JPH021467Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は往復動内燃機関のピストンに使用され
るオイルリングに関する。

（従来の技術） 第１図に示す如く、外周面をテーパー形状と
し、且つリング下面１０にオイル溝１１を設けた
単体のオイルリングがあり、高面圧で組付性の改
善を計つたものがある。

また、第２図に示すようにピストンのリング溝
の上面１２及び下面１３と相対して摺動するリン
グ上、下面の双方もしくはいずれか一方の面にゴ
ムの被覆を施したオイルリングがある。このよう
に、リング上、下面にゴムの被覆を施して、シー
ル性の向上を計つたオイルリングがある。しかし
ながら、第１図に示したオイルリングにあつて
は、リング溝に装着されたときサイドクリアラン
スを有していたため、このサイドクリアランスか
らのシール漏れを生ずると言う欠陥があつた。ま
た、オイル溝の加工性も悪くコスト高を招いてい
た。

第２図に示すオイルリングにあつては、第１図
のオイルリングと同様に、リング溝に装着された
ときにサイドクリアランスを有していたため、サ
イドクリアランスからのシール漏れが発生すると
いう欠陥を有していた。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、従来のオイルリングの欠陥であつた
サイドクリアランスからのシール漏れを防止する
と共に、高面圧を有するオイルリングで、リング
溝への装着性に優れたオイルリングを提供しよう
とするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は、前記目的を達成するためにオイルリ
ングの外周面形状に山型に突出する形状となすと
共に前記オイルリングの合口近傍以外で、その上
面、下面の双方またはいずれか一方に設けた環状
の溝内に耐熱耐油性の弾性体を固着し、該弾性体
のピストン溝上面又は下面と接する面に多数の半
径方向の油流通溝を設け、リング溝と該オイルリ
ングのサイドクリアランスを、該油流通溝を設け
た部分と合口近傍以外で、０としたことを特徴と
するオイルリングである。

（作用） 本考案のオイルリングにあつては、外周面形状
が山型に突出する形状になつているために、シリ
ンダ内壁との接触面積が小さく、従つて、高面圧
で接触することになり、外周面でのシール効果に
優れている。

また、オイルリングの上、下面の双方又は、い
ずれか一方に油流通溝を有する弾性体を固着し、
且つ、ピストン溝とオイルリングのサイドクリア
ランスを、油流通溝を設けた部分と合口近傍以外
で０とすることにより、上、下面でのシール性を
向上させることができる。しかも、油流通溝は弾
性体に設けているために、成型時に形成すること
ができ、加工性は極めて向上する。且つ、リング
溝への装着についても、弾性体はオイルリングの
上下面の環状の溝内に固着され一体化されている
ため、極めて装着性もよい。

（実施例） 第３図は本考案のオイルリングの一実施例を示
すものであり、オイルリング１の合口近傍以外の
下面に設けた環状溝８に多数の半径方向の油流通
溝４のある環状の耐熱耐油性のゴム又は樹脂など
の弾性体３を装着、焼付、圧入等にて固着されて
いる。

そして、第４図に示す如く、その外周面は外周
上面のコーナー部及び外周下面のコーナー部が三
角形状に切欠されて山型に突出する形状１４とな
つており、ピストン７に設けられたオイルリング
溝６にピストン溝の上下面とオイルリング上下面
とのクリアランスが油流通溝４と合口近傍以外で
０となるように装着されるものである。

第５図は他の本考案オイルリングの一実施例で
あり、オイルリング１の上下面に設けた環状溝
８，８′に弾性体３，３′を装着し、上の弾性体３
の上面に多数の半径方向の油流通溝４を設けた事
により一層シール性を強化したものである。

本考案のオイルリングは外周面が山型に突出す
る形状１４となつているため、接触面積が小さい
ので高面圧が得られ、効率よく潤滑油を掻き落
す。掻き落とした潤滑油は環状の耐熱耐油性の弾
性体３に刻まれた多数の油流通溝４を通りピスト
ンのオイルドレーンホール５を通りオイルパン内
に還流する。一方環状の弾性体３は弾性体の特性
で膨潤することによりピストンリングをピストン
の上下面に密着させる事ができ一層サイドクリア
ランスを小さくする事ができ完全なシール性を保
つ事ができる。本考案にあつては、サイドクリア
ランスが０となつているが、リング溝の上、下面
とオイルリングの上下面との間には常にオイルが
介在する。すなわち、オイルリングの使用される
条件下では、オイルリングの周囲には常にオイル
が介在し潤滑条件としては、極めて良好といいう
る。そのため、クリアランスが０となつても、常
に極めて薄いオイルフイルムがあり、流体潤滑の
状態にある。従つて、サイドクリアランスを０と
してもスカツフイング等は全く生ずることはな
い。

（考案の効果） このようにして本考案オイルリングはピストン
リング１に耐熱耐油性の多数の油流通溝を持つ環
状の弾性体３を設けたもので弾性体の特徴を生か
した完全なシール効果をもち、簡単な構造で加工
性が極めて容易でありコストの安いオイルリング
を得る事ができ従来からのオイルリングを大幅に
解決したものである。

以上説明の如く本考案オイルリングは簡単な構
造、低コスト、高張力でかつ装着性能の良いオイ
ルリングを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来からあるオイルリングの正面図。
第２図は従来の要部断面図。第３図は本考案オイ
ルリング装置の平面図。第４図及び第５図は本考
案オイルリング装置のピストン嵌着時の断面図。 符号の説明、１…オイルリング、２…シリンダ
ー、３，３′…弾性体、４…油流通溝、５…ドレ
ーンホール、６…リング溝、７…ピストン、８…
オイルリング下面、９…油流通溝をもたない弾性
体、１０…リング下面、１１…オイル溝、１２…
リング溝上面、１３…リング溝下面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 往復動内燃機関のピストンに装着されるオイル
   リングにおいて、該オイルリングの外周面形状を
   山型に突出する形状となすと共に前記オイルリン
   グの合口近傍以外で、その上面、下面の双方また
   はいずれか一方に設けた環状の溝内に耐熱耐油性
   の弾性体を固着し、該弾性体のピストン溝上面又
   は下面と接する面に多数の半径方向の油流通溝を
   設け、リング溝と該オイルリングのサイドクリア
   ランスを、該油流通溝を設けた部分と合口近傍以
   外で、０としたことを特徴とするオイルリング。