JPH0210860Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車両用その他の変速機に油圧クラツ
チ等の油圧源として搭載する油圧ポンプの駆動軸
装置に関する。

（従来の技術） 本願出願人の出願に係る実願昭58−145381号
（実開昭60−52131）により、エンジンに変速用ク
ラツチを介して連結される手動変速機に油圧クラ
ツチで作動される副変速機を連結して成る車両用
変速機において、エンジン本体に取付けられる変
速機ケースの端壁部外面に該油圧クラツチ用の油
圧ポンプを収納するポンプハウジングを設け、該
油圧ポンプの駆動軸を該変速機の入力軸を貫通さ
せ、かつその両端に設けたスプラインをエンジン
出力部材と該油圧ポンプの駆動部材とに設けたス
プライン穴に夫々係合させ、エンジン運転時該駆
動軸を介して該油圧ポンプを常時駆動せしめるよ
うにしたものは知られる。

（考案が解決しようとする問題点） 上記のものにおいて、変速機ケースはこれに予
め変速機溝や油圧ポンプやポンプ駆動軸を組付け
た状態でエンジン本体に取付けられるもので、そ
の取付けに際し、該駆動軸の一端の係合部とエン
ジン出力部材との係合が同時に行われるが、この
場合該係合部と該出力部材とが係合する位相状態
でないと、即ち一方のスプライン歯と他方のスプ
ライン溝とが合致する位相状態でないと、該駆動
軸と該出力部材との干渉により該変速機ケースを
それ以上該エンジン本体に近付けられなくなり、
従つて該変速機ケースの取付作業途中でスプライ
ンの歯と溝が合致するよう位相合せを行う必要が
あり、これが変速機ケースの取付作業の能率化を
阻害する要因となつており、かかる位相合せ作業
を要することなく、変速機ケースをエンジン本体
に取付けられるようにすることが望まれる。

本考案は、かかる要望に適合した油圧ポンプの
駆動軸装置を提供することをその目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記目的を達成すべく、エンジン本
体に取付けられる変速機ケースの端壁部外面に油
圧ポンプを収納するポンプハウジングを設け、該
油圧ポンプの駆動軸を該油変速機ケース内に配置
して、該駆動軸を一端の係合部においてエンジン
出力部材と、該端壁部を貫通して該ポンプハウジ
ング内に突出する他端の係合部において該油圧ポ
ンプの駆動部材とに夫々軸方向に抜差自在に回り
止め係合したものにおいて、該ポンプハウジング
の該駆動軸の軸端面に対向する部分に着脱自在の
蓋体を施した開口を形成すると共に、該駆動軸の
該他端の係合部に連続する軸方向内方の部分を該
一端の係合部の軸方向長さl₁以上の長さl₂に亘つ
て該他端の係合部と同一断面形状のガイド部に形
成したことを特徴とする。

（作用） 本考案によれば、ポンプハウジングの開口に施
蓋しない状態では、駆動軸を他端側に押したと
き、他端の係合部に連続するこれと同一断面形状
のガイド部が油圧ポンプの駆動部材に挿入されて
該他端の係合部が該開口を通してその外方に突出
し、かくて該駆動軸は該変速機ケースに対し該ガ
イド部の長さ分、従つて少なくとも一端の係合部
の長さ分だけ他端側に移動可能となる。

ところで、変速機ケースのエンジン本体への取
付けに際し駆動軸の一端の係合部とエンジン出力
部材とが係合位相状態にないと、該変速機ケース
の該エンジン本体に対する正規の取付位置より該
係合部の長さ分だけ手前の位置で該駆動軸と該出
力部材との干渉を生ずるが、本考案によれば、こ
の干渉後の該変速機ケースの該エンジン本体側へ
の前進が該駆動軸の他端側への移動で許容され、
かくて予め駆動軸の一端の位相合せ作業を行わな
くとも変速機ケースを確実にエンジン本体に取付
けられ、その後該駆動軸を回動操作しつつ一端側
に押し込めば該一端の係合部は該出力部材に係合
される。

（実施例） 本考案を図示の実施例に付説明する。

第１図を参照して、１はエンジン本体、２は該
本体１の外面に前端のフランジ２ａにおいてボル
ト止めした変速機ケースを示し、該ケース２内
に、エンジンのクランク軸３に変速用クラツチ４
を介して連結される手動変速機５と、これに直列
に副変速機６とを収納して車両用変速機を構成し
た。

該変速用クラツチ４は、該クランク軸３に固定
の入力側のクラツチホイール７と、これに対向さ
せた出力側のクラツチデイスク８とを備え、該デ
イスク８にその背側のプレツシヤプレート９を介
してダイヤフラムスプリング１０の押圧力を作用
させてこれを該ホイール７に摩擦係合させ、レリ
ーズフオーク１１により該スプリング１０を該デ
イスク８から離間する方向に変位させたとき該係
合が解かれるようにしたもので、これは従来公知
のものと特に異らない。

前記手動変速機５は、クラツチデイスク８の内
周のダンパ８ａ付きのハブ８ｂにスプライン係合
される入力軸５ａと、車両の駆動輪に連る出力軸
５ｂとを変速機ケース２内に互に平行に軸支し、
該両軸５ａ，５ｂ間に前進用の１速乃至４速のギ
ア列Ｇ１，Ｇ２，Ｇ３，Ｇ４と後進ギア列GRと
を並設して成る前進４段後進１段の２軸平行型に
構成されるものとし、該両軸５ａ，５ｂを後方に
延長して、この延長部に２速乃至４速のギア列Ｇ
２，Ｇ３，Ｇ４に直列の高低２段の伝動系GH，
GLを有する前記副変速機６を配置するものとし
た。

これを更に詳述するに、前記入力軸５ａに２速
乃至４速のギア列Ｇ２，Ｇ３，Ｇ４の入力側に連
るスリーブ軸１２を軸支すると共に、該入力軸５
ａの後方への延長部に後方に向つて順次該スリー
ブ軸１２に固定の出力ギア１３と、該スリーブ軸
１２と該入力軸５ａとを連結する油圧クラツチ１
４と、該入力軸５ａに固定の入力ギア１５とを配
置すると共に、前記出力軸５ｂの後方への延長部
に該出力ギア１３と該入力ギア１５とを連結する
アイドルギア機構１６を配置し、且つ該アイドル
ギア機構１６に該出力ギア１３側のオーバ回転を
許容するワンウエイクラツチ１７を介入して該副
変速機６を構成するものとし、該油圧クラツチ１
４の解放時には、該入力軸５ａから入力ギア１５
→アイドルギア機構１６→出力ギア１３の系路で
該スリーブ軸１２に至る低速伝動系GLが確立さ
れるが、該油圧クラツチ１４の接続時は該両軸５
ａ，１２を該クラツチ１４を介して直結する高速
伝動系GHが確立され、この際低速伝動系GLは
該ワンウエイクラツチ１７の作動で実質的に解放
されるようにした。

図面で１８₁，１８₂は夫々１速−２速変速用と
３速−４速変速用の切換クラツチ、１９は後進ギ
ア列GRを確立するアイドルシフトギアを示す。
又、図面で２０は変速機ケース２の後方の端壁部
２ｂ外面に設けたポンプハウジングを示し、該ハ
ウジング２０に油圧ポンプ２１を収納すると共
に、該端壁部２ｂの内面に前記入力軸５ａの軸孔
２２に挿入される内外２重のパイプ２３₁，２３₂
を取付け、該油圧ポンプ２１から適宜の制御回路
を介して導かれる圧油を外側のパイプ２３₂と該
入力軸５ａに形成した径方向の透孔２４とを介し
て前記油圧クラツチ１４に供給してこれを接続せ
しめるようにし、又内側のパイプ２３₁を介して
該入力軸５ａ回りの潤滑箇所に給油せしめるよう
にした。

該油圧ポンプ２１は、第２図に示すように外歯
歯車２１ａとその外周の内歯歯車２１ｂとから成
るトロコイドポンプで構成されるものとし、ポン
プ駆動部材たる該外歯歯車２１ａを変速機ケース
２内に配設した駆動軸２５を介してエンジン出力
部材たる前記クラツチホイール７に連結し、該ポ
ンプ２１をエンジン運転中常時駆動せしめるよう
にした。

これを更に詳述するに、該駆動軸２５は、該変
速機ケース２内の上記入力軸５ａの軸孔２２に挿
設されて、該軸孔２２内の前後２箇所の油溝２６
ａ付きのブツシユ２６，２６により軸支されるも
のとし、該駆動軸２５を、第３図に示す如く前端
の断面非円形の係合部２５ａにおいて該クラツチ
ホイール７に固着したボス部材７ａの中心の非円
形孔７ｂに軸方向に抜差自在に回り止め係合さ
せ、又前記端壁部２ｂを貫通してポンプハウジン
グ２０内に突出する該駆動軸２５の他端の断面非
円形の係合部２５ｂにおいて第２図示の如く前記
外歯歯車２１ａの中心の非円形孔に軸方向に抜差
自在に回り止め係合させた。

そして、本考案の特徴とするところに従い、該
ハウジング２０の該駆動軸２５の軸端面に対向す
る部分に着脱自在の蓋体２７を施した開口２８を
形成すると共に、該駆動軸２５の後端の係合部２
５ｂに連続する軸方向内方の部分即ち前方部分を
前端の係合部２５ａの軸方向長さl₁以上の長さl₂
に亘つて該後端の係合部２５ｂと同一断面形状の
ガイド部２５ｃに形成するものとした。

図面で２９は後端の係合部２５ｂの外歯歯車２
１ａに対する挿通部外端に取付けたスナツプリン
グ、３０は蓋体２７を開口２８に固定するスナツ
プリング、３１は蓋体２７に施したオイルシール
リングを示す。次に、変速機ケース２のエンジン
本体１への取付け作業について説明するに、先ず
変速機ケース２に軸支される入力軸５ａの前端部
を予めエンジン側に組付けられる変速用クラツチ
のクラツチデイスク８のハブ８ｂにスプライン係
合させ、この状態で該ケース２の前端のフランジ
２ａをエンジン本体１側に近付けてこれにボルト
止めするもので、この際駆動軸２５の前端の係合
２５ａとエンジン出力部材たるクラツチホイール
７側の係合孔７ｂとが係合位相状態にないと、該
ケース２の該エンジン本体１に対する所定の取付
位置より該係合部２５ａの長さl₁分だけ手前の位
置で該駆動軸２５と該ホイール７との干渉を生ず
るが、この場合蓋体２７を取外しておけば、該ケ
ース２の該位置からの前進に際し、該駆動軸２５
の後端の係合部２５ｂに連続するガイド部２５ｃ
が油圧ポンプ２１の駆動部材たる外歯歯車２１ａ
に挿入されると共に該係合部２５ｂがポンプハウ
ジング２０の開口２８を通して後方に突出されて
第４図示の状態となり、換言すれば該駆動軸２５
の該ケース２に対する相対的な後方への移動で該
ケース２の前進が許容され、かくて入力軸５ａと
ハブ８ｂとの位相合せを行うだけでその後の駆動
軸２５とクラツチホイール７との位相合せを行わ
なくとも該ケース２をエンジン本体１に確実に取
付けられる。

そして、取付後開口２８の後方に突出する後端
の係合部２５ｂにおいて、駆動軸２５を回動すれ
ば油圧ポンプ２１の外歯歯車２１ａ及び内歯歯車
２１ｂも連れ回りし、前端においてその係合部２
５ａをクラツチホイール７の係合孔７ｂに位相を
一致させて係合させ、次いで蓋体２７を開口２８
に取付けて作業を完了する。

（考案の効果） この様に本考案によるときは、エンジン出力部
材と駆動軸とが干渉しても変速機ケースをエンジ
ン本体に取付けることができ、その取付作業途中
で位相合せ作業を行う必要がなく、取付作業性が
向上される効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置を具備する変速機の１例の截
断側面図、第２図及び第３図は第１図の−線
及び−線截断面図、第４図はその作動を説明
する截断側面図である。 １……エンジン本体、２……変速機ケース、２
ｂ……端壁部、７……クラツチホイール（エンジ
ン出力部材）、２０……ポンプハウジング、２１
……油圧ポンプ、２１ａ……外歯歯車（ポンプ駆
動部材）、２５……駆動軸、２５ａ，２５ｂ……
係合部、２５ｃ……ガイド部、２７……蓋体、２
８……開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン本体に取付けられる変速機ケースの端
   壁部外面に油圧ポンプを収納するポンプハウジン
   グを設け、該油圧ポンプの駆動軸を該変速機ケー
   ス内に配置して、該駆動軸を一端の係合部におい
   てエンジン出力部材と、該端壁部を貫通して該ポ
   ンプハウジング内に突出する他端の係合部におい
   て該油圧ポンプの駆動部材とに夫々軸方向に抜差
   自在に回り止め係合したものにおいて、該ポンプ
   ハウジングの該駆動軸の軸端面に対向する部分に
   着脱自在の蓋体を施した開口を形成すると共に、
   該駆動軸の該他端の係合部に連続する軸方向内方
   の部分を、該一端の係合部の軸方向長さl₁以上の
   長さl₂に亘つて、該他端の係合部と同一断面形状
   のガイド部に形成したことを特徴とする変速機に
   おける油圧ポンプの駆動軸装置。