JPH0156753B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、食品を包装する保存用シートに関す
るものであり、詳しくは、エチルアルコール、酢
酸等の食品に対して保存効果を有する揮散性液状
物質を吸着、含浸した片面蒸気遮断性、片面通気
性の食品保存用シートに関するものである。 従来から、包装系内に炭酸ガス・窒素ガス等の
不活性気体、あるいはアルコール等の蒸気を入れ
て食品の黴発生や腐敗の進行を抑止することは広
く知られており、例えばガス透過性の低い包装材
料を用いて包装系内を真空又は減圧にし窒素ガ
ス、炭酸ガス等を充填し食品の色や香りの変化を
防止したりあるいは酸化や腐敗の進行を抑制する
機能を有した包装体が有る。又エチルアルコール
等の気化性液体を吸着した物質や、化学反応ある
いは交換脱着反応などにより炭酸ガス等を発生す
る物質をガス透過性のある又は通気孔を施けたフ
イルム、紙、布又は金属箔などの小袋体に充填し
て包装系内に配置することで同様の効果を有する
包装体も多く提案されている。しかしながら例え
ばガス充填包装においては、使用する包装材料と
してアルミニウム箔、塩化ビニリデンフイルム等
ガス透過性の小さい高価な材料を使用する必要が
あると共に、特別なガス充填装置が必要であり適
用し得る食品に限定がある。又ガス発生能を有す
る物質を入れた小袋体を使用する方法においては
通常粉末、粒状等の状態で小袋に充填密封されて
いる為、非常に嵩ばり、かつ破袋の恐れもある。
又食品と別に小袋を充填する為の作業が必要で、
煩雑であると共に、食品の性状によつては小袋の
配置によつて蒸気濃度のかたよりが生じ、効果が
食品全体に及ばないといつた問題点がある。 本発明は、食品の保存効果を有する揮散性液状
物質を吸着あるいは含浸したポリオレフインを延
伸処理し、フイブリル化した表面及び横方向に連
通した微多孔を有する多孔質体で、軟化点以下で
通常の圧力で体積変化を伴わず、かつ多孔率が25
〜95％の範囲である連続微多孔シートを設けた食
品保存用シートである。 以下図面に従い本発明を詳細に説明する。 まず第１図に示すように片面がポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、
ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチツ
クフイルムまたはアルミ箔もしくはこれらを組合
せた複合フイルムのいずれかからなる蒸気遮断性
を有する基材１上に吸着、含浸させる液状物質お
よび内容食品に対して不活性であり、かつ樹脂の
軟化点以下で通常の圧力下では体積の変化を供な
わずにその空隙中に液状物質を吸着・含浸し、か
つそれを蒸気としてのみ揮散する熱可塑性合成樹
脂の連続微多孔シート２からなる食品保存用シー
トである。 また本発明は、第２図に示すように基材１上に
連通微多孔シート２さらにポリエチレン、ポリプ
ロピレン等の不織布などの通気性、熱融着性を有
する通気性層３を設けた食品保存用シートであ
る。 本発明で用いる微多孔シート２は、表面及び横
方向に連通した微多孔を有していることかつ圧力
に対して体積変化が少く液体の保持性がすぐれて
いるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フインを特殊延伸してフイブリル化した多孔質体
が好ましく、多孔率は25〜95％好ましくは60〜80
％、厚みは0.05〜1.00mmが好ましいが、包装材料
としての強度等の物性及び必要量の蒸気発性能に
対応した吸液能を保持する以外に特に制限はな
い。 なお基材と連通微多孔シートさらに通気性層は
接着剤を用いた貼り合せあるいは熱融着による貼
合せ等通常の方法で可能である。 また本発明で使用する食品に対して保存効果を
有する揮散性液状物質としては、エチルアルコー
ル、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、乳酸、コハ
ク酸、クエン酸等の有機酸のいずれかまたはこれ
らの混合物もしくは水、エタノール等に溶解さ
せ、共存する溶媒蒸気と共に揮散する物があげら
れる。しかし食品の保存性効果のあるものであれ
ば特に制限されるものではない。 本発明の食品保存用シートとして例えばポリエ
チレン／ポリエチレン系微多孔シートのようにシ
ート自体が熱融着性を有するもの、あるいは、ポ
リエチレン／アルミニウム／ポリプロピレン系微
多孔シート／ポリエチレン系不織布または、ポリ
エチレンテレフタレート／ポリプロピレン系微多
孔シート／ポリエチレン系不織布のように両面ま
たは片面が他の包装材料と熱融着性を有するもの
があげられる。 さらに本発明の他の例として第３図に示すよう
に連通微多孔シートの面を蒸気遮断性を有する剥
離シート４で覆い使用時に剥離シートを剥離して
使用するもの、また第４図に示すように連通微多
孔シートの面を部分的に蒸気遮断性層５で覆つた
ものがある。 本発明のシートを大別すると以下のとおりであ
る。 (1) 食品に保存効果を有する気散性液状物質を吸
着・含浸した、片面蒸気遮断性・片面通気性多
孔性シートを、通気性面を内面として包装体の
一部又は全部に使用したシート。 (2) 片面蒸気遮断性・片面通気性多孔性シート
が、体積変化・膨潤なしにその空隙中に液状物
質を保持し、かつ蒸気としてのみ揮散する、吸
着・含浸する液状物質及び食品に対し不活性な
熱可塑性合成樹脂製連通微多孔質膜を含む素材
から構成されているシート。 (3) 片面蒸気遮断性・片面通気性多孔性シート
が、それ自身熱融着性を有したものであるか又
は片面及び両面が他の包装材料に対し熱融着性
を有したものであるシート。 (4) 片面蒸気遮断性・片面通気性多孔性シートに
食品に保存効果を有する揮散性液状物質を吸
着・含浸した後、通気性面上に別の蒸気遮断性
層を施け、包装体使用直前に、該蒸気遮断性層
の全部又は一部を取り除いて通気性面を露出さ
せて使用することを特徴とするシート。 そして本発明の食品保存用シートは、第５図ａ
〜ｅに示されるように食品を包装する包装体の一
部または全部に使用される。 この時シートの端部から蒸気の散逸が考えられ
るが、微多孔シートが熱可塑性合成樹脂であるか
ら、包装体形成時、熱融着時におしつぶされて連
続皮膜化し、蒸気遮断部となり問題はない。 実施例 １ 塩化ビニリデンコート、二軸延伸ポリプロピレ
ンフイルム（20μ）とポリエチレン系微多孔シー
ト150μ（積水化学セルボアNW−01）をウレタン
系二液硬化型接着剤を用いて貼り合わせ、24時間
エージング後得られたシートを、温度19℃のエチ
ルアルコール40重量部、リンゴ酸10重量部、水60
重量部の混合液中に深度５cmで30分間浸漬後引き
上げ、東洋紙No.２にはさみ線圧500ｇ／cmのロ
ールで絞り、片面アルコール・リンゴ酸・水蒸気
揮散性シートを得た。吸液量は47ｇ／m²であつ
た。 このアルコール、リンゴ酸、水吸着含浸シート
を通気性面（微多孔シート側）を内面にしてイン
パルスシールし、寸法200×250ｍ／ｍの袋を作成
した。 シール強度はタテ方向1840ｇ／15mm、ヨコ方向
1400／15mmであつた。この袋の中に含水率32.0
％、水分活性0.93の生麺200ｇを入れインパルス
シールを行い密封し、カビの発生、ネトの発生及
び微生物の発生に基ずく炭酸ガスの濃度の変化を
調べた。 その結果を表１に示す。また同時に行なつた比
較例の結果も表１に示す。

【表】 以上のように本発明のシートを用いることによ
り種々の効果が得られる。 本発明のシートは、通常の圧力下で体積変化が
少ないので第５図ａ〜ｅのような形態で用いても
吸着、含浸した揮散性液状物質が包装した食品に
液状で直接接触することがないので、食品の味、
色合、風味に変化を与えない。 また本発明のシートを包装体の全面あるいは部
分的に使用または必要な部分のみから揮散するの
で、蒸気の揮散面積や揮散速度を包装食品毎に自
由に調整することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、本発明のシートの断面
図、第３図および第４図は、本発明の応用例の断
面図、第５図ａ〜ｅは、本発明のシートを用いた
包装体の例を示した説明図である。 １……基材、２……微多孔シート、３……通気
性層、４……剥離シート、５……蒸気遮断性層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基材上に、食品の保存効果を有する揮散性液
   状物質を吸着あるいは含浸したポリオレフインを
   延伸処理し、フイブリル化した表面及び横方向に
   連通した微多孔を有する多孔質体で、軟化点以下
   で通常の圧力で体積変化を伴わず、かつ多孔率が
   25〜95％の範囲である連続微多孔シートを設けた
   食品保存用シート。