JPH0212014Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スローアウエイチツプを楔によつ
てカツタ本体に固定するようにしたスローアウエ
イ式正面フライスに関する。

従来、この種のスローアウエイ式正面フライス
としては、第１図ないし第３図に示すものがあ
る。このものは、先端面側外周部に、先端面から
後端面側へ向かつて延圧する収納溝（収納凹部）
２を形成し、この収納溝２の回転方向を向く壁面
とこれに対向する壁面とをそれぞれ取付け面３，
４とするとともに、先端側を向き互いに隣接する
二つの面を取付け側面２ａとし、上記取付け面
３，４間に外観略四角形板状のスローアウエイチ
ツプ５および楔６を差し込み、スローアウエイチ
ツプ５の互いに隣接する二側を取付け側面２ａに
突き当ててスローアウエイチツプ５を収納溝２に
固定するようにしたものである。

ところで、このようなスローアウエイ式正面フ
ライスにおいては、切削加工の能率向上を図るた
めに、高速、高送り切削の要望が高まつている。
この場合、重要なことは、高速、高送り切削を行
うとそれに伴つて切削荷重が増大することから、
スローアウエイチツプ５のクランプ強度の向上お
よびカツタ本体１の剛性向上を図ることである。

ところが、上記のスローアウエイ式正面フライ
スにおいては、収納溝２の先端面側が開放されて
いる。このため、カツタ本体１のバツクメタル部
７の強度、特にスローアウエイチツプ５を支持す
る先端面側部分の強度が低くなつており、高速、
高送り切削に応じたクランプ強度を得難いという
問題があつた。また、同様の理由により、カツタ
本体１の剛性も充分に満足し得るものとは言い難
かつた。

この考案は、上記問題を解消するためになされ
たもので、スローアウエイチツプのクランプ強度
の向上およびカツタ本体の剛性向上を図ることが
でき、これによつて高速、高送り切削を可能なら
しめるスローアウエイ式正面フライスを提供する
ことを目的とする。

この考案は、上記目的を達成するために、スロ
ーアウエイチツプおよび楔を収納する収納凹部の
取付け側面のいずれか一方に対向する部分に、カ
ツタ本体の先端面または外周面と周方向に連続す
る壁部を形成したことを特徴とするものである。

以下、この考案について第４図ないし第９図に
示す実施例を参照して説明する。

これらの図に示す実施例においても、カツタ本
体１１の先端面側外周部に収納凹部１２が形成さ
れ、この収納凹部１２の周壁に回転方向を向く取
付け面１３およびこれに対向する取付け面１４が
形成され、さらに、先端側を向く二つの面に取付
け側面１２ａ，１２ｂが形成されている。そし
て、これら取付け面１３，１４間にスローアウエ
イチツプ１５および楔１６が差し込まれ、これに
よつてスローアウエイチツプ１５が取付け面１３
に当接した状態で収納凹部１２に固定されてい
る。なお、スローアウエイチツプ１５は、取付け
面１４に当接した状態で固定されることもある。

以上の構成は、上記従来例と同様である。しか
し、この考案における収納凹部１２は従来のもの
と全く異なつている。すなわち、収納凹部１２
は、この場合、カツタ本体の軸線に対して所定の
角度θをもつてその外周から中心側に向かつて延
在する角穴状に形成されており、前記取付け側面
１２ａに対向する部分には、カツタ本体１１の先
端面と周方向に連続する壁部１８が形成されたも
のとなつている。

ところで、従来例を示す第１図のフライスのよ
うに、収納溝２の先端面側が開放している構成で
は、切削荷重によつて取り付け面１３の先端側
が回転方向後方に弾性変形して反つてしまうこと
に起因して、取付け面１３に支持されるスローア
ウエイチツプ１５に撓みを生じ、これによつてス
ローアウエイチツプ１５が割れるといつた事故
や、切削中に取付け誤差が生じて位置決め精度が
低下し、ひいては切削精度が低下するといつた問
題、また、バツクメタル部１７に弾性限以上の
切削荷重が加えられた場合、取り付け面１３の先
端側のバツクメタル部１７に塑性変形が生じ、位
置決め精度が低下するという問題がある。

しかしながら、この実施例によれば、壁部１
８の存在によつて、取付け面１３の先端側の弾性
変形を防止することができるので、スローアウエ
イチツプ１５の割れを防止するとともに、その所
期の位置決め精度を維持することができる。従
来の技術における弾性限以上の切削荷重がバツク
メタル部１７に加えられた場合であつても、壁部
１８に切削荷重を分散することによつて、バツク
メタル部１７および取付け面１３の塑性変形を防
止することができ、このため、スローアウエイチ
ツプ１５の所期の位置決め精度を維持することが
できる。このように、バツクメタル部１７の先端
側における弾性変形・塑性変形を防止することが
できるので、スローアウエイチツプ１５のクラン
プ強度を向上させ、ひいては、カツタ本体１１の
剛性を向上させることができる。

なお、前記角度θは、25゜〜75゜の範囲に設定す
るのがよい。これは、角度θを25゜より小さくす
ると、壁部１８の強度が損なわれるおそれがあ
り、他方角度θを75゜より大きくすると、カツタ
の送り方向とスローアウエイチツプ１５の主切刃
１５ａとのなす角、つまりアプローチ角が大きく
なり過ぎて実用的でなくなるからである。

また、この実施例においては、先端面と外周面
とからそれぞれ収納凹部１２の底部へ向かつて延
在する孔１９，２０が形成されている。これらの
孔１９，２０は、スローアウエイチツプ１５を取
り外す際に、それらに挿入された突き棒（通常は
棒レンチ等を用いる）によつてスローアウエイチ
ツプ１５を押し出したり、あるいはそのような突
き棒によつて収納凹部１２内の切屑等を除去した
りするためのものである。

以上説明したように、この考案のスローアウエ
イ式正面フライスによれば、スローアウエイチツ
プおよび楔を収納する収納凹部の取付け側面のい
ずれか一方に対向する部分に、カツタ本体の先端
面または外周面と周方向に連続する壁部を形成し
たものであるから、スローアウエイチツプのクラ
ンプ強度の向上およびカツタ本体の剛性向上を図
ることができ、これによつて、高速、高送り切削
を行うことができる等の効果が得られる。また、
本考案によれば、壁部の存在によつて、バツクメ
タル部の弾性変形や塑性変形を防止することがで
きるので、スローアウエイチツプの割れを防止し
たり、切削中におけるスローアウエイチツプの取
り付け誤差を回避して所期の位置決め精度を維持
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来のスローアウエイ式
正面フライスの一例を示し、第１図は縦断正面
図、第２図は第１図の矢視図、第３図は第１図
の矢視図、第４図ないし第９図はこの考案の一
実施例を示し、第４図は縦断正面図、第５図は第
４図の矢視図、第６図は第４図の矢視図、第
７図ないし第９図はカツタ本体を示し、それぞれ
第４図、第５図、第６図と同様の図である。 １１……カツタ本体、１２……収納凹部、１２
ａ，１２ｂ……取付け側面、１３，１４……取付
け面、１５……スローアウエイチツプ、１６……
楔、１８……壁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カツタ本体の先端面側外周部に、回転方向を向
   く取付け面およびこれに対向する取付け面と、互
   いに隣接する二つの取付け側面とによつて構成さ
   れる収納凹部を形成し、前記２つの取付け面の間
   に、外観略四角形板状のスローアウエイチツプと
   楔とを差し込み、前記スローアウエイチツプの互
   いに隣接する二側を前記取付け側面に突き当てて
   スローアウエイチツプを収納凹部に固定するよう
   にしたスローアウエイ式正面フライスにおいて、
   前記取付け側面のいずれか一方に対向する部分
   に、カツタ本体の先端面または外周面と周方向に
   連続する壁部を形成したことを特徴とするスロー
   アウエイ式正面フライス。