JPH09168610A

JPH09168610A - ソリッドゴルフボール

Info

Publication number: JPH09168610A
Application number: JP7349136A
Authority: JP
Inventors: Atsushi Nakamura; 篤史仲村; Hisashi Yamagishi; 久山岸
Original assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Current assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Priority date: 1995-12-20
Filing date: 1995-12-20
Publication date: 1997-06-30
Also published as: US5779564A

Abstract

(57)【要約】【解決手段】ソリッドコアにカバーを被覆してなるソ
リッドゴルフボールにおいて、上記カバーのショアーＤ
硬度が４０〜５３度の範囲であり、かつボール重量が４
１〜４４．５ｇの範囲であることを特徴とするソリッド
ゴルフボール。【効果】低ヘッドスピードでの打撃に対して、良好な
飛距離、スピン特性、フィーリングを得ることができ、
初級者、レディース、シニアプレーヤ等の低ヘッドスピ
ードのプレーヤに好適なものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、ソリッドゴルフボ
ールに関し、特に比較的遅いヘッドスピードで打撃した
際の飛距離の増大、フィーリング及びスピン特性の向上
を図ることができ、初級者、レディース、シニアプレー
ヤ等の低ヘッドスピードのゴルフプレーヤに好適なソリ
ッドゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、飛距離の増大を図ると共に、良好な打感及びスピン
性能を向上させ得るようにゴルフボールを改良すること
は種々試みられており、ソリッドゴルフボールにおいて
も様々な提案がなされている。

【０００３】しかしながら、従来のソリッドゴルフボー
ルは、対象をヘッドスピードが４５ｍ／ｓｅｃ以上の速
いヘッドスピードのゴルファーに絞ったものが多く、必
然的に上級者レベルのプレーヤが使用した場合には飛距
離の増大や良好なフィーリングを得ることができるが、
ヘッドスピードの遅いプレーヤ、例えば、初級者、レデ
ィース、シニアプレーヤ等が同じゴルフボールを使用し
ても、インパクト時にボールに与える力が弱いため、ボ
ールの変形量が小さく、ヘッドスピードの依存性が大き
くなり、飛距離の増大や、良好なフィーリングが得れ
ず、特にドライバーやロングアイアンによるショット時
にボールを十分上げることができず、低弾道となり、飛
距離が十分に得られない場合がある。

【０００４】このため、低ヘッドスピードのプレーヤ向
けのゴルフボールとして、その反発効率を生かすために
コアの軟らかいボールが提供されている。これは低ヘッ
ドスピードのプレーヤではインパクト時にボールに与え
る力が小さく、硬いボールでは反発がとれないためであ
る。その上、上記ボールでは、コアが軟らかいためにボ
ール全体としての反発性を考慮すると硬いカバーを使う
しかなく、コアは軟らかくてカバーは硬いという構造を
有しており、カバーが硬いためにスピン特性が低下し、
特にサンドウェッジや７番アイアン等でのアプローチシ
ョット時のコントロール性が著しく低下するという問題
があった。

【０００５】従って、単にコアが軟らかいというだけで
は、必ずしも低ヘッドスピードのプレーヤに適している
ボールとは言えず、カバー硬度との関係を考慮した低ヘ
ッドスピードのプレーヤに最適なソリッドゴルフボール
の開発が望まれていた。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、低ヘッドスピードのプレーヤに適した弾道、飛び性
能を有すると共に、良好なスピン特性を備えアプローチ
ショット時のコントロール性に優れたゴルフボールを提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ね
た結果、以下の知見を得た。低ヘッドスピードの打撃に対しては、比較的軽量ボー
ルの方が重量効果を軽減し、球が上がり易く、飛距離の
増大が期待できる。低ヘッドスピードの打撃に対しては、比較的軟らかい
ボールである方が適している。即ち、低ヘッドスピード
の打撃では、インパクト時のボールに与える力が小さ
く、ボールが硬いとボールの変形量が小さくなり、反発
性が悪くなるのに対して、ボールが適度に軟らかけれ
ば、ボールの変形を反発力に変える効率が良く、飛距離
の増大に好影響を与える。更に上記の重量を軽くすることによって反発効率を
更に向上させることが可能となる。即ち、クラブヘッド
とボールとのインパクト時の関係は、図１に示したよう
に、クラブヘッドの重量をＷ_H、インパクト前のヘッド
スピードをＶ_H、インパクト後のヘッドスピードを
Ｖ_H’、ボール重量をＷ_B、インパクト後のボールの初速
をＶ_B、インパクト前のボール速度をＶ_B’とすると、ク
ラブヘッドとボールとの運動量の関係から下記式（２）
が得られ、一方反発の関係から下記式（３）が得られ
る。そして、これら式（２）及び（３）からボールの初
速Ｖ_Bを表す下記式（４）が得られる。つまり、ヘッド
スピードＶ_H、クラブヘッドの重量Ｗ_Hが一定の場合、ボ
ール重量Ｗ_Bが小さい方がボールの初速Ｖ_Bはアップす
る。

【０００８】

【数１】

【０００９】ボールを軟らかくする場合、コアとカバ
ーとからなるツーピース以上のソリッドゴルフボールで
は、ａ）コアを軟らかくすると、一般的には反発性が得られ
にくいため硬いカバーを用いることとなるが、この場
合、スピン特性、フィーリングに劣るものとなる。ｂ）上記ａ）の場合、ボールを軽量化することによって
充填剤の配合率が下がり、ゴム分率が向上して、反発性
の良好な軟コアが得られるため、軟らかいカバーを用い
ることができ、アプローチ時におけるスピン特性及びフ
ィーリングを向上させることができる。ｃ）一般的に軟カバー化はスピン量が増大し、飛距離の
低下につながると考えられるが、軟コアの領域ではカバ
ーの硬さ（軟らかさ）がスピンに与える影響は小さく、
カバーを比較的軟らかくしても飛距離の低下を招くこと
はない。

【００１０】本発明者らは、上記知見〜に基づき、
コアとカバーとからなる軽量ソリッドゴルフボールにお
いて、アプローチ時におけるスピン特性、フィーリング
を向上させ、かつ低ヘッドスピードでの打撃に対しての
反発特性を向上させて飛距離の増大を図ることができる
カバー硬度とコア硬度との関係について更に検討を進め
た結果、コアとカバーとからなり、ボール重量が４１〜
４４．５ｇである軽量ソリッドゴルフボールにおいて、
カバーのショアーＤ硬度が４０〜５３度の範囲であり、
ソリッドコアの硬度が１００ｋｇ荷重負荷時のたわみ量
で２〜５ｍｍとなるように、カバー硬度とコア硬度とを
調整することにより、良好なスピン特性、フィーリング
が得られると共に、低ヘッドスピードでの打撃に対して
良好な反発性を得ることができ、効果的に飛距離の増大
を図ることができ、サンドウェッジや７番アイアン等で
のアプローチショット時におけるコントロール性に優れ
たゴルフボールが得られることを見い出し、本発明を完
成するに至ったものである。

【００１１】従って、本発明は、ソリッドコアにカバー
を被覆してなるソリッドゴルフボールにおいて、上記カ
バーのショアーＤ硬度が４０〜５３度の範囲であり、か
つボール重量が４１〜４４．５ｇの範囲であることを特
徴とするソリッドゴルフボールを提供するものである。

【００１２】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明は、上述したように、ソリッドコアとこれを被覆
するカバーとからなる軽量ソリッドゴルフボールのカバ
ー硬度とコア硬度との関係を適正化し、低ヘッドスピー
ド打撃でのフィーリング、飛距離の増大を達成できると
共に良好なスピン特性を備え、アプローチショット時の
コントロール性の向上を図ったものであり、重量が４１
〜４４．５ｇの範囲にある軽量ソリッドゴルフボールの
カバーのショアーＤ硬度が４０〜５３度の範囲であり、
ソリッドコアの硬度が１００ｋｇ荷重負荷時のたわみ量
で２〜５ｍｍとなるように調整したものである。

【００１３】本発明のソリッドゴルフボールでは、上述
のように、ボール重量を４１〜４４．５ｇとしたもので
あり、より好ましくは４２〜４４ｇとするものである。
この場合、ボール重量が４１ｇより軽いとボールが上が
り過ぎて風の影響を受けやすくなり、慣性モーメントも
小さく、十分な飛距離が得られない場合がある。一方、
４４．５ｇを超えると従来のツーピースソリッドゴルフ
ボールと大差がなくなり、低ヘッドスピードでの打撃に
対して良好な性能が得られず、本発明の趣旨に反するも
のとなる。

【００１４】また、本発明のソリッドゴルフボールは上
記ボール重量の条件を満たした上で、カバーのショアー
Ｄ硬度が４０〜５３度、特に４３〜５３度となるように
調整したものである。カバーのショアーＤ硬度が４０度
より小さくなると、カバーが軟らかくなり過ぎ、初速度
がとれなくなり飛距離が十分に得られなくなる。一方、
ショアーＤ硬度が５３度を超えると、耐久性、スピン性
能が悪くなりアプローチショット時のコントロール性が
低下する場合がある。なお、カバーの厚さは、適宜設定
することができ、特に制限されるものではないが、通常
は１．４〜２．６ｍｍ、特に１．６〜２．３ｍｍである
ことが好ましい。

【００１５】また、ソリッドコアの硬度は、特に制限さ
れるものではないが、１００ｋｇ荷重負荷時のたわみ量
で２〜５ｍｍ、特に２．５〜４．７ｍｍの範囲であるこ
とが好ましい。このたわみ量が２ｍｍ未満であるとコア
が硬すぎるためフィーリングが悪くなり、低ヘッドスピ
ードでの打撃に適したボールとならない場合がある。一
方、５ｍｍを超えると、コアが軟らかくなり、耐久性に
問題がでてくる。なお、ソリッドコアの直径、重量、比
重等は、特に制限されず本発明の目的を達成し得る範囲
で適宜調整することができるが、通常は直径３８〜４０
ｍｍ、特に３８．２〜３９．７ｍｍ、重量２４〜３７
ｇ、特に２５〜３５ｇとすることができる。

【００１６】本発明のソリッドゴルフボールは、上記の
ように、ソリッドコアをカバーで被覆してなるソリッド
ゴルフボールであり、ツーピースソリッドゴルフボール
やコア又はカバーが複数層で形成されたスリーピースソ
リッドゴルフボール等のマルチピースソリッドゴルフボ
ールであってもよいが、特に本発明の効果がより発揮さ
れるのはツーピースソリッドゴルフボールである。

【００１７】本発明のソリッドゴルフボールにおいて、
上記ソリッドコアの材質、製法等に制限はなく、上述し
たゴルフボール特性を達成できる限り、いずれの材料、
製法によって形成してもよい。

【００１８】更に詳述すると、上記本発明のゴルフボー
ルに用いられるソリッドコアは通常の方法により、加硫
条件、配合比等を調節することにより得られるゴム組成
物を用いることができる。通常、コアの配合には基材ゴ
ム、架橋剤、共架橋剤、不活性充填剤等が含まれる。こ
の場合、基材ゴムとしては従来からソリッドゴルフボー
ルに用いられている天然ゴム及び／又は合成ゴムを使用
することができるが、本発明においては、シス構造を少
なくとも４０％以上有する１，４−ポリブタジエンゴム
が特に好ましい。この場合、所望により該ポリブタジエ
ンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエ
ンゴム等を適宜配合してもよい。また、架橋剤としては
ジクミルパーオキサイドやジ−ｔ−ブチルパーオキサイ
ドのような有機過酸化物等が例示されるが、特に好まし
くはジクミルパーオキサイドである。また、共架橋剤と
しては特に制限されず、不飽和脂肪酸の金属塩、特に、
炭素原子数３〜８の不飽和脂肪酸（例えばアクリル酸、
（メタ）アクリル酸等）の亜鉛塩やマグネシウム塩が例
示されるが、アクリル酸亜鉛が特に好適である。なお、
架橋剤の配合量は適宜設定され、通常は基材ゴム成分１
００重量部に対して、５〜４０重量部程度とされる。更
に、不活性充填剤としては酸化亜鉛、硫酸バリウム、シ
リカ、炭酸カルシウムおよび炭酸亜鉛等が例示される
が、酸化亜鉛、硫酸バリウムが一般的であり、その配合
量はコアとカバーの比重、ボールの重量規格等に左右さ
れ、特に限定されないが、通常は基材ゴム１００重量部
に対して０〜３０重量部である。なお、本発明において
は上記架橋剤や酸化亜鉛、硫酸バリウム等の充填剤の配
合割合を適宜調整することにより最適なコアの硬度及び
重量を調整することができる。

【００１９】上記成分を配合して得られるコア用組成物
は通常の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール等
を用いて混練し、コア用金型で圧縮又は射出成形し、成
形体を架橋剤及び共架橋剤が作用するのに充分な温度
（例えば架橋剤としてジクミルパーオキサイドを用い、
共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いた場合には約１３
０〜１７０℃）で加熱硬化してソリッドコアを調製す
る。

【００２０】本発明のゴルフボールにおいて、上記コア
を被覆する上記カバーとしては特に制限されず、公知の
カバー材料を用いて形成することができ、具体的にはア
イオノマー樹脂を主材として形成することが好ましい
が、この場合上述のボール特性を得るため、２種以上の
アイオノマー樹脂を組合わせて用いることもできる。ま
た、アイオノマー樹脂に二酸化チタン、硫酸バリウム、
ステアリン酸マグネシウム等を添加して、比重、硬度を
調整することができる。更に、必要に応じてＵＶ吸収
剤、酸化防止剤、金属石鹸等の分散助剤などを添加する
こともできる。なお、カバーをソリッドコアに被覆する
方法は特に制限されず、通常は予め半球殻状に成形した
２枚のカバーでコアを包み、加熱加圧成形するか、カバ
ー用組成物を射出成形してコアを包みこんでもよい。

【００２１】このようにして得られたゴルフボールは、
常法に従って上記カバー表面にディンプルを形成するこ
とができ、また成形した後、その表面に対しバフ研磨、
塗装、スタンプ等の完成作業を行うことができる。

【００２２】本発明のソリッドゴルフボールは、以上の
構成を有し、ソリッドコアの直径及びカバーの厚さは、
上述の直径及び厚さとすることができるが、ボール全体
の硬度、直径等は特に制限されないが、硬度は１００ｋ
ｇ荷重負荷時のたわみ量で１．８〜５．５ｍｍ、特に
２．０〜５．０ｍｍであることが好ましく、直径はゴル
フボール規則に従い、スモールサイズの場合には直径４
１．１５ｍｍ以上、ラージサイズの場合には直径４２．
６７ｍｍ以上とすることができる。

【００２３】本発明のソリッドゴルフボールは、上述の
ように、低ヘッドスピードのプレーヤに適したものであ
るが、ここで低ヘッドスピードとは、クラブとしてドラ
イバー（＃Ｗ１）を用いた場合のヘッドスピードが４０
ｍ／ｓｅｃ以下の場合をいい、本発明はこのような低ヘ
ッドスピード、特にヘッドスピードが４０ｍ／ｓｅｃ程
度のプレーヤに最適なゴルフボールである。

【００２４】

【発明の効果】本発明のソリッドゴルフボールは、軽量
のソリッドゴルフボールにおいて、そのソリッドコアの
硬度とカバーの硬度との関係を低ヘッドスピードの打撃
に対して最適な関係に適正化したものであり、これによ
り低ヘッドスピードでの打撃に対して、良好な飛距離、
スピン特性及びフィーリングを得ることができ、初級
者、レディース、シニアプレーヤ等の低ヘッドスピード
のプレーヤに好適なものである。

【００２５】

【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。

【００２６】［実施例、比較例］表１の配合処方による
ソリッドコア用ゴム組成物を混練ロールを用いて混練
し、モールド中で１５５℃で約２０分間加硫して、ソリ
ッドコアを形成した。このソリッドコア上に表１の組成
のカバー組成物を射出成形にて被覆し、表１に示した７
種のゴルフボールを製造した。

【００２７】なお、得られたボールのディンプルは大小
２種類による８面体配列とし、表面積占有率Ｓｒを６５
±３％となるように設けたが、必ずしもこれに限定され
るものではない。

【００２８】

【表１】

【００２９】次に、得られたゴルフボールにつき、下記
方法により飛び性能、スピン特性及び打感を評価した。
結果を表２に示す。飛び性能スイングロボットにより、クラブはドライバー（＃Ｗ
１）を用いて、ヘッドスピード３５ｍ／ｓｅｃでショッ
トした時のキャリー、トータル、アングルを測定した。スピン特性スイングロボットを用い、サンドウェッジ（＃ＳＷ）で
ヘッドスピード１９ｍ／ｓｅｃでショットし、及び７番
アイアン（＃７Ｉ）でヘッドスピード３０ｍ／ｓｅｃで
ショットし、インパクト直後のボール挙動を写真撮影
し、写真解像によりスピン量を測定した。打感ヘッドスピード３５ｍ／ｓｅｃのアマチュアプレーヤ５
名により、実打したときの感触を下記基準により評価し
た。 ◎：非常に軟らかい ○：軟らかい △：やや硬い

【００３０】

【表２】

【００３１】表２の結果から、比較例１はボール重量が
重いために飛距離が伸びない上、打感及びスピン特性も
必ずしも満足し得るものではなく、比較例２はカバーが
硬すぎてスピンがかかりにくく、打感が硬く、飛距離も
十分なものではなかった。また、比較例３はコアが軟ら
かすぎて、打感は良好ではあるがコア硬度とカバー硬度
とのバランスが悪いためにボール重量が同じ実施例３に
比べスピン特性が十分なものではなく、飛距離が劣るも
のである。これに対して、本発明のゴルフボールは（実
施例１〜４）はいずれも低ヘッドスピード（３５ｍ／ｓ
ｅｃ）での打撃にもかかわらず、飛距離の増大が達成さ
れ、かつ良好なスピン特性、打感を有することが認めら
れた。

【図面の簡単な説明】

【図１】クラブヘッドとゴルフボールのインパクト前後
の状態を示す模式図であり、（ａ）はインパクト前、
（ｂ）はインパクト後を示す。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ソリッドコアにカバーを被覆してなるソ
リッドゴルフボールにおいて、上記カバーのショアーＤ
硬度が４０〜５３度の範囲であり、かつボール重量が４
１〜４４．５ｇの範囲であることを特徴とするソリッド
ゴルフボール。
【請求項２】ソリッドコアの硬度が１００ｋｇ荷重負
荷時のたわみ量で２〜５ｍｍである請求項１記載のソリ
ッドゴルフボール。