートの座り心地を
極めて良好に保つことを企図したシートにおける
音響用振動体の取付構造を提供することにある。

上記目的を実現すべく、本考案は、クツシヨン
性の座部と背もたれ部とから形成されるシートに
おいて、座部と背もたれ部の裏面に、振動体収納
部が形成されて硬質パツドを設けることにより、
クツシヨン材と硬質パツドとを平担接合面にて一
体的に成形したことを特徴とする。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

先ず、音響用振動伝達装置の電気的構成を概説
する。第１図において、シート１に着座した聴取
者２に対し、従来通りの音響回路、すなわちチユ
ーナ或いはカセツトテープレコーダ等、アンプ類
から成る回路３により音楽等に係る電気信号を生
じさせ、この電気信号をスピーカ４に送り、スピ
ーカ４で電気音響変換を行つて音波が与えられ
る。一方、上記音楽等に係る電気信号を分岐して
別途に取出し、ローパスフイルタ５によつて低音
部分（例えば150Hz以下）のみを取出し、この低
音に係る信号を低域用の特殊パワーアンプ６で増
幅し、その増幅された電気信号でシート１の座
部、背もたれ部に配設された変換器、すなわち音
響用振動体７，７が駆動され、振動波が振動体
７，７より発生し、シート１のクツシヨン性の座
部８、背もたれ部９を介して聴取者２の身体に直
接的に伝達される。

以上の如く音響用振動伝達装置とは、音響に係
る電気信号から低音部のみを取出し、これのパワ
ーを高めて振動波として発生させる構成部分をい
い、ローパスフイルタ５、特殊パワーアンプ６、
振動体７から成る。また振動体７により生ぜしめ
られた振動波は聴取者２の身体に伝えられる必要
があるため、その伝達媒体としてクツシヨン性の
座部、背もたれ部を具備したシート１が必要とさ
れ、その結果、音響用振動伝達装置の効果を高め
且つその取付けを簡易にするためには振動体が固
設されるシート１の構造が重要となる。

次に乗用車の如き車両のシートにおける本考案
に係る振動体の取付構造を具体的に説明する。

第２図は、例えば乗用車等の一人着座用のシー
トの外観を示すもので、この一つのシート１に対
して音響用振動伝達装置の振動体７はクツシヨン
性を有する座部８、背もたれ部９の裏面に夫々横
に並べて２個ずつ合計４個配設されることにな
る。ただし、この取付個数は任意に定めることが
できる。

上記シート１の縦断面を見てみると、第３図に
示される如く、座部８、背もたれ部９は主として
クツシヨン材８ａ，９ａによつて形成され、振動
体７は座部８、背もたれ部９のクツシヨン材８
ａ，９ａの下側或いは裏側に取付けられる。特に
振動体７が取付けられるクツシヨン材８ａ，９ａ
の部分にはクツシヨン材８ａ，９ａと一体化され
た例えば半硬質の発泡材からなる他のクツシヨン
性のパツド１０，１０が形成されており、このパ
ツド１０，１０の下面、背面に振動体収納用の凹
部が形成される。

第４図は第３図中の４−４線の半截断面図であ
り、その左半分は右半分と対称であるため省略し
ている。この図では座部８の断面構造及び振動体
７の取付構造が具体的に示される。座部８のクツ
シヨン部は、その中央部に乗員が着座するための
平担部８ｂ、その両側に隆起部８ｃを夫々有して
成る。クツシヨン部は特に平担部について上下の
２層構造によつて一体的に形成され、上側のクツ
シヨン材８ａは通常使用されているウレタン等の
発泡材によつて作られ、下側のクツシヨン材は前
述した如く半硬質の発泡材によつて作られたパツ
ド１０である。パツド１０の上面は平担に形成さ
れてクツシヨン材８ａの平担な下面と接合されて
おり、パツド１０の硬さはクツシヨン材８ａの硬
さよりも硬い。またパツド１０の下面には振動体
を収納するための振動体と同一の形をした凹部１
０ａが左右に２個形成されている。パツド１０の
全体は平たい略直方体状に形成される。

斯かる２層構造を有する座部８のクツシヨン部
は、第５図に示される如く、予め別個に作られて
用意されたパツド１０を、クツシヨン材８ａを形
成するための型１１の下型１１ａの中に配置し、
この下型１１ａに上型１１ｂをセツトし、内部の
空間にウレタン等を流し込んで一体的に形成され
る。またクツシヨン材８ａのみを別個に形成し、
これの下面に別途に作られたパツド１０を接着剤
或いははめ込み式にて固設することも可能であ
る。

再び第４図において、クツシヨン材８ａ、パツ
ド１０の下側には所要のスペースＳが形成され、
このスペースＳ内にて両側で上記隆起部８ｃの下
側にその断面形状が略コ字型のシートフレーム１
２が配置され、クツシヨン材８ａは、このシート
フレーム１２上に載置固定される。通常、両側の
シートフレーム１２，１２の間には、平面形状が
略波形のシートスプリング１３が並列に複数設け
られており、シートスプリング１３はその両端が
コイルスプリング１４に係合し、このコイルスプ
リング１４を介してシートフレーム１２に連結さ
れる。それ故にクツシヨン材８ａの平担部８ｂの
大部分及びパツド１０はシートスプリング１３の
上に位置することになり、これによりシートスプ
リング１３はクツシヨン材８ａ等を弾性的に支持
することになる。

上記構造によれば、振動体７はパツド１０の下
面に形成された凹部１０ａに収納され、通常接着
又ははめ込みで固定され、更にその下面をシート
スプリング１３によつて押えられて支持されるこ
とになる。

以上において、座部８を、着座部分のみを若干
薄い厚みで形成したクツシヨン材８ａとパツド１
０で一体的に形成し、パツド１０の上面とクツシ
ヨン材８ａの平担部８ｂの下面を平担な状態で接
合させ、クツシヨン材８ａよりも若干硬めのパツ
ド１０の下面に振動体７を固定するようにしたた
め、座部８の着座部分に凹凸が生ぜず且つクツシ
ヨン材８ａのクツシヨン性を確保することができ
座部における座り心地性を良好に保つことができ
る。また座部８の成形時において、パツド１０と
クツシヨン材８ａとを一体化するようにしたた
め、振動体７を座部８に取り付けるにはパツド１
０の凹部１０ａに振動体７を収納して接着剤等で
固定すれば足り、組付工数を削減することによつ
てその組付性を向上させることが可能とした。

上記実施例では、特に座部８の下面における振
動体の取付構造を説明したが、背もたれ部９の背
面における取付構造も上記と同様である。

以上の説明で明らかなように、本考案によれ
ば、シートの座部、背もたれ部を振動体取付用の
接合面が平担なパツドを備えて一体的に形成し、
当該パツドに振動体を固定するようにしたため、
組付工数を大幅に削減でき、加工性を向上せしめ
ると共に、振動体をシートに備えたとしてもその
座り心地性、もたれ心地性を極めて良好なものに
保つことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は音響
用振動伝達装置の概略構成を示した系統図、第２
図は振動体を備えるシートの斜視図、第３図はシ
ートの縦断面図、第４図は第３図中４−４線断面
図、第５図は製造工程を説明するための図であ
る。 なお図面中、１はシート、７は振動体、８は座
部、９は背もたれ部、１０はパツドである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クツシヨン材より形成される座部、背もたれ部
   から成るシートにおいて、上記クツシヨン材の硬
   さ以上の硬さを有し且つ振動体収納部を有するク
   ツシヨン性パツドを備えて一体的に上記座部、背
   もたれ部を形成し、上記振動体収納部に振動体を
   固定するようにしたことを特徴とするシートにお
   ける音響用振動体の取付構造。