JPH11279606A - 高炉の炉内壁補修装置 - Google Patents

高炉の炉内壁補修装置

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JPH11279606A
JPH11279606A JP8177698A JP8177698A JPH11279606A JP H11279606 A JPH11279606 A JP H11279606A JP 8177698 A JP8177698 A JP 8177698A JP 8177698 A JP8177698 A JP 8177698A JP H11279606 A JPH11279606 A JP H11279606A
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furnace
wall
repair
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blast furnace
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JP8177698A
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Yoshihisa Nakamura
義久 中村
Nobuhiro Otsu
信弘 大津
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い施工効率で炉内壁耐火物凹凸部の劣化部
分や付着物を高精度で、はつり除去・平滑化できるとと
もに、損傷部の耐火物を補修でき、炉内への取り込み取
り出しが容易な小型で軽量な高炉の炉内壁補修装置を提
供する。 【解決手段】 高さ調整可能な吊り下げ機構と該吊り下
げ機構に吊り下げられた水平旋回駆動機構を有し、該水
平旋回駆動機構に伸縮可能な懸垂フレームを吊持し、該
懸垂フレームの先端に補修装置を配設する。あるいは、
ベルレス高炉の炉内を旋回・傾動する分配シュートに係
止・固定した昇降駆動装置に伸縮可能な懸垂フレームを
吊り下げ、該懸垂フレームの先端に補修装置を配設す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉の炉内壁の付
着物もしくは炉内壁耐火物のはつり除去・平滑化ならび
に炉内壁耐火物の補修に用いる高炉の炉内壁補修装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】高炉の炉内壁は、一般的に冷却盤または
ステーブと耐火煉瓦との組み合わせからなり、シャフト
上部の炉内壁は、温度的に低い条件にあり、炉体の過冷
却を防止するため、約600〜800mm程度の厚みの
シャモット質あるいは高アルミナ質煉瓦で内張りされて
いる。
【0003】高炉シャフト上部の炉内壁に付着物が付着
し成長すると、炉内の還元ガスが偏流を起こして適正な
還元作用を果たせなくなり、炉操業が不安定になり易
い。
【0004】また、高炉の炉内内張り耐火物は、鉱石等
原料の降下および接触による損耗のほか、炉内の熱負荷
変動、浸食性ガスアタックによって亀裂、剥離が生じ、
損耗、消失が生じ易い。この炉壁の損耗は、均一に進行
するものではなく、周方向、高さ方向位置によって異な
り、炉内プロフィルが周方向や高さ方向で不均一とな
り、コークスと焼結鉱の混合層が発生するばかりでな
く、炉内還元ガスの流れも不均一となる等操業上大きな
問題となる。また、炉壁の損傷部では、鉄皮にホットス
ポットを生じ、変形、亀裂等の発生原因となり、炉体寿
命を短縮させる大きな原因となる。
【0005】従来、高炉炉壁煉瓦の損耗した部分の補修
は、休風時減尺して炉内損傷部に不定形耐火物を吹き付
けたり、予め焼成した耐火物パネルを炉内損傷部に取り
付けたり、あるいは炉外側から不定形耐火物を圧入した
りして炉内プロフィルの維持に努めてきた。しかしなが
ら、従来のこれらの補修では、炉内損傷部の残存煉瓦凹
凸面の耐火物や付着物を十分除去しないで不定形耐火物
を吹き付けたり、耐火物パネルを取り付けるため、長時
間に亘って炉内プロフィルを維持することができず、補
修工事を繰り返しながら操業を続けていた。
【0006】また、他の補修方法としては、水冷パイプ
と鋼製フレームを組み合わせて一体の構造とし、これら
パイプとフレームとの間に高い熱伝導率を有する耐火物
を充填し、かつ一方の面に断熱耐火物を張り合わせた耐
火物の機能と冷却機能とを併せ持つ高炉補修用の水冷型
耐火物パネルを炉内面より離して取り付け、該水冷型耐
火物パネルと炉内面との隙間に高接着性不定形耐火物を
流し込み充填する方法が提案されているが、炉内壁損傷
部の残存煉瓦凹凸面の耐火物や付着物を巻き込んだまま
不定形耐火物の圧入が行われるため、残存煉瓦と水冷型
耐火物パネルの背面との空隙部は、不純物、異物を巻き
込んだ圧入・充填層となり、緻密で気孔率の低い性状の
ものが得られ難く、操業中にこの圧入・充填部に裏風が
通り易く、耐久性に問題がある。
【0007】この対策としては、炉内壁損傷部の残存煉
瓦凹凸面の耐火物や付着物を除去・平滑化したのち、上
記水冷型耐火物パネルなどを取り付ける必要がある。さ
らに、炉内壁に付着物が発生した場合は、早急に除去す
ることが操業上必要である。
【0008】このため、高炉等の炉内壁損傷部の残存煉
瓦凹凸部や付着物を除去する装置として、旋回装置を取
り付けた支持梁を開口した炉頂マンホールに装入して配
置すると共に、上記旋回装置の旋回部材にビットを取り
付けたロッドを昇降自在に懸垂させ、かつ上記ビットを
鉄皮の開口部より装入した連結部材を介して駆動装置に
連結した装置(特公昭60−43405号公報)や、移
送機構によって炉の表面に沿って移動するフレームに、
耐火物を加熱するバーナと、耐火物に機械的打撃を付与
するブレーカと、これらバーナおよびブレーカの作動を
制御する制御装置とを設けた装置(特開平3−2635
90号公報)等が提案されている。
【0009】高炉等の炉内壁損傷部の補修装置として
は、不定形耐火物吹き付けノズル保持フレームの上端を
ベルレス高炉の原料装入用分配シュートに係止して炉内
を補修する高炉の内壁補修装置において、該吹き付けノ
ズル保持フレームの上下方向に沿って、該ノズルを案内
して昇降させる上下走行台車装置を備えた装置(特開平
4−136110号公報)が提案されている。
【0010】本発明者らは、特開平7−316614号
公報で、高さ調整可能な吊り下げ機構と、該吊り下げ機
構に吊り下げられた両端に伸縮可能な伸縮アームを有す
る懸垂フレームと、該懸垂フレームの中央部に旋回可能
に吊持した、先端に補修装置を配設した旋回フレームと
からなる装置を提示した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭60−43
405号公報に開示の装置は、ビットを取り付けたロッ
ドが炉頂部の旋回部材に懸垂されているため、ビット先
端がふらつき、付着物除去対象部位の位置決めが困難で
あると共に、除去対象範囲が大きいと、その都度炉外側
のハンマ駆動装置も位置換えしなければならず、ハンマ
駆動装置の位置換えが頻繁に必要となり、施工効率が極
めて悪くなる。
【0012】また、特開平3−263590号公報に開
示の装置は、耐火物除去対象範囲において、バーナによ
る加熱と、ブレーカによる破砕を交互に繰返し行う必要
があるので、極端に施工効率が悪くなると共に、ベルレ
ス高炉の原料分配シュートにブラケットで固定した長い
垂直揺動フレーム部にブレーカを設置するため、ブレー
カによる破砕反力が前記垂直揺動フレーム部および原料
分配シュートに作用し、原料分配シュートの根元取り付
け部に過大な曲げモーメントが作用し、実用上強度的に
耐えられないという問題がある。
【0013】さらに、特開平4−136110号公報に
開示の装置は、不定形耐火物の吹き付け補修装置であっ
て、炉内壁損傷部の耐火物凹凸面の劣化部分の除去や付
着物を除去できないため、不定形耐火物を吹き付け補修
しても、劣化部分から吹き付けた不定形耐火物が剥離
し、長時間に亘って炉内プロフィルを維持することがで
きないという欠点を有している。
【0014】また、特開平7−316614号公報に開
示の装置は、炉壁内耐火物凹凸部の劣化部分や付着物を
除去・平滑化すると同時に、不定形耐火物を吹き付けす
る補修装置であるが、該装置の両端にハンマによるはつ
り時の転倒反力を保持する伸縮アーム有し、装置自体の
サイズおよび重量も大きいので、該装置の炉内への取り
込みおよび炉内補修後炉外への取り出しなどの段取り作
業に多くの時間がかかるという欠点を有している。
【0015】本発明の目的は、高い施工効率で炉内壁耐
火物凹凸部の劣化部分や付着物を高精度ではつり除去・
平滑化できると共に、損傷部の耐火物を補修でき、さら
に小型・軽量化により炉内への取り込み・取り出しの容
易な高炉の炉内壁補修装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験研究を重ねた。その結果、炉内取
り込み・取り出しが容易なように小型・軽量化した炉内
壁補修装置全体を高炉内の上下・垂直方向に移動させる
昇降機構と、該昇降機構に吊り下げられた水平旋回駆動
装置と、該水平旋回駆動装置に吊り下げられ、伸縮可能
なブームを有する懸垂フレームを設け、該懸垂フレーム
に距離センサと工業用テレビカメラを配設すると共に、
該懸垂フレームの先端に首振りと押圧を可能とする補修
装置を配設することによって、高い施工効率で炉内壁耐
火物凹凸部の劣化部分や付着物を高精度で除去・平滑化
できると共に、損傷部の耐火物を補修できることを究明
し、この発明に到達した。
【0017】すなわちこの発明は、以下に示す技術手段
から構成される。 (1) 高さ調整可能な吊り下げ機構と、該吊り下げ機構に
吊り下げられた水平旋回駆動機構と、該水平旋回駆動機
構に吊持された伸縮可能な懸垂フレームと、該懸垂フレ
ームの先端に配設された補修装置とからなることを特徴
とする高炉の炉内壁補修装置。
【0018】(2) ベルレス高炉の炉内を旋回・傾動する
分配シュートに係止・固定された昇降駆動装置と、該昇
降駆動装置に吊り下げられた伸縮可能な懸垂フレーム
と、該懸垂フレームの先端に配設された補修装置とから
なることを特徴とする高炉の炉内壁補修装置。
【0019】(3) 上記懸垂フレームは、その一端にバラ
ンスウェイトを配設し、他端に補修装置を配設した倍ス
トローク機構を有する伸縮可能なブームで構成されたこ
とを特徴とする上記(1) 項または(2) 項に記載の高炉の
炉内壁補修装置。
【0020】(4) 上記懸垂フレームは、その旋回中心点
を支点として、補修装置を保持するブームとバランスウ
ェイトを保持するブームの伸縮ストローク比がN:1
で、補修装置の重量に対してバランスウェイトの重量が
N倍で、Nが1.5以上3.0以下であり、懸垂フレー
ムを水平姿勢に保持する伸縮可能なブームで構成された
ことを特徴とする上記(3) 項に記載の高炉の炉内壁補修
装置。
【0021】(5) 上記補修装置は、その配設部に首振り
機構および空圧シリンダによる押圧機構を有することを
特徴とする上記(1) 項ないし(4) 項のいずれかに記載の
高炉の炉内壁補修装置。
【0022】(6) 上記補修装置は、その配設部に補修装
置と炉壁との距離を計測する距離測定センサおよび/ま
たは補修対象範囲を撮影する監視装置を有することを特
徴とする上記(1) 項ないし(5) 項のいずれかに記載の高
炉の炉内壁補修装置。
【0023】(7) 上記補修装置が、はつり・平滑化装置
または/および不定形耐火物吹き付け装置であることを
特徴とする上記(1) 項ないし(6) 項のいずれかに記載の
高炉の炉内壁補修装置。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高炉の炉内壁補修
装置の構成とその作用を詳細に説明する。 a.高さ調整可能な吊り下げ機構と、該吊り下げ機構に
吊り下げられた水平旋回駆動機構と、該水平旋回駆動機
構に吊り下げられた伸縮可能な懸垂フレームと、該懸垂
フレームの先端に補修装置とを設けたことによって、 (1) 懸垂フレームの全長が高炉の炉口径に相当する炉内
最小内径よりも小さくでき、炉内壁補修装置がコンパク
トになるので、炉頂の開口部(マンホール)から炉内へ
の搬入および搬出が容易である。したがって、炉頂部に
原料装入用の分配シュート取り替え用大マンホールを有
するベルレス高炉ばかりでなく、大ベルとムーバブルア
ーマを有するため炉頂部のマンホール開口寸法に制約の
あるベル高炉においても、この発明の炉壁補修装置を適
用することができる。
【0025】(2) 吊り下げ機構としては、炉口部マンホ
ールから挿入した3本ないし4本のワイヤーロープない
しリンクチェーンで本装置を吊り下げることができ、炉
外設置のウィンチを同調巻上あるいは巻下する簡単な方
法で、吊り下げ時の安定性を維持しながら、高炉内の垂
直方向に移動可能である。
【0026】b.ベルレス高炉の分配シュートに係止・
固定する昇降駆動装置に吊り下げられた伸縮可能な懸垂
フレームの先端に補修装置を配設したことにより、 (1) 分配シュートの旋回動作により、懸垂フレームの旋
回が可能となる。したがって、懸垂フレームを吊持する
水平旋回駆動機構が不要となり、装置全体を簡素化・軽
量化できる。
【0027】(2) 分配シュートの傾動により、懸垂フレ
ームの伸縮機構のストロークを小さくできる。したがっ
て、懸垂フレームの長さが短くなり、小型化・軽量化が
できる。
【0028】なお、分配シュートの傾動・旋回動作は、
各々の動作速度が補修作業用には高速すぎることがある
ので、各々の電動機用ブレーキを解放して、手動にてブ
レーキディスクを回転させることによって、分配シュー
トを傾動・旋回することもできる。
【0029】c.倍ストローク機構を有する伸縮可能な
ブームで構成された懸垂フレームの一端にバランスウェ
イトを、他端に補修装置を配設したことによって、 (1) 装置全体がコンパクトとなり、炉頂の開口部から容
易にかつ安定的に炉内へ搬入、搬出することができる。
また、載頭円錐形状を有している高炉のシャフト部の内
径変化ならびに炉内壁面の凹凸変化にも対応できる。
【0030】(2) 倍ストローク機構は、「滑車による2
倍の倍力機構」の概念を適用したもので、1つの固定滑
車と、1つの可動滑車との組み合わせにおいて、綱の一
端を固定すれば綱の他端を引く力Pは、可動滑車に吊し
た重量Wの1/2倍と釣り合い(2P=W)、固定滑車
側の綱のストロークは可動滑車のストロークの2倍とな
ることを利用したものである。したがって、油圧シリン
ダ等を用いたブーム用アクチュエータのストロークを1
とすれば、倍ストローク機構でブームのストロークを2
にすることができ、ストローク比が1:1の単ストロー
ク機構を有する懸垂フレームに比べ、コンパクトな装置
にすることができる。
【0031】d.懸垂フレームの旋回中心点を支点とし
て、補修装置を保持するブームとバランスウェイトを保
持するブームの伸縮ストローク比をN:1とし、補修装
置の重量に対してカウンターウェイトの重量をそのN倍
とし、Nを1.5以上3.0以下としてモーメントをバ
ランスさせ懸垂フレームを水平姿勢保持することによ
り、載頭円錐形状を有する高炉のシャフト部の内径変化
ならびに炉内壁面の凹凸変化への対応が容易である。す
なわち、上記シャフト部の内径変化ならびに炉内壁面の
凹凸変化に対応し、懸垂フレームの先端に配設した補修
装置を補修対象炉内壁面にアクセス(接近)する必要が
あるが、懸垂フレームは水平姿勢に保持されるため、安
定した姿勢で炉内壁のはつり・平滑化補修が可能とな
る。
【0032】e.補修装置を配設した懸垂フレームに伸
縮機構を設け、補修装置の配設部に首振り機構を設けた
ことによって、炉内壁面の凹凸変化や載頭円錐形状シャ
フト部壁面の内径変化による傾斜壁面に対して、はつり
ハンマを直角方向に打撃することが可能となり、はつり
・平滑化の作業が効率的になる。
【0033】f.補修装置の配設部に空圧シリンダによ
る押圧機構を設けることにより、はつりハンマの打撃振
動を吸収することができるので、懸垂フレームおよび伸
縮ブームへの振動伝幡やブレを抑制することができる。
【0034】g.補修装置の配設部に補修装置と炉壁と
の距離を計測する距離センサおよび/または補修対象範
囲を撮影する監視装置を設けたことによって、補修対象
部の補修中の距離感や補修状況を監視し、補修状況に応
じた施工条件の変更や調整等を、炉外炉頂部の作業デッ
キ上の操作室で遠隔操作、制御できる。これによって作
業者は、粉塵、騒音、暑熱、有毒ガス等の過酷な作業環
境から解放され、補修能率、安全性の向上を図ることが
できる。
【0035】h.補修装置として、はつり・平滑化装置
を設けたことによって、炉壁損傷部の凹凸部の劣化部分
や付着物を高精度で除去・平滑化することができる。
【0036】i.補修装置として、不定形耐火物吹き付
け装置を設けたことによって、炉壁損傷部を不定形耐火
物の吹き付けによって補修することができ、炉寿命を延
長することができる。
【0037】j.補修装置として、はつり・平滑化装置
と不定形耐火物吹き付け装置を設けたことによって、炉
壁損傷部の凹凸部の劣化部分や付着物を高精度で除去し
たのち、不定形耐火物の吹き付けによって補修すること
ができ、補修部分の耐久性を高めることができる。
【0038】なお、上記はつり・平滑化装置のハンマと
しては、圧縮空気を動力源とする1本のブレーカ(チッ
ピングハンマともいう)を用いてもよいが、打撃反力が
直にブレーカを保持するフレーム側に振動として伝播す
る欠点があり、さらに、はつり能力も低いので、多軸の
ピストンスパイク式ハンマを用いた方が良い。該多軸の
ピストンスパイク式ハンマ(以下ハンマという)は、圧
縮空気を動力源として駆動するもので、はつり部のピス
トン端においてハンマのフロント部に組み込んである複
数のチゼルロッドが打撃を受けてピストンがランダムに
50〜80mm飛び出して、はつり面を打撃し、細かく
破砕するものである。チゼルロッドの段差部分には、常
時圧縮空気が入っているので、はつり面に近づけると、
はつり面を打撃したチゼルロッドは直ちに後退し、再び
ピストンの打撃を受けて飛び出すことを繰返し、はつり
がおこなわれる。はつり対象面に対して複数のチゼルロ
ッドがランダムに飛び出して、はつり面を打撃して削る
ので、はつり対象面に対して強く押しつける必要がな
い。
【0039】
【実施例】本発明の実施例を図1ないし図8に基づいて
詳細に説明する。図1は、補修装置として、はつり装置
を有する本発明装置の主要部の斜視図、図2は、補修装
置として、はつり装置を有する本発明装置の懸垂フレー
ムの伸縮機構の構造を示す模式図、図3は、懸垂フレー
ムのモーメントバランスを示す模式図、図4は、ベルレ
ス高炉に補修装置として、はつり装置を有する本発明装
置の炉内取り込み要領および補修状況を示す側断面図、
図5は、図4のI−I矢視図、図6は、本発明装置の補
修装置におけるアクチュエータの作動要領例を示す回路
図、図7は、補修装置として、はつり装置を有する本発
明装置を分配シュートおよび分配シュート駆動装置を搭
載したベルレス高炉の分配シュートに係止・搭載する状
況を示す斜視図、図8は、分配シュートおよび分配シュ
ート駆動装置を搭載したベルレス高炉に補修装置とし
て、はつり装置を有する本発明装置の炉内への取り込み
要領および補修状況を示す側断面図である。
【0040】本発明の高炉の炉内壁補修蔵置は、高さ調
整可能な吊り下げ機構と該吊り下げ機構に吊り下げられ
た水平旋回駆動機構を有し、該水平旋回駆動機構に伸縮
可能な懸垂フレームを吊持し、該懸垂フレームの先端に
補修装置を配設したことを特徴とする。
【0041】図1において、吊り下げ機構は、ウィンチ
17およびワイヤーロープ15を有し、懸垂フレーム1
9を吊持している水平旋回駆動機構を収納する駆動ケー
シング41を吊り下げるもので、該駆動ケーシング41
に設けられた4ケの吊ピース47を吊支するワイヤーロ
ープ15でそれぞれワイヤーシーブ16を介して炉体デ
ッキ9に設置されたウインチ17を同調巻上または巻下
することによって炉内上下方向の任意位置への移動が可
能となる。
【0042】図2において、水平旋回駆動機構は、駆動
ケーシング41に収納された旋回モータ38、旋回中心
X−Xに設置した旋回輪軸受39とロータリージョイン
ト37ならびに油圧ユニット42等で構成され、懸垂フ
レーム19の上部に配設され、旋回モータ38の駆動に
よりピニオンギヤ40を介して旋回輪軸受39が回転す
る構造となっている。旋回モータ38としては、エヤー
モータまたは電動モータでもよいが、小型でかつ回転駆
動トルクが大きく回転数も可変速できる油圧駆動モータ
が好適である。電動モータとする場合は、旋回速度が可
変速にできるVVVFモータあるいはインバータ制御モ
ータが良い。
【0043】旋回中心X−X軸に配設したロータリージ
ョイント37は、ワイヤーロープ15で吊支される駆動
ケーシング41に収納され、油圧ユニット42および電
磁弁ユニット43からの圧力作動油はロータリージョイ
ント37および配管46を介して補修装置の各アクチュ
エータに送られる。
【0044】なお、図1に示すように、懸垂フレーム1
9の先端に補修装置として、不定形耐火物吹付用ノズル
49を配設する場合は、不定形耐火物供給ホース50と
連結してロータリージョイント37の中心部を貫通する
通路を形成するようにすればよい。
【0045】次に、懸垂フレームの伸縮機構について詳
細に説明する。図1の(A)または図2の(A)は、伸
縮機能を有する懸垂フレーム19の長さが最小L1 の状
態、図1の(B)および図2の(B)は、最大L2 に伸
張した状態を示す。図2に示すように、懸垂フレーム1
9は倍ストローク機構を有する伸縮可能な4つのブーム
で構成されており、X−Xを旋回中心とする補修装置、
即ち、はつり装置20を配設している側のブームは、第
1ブーム22と第2ブーム23と第3ブーム24の3つ
で構成され、バランスウエイト35を搭載している側に
は、後部ブーム25が設けられる。
【0046】図2において、水平旋回駆動機構に吊持さ
れている第1ブーム22は、内部にフレーム伸縮シリン
ダ26を収納し、該フレーム伸縮シリンダ26の先端
は、第2ブーム23と連結している。該第2ブーム23
の先端と後端に倍ストローク機構の滑車に相当するチェ
ーンスプロケット31−1、31−2を配設し、可動滑
車に相当する先端のチェーンスプロケット31−1にか
かる綱に相当するローラーチェーン32−1Aの一端
は、第1ブーム22の先端のチェーン固定ブラケット3
0−1に固定し、他端は第2ブーム23の内部に収納さ
れた第3ブーム24の後部のチェーン固定ブラケット3
0−2に固定する。一方、前記同様、可動滑車に相当す
る第2ブーム23の後部のチェーンスプロケット31−
2にかかる綱に相当するローラーチェーン32−1Bの
一端は、チェーンテンショナ29を介して第1ブーム2
2の先端のチェーン固定ブラケット30−1に固定し、
他端は第3ブーム24の後部のチェーン固定ブラケット
30−2に固定する。
【0047】フレーム伸縮シリンダ26をストロークS
だけ伸長すると、前述の可動滑車と綱の組み合わせをダ
ブルで構成することにより、第2ブーム23は、ストロ
ークS分伸長し、第2ブーム23の内部に収納されてい
る第3ブーム24の先端は、ストロークSの2倍のスト
ロークすなわち2S(S1)だけ伸長する。このとき、
フレーム伸縮シリンダ26の推力は、綱に相当するロー
ラーチェーン32の張力の2倍の力が必要となるが、ブ
ームの伸長に大きな推力は必要ないので、問題とならな
い。
【0048】第1ブーム22、第2ブーム23および第
3ブーム24のスライド摺動部には、ブッシュ33およ
びローラ34を配設して、ガタのないスムーズな動きで
伸縮できるように構成する。滑車および綱に相当するチ
ェーンスプロケット31およびローラーチェーン32の
組み合わせは、ワイヤーシーブとワイヤーロープの組み
合わせに比べて、引張強度が高く、伸びが殆どないので
好適である。
【0049】次に、補修装置の配設部に設けた首振り機
構と空圧シリンダによる押圧機構を、補修装置として多
軸のピストンスパイク式ハンマのはつり装置を例にして
説明する。
【0050】図2において、首振り機構は、スライドフ
レーム36の上部に配設した首振りシリンダ27とハン
マブラケット21をスライドフレーム36に連結するピ
ン48を有しており、首振りシリンダ27の伸縮動作に
よって、ピン48を支点にθ1 、θ2 の角度で首振り動
作が可能となる。はつり装置20によるハンマリング
は、懸垂フレーム19を水平状態にし、図4に示す炉内
壁損耗プロフィール11の凹凸面や炉壁の付着物14の
面に直角になるようにおこなうのが効率的である。した
がって、首振り角度θ1 、θ2 は、高炉炉内のシャフト
角(アングル)が略々80度前後であるため、壁面の凹
凸も考慮して10度〜20度程度とするのが望ましい。
【0051】図2に示すように、押圧機構として、スラ
イドフレーム36の内部に、はつり装置20を壁面に押
し当て押圧すると同時に、はつり時の衝撃を吸収できる
ストロークUを有するクッションシリンダ28を配設す
る。クッションシリンダ28は上記目的から空圧式と
し、押圧力=100kg程度、ストロークU=100m
m程度とするのが望ましい。
【0052】なお、倍ストローク機構と押圧機構によ
り、はつり装置20を配設する側の懸垂フレーム19の
全ストロークは、S1 +U=2S+Uとなる。したがっ
て、該はつり装置20の最大旋回半径はR1 =2S+U
となって、最小旋回半径r1 =S+Uに比べて、R1
1 ≒2とほぼ2倍のリーチを得ることができる。
【0053】次に、懸垂フレームが常時水平姿勢を保持
するため、懸垂フレームの一端で補修装置の反対側にバ
ランスウエイトを配設したカウンターバランス機構につ
いて説明する。
【0054】図3に示すように、旋回中心点X−Xを支
点としたはつり装置20側の重量W1 とフレームの長さ
1 による作用モーメントに対し、バランスウェイトの
重量W2 とフレームの長さl2 の対向モーメントとの釣
り合いにより、下記(1)式が導かれる。したがって、
例えばl1 をl2 の2倍とする場合には、バランスウエ
イトの重量W2 はW1 の2倍とするのがよいが、完全に
一致しなくてもほぼ2倍程度であればよい。
【0055】W1 ・l1 =W2 ・l2 ・・・(1) 本発明は、上記概念に基づいて、バランスウェイト側を
構成したものである。図2に示すように、カウンターバ
ランス機構として、第1ブーム22の後方にブッシュ3
3およびローラ34を配して、伸縮可能な後部ブーム2
5およびバランスウェイト35を配設すると共に、第1
ブーム22中に滑車と綱の組み合わせ構成からなるチェ
ーンスプロケット31−3、31−4およびローラーチ
ェーン32−2を組み込んで、後部ブーム25に取り付
けたチェーン固定ブラケット30−3と連結する。第1
ブーム22の内部に配設したストロークSを有するフレ
ーム伸縮シリンダ26の伸縮動作により、後部ブーム2
5はストロークS2 (=S)分伸縮(スライド)し、バ
ランスウエイトの最大旋回半径R2 は、最小旋回半径を
2 とすると、「r2 +S」となる。はつり装置20の
最大旋回半径R1は、最小旋回半径をr1 とすると、
「r1 +2S+U」となる。すなわち、懸垂フレーム1
9の機長は、L1 (=r 1+r2 )からL2 (=R1
2 )に伸張する。したがって、懸垂フレーム19の機
長L2 は、最大伸張時L1 の0.5〜0.6倍程度と大
幅に小型化できる。
【0056】また、上記懸垂フレームの構造に基づき、
図3の距離l1 、l2 が決定されるので、(1)式のモ
ーメントバランスの概念からバランスウェイトの重さを
適宜設定することにより、懸垂フレームを常時水平姿勢
に保持することが可能である。
【0057】次に、炉内壁の補修作業について、図4お
よび図5で説明する。補修作業は、炉内装入原料Mを炉
内壁のはつり対象範囲あるいは耐火物除去対象範囲以下
に降下させ、いわゆる減尺休風に入った後、本発明の炉
内壁補修装置を炉内に搬入しておこなわれる。なお、図
4および図5において、図中の(1) 〜(4) の符号は、炉
内壁補修装置の炉内への取り込み手順を示す。
【0058】(1) 懸垂フレームの機長を最小寸法L1
状態とした炉内壁補修装置を置台フレーム53に搭載し
た状態で、ホイスト18を用いて、例えば地上から炉口
マンテル2の炉口開口部5の方位の炉体デッキ9上にセ
ットする。なお、図5において、D2 は炉内壁補修装置
の機幅で、炉口開口部D1 より小さく構成される。
【0059】(2) 次に、炉内壁補修装置の全荷重をホイ
スト18にあづけて、炉口開口部5より炉内に取り込
む。この時、吊ピース47に取り付けてあったワイヤー
ロープ15の端を3〜4方位の各々の炉口マンホール6
に導入し、ワイヤーシーブ16を介し、炉体デッキ9上
のウインチ17に連結する。
【0060】(3) 次に、該ウインチ17に連結したワイ
ヤーロープ15にテンションをかけ、補修装置の全荷重
をホイスト18から3〜4方位のワイヤーロープ15を
介してウインチ17にあづけて、ホイスト18を退避さ
せてから、補修装置を炉内のほぼ中央位置で懸垂する。
【0061】(4) そして3〜4方位のウインチ17を同
調操作して、炉内補修装置を、例えば炉体鉄皮1に設置
されたステーブ4を取り付けた範囲より上の炉内壁のは
つり対象範囲あるいは耐火物除去対象範囲まで降下させ
る。
【0062】しかるのち、図2に示す旋回モータ38を
駆動してピニオンギヤー40を介して旋回輪軸受39を
回転させ、懸垂フレーム19の先端のはつり装置20
を、はつり対象範囲あるいは耐火物除去対象範囲に対向
させる。そして、懸垂フレーム19に内蔵のフレーム伸
縮シリンダ26を駆動して、はつり装置20のハンマ
を、はつり面まで前進させて当接させ、はつり装置20
を作動して炉内壁損耗プロフィール11を、はつり・平
滑後のプロフィール12となるように、はつり・平滑化
する。
【0063】このとき、はつり装置20は、首振りシリ
ンダ27によりピン48を支点として、はつり面の凹凸
面や、付着物14面に直角になるような最適角度で当接
される。
【0064】図4または図5において、符号10は炉内
壁初期プロフィール、11は損耗した炉内壁損耗プロフ
ィールで、懸垂フレーム19のフレーム伸縮シリンダー
26による伸縮、旋回モータ38による旋回および首振
りシリンダ27によるはつり装置20の首振り動作を駆
使し、図4のaからbの範囲をはつって平滑化する。図
5に示すように、懸垂フレーム19を時計回り方向に旋
回させ、損耗して凹凸となっているはつり範囲13をは
つって平坦化することにより、はつり・平滑後のプロフ
ィール12が得られる。なお、図5中のBの範囲は、前
記平坦化したはつり・平滑後のプロフィール12面に焼
成耐火物パネルまたは水冷金物等の炉壁補修用パネルP
を配置した状態を示す。
【0065】上記の操作を繰り返すことによって、炉内
壁損耗プロフィール11を補修して、はつり・平滑後の
プロフィール12にすることができる。なお、図4ある
いは図5において、符号1は炉体鉄皮、2は炉壁煉瓦で
ある。
【0066】次に、不定形耐火物吹き付け装置、距離測
定センサならびに監視装置について説明する。図1にお
いて、符号49は懸垂フレーム19の先端部のはつり装
置20のサイド部に搭載した不定形耐火物吹き付け装置
である不定形耐火物吹付用ノズルで、炉外から不定形耐
火物供給ホース50と図2に示す油圧ユニット42用の
電磁弁ユニット43の制御用ケーブル44とを束ねたホ
ース45を炉外装置のガイドローラ51を介して敷設
し、懸垂フレーム19の中心部に設置されたロータリー
ジョイント37および不定形耐火物供給ホース50を介
して、懸垂フレーム19の伸縮作動に伴ってスライドで
きる構造の不定形耐火物吹付用ノズル49に不定形耐火
物が供給される。
【0067】図4において、符号64は懸垂フレーム1
9の上部に取り付けられたはつり装置20のハンマー先
端または不定形耐火物吹付用ノズル49と炉内壁面間の
距離を測定する距離測定センサ、63は懸垂フレーム1
9の上部に配設した監視装置である工業用TVカメラで
ある。
【0068】工業用TVカメラ63は、はつり対象部や
不定形耐火物吹き付け対象部を撮影し、図示しない炉外
のモニタ等で監視できる。なお、図示していないが、T
Vカメラ用の照明装置を備えている。距離測定センサ6
4によるはつり前後の深さの値から、該深さの差異と平
均値で、はつり装置20のハンマーの移動速度と、はつ
り深さを演算し、工業用TVカメラ63のモニタ画面
で、はつり面を炉外で遠隔監視しながら、はつり量を制
御することができる。
【0069】不定形耐火物による吹き付け補修において
は、吹き付け前後の距離測定センサ64の値から、吹き
付け深さの差異と平均値で不定形耐火物の吹き付け厚さ
が所定の厚さより過大な場合は、吹き付け旋回速度を速
くし、反対に不定形耐火物の吹き付け厚さが所定の厚さ
より過少な場合は、吹き付け旋回速度を遅くし、工業用
TVカメラ63のモニタ画面で吹き付け施工面を監視し
ながら不定形耐火物の吹き付け量を制御することができ
る。
【0070】前記距離測定センサ64としては、超音波
式やマイクロ波式あるいはレーザ式を使用できるが、発
信方向と壁面とのなす角度が多少変化しても、距離計測
の精度に影響が無いものが望ましい。
【0071】次に、本発明の炉内壁補修装置のアクチュ
エータについて説明する。図6において、油圧ユニット
42は、各油圧アクチュエータの旋回モータ38、フレ
ーム伸縮シリンダ26および首振りシリンダ27の作動
を電磁切換弁42−5と絞り弁42−6により制御する
もので、各油圧アクチュエータ駆動用の高圧作動油を発
生・供給する油タンク42−1、エヤーブリーザ42−
2、油圧ポンプ42−3およびリリーフ弁42−4など
を備える。
【0072】エヤーユニット54は、圧縮空気を動力源
とするはつり装置20および該はつり装置20の押圧・
衝撃吸収機構としてのクッションシリンダ28の作動を
電磁切換弁54−5、54−6および減圧弁54−4に
よって制御するもので、エヤーブローライン62と各ア
クチュエーターをスムーズに作動させるエヤーフィルタ
54−2およびルビュリケータ54−3などを備える。
ここでエヤーブローライン62は、前記各アクチュエー
タをエアーパージして冷却、防塵するためのものであ
り、高温・粉塵雰囲気の炉内でも安定した作動が可能と
なる。
【0073】また、補修装置として不定形耐火物吹付装
置を設置する場合には、不定形耐火物と圧縮空気を供給
する不定形耐火物供給ホース50に注水ノズル55−3
を設け、工業用水を供給するライン道中に供給水量を計
測する流量計55−1およびストップ弁55−2を配設
する。
【0074】なお、図6の2点鎖線の枠Zで示す範囲
は、図2に示す懸垂フレーム19および駆動ケーシング
41に搭載され炉内に懸垂されるユニットであり、この
ユニットへの動力供給は、電磁切換弁42−5用および
油圧ポンプ42−3用の制御用ケーブル44、エヤーラ
イン54−1、不定形耐火物供給ホース50および注水
ライン55を束ねた図2示すホース45で炉外からおこ
なわれる。
【0075】また、旋回モータ38以外の各アクチュエ
ータ類は、図2に示す懸垂フレーム19内に搭載される
もので、駆動ケーシング41の旋回中心軸に設置したロ
ータリージョイント37を介して動力源が供給される。
【0076】なお、図2において、ロータリージョイン
ト37の出側(固定側)から首振りシリンダ27、クッ
ションシリンダ28およびはつり装置20へ動力源(圧
力油もしくは圧縮空気)を供給するホース類は、懸垂フ
レーム19の補修装置を搭載したブームが伸縮動作する
ため、図1に示すケーブルベア52に収納するのがよ
い。
【0077】油圧ユニットおよび油圧アクチュエータを
用いた理由は、高圧作動油の使用により、高い駆動力を
得ることができるので、アクチュエータが小型・軽量化
され、懸垂フレームを小型化できるからである。油圧ユ
ニットの作動油としては、例えば難燃性の水グリコール
を用いることにより、万一作動油が漏洩しても火災の危
険を回避できる。
【0078】図2および図6において、油圧ユニット4
2およびエヤーユニット54を懸垂フレーム19に配設
されている各アクチュエーターの近傍に設置した理由
は、油圧ユニット42およびエヤーユニット54から各
油圧作動アクチュエーターおよび各エヤーアクチュエー
ターまでを連結する配管46およびホース45を短くで
きること、また、炉外から油圧ユニット42およびエヤ
ーユニット54の電磁弁ユニット43に制御用ケーブル
44を接続するだけでよいからである。炉外から補修装
置へ制御用ケーブル44を接続するだけで各アクチュエ
ータの作動源を得ることができるので、繁雑な配管、ホ
ース、ケーブル類が省略できる。
【0079】次に、分配シュートを有するベルレス高炉
に適用した炉内壁補修装置について説明する。図7にお
いて、本発明の炉内壁補修装置は、分配シュート7に係
止・固定する支持フレーム58、該支持フレーム58に
搭載して後述の懸垂フレーム19を昇降する巻き上げ用
の電動チェーンブロック56を有する昇降駆動機構およ
び該昇降駆動機構に懸吊される伸縮機構を有する懸垂フ
レーム19を有し、該懸垂フレームの先端に補修装置を
配設する。なお、同図では、補修装置例として、はつり
装置20を備える。
【0080】電動チェーンブロック56は、市販品の2
点水平吊り形の電動チェーンブロックを適用したもの
で、2条のロードチェーン57の巻上と巻下の速度が同
調しており、懸垂フレーム19を水平に保持した状態で
昇降動作が可能となる。2条のロードチェーン57の下
端は、各々2又にしたワイヤーロープ等で駆動ケーシン
グ41の吊ピース47を4点で吊支する。駆動ケーシン
グ41には、水平旋回駆動機構を省略した油圧ユニット
42および電磁弁ユニット43等を収納し、これらユニ
ットの動力源供給の電源ケーブル・ホース61は、支持
フレーム58に搭載した巻き取り機能を有するケーブル
ドラム60にたるみがないように巻き取られ、該ケーブ
ルドラム60内の回転継手(図示せず)を経てホース4
5によって炉外側の図8に示す炉体デッキ9上に設置し
た制御・操作ユニット(図示せず)に接続される。な
お、図7には示してないが、懸垂フレーム19に不定形
耐火物吹付装置や炉内壁面間の距離を測定する距離測定
センサあるいは壁面監視用の工業用TVカメラを搭載す
ることも可能である。
【0081】符号59は、支持フレーム58の背面側に
配設したカギ形状のフックで、このフック59を分配シ
ュート7に設置されている変形防止用スチフナ7−1に
固定することにより、分配シュート7への支持フレーム
58の係止・固定がおこなわれる。
【0082】本発明の上記炉内壁補修装置は、分配シュ
ート7の旋回機構を活用し、図1あるいは図2で説明し
た水平旋回駆動機構を省略したことを特徴としており、
駆動ケーシング41に懸垂フレーム19を吊持し、分配
シュートの旋回機構と上記昇降機構で炉内の任意の位置
に移動することができる。Yは分散シュート7の旋回半
径である。
【0083】また、本発明の炉内壁補修装置は、傾動姿
勢の分配シュート7に搭載するため、分配シュートの旋
回半径に相当する長さだけ、懸垂フレーム19の伸縮ス
トロークを削減することができるので、懸垂フレーム1
9の機長を短くでき、装置全体の小型・軽量化が可能と
なる。
【0084】次に、本発明の炉内壁補修装置の炉内への
取り込み要領および補修状況を図8で説明する。なお、
図中の符号(1) 、(2) は、取り込み手順を示す。 (1) 機長を最小寸法L1 とした懸垂フレーム19を、支
持フレーム58に吊持した電動チェーンブロック56に
懸垂した状態で、支持フレーム58の吊ピース47にワ
イヤーロープ15を懸け、ホイスト18を用いて炉口開
口部5より炉内に取り込み、分配シュート駆動装置8の
傾動機構8−2によって分配シュート傾動角がαをなす
分配シュート7に係止・固定する。その後、ホイスト1
8を退避させる。なお、炉内への取り込みの際には、は
つり装置20と炉口開口部5との隙間Cを確保する。
【0085】(2) 次に、分配シュート駆動装置8の旋回
機構8−1および電動チェーンブロック56を用いて、
減尺した炉内装入原料Mより上方の炉内壁のはつり対象
方位および高さ位置に、懸垂フレーム19を移動する。
懸垂フレーム19の倍ストローク機構のブーム伸縮動作
により、該懸垂フレーム19のブームは、r1 →R1
2 →R2 とモーメントバランスを保ちながら伸長し
て、はつり装置20の先端は、炉内壁損耗プロフィール
11のはつり・平滑化対象位置に当接する。
【0086】なお、懸垂フレーム19の最小機長寸法L
1 は、図中の炉芯O−O軸から最大補修位置までの距離
Eを定めることにより、倍ストローク機構に基づき決定
される。
【0087】
【発明の効果】以上述べた通り、この発明装置によれ
ば、以下の効果が得られる。 (1)補修装置を搭載した懸垂フレームを、倍ストロー
ク機構を有する伸縮可能なブームで構成したことによ
り、懸垂フレームの機長が減少し、装置全体がコンパク
トとなり、炉内への搬入・搬出が容易となる。
【0088】(2)懸垂フレームの旋回中心点を支点と
して、補修装置側ブームとバランスウェイト側ブームと
のモーメントバランスが維持されるので、安定した姿勢
で炉内壁のはつり・平滑化補修が可能となる。
【0089】(3)首振り機構を設けたことにより、補
修装置を最適角度で補修面に当接できる。 (4)押圧機構を設けたことにより、懸垂フレームの振
動やブレを抑制できる。
【0090】(5)補修装置として、はつり・平滑化装
置を設置すれば、炉壁損傷部の凹凸部の劣化部分や付着
物を高精度で除去・平滑化することができる。 (6)補修装置として、不定形耐火物吹付装置を設置す
れば、炉壁損傷部を不定形耐火物で補修することができ
る。
【0091】(7)距離測定センサおよび工業用TVカ
メラなど監視装置によって、炉壁損傷部の定量的および
イメージ的把握ができ、補修対象面の形状が変化してい
ても最適な補修施工条件を維持することが可能となり、
施工効率・安全性が向上する。また、補修前後が定量的
に把握できるため、補修対象部に正確で適切な補修がで
き、高炉の炉命延長ならびに炉況安定に大きく貢献で
き、その経済効果が大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】補修装置として、はつり装置を有する本発明装
置の主要部の斜視図である。
【図2】補修装置として、はつり装置を有する本発明装
置の懸垂フレームの伸縮機構の構造を示す模式図であ
る。
【図3】懸垂フレームのモーメントバランスを示す模式
図である。
【図4】ベルレス高炉に補修装置として、はつり装置を
有する本発明装置の炉内取り込み要領および補修状況を
示す側断面図である。
【図5】図4のI−I矢視図である。
【図6】本発明装置の補修装置におけるアクチュエータ
の作動要領を示す回路図である。
【図7】補修装置として、はつり装置を有する本発明装
置を分配シュートおよび分配シュート駆動装置を搭載し
たベルレス高炉の分配シュートに係止・搭載する状況を
示す斜視図である。
【図8】分配シュートおよび分配シュート駆動装置を搭
載したベルレス高炉に補修装置として、はつり装置を有
する本発明装置の炉内への取り込み要領および補修状況
を示す側断面図である。
【符号の説明】
1:炉体鉄皮 2:炉口マンテル 3:炉壁煉瓦 4:ステーブ 5:炉口開口部 6:炉口マンホール 7:分配シュート 8:分配シュート駆動装置 9:炉体デッキ 10:炉内壁初期プロフィール 11:炉内壁損耗プロフィール 12:はつり・平滑後のプロフィール 13:はつり範囲 14:付着物 15:ワイヤーロープ 16:ワイヤーシーブ 17:ウインチ 18:ホイスト 19:懸垂フレーム 20:はつり装置 21:ハンマーブラケット 22:第1ブーム 23:第2ブーム 24:第3ブーム 25:後部ブーム 26:フレーム伸縮シリンダ 27:首振りシリンダ 28:クッションシリンダ 29:チェーンテンショナ 30:チェーン固定ブラケット 31:チェーンスプロケット 32:ローラーチェーン 33:ブッシュ 34:ローラ 35:バランスウェイト36:スライドフレーム 37:ロータリージョイント 38:旋回モータ 39:旋回輪軸受 40:ピニオンギヤ 41:駆動ケーシング 42:油圧ユニット 43:電磁弁ユニット 44:制御用ケーブル 45:ホース 46:配管 47:吊ピース 48:ピン 49:不定形耐火物吹付用ノズル 50:不定形耐火物供給ホース 51:ガイドローラ 52:ケーブルベア 53:置台フレーム 54:エヤーユニット 55:注水ライン 56:電動チェーンブロック 57:ロードチェーン 58:支持フレーム 59:フック 60:ケーブルドラム 61:電源ケーブル・ホース 62:エヤーブローライン 63:工業用TVカメラ 64:距離測定センサ M:炉内装入原料 α:分配シュート傾動角 θ:ハンマ首振り角度 L:懸垂フレームの機長 R:伸長時ブーム長さ r:収縮時ブーム長さ S:フレーム伸縮シリンダーストローク U:クッションシリンダーストローク W:重量 l:フレームの長さ Y:旋回半径 E:炉芯O−O軸から補修位置までの最大距離 C:隙間 P:炉壁補修用パネル D1 :炉口開口部幅 D2 :補修装置の機幅 Z:懸垂フレーム19および駆動ケーシング41に搭載
されるユニット

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高さ調整可能な吊り下げ機構と、該吊り
    下げ機構に吊り下げられた水平旋回駆動機構と、該水平
    旋回駆動機構に吊持された伸縮可能な懸垂フレームと、
    該懸垂フレームの先端に配設された補修装置とからなる
    ことを特徴とする高炉の炉内壁補修装置。
  2. 【請求項2】 ベルレス高炉の炉内を旋回・傾動する分
    配シュートに係止・固定された昇降駆動装置と、該昇降
    駆動装置に吊り下げられた伸縮可能な懸垂フレームと、
    該懸垂フレームの先端に配設された補修装置とからなる
    ことを特徴とする高炉の炉内壁補修装置。
  3. 【請求項3】 上記懸垂フレームは、その一端にバラン
    スウェイトを配設し、他端に補修装置を配設した倍スト
    ローク機構を有する伸縮可能なブームで構成されたこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の高炉の炉内壁補
    修装置。
  4. 【請求項4】 上記懸垂フレームは、その旋回中心点を
    支点として、補修装置を保持するブームとバランスウェ
    イトを保持するブームの伸縮ストローク比がN:1で、
    補修装置の重量に対してバランスウェイトの重量がN倍
    で、Nが1.5以上3.0以下であり、懸垂フレームを
    水平姿勢に保持する伸縮可能なブームで構成されたこと
    を特徴とする請求項3に記載の高炉の炉内壁補修装置。
  5. 【請求項5】 上記補修装置は、その配設部に首振り機
    構および空圧シリンダによる押圧機構を有することを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高炉の炉
    内壁補修装置。
  6. 【請求項6】 上記補修装置は、その配設部に補修装置
    と炉壁との距離を計測する距離測定センサおよび/また
    は補修対象範囲を撮影する監視装置を有することを特徴
    とする請求項1ないし5のいずれかに記載の高炉の炉内
    壁補修装置。
  7. 【請求項7】 上記補修装置が、はつり・平滑化装置ま
    たは/および不定形耐火物吹き付け装置であることを特
    徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の高炉の炉
    内壁補修装置。
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