JPH0148500B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、電気泳動により体液中に含まれる蛋
白を分離測定するためのアガロースゲル等の支持
体を収納するセルに関するものであり、自動化さ
れた分析装置における使用に適し、高精度の測定
が行えるようなセルを提供する。

従来、電気泳動を用いて体液中に含まれる各種
蛋白を分離するための支持体としては、寒天、ア
ガロース等のゲルを合成樹脂製のフイルムがガラ
ス板等の上に、所定厚味の層に形成し、所定の位
置に血清等の検体を注入する検体穴を設けて検体
を注入し、電気泳動を行う泳動槽に設置し、、両
端をバツフア（緩衝液）を含浸させたスポンジ等
のブリツジにより電極を設置したバツフアタンク
（緩衝液槽）から給電せしめ泳動を行つていた。

近年、プラスチツクフイルム上にゲル層を形成
せしめ、電気泳動時にフイルムとゲル層を同時に
わん曲せしめ、両端を電極を設置したバツフアタ
ンク中に直接浸漬せしめてゲルに給電する泳動方
式などが用いられている。

しかしながら、検体穴への自動分注が分離物質
の自動読み取りなどを行う装置を用いるために
は、従来のスポンジ等によるブリツジやゲルをわ
ん曲して用いる方式は取扱いに手間がかかるため
不適当である。本発明による支持体セルは自動化
された装置に用いて取扱いが著しく便利でその効
果を発揮し、さらに従来の用手法による泳動装置
に用いても高精度の電気泳動を行い得る支持体セ
ルを提供する。

すなわち、本発明は泳動支持体であるゲルを収
納する容器本体と、この容器本体の長手方向両端
部に垂設せしめた脚部と、容器本体の長手方向と
直交方向の両端側に偏在設置せしめた複数の開口
と、脚部の中央付近にあつてこの脚部の開口と開
口との間を隔絶してなる封止部と、を備えたこと
を特色とする電気泳動装置の支持体セルを提供す
るものである。

本発明の実施例に関する添付図に従い以下詳述
する。

第１図および第２図において、１は容器本体で
あり、２はゲル層、３は脚部、４は脚部の底部に
設けた開口、５は周回状の段でありこの面に蓋を
のせるためのものであり、６は上端縁であり、７
は位置設定用の穴、８は位置設定用の切り欠きで
ある。さらに、９は底部に設けた補強板であり、
これは電気泳動時の発熱による容器本体１のゆが
みを防止するためのものである。

泳動装置には通常上端縁６または段５の外側下
辺で支えられ、上端縁６に設けられた穴７と切欠
き８で所定の位置決めがなされて設置される。

ゲル層２は、容器本体１の底部１０からの厚み
が一定になるようにし、脚部３の開口表面４まで
充填される。

脚部３の開口４は、脚部３の底辺全域にわたる
のではなく、脚部３の長手方向の中央付近におい
て封止せられ、両端に偏つているが、これは単に
脚部の強度を増すためだけのものではなく、これ
を適切な寸法に取ることにより、非常に大きな効
果が得られる。すなわち、脚部中央の封止部１１
を除去し、全域にわたつて開放して電気泳動を行
うと、泳動電流によりジユール熱が発生するが、
両端部においてはこれらの部位の外気にる冷却に
より熱の放散が生じ、中央部のみ高温となるとい
つた温度ムラが生ずる。

この温度ムラは、ゲル層内における各成分の易
動度に重大な影響を与え、分画された像は、例え
ばアルブミンでは高温の中央部分にいく種易動度
が大きいためと平面的にみると凸にわん曲し、測
定結果が中央部と両端部とでまつたく異なるとい
つた不都合な現象が生ずる。このため正確な成分
分離や定量が不可能となる。

このような難点を解消するためには、容器本体
中央部の電流密度を補正することによりゲル層全
面にわたつて温度ムラをなくすことが最も効果的
である。

本実施例においては、ゲル層の厚みを脚部３を
含む全域にわたつて２mmとしまたゲル層の幅を70
mm、長さを100mmとし、外気温度を30℃、泳動電
流を20mAとした時は、容器本体１中央部両端の
封止部１１の長さを10〜15mm即ち脚部断面積に対
する封止部の面積をほぼ10数パーセントから20パ
ーセントにすることによつて泳動面全域にわたつ
て均一な、わん曲のない分画像が得られる。

また、脚部３の開口４の面積が小さく、単位面
積当りの電流密度が大きいと、ゲル層とバツフア
との接触部位において気泡が発生し、これもやは
り電流密度のムラが生じ、均一な分画像が得られ
なくなることがある。

これを防止するために、第３図、あるいは第４
図に示すように、開口端４を斜めにカツトするか
あるいはクサビ状４′にすることにより、発生し
た気泡が容易に開口端４から離脱し上昇するよう
になるし、また表面積が大きくなり単位面積当り
の気泡の発生密度が小さくなるという効果があ
る。

また、前述した両端の電流密度を大きくしゲル
層の温度を均一化させる別の実施例として、第５
図に示すように脚部３の開口４′を三角形のクサ
ビ形にするとともにこれと相補的な形状の封止部
１１′を設けることによつても、同様な効果が得
られる。これは、外気温度が30℃よりもさらに低
い場合には、より効果的である。

また、容器本体１の底部１０の外側に、熱伝導
度の大きいアルミニウム等の金属層１２を蒸着あ
るいは接着等で固定することにより泳動電流に伴
う発熱の放散を良好にし温度ムラを防止すること
ができこれもまた同様に効果的である。なお、ア
ルミニウム等の金属層１２は、直接導電するため
に、その全表面をさらに非導電性物質で被覆し、
金属層１２を通じて電流が流れないようにするこ
とが必要である。

いずれにしても、容器本体１の底部を均一な温
度分布にすることは、ゲル層内の易動度にムラを
なくし分画像の形成を成分ごとに忠実なものにす
るのに非常に効果的である。

第７図には、実際に電気泳動を行う際の実施例
が示してさり、電極１３およびバツフア１４を収
納するバツフアタンク１５の液面下に開口４が浸
漬されるように支持体セル１を設置して電気泳動
を行う。

以上のように本発明の支持体セルを用いること
により、泳動ムラや、気泡による泳動速度の遅延
が防止される。又、従来の用手法に、本発明の支
持体セルを用いても非常に効果的であることは言
う迄もない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明支持体セル実施例の平面図であ
り、第２図は側断面図であり、第３図から第６図
は異型実施例の説明図である。第７図は本実施例
の支持体セルを用いて電気泳動を行う際の実施例
の説明図である。 １…容器本体、２…ゲル、３…脚部、４，４′
…開口、１１，１１′…封止部、１２…熱伝導性
材料。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 泳動支持体であるゲルを収納する容器本体
   と、該容器本体の長手方向両端部に垂設せしめた
   脚部と、前記容器本体の長手方向と直交方向に前
   記脚部の両端側に偏在設置せしめた複数の開口
   と、前記脚部の中央付近にあつて前記脚部の前記
   開口と開口との間を隔絶してなる封止部と、を具
   備したことを特徴とする電気泳動装置の支持体セ
   ル。 ２ 特許請求の範囲１記載の支持体セルにおい
   て、前記脚部の開口の開口面積に対する前記封止
   部の面積の大きさが10数ないし20％程度になした
   ことを特徴とする前記支持体セル。 ３ 特許請求の範囲１または２記載の支持体セル
   において、前記脚部の開口端が斜切されまたは楔
   形に斜切されてなることを特徴とする前記支持体
   セル。 ４ 特許請求の範囲１ないし３のいずれかに記載
   の支持体セルにおいて、前記脚部の開口がセル中
   央に向つて先細になつたクサビ形または三角形状
   をなしたことを特徴とする前記支持体セル。 ５ 特許請求の範囲１記載の支持体セルにおい
   て、該セルの容器本体底部裏面に熱伝導性の良好
   な材料を展設してなることを特徴とする前記支持
   体セル。 ６ 特許請求の範囲１記載の支持体セルにおい
   て、前記容器本体上面に蓋を被せ、該蓋の上面に
   対向したフツクを突設してなることを特徴とする
   前記支持体セル。