JPH0155029B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はツーピースゴルフボールの製造方法に
関する。 従来からのゴルフボールの主流を占めている糸
巻きゴルフボールの致命的な欠点である耐久性の
悪さを改良するために開発された所謂ツーピース
ゴルフボールも、コア（内核）とカバー（外皮）
との間に充分な密着性を付与することが困難なた
めに、比較的早期に割れたり、反撥係数が低下す
るなど耐久性に関する難点を依然として払拭して
いない。 このような問題を改良するために、接着剤を用
いる方法およびコア表面をバフする方法等が提案
されているが、前者においてはコアの表面活性が
著しく低いために通常の接着剤を使用したのでは
コアとカバーの充分な接着性は得られず剥離を生
じやすく、また後者においてはバフの程度のばら
つきによつて均一な密着性が得難く耐久性に差が
生じる等の欠点がある。さらに、カバーをコアの
まわりにホツトメルト接着剤の様に溶融させて溶
着する方法も知られているが、充分な密着性を得
るに至つていない。 本発明の目的はコアとカバーの接着性を著しく
増大し、耐久性の優れたツーピースゴルフボール
を得るツーピースゴルフボールの製造方法を提供
することにある。 即ち、本発明は基材ゴム、不飽和脂肪酸の金属
塩、酸化亜鉛および架橋剤を含有する組成物を加
熱硬化して得られるコアを、アルカリ金属水酸化
物のアルコール溶液で処理し、水洗し、乾燥後、
不飽和脂肪酸系の接着剤を塗布し、次いでアイオ
ノマー樹脂を主材とするカバーで被覆することを
特徴とするツーピースゴルフボールの製造方法で
ある。 本発明に用いる基材ゴムとしてはポリブタジエ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、ハ
イスチレン樹脂等が例示されるが、ポリブタジエ
ンゴム、就中シス１，４―ポリブタジエンゴムが
好ましい。 本発明に用いる不飽和脂肪酸の金属塩としては
炭素原子数３〜８の不飽和脂肪酸、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、エタクリル酸等の亜鉛塩、
マグネシウム塩等が例示されるが、特にアクリル
酸亜鉛および／またはメタクリル酸亜鉛が好まし
い。 コアに最適硬度を付与するために使用する架橋
剤としては過酸化物、例えばジクミルパーオキサ
イド、の様な遊離基開始剤およびアゾ化合物、例
えばアゾビスイソブチルニトリル等が例示される
が、特にジクミルパーオキサイドが好ましい。 架橋剤の配合量は基材ゴム100重量部に対して
通常0.5〜４重量部であり、この範囲外の架橋剤
を使用ると最適硬度のコアは得難い。 本発明に用いるコア用組成物には上記成分の外
に重量調整剤として常套の充填剤、例えば硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム、シリカ等を適宜使用し
てもよい。 上記成分を配合して得られるコア用組成物は常
套の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール
等を用いて混練し、コア用金型に圧縮または射出
成形する。この成形体を適宜の温度で加熱硬化し
てコアとする。 以上のようにして製造されるコアはアルカリ金
属水酸化物のアルコール溶液で処理する。アルカ
リ金属水酸化物のアルコール溶液としては水酸化
ナトリウムまたは水酸化カリウムのメタノール溶
液、エタノール溶液等が例示されるが、特に水酸
化ナトリウムのメタノール溶液が好ましい。 アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液の濃度
は特に限定的ではないが、通常は５〜30重量％、
好ましくは10〜20重量％にするのが好ましく、濃
度が低すぎると本発明の効果は得難い。 前記アルコール溶液を用いるコアの処理方法と
しては、浸漬法、噴霧法等いずれであつてもよい
が、浸漬法が一般的で、通常約20〜50℃、好まし
くは25〜35℃の処理液に30〜90時間、好ましくは
40〜60時間浸漬する。 アルコール溶液で処理したコアは水洗し、乾燥
後、接着剤を塗布し、次いでカバーで被覆する。 本発明に使用する接着剤は３〜８個の炭素数を
有する不飽和脂肪酸共重合体であり不飽和脂肪酸
の含量としては、５重量％以上が望ましい。 コアを被覆するカバーはアイオノマー樹脂、例
えばハイミラン（三井ポリケミカル社市販品）お
よびコーポレン（旭ダウ社市販品）等を主材と
し、必要により着色等の目的で無機充填剤、例え
ば二酸化チタン、酸化亜鉛等を含有させてもよ
い。 好ましいアイオノマー樹脂はモノオレフインと
炭素原子数３〜８の不飽和モノカルボン酸または
ジカルボン酸およびそれらのエステルから成る群
から選択される少なくとも１種との重合体（不飽
和モレカルボン酸またはジカルボン酸および／ま
たはそれらのエステル４〜30重量部含有）に交叉
金属結合を付与した熱可塑性樹脂である。 カバーをコアに被覆する方法も特に限定的では
ないが、通常は予め半球殻状に成形した２枚のカ
バーでコアを包み圧縮成形る。また、前記カバー
用組成物を射出成形してコアを包みこんでもよ
い。 以上のようにして製造されるツーピースゴルフ
ボールは、従来の同種および製品において不十分
だつたコアとカバーとの密着性および耐久性を改
良したゴルフボールである。 以下、本発明の実施例と従来例とを比較して説
明する。 実施例 以下の配合処方により常法に従つてツーピース
ゴルフボール用コア（直径37mm）を調製した。 成 分 重量部 シス１，４―ポリブタジエン 100 アクリル酸亜鉛 30 亜鉛華 51 ジクミルパーオキサイド ２ 得られたコアを水酸化ナトリウム10重量部メタ
ノール溶液中で１時間浸漬前処理し、水洗後、乾
燥した。 前処理したコアをヒートロツクＣ―30（ダウケ
ミカル社市販品、EAAエマルジヨン（アクリル
酸含量20重量部）中に浸漬した後、100℃で10分
間、次いで120℃で20分間加熱処理し、これを常
法に従つて厚さ約2.2mmのアイオノマー樹脂製カ
バー（二酸化チタン2.0重量％含有）で被覆して
直径41.50mmのツーピースゴルフボールを作成し
た（ボール１）。 ボール１を７mmφの穴あけ機を用いてカバーを
打ち抜き、その部分を千枚通で剥離しようとした
ところ、カバーとコアとの接着が良好で剥離でき
ず、無理に剥離しようとしたところコアの材料破
壊が生じた。 また、ボール１を45m／ｓの速度で衝突板に30
回打ちつけた後、７mmφの穴あけ機を用いてカバ
ーを打ち抜き、その部分を千枚通しで除去しよう
としたところコアの材料破壊が生じた。 さらに、ボール１を45m／ｓの速度で衝突板に
30回打ちつけた後のボールの反撥係数（クラブヘ
ツドスピード45m／ｓ）の減少量を求め、結果を
表―１に示す。 さらにまた、ボール１を45m／ｓの速度で衝突
板に打ちつけた時、ボールが割れるまで打撃回数
を求め、その平均値（ｎ＝10）を表―１に示す。 比較例 実施例と同様の配合処方によつて調製したツー
ピースゴルフボール用コア（直径37mm）を、＃ 60
サイドペーパーで表面を均一にバフし実施例と同
様のカバーで被覆する（ボール２）、実施例と同
様の前処理液中に１時間浸漬後、水洗して乾燥し
実施例と同様のカバーで被覆する（ボール３）、
ヒートロツクＣ―30に浸漬し、100℃で10分間、
次いで120℃で20分間加熱し実施例と同様のカバ
ーで被覆る（ボール４）、および単に実施例と同
様のカバーで被覆る（ボール５）ことによつて４
種のツーピースゴルフボールを作成した。 ボール２〜５について、７mmφの穴あけ機を用
いてカバーを打ち抜き、その部分を千枚通しで除
去したところカバーとコアとの間には接着は認め
られず、カバーの取れにくさは、 ボール２＞ボール３＞ボール４＞ボール５ の順であつた。 また、ボール２〜５について、実施例と同様に
して反撥係数の減少量を求め、結果を表―１に示
す。 さらに、ボール２〜５について、実施例と同様
にしてボールが割れるまで打撃回数を求め、その
平均回数（ｎ＝10）を表―１に示す。

【表】 の場合も同一であつた。
2） 各ボールとも10個についての平均値。
本発明のツーピースゴルフボールの製造方法に
よれば、コアとカバーとの間の密着性が大きく増
大し、耐久性の優れたゴルフボールが得られる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基材ゴム、不飽和脂肪酸の金属塩、酸化亜
   鉛、および架橋剤を含有する組成物を加熱硬化し
   て得られるコアを、アルカリ金属水酸化物のアル
   コール溶液で処理し、水洗し、乾燥後、炭素数３
   〜８個よりなる不飽和脂肪酸共重合体系の接着剤
   を塗布し、次いでアイオノマー樹脂を主材とする
   カバーで被覆することを特徴とするツーピースゴ
   ルフボールの製造方法。 ２ 基材ゴムがシス１，４―ポリブタジエンゴム
   である第１項記載のツーピースゴルフボールの製
   造方法。 ３ 不飽和脂肪酸の金属塩がアクリル酸亜鉛およ
   び／またはメタクリル酸亜鉛である第１項記載の
   ツーピースゴルフボールの製造方法。 ４ 架橋剤がジクミルパーオキサイドである第１
   項記載のツーピースゴルフボールの製造方法。 ５ アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液が水
   酸化ナトリウムのメタノール溶液である第１項記
   載のツーピースゴルフボールの製造方法。 ６ アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液の濃
   度が５〜25重量％である第１項記載のツーピース
   ゴルフボールの製造方法。