JPH018209Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、前部の支持高さを調節可能な車両等
の座席に関する。

例えば、自動車の運転席において、運転者の体
長、即ち足の長さに応じてシートクツシヨンの前
部の高さを調節することにより、運転操作に適し
た着座姿勢をとることができ、また他の乗員にお
いてもシートクツシヨンの前部の高さを調節し、
大腿部の支持高さを変えることにより長時間の着
座においても疲労感を少なく抑えることができ
る。そこで、近来このようにシートクツシヨンの
前部、即ち大腿部を支持する部分の高さを調節で
きるように構成した車両用座席が種々提案され、
また実施されている。

このような前部の支持高さを調節可能なシート
クツシヨンの構成例を第１図及び第２図によつて
説明する。

図中、１は座席全体を示しており、２はシート
バツク、３はシートクツシヨンである。このシー
トクツシヨン３は、前方の左右に施された前後方
向の切り込み４ａ及び４ｂにより着座時に大腿部
を支持する前方中央部５が上下動可能に分割され
ており、この前方中央部５は直下に内蔵される回
動支持体６を操作レバー７で回動操作することに
より上下動し、着座時に最も適した支持高さに調
節を行なうものである。尚、この回動支持体６の
起伏動作機構は、本考案とは直接の関係はないの
で、その詳細な説明は省略する。

以上のように、着座時に大腿部を支持する前方
中央部のみ上下調節可能に構成されたシートクツ
シヨンは、パツド前方の左右に前後方向の切り込
みを施して前方中央部を分割しているため、長期
にわたり着座が繰り返されると次第に切り込みに
よる間〓が広がり、外観性が損なわれるばかりで
なく、着座時にも不快感を催すことがあつた。こ
のため、シートクツシヨンのパツド内部に板金構
造物、硬質パツド、ワイヤ等の形状保持材を内蔵
して補強したり、樹脂カバー等で切り込み部の外
観を良くしたりする対策がとられていたが、着座
時に身体の当接する部分に、これら形状保持材や
樹脂カバーの突起物等による異物感があり、快適
な着座感を得ることができないという欠点を有し
ていた。

本考案は斯る点に鑑みてなされたもので、シー
トクツシヨンの前方中央部を分割するパツドの切
り込みによる間〓を僅少に抑え、快適な着座感を
有する前方中央部の支持高さを調節可能な車両等
の座席を提供するものである。

即ち、本考案は、前方左右に切り込みを施し前
方中央部を分割した構成のシートクツシヨンパツ
ドの内部に略コ字状の挟持体を配し、この挟持体
両側辺部の弾性偏倚によつて前方中央部を前方両
側部から挟持する如くして押圧し、切り込みの間
〓を僅少に抑えるようにしたことを特徴とするも
のである。

以下、第３図〜第５図を参照し、本考案の実施
例について説明する。

第３図及び第４図において、１１はシートクツ
シヨンのパツド全体を示し、このパツド１１の前
方は、左右の切り込み１２ａ及び１２ｂによつて
前方中央部１３と前方両側部１４ａ及び１４ｂに
分割され、前方中央部１３が独立した状態となつ
ている。

このようなパツド１１内部に挟持体、即ちバネ
式インサートワイヤ１５が、前方両側部１４ａ，
１４ｂから前方中央部１３を挟持するような状態
に配されている。このバネ式インサートワイヤ１
５は、第５図に示すように略コ字状で、角部１５
ａ，１５ｂを巻きバネ式とし、両側辺部１５ｃ，
１５ｄは内側方向に弾性偏倚されており、パツド
１１成型段階においてこの両側辺部１５ｃ，１５
ｄを内側方向の偏倚力に抗して矢印ａのように外
側方向に広げてパツド１１の前方両側部１４ａ，
１４ｂ内部に配し一体的に形成したものである。

以上のように構成することにより、パツド１１
の前方両側部１４ａ，１４ｂは、バネ式インサー
トワイヤ１５の両側辺部１５ｃ，１５ｄの偏倚力
で前方中央部１３を両側から押圧する状態とな
り、前方両側部１４ａ，１４ｂと前方中央部１３
は常に圧着されているため、切り込み１２ａ，１
２ｂによる間〓が広がることはない。

尚、本例に示したようなバネ式インサートワイ
ヤ１５は、従来のインサートワイヤの如く、カバ
ーの吊込みワイヤとしても利用可能である。

また、バネ式インサートワイヤの形状としては
本例が本考案を特定するものではなく、状況に応
じて種々変更可能なものである。

以上のように本考案によれば、上述したような
シートクツシヨンのパツドに切り込みを施し、前
方中央部を分割した構成の車両等の座席におい
て、切り込みにより生じる間〓を僅少に抑えるこ
とができ、長期にわたる着座の繰り返しによつて
も外観を損なうことはなく、また挟持体としての
バネ式インサートワイヤはシートクツシヨンのパ
ツド内部に一体的に配されているため、着座によ
つてパツドと一体的に変形するので、従来のよう
な板金構造物、硬質パツド等の形状保持材による
異物感が解消され、構成が簡単で快適な着座感を
得ることができる等、係る効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の前部の支持高さが調節可能な車
両等の座席の一例を示す斜視図、第２図は一部截
断した側面図、第３図は本考案によるシートクツ
シヨンのパツド構成の一例を示す斜視図、第４図
は同、正面図、第５図はその構成の一部の説明に
供する図である。 図中、１１はシートクツシヨンのパツド、１２
ａ，１２ｂは切り込み、１３は前方中央部、１４
ａ，１４ｂは前方両側部、１５は挟持体としての
バネ式インサートワイヤ、１５ｃ，１５ｄは両側
辺部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンのパツドの前方左右に前後方
   向に切り込みを有し、前方を前方中央部と前方両
   側部に分割し、上記前方中央部を傾動可能とした
   車両等の座席において、略コ字状を呈し、その両
   側辺部を内側方向に弾性偏倚して成る挟持体を上
   記パツドに上記前方中央部を囲むように埋設し、
   上記挟持体の両側辺部の弾性偏倚によつて上記前
   方両側部を上記前方中央部に押圧し圧着するよう
   なしたことを特徴とする車両等の座席。