JPH0146796B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、高炉、キユーポラ、竪形石灰焼成炉
等の大形工業炉における炉壁の損耗部を熱間補修
する際に使用する耐火材吹付装置に関する。

（従来の技術） 上記のような大形工業炉において、炉壁の耐火
物が部分的に脱落するなど損耗した場合、炉を完
全に停止して温度が下がつた後に作業員が炉内に
入つて補修するのでは、温度が下がる間の待時間
が長くかかるとともに、補修後の温度上昇に多大
なエネルギーを必要とし、経済効率が極めて悪
い。従つて、炉の温度を下げずに、炉内に吹付ノ
ズルを挿入して、耐火物を損耗箇所に吹き付けて
熱間補修する方法が採られている。しかしなが
ら、炉が大形である上、損耗箇所が炉の下部で、
炉の上部に設けられたマンホールから非常に深い
位置にあるときは、吹付ノズルの挿入長さが長く
なるため困難を伴う。

従来の一般的な方法としては、炉の上部に設け
られた対向するマンホール間に堅牢な鉄製の梁を
掛け渡し、その中央部から、先端に吹付ノズルを
取付けた伸縮可能ないわゆるマストを炉内に垂下
し、そのマストを適宜伸ばして吹付ノズルを補修
箇所に対向させて耐火物を吹き付け、補修するよ
うにしていた。しかしこの方法は、装置が非常に
大掛かりで、炉に設置すること自体が大変であ
る。

そこで本発明者は、先に、炉の上部に設けたマ
ンホール等の開口部から長い管の先端に吹付ノズ
ルを取付けた長尺のノズル体を差し込み、このノ
ズル体を安定して保持するとともに、吹き付けノ
ズルを水平方向に自在に揺動させることができる
ノズル体釣支装置を提案した（実願昭61−87758
号参照）。この装置を使用することにより、従来
のように大掛かりにならず、簡単に、低コストで
熱間吹付補修が可能になつた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、補修箇所が炉の最深部になる
と、差し込むノズル体も非常に長くなり、その自
重によつて折損、あるいは座屈を生じる危険性が
ある。また、ノズル体が垂直に近く立つてしまう
ので、操作が困難になるという問題が生じてき
た。

本発明は、上記問題点を解消するもので、補修
箇所がいかに深部であつても、装置の破損等は起
きず、またノズルを補修箇所に適確に対向させ、
吹付が容易に実施し得るようにした工業炉の熱間
吹付補修用耐火材吹付装置を提供するものであ
る。

（問題点を解決するための手段） 炉外の耐火材供給装置から炉の上部のマンホー
ルを経て炉内へ延びたホースの先端が連結された
吹付ノズルと、この吹付ノズルの上面に配設され
互いに90度異なる方向を向く少なくとも２つの滑
車と、それぞれ一端が固定され他端がウインチに
セツトされ、炉の上部から下がつて前記少なくと
も２つの滑車に掛けられ、上から見て略十字に張
設されて前記吹付ノズルを釣支する少なくとも２
本のワイヤとから構成される。

（作用） 上から見て略十字に張設された少なくとも２本
のワイヤで釣支された吹付ノズルは、その自重に
より滑車部が常に十字の中心部に位置し、少なく
とも２つのウインチを連動させてワイヤを繰り出
せば、吹付ノズルは炉の下方へ移動し、逆にワイ
ヤを巻き上げれば、吹付ノズルは炉の上方へ移動
する。従つて補修箇所がいかに炉の深部であつて
も、ウインチの操作のみで移動させ、吹付ノズル
を容易に補修箇所に対向させることができる。

（実施例） 以下、図面を参照して実施例を詳細に説明す
る。第１図は、本発明の一実施例を示したもの
で、２本のワイヤ吊りの場合を示す。１は工業
炉、２はその内壁で、耐火物でできている。３は
耐火壁が損耗した要補修箇所である。４は炉の側
壁上部に設けられたマンホール、５は炉の上部に
設けられた観測窓等の開口部である。６は吹付ノ
ズルで、図示しない炉外の耐火材供給装置からマ
ンホール４を経て炉内へ延びたホースの先端が連
結されている。８は、第３図に示したように、ノ
ズルの上部に配置され互いに90度異なる方向を向
く２つの滑車８ａと８ｂを備えた滑車ブロツクで
あり、この滑車ブロツク８とノズル６との間に、
滑車ブロツクに対して吹付ノズルが水平方向に回
動可能なように回動軸９が設けられている。

さらに、第１図の１０ａ，１０ｂは、それぞれ
一端がＲで固定され他端がウインチ１１ａ，１１
ｂにセツトされ（第２図参照）、炉の上部の開口
部５を通つて下がり、２つの滑車８ａ，８ｂに掛
けられ、上から見て略十字に張設されて吹付ノズ
ル６を釣支する２本のワイヤである。また１２
は、第３図に示したように、回動軸９に固着され
たスプロケツト１３に掛けられ、マンホール４を
経て炉外に導かれ、炉外で操作することによりノ
ズル６を水平方向に回動する、揺動操作用のワイ
ヤである。なお、第３図において、１４は水供給
用のホーム、１５はバランスウエイト、１６は滑
車である。

次に、本実施例の動作を説明する。上から見て
略十字に張設された２本のワイヤ１０ａ，１０ｂ
で釣支された吹付ノズル６は、その自重により滑
車ブロツク８部が常に十字の中心部（ここでは炉
の中心部）に位置する。そして、２つのウインチ
を連動させてワイヤを巻き上げ、あるいは繰り出
すことにより、吹付ノズルは炉の中心部で上下す
る。従つてウインチを操作してノズルを要補修箇
所３に対向させ、耐火物の吹付を行なう。この場
合、揺動操作用のワイヤ１２を炉外において手動
（ハンドル）操作あるいは機械により操作すれば、
ノズルは水平方向に揺動し、所定の範囲を吹付施
工することができる。なお、バランスウエイト１
５は、ノズル６を略水平に保持するためと、耐火
物を噴射する際の反動を少なくするためのもので
ある。

第４図は、滑車部の他の実施例を示したもの
で、同一方向を向く１組４個の滑車を、回動軸９
を中心に所要の間隔をおいて配置し、ワイヤ１０
ａ，１０ｂをそれぞれ二重掛けにしたものであ
る。このようにすると、吹付ノズルの釣支がより
確実になり、また、吹付ノズルの向きの変更や揺
動に対して滑車側が十分安定する。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、 少なくとも２つの滑車と、上から見て十字に
張設された少なくとも２本のワイヤとを組み合
わせて吹付ノズルを釣支するという簡単な構成
で、装置が大掛かりにならず、ウインチの操作
で吹付ノズルを容易に昇降させ、炉の深部にお
ける要補修箇所にも適確に対向させることがで
きる。

従来のマスト式装置で、吹付ノズルの揺動に
エアモータあるいは油圧モータを使用してお
り、炉内が高温雰囲気であるためトラブルを起
こし易かつたが、本発明では、回動軸、スプロ
ケツト、滑車、ワイヤという簡単な部品のみで
構成されているので故障等の心配がなく、しか
も炉外で自在に操作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例の構成図、第２図
は、同ワイヤの張設を上から見た図、第３図は、
吹付ノズル周辺の詳細構成図、第４図は、本発明
の他の実施例の滑車部の構成図である。 １……工業炉、３……要補修箇所、４……マン
ホール、６……吹付けノズル、７……ホース、８
……滑車ブロツク、９……回動軸、１０ａ，１０
ｂ……ワイヤ、１１ａ，１１ｂ……ウインチ、１
２……揺動操作用ワイヤ、１３……スプロケツ
ト、１５……バランスウエイト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 炉外の耐火材供給装置から炉の上部のマンホ
   ールを経て炉内へ延びたホースの先端が連結され
   た吹付ノズルと、該吹付ノズルの上面に配設され
   互いに90度異なる方向を向く少なくとも２つの滑
   車と、それぞれ一端が固定され他端がウインチに
   セツトされ、炉の上部から下がつて前記少なくと
   も２つの滑車に掛けられ、上から見て略十字に張
   設されて前記吹付ノズルを釣支する少なくとも２
   本のワイヤとからなり、前記ウインチを連動させ
   ることにより前記吹付ノズルを上下に変位自在に
   したことを特徴とする工業炉の熱間吹付補修用耐
   火材吹付装置。 ２ 前記吹付ノズルと少なくとも２つの滑車との
   間に、滑車に対して吹付ノズルが水平方向に所要
   の角度だけ回動可能な回動軸を有し、かつ炉外か
   ら操作可能で、前記吹付ノズルを回動させる手段
   を備えていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の工業炉の熱間吹付補修用耐火材吹付装
   置。