JPH0214507B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、高架橋等のスラブコンクリートを連
続的に打設することのできる型枠移動式工法に関
するものである。

「従来の技術」 鉄道や高速道路などにおける高架橋工事は、構
築された橋脚上に殆んど同じ形状をもつスラブを
連続的に造る工事であつて、その一般的な工法
は、まず地上から支保工を組立て、この支保工を
土台としてスラブの型枠を組立ててコンクリート
の打設を行なうものである。そして、コンクリー
トの硬化後は型枠や支保工を取払い次の工事区間
に運んで再び前記のように組立てて使用するもの
である。

このような従来工法においては、作業区間毎に
型枠や支保工の組立てと解体を行ない順次施工を
進めて行くので、作業が極めて繁雑となり、多く
の人員と手間を要し、作業能率が悪く多額の費用
を要していた。また、このような問題点を解決す
るために、型枠或いは支保工を組立てたまま次の
場所に移動させる工法が開発されてきたが、しか
し、この工法においても、やはり支保工の組立、
解体が面倒であるばかりでなく、型枠の移動に大
きなクレーンを要する等、工事が大がかりとなり
施工費が高くなるという問題がある。

「本発明が解決しようとする問題点」 本発明は、前述のような従来工法における欠点
を解決し、走行及び高さ調節可能な移動型枠装置
と、これらをさらに移動させる台車とを用いるこ
とにより、組立てた型枠装置を解体することなく
施工が継続して行なえるようになり、工事が簡易
化されて省力的、能率的、及び経済的である型枠
工法を提供しようとするものである。

「問題点を解決するための手段」 本発明は、各橋脚間毎において、施工するスラ
ブの横断方向に沿つて走行移動自在に設けた台車
上に、昇降調節自在としたスラブ型枠装置をスラ
ブの長手方向に沿つて移動自在として載置して、
スラブコンクリートの打設が行なえるようにし、
コンクリートの硬化後は、台車を移動してスラブ
型枠装置を橋脚の外方に引出し、次の橋脚間に設
けられた台車をさきの台車と併列させて両台車間
に渡りレールを架設し、スラブ型枠装置を次の台
車に移動、載置させ、その台車を当該橋脚間に移
動してスラブコンクリートの打設が行なえるよう
にすることを特徴とするものである。

「実施例」 以下、本発明工法の実施例について図面を参照
して説明する。

図においてＡは、所要間隔毎に並列に構築され
た橋脚で、その各上端はほぼ面一となつている。
各橋脚間B₁，B₂…の地盤Ｃ上には、施工するス
ラブの横断方向に沿つて一対のレール１，１が橋
脚間B₁，B₂…の外方にわたつて敷設される。そ
して、このレール１，１の上には、橋脚間B₁，
B₂…に入る大きさの台車E₁，E₂…が、車輪２，
２…を介して載置され、それぞれレール１，１に
沿つて橋脚B₁，B₂…間からその外方に完全に引
出される位置まで走行移動できるようになつてい
る。各台車E₁…にはその上面に、施工するスラ
ブの長手方向に沿う一対のレール部材３，３が設
けられ、その両端部は台車の巾より短かく切欠さ
れ、台車上に段載部４，４が形成されている。ま
た、各台車E₁…は、そのレール部材３，３の上
面が互に水平な面一となるようにされている。し
たがつて、図示のように、地盤Ｃに起伏や傾斜が
あつて、地盤Ｃから施工するスラブまでの高さが
一定とならない場所での施工にあたつては、各橋
脚間B₁…に設けられる台車E₁…の高さはそれぞ
れ異つたものに形成されることになる。

５は各台車E₁…上に共通して載置されるスラ
ブ型枠装置で、下端に台車E₁…のレール部材３
に案内されて走行する車輪６を設けた脚杆７を昇
降調節機構８を介して支持した走行脚体９，９…
を装着した架台１０に、施工するスラブの下面形
状に沿つて形成したスラブ型枠１１を載設して構
成されている。

施工の当初においては、最初の台車E₁は第４
図の鎖線イで示したように、橋脚Ａ，Ａ間より外
方に完全に引出された位置にあり、この台車E₁
のレール部材３上にスラブ型枠装置５を車輪６を
介して載置する。次に、台車E₁をレール１，１
に沿つて橋脚Ａ，Ａ間へと移動させ、所定の位置
に固定する。そして、走行脚体９，９…の昇降機
構８を操作して、架台１０の高さ調節を行ない、
スラブ型枠１１を所定の高さ位置にセツトすると
ともに、スラブコンクリートD₁を打設するのに
必要な側部型枠（図示を略す）をセツトし、スラ
ブコンクリートD₁を打設するのである。

打設したコンクリートが硬化したならば、走行
脚体９，９…の昇降機構８を操作して架台１０の
高さを低下させ、スラブ型枠１１をコンクリート
D₁より剥離する。また、他の側部型枠も撤去す
る。スラブ型枠１１の剥離脱型ができたら、台車
E₁を移動して型枠装置５を橋脚Ａ，Ａの外方に
引出すのである。そして、次の橋脚間に設置され
た次の台車E₂を、第４図のようにこの台車E₁と
併列した位置に揃え、両台車E₁，E₂のそれぞれ
の段載部４，４間に渡りレール１２，１２（第２
図、第４図）を架設し、両台車E₁，E₂の各レー
ル部材３，３を渡りレール１２を介して連通させ
る。その状態でスラブ型枠装置５を押進してやれ
ば、第２図のようにスラブ型枠装置５は当初の台
車E₁から次の台車E₂へと渡りレール１２を渡つ
て移動し、第３図、第４図ロのような位置に載置
されることになる。

このようにして、次の台車E₂へのスラブ型枠
装置５の移し変えをすましたら、渡にレール１２
を取除き、台車E₂を次の橋脚間B₂内に移動させ、
さきの橋脚間B₂におけると同様にスラブ型枠１
１を所定の状態にセツトし、スラブコンクリート
D₂を打設するのである。以上の工程を繰返すこ
とにより、各橋脚間におけるスラブコンクリート
の施工は順次行なわれることになる。

「発明の効果」 以上説明したように、本発明は、各橋脚間毎に
おいて、施工するスラブの横断方向に沿つて走行
移動自在に設けた台車上に、昇降調節自在とした
スラブ型枠装置をスラブの長手方向に沿つて移動
自在として載置して、スラブコンクリートの打設
が行なえるようにし、コンクリートの硬化後は、
台車を移動してスラブ型枠装置を橋脚の外方に引
出し、次の橋脚間に設けられた台車をさきの台車
と併列させて両台車間に渡りレールを架設し、ス
ラブ型枠装置を次の台車に移動、載置させ、その
台車を当該橋脚間に移動してスラブコンクリート
の打設が行なえるようにしたので、従来工法のよ
うに、スラブ型枠を作業区間毎に組立、解体する
ことなく、当初組立てられた大きな状態の型枠を
そのまま移動して繰返し使用することができるば
かりでなく、スラブ型枠を支持するための各橋脚
間毎の支保工の組立、解体の複雑で多くの手間を
要する作業が解消され、各橋脚間毎に配設された
走行自在な台車によつてスラブ型枠の支持と移動
とが極めて簡便に行なえることになるとともに、
スラブ型枠の台車から台車への移動も極めて円
滑、簡易にでき、高架橋等のスラブコンクリート
の型枠施工が著しく簡易化され、工事が省力的、
能率的及び経済的に行なえることになるという優
れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明工法の実施例を略示したもので、
第１図は当初の橋脚間にスラブ型枠装置をセツト
した状態を示す側面図、第２図はスラブ型枠装置
を当初の台車より次の台車に移動させる状態を示
す側面図、第３図はスラブ型枠装置を次の橋脚間
にセツトした状態を示す側面図、第４図はスラブ
型枠装置の移動工程を示した平面図である。 Ａ…橋脚、B₁，B₂…橋脚間、Ｃ…地盤、D₁，
D₂…スラブコンクリート、E₁，E₂…台車、１…
レール、２…車輪、３…レール部材、４…段載
部、５…スラブ型枠装置、９…走行脚体、１０…
架台、１１…スラブ型枠、１２…渡りレール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 各橋脚間毎において、施工するスラブの横断
   方向に沿つて走行移動自在に設けた台車上に、昇
   降調節自在としたスラブ型枠装置をスラブの長手
   方向に沿つて移動自在として載置して、スラブコ
   ンクリートの打設が行なえるようにし、コンクリ
   ートの硬化後は、台車を移動してスラブ型枠装置
   を橋脚の外方に引出し、次の橋脚間に設けられた
   台車をさきの台車と併列させて両台車間に渡りレ
   ールを架設し、スラブ型枠装置を次の台車に移
   動、載置させ、その台車を当該橋脚間に移動して
   スラブコンクリートの打設が行なえるようにする
   ことを特徴とする、高架橋等スラブの型枠移動式
   工法。