JPH0144351Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両、特に乗用車に用いて好適な、
長さを調節することができるクツシヨンシートに
関する。

車両用シートは、そのクツシヨンシートに着目
すると、運転者の体格に合わせ、前後位置、高
さ、傾斜等の要素を調節できるようにしている
が、その前後方向の長さを調節できるようにした
ものは一般化していない。したがつてクツシヨン
シートの先端とシートバツク迄の距離は一定であ
り、このため例えば背の低い人では背中がシート
バツクに十分つかない不安定な状態での運転を余
儀なくされるのに、背の高い人は膝の内側がクツ
シヨンシートに乗らないという、これも不安定な
状態となることがある。

本考案は、このような問題意識に基づき、前後
方向の長さを体格に応じて調節することができる
クツシヨンシートを目的になされたもので、クツ
シヨンシートの前方を基部シートと分離した可動
シートとなし、この可動シートを後方側部の回動
中心ピンを中心に回動可能かつ前後方向に移動可
能に上記基部シート側に支持し、さらにこの可動
シート側と基部シート側のいずれか一方に、前後
方向のロツク歯列を有するロツク歯プレートを固
定し、他方に、可動シートを着座状態に回動させ
たとき、このロツクプレートのロツク歯と噛み合
うロツク孔を有するロツク孔プレートを固定した
ものであつて、さらに、可動シート側に固定した
ロツク孔プレートまたはロツク歯プレートに、可
動シートの上記回動中心ピンを設け、基部シート
側に固定したロツク歯プレートまたはロツク孔プ
レートに、この回動中心ピンを前後移動自在にガ
イドし、かつ可動シートの回動を可能とする移動
ガイド溝を設けたことを特徴としている。

以下図示実施例について本考案を説明する。第
１図、第２図はクツシヨンシート１１の基部シー
ト１２と可動シート１３の関係を示すもので、ク
ツシヨンシート１１の前方に位置する可動シート
１３は基部シート１２とは分離されて、該基部シ
ート１２に対し可動となつている。本考案は、可
動シート１３の位置を変化させることにより、ク
ツシヨンシート１１の前後方向の実質的な長さＬ
を調節しようとするものである。基部シート１２
は可動シート１３の後に位置する後部シート１４
と、可動シート１３および後部シート１４の両側
部に位置する側部シート１５からなつている。可
動シート１３と後部シート１４の長さは、可動シ
ート１３と後部シート１４の間に隙間ができても
このシートに座る人の腰が落ち込まないように適
当に定める。また側部シート１５の高さは、可動
シート１３および後部シート１４の高さよりやや
高く設定されている。１６は可動シート１３と後
部シート１４の間に張設した蛇腹であり、可動シ
ート１３と後部シート１４の隙間に物が落ちるの
を防ぐ作用をする。なお１７はクツシヨンシート
１１の後部に枢着したシートバツクである。

可動シート１３の両側面には、ロツク孔プレー
ト２０がそれぞれ固定されており、また基部シー
ト１２の側部シート１５の内側面には、それぞれ
ロツク歯プレート３０が位置している。ロツク孔
プレート２０には、その後部に外側に突出する回
動中心ピン２１が固定され、またその上部前方
は、外側に略コ字状に曲折されていて、このコ字
状部２２の上面（底面）にロツク孔２３が穿設さ
れている。

他方上記ロツク歯プレート３０は断面略Ｌ字状
をしていて、その水平壁３１が側部シート１５の
底面に固定され、直立壁３２が側部シート１５の
内側に位置している。この直立壁３２には、ロツ
ク孔プレート２０の上記回動中心ピン２１を嵌入
させる前後方向に長い移動ガイド溝３３が穿設さ
れ、またその上面には上記ロツク孔２３と係脱す
るロツク歯列３４が形成されている。３５は可動
シート１３の前面に固定した把手である。

上記構成のクツシヨンシート１１およびシート
バツク１７の全体はさらに、通常の乗用車用のシ
ートと同様に、シートトラツク４０により、車両
床面に対して前後に位置調節可能となつている。
左右一対のシートトラツク４０は周知のように、
アツパレール（摺動レール）４１とロワレール
（固定レール）４２からなるもので、アツパレー
ル４１がクツシヨンシート１１の側部シート１５
下面に固定され、ロワレール４２が車両床面に固
定されている。アツパレール４１とロワレール４
２の間には、図示を省略しているロツク装置が設
けられており、クツシヨンシート１１およびシー
トバツク１７の全体をシートトラツク３３により
前後に位置調節した後ロツクすることができる。
このロツク装置の構成は周知であり、本考案はこ
の構成を問うものではないので説明を省略する。

上記構成の本装置は、ロツク孔プレート２０、
つまり可動シート１３が回動中心ピン２１を中心
に回動可能であり、かつ移動ガイド溝３３に沿つ
て前後方向に移動可能である。そして可動シート
１３を着座状態に回動させたときには、ロツク孔
プレート２０のロツク孔２３がロツク歯プレート
３０のロツク歯列３４のいずれかと噛み合つて移
動が阻止され、かつこの噛合関係および回動中心
ピン２１と移動ガイド溝３３の嵌合関係により可
動シート１３に加わる荷重が支持される。したが
つて可動シート１３の位置を調節してクツシヨン
シート１１の長さを変化させるときには、把手３
５を持つて可動シート１３の前方を持ち上げ、ロ
ツク孔２３とロツク歯列３４の噛み合いを外した
後、移動ガイド溝３３に沿つて可動シート１３を
前後に移動させ、その後可動シート１３を再び着
座状態に回動させれば、ロツク孔２３とロツク歯
列３４が噛み合つてそこにロツクすることができ
る。そしてクツシヨンシート１１およびシートバ
ツク１７の全体の前後位置調節は、シートトラツ
ク４０によつて行なうことができる。

上記実施例では、ロツク歯プレート３０は側部
シート１５に固定しているが、このロツク歯列プ
レート３０は可動シート１３と一緒に移動するこ
とのない固定側に固定すればよいことは明らかで
あり、本考案ではこの固定側を「基部シート側」
と表現している。

さらにロツク孔２３とロツク歯列３４は、一方
が可動シート１３に、他方が基部シート１２側に
固定されていればよいから、実施例とは逆に可動
シート１３にロツク歯列を有するロツク歯プレー
トを固定し、基部シート１２側にロツク孔を有す
るロツク孔プレートを固定しても同様の機能が得
られる。

以上のように本考案のクツシヨンシートは、ク
ツシヨンシートの前方を可動シートとなし、この
可動シートをその後部を中心に回動および前後方
向移動可能にするとともに、着座状態に回動させ
たときにはロツク歯プレートのロツク歯列および
ロツク孔プレートのロツク孔によりその位置にロ
ツクされるようにしたものであるから、可動シー
トを移動させてクツシヨンシートの長さを実質的
に変化させることができる。よつてクツシヨンシ
ートの先端とシートバツク迄の距離を体格、つま
り足の長さに応じて調節し、膝のすぐ内側をクツ
シヨンシートに接しさせるとともに、背中をシー
トバツクに適当な圧力で接しさせることができ
る。したがつて運転者は安定したドライビングポ
ジシヨンを確保することができ、また快適性が高
まるから長時間の運転にも疲れが少ないという効
果が得られる。さらに可動シートの回動中心ピン
は、可動シートに固定したロツク孔プレートまた
はロツク歯プレートに設けられ、基部シート側に
固定したロツク歯プレートまたはロツク孔プレー
トに、この回動中心ピンを回動および前後方向移
動可能に支持する移動ガイド溝を設けたから、部
品点数の少ない簡単な構成で確実に可動シートの
前後ガイド、前後位置調整の際の回動ガイド、お
よび調整後の位置へのロツクを行なうことがで
き、重要保安部品としての車両シートの実質的長
さの調整をなんら不安なく行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のクツシヨンシートの基本構成
を示す斜視図、第２図は同縦断側面図、第３図は
本考案の実施例を示す分解斜視図、第４図は同縦
断側面図である。 １１……クツシヨンシート、１２……基部シー
ト、１３……可動シート、１４……後部シート、
１５……側部シート、１６……蛇腹、２０……ロ
ツク孔プレート、２１……回動中心ピン、２３…
…ロツク孔、３０……ロツク歯プレート、３２…
…直立壁、３３……移動ガイド溝、３４……ロツ
ク歯列、３５……把手、４０……シートトラツ
ク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 クツシヨンシートの前方を基部シートと分離し
   た可動シートとなし、 この可動シートを後方側部の回動中心ピンを中
   心に回動可能かつ前後方向に移動可能に上記基部
   シート側に支持し、 この可動シート側と基部シート側のいずれか一
   方に、前後方向のロツク歯列を有するロツク歯プ
   レートを固定し、他方に、可動シートを着座状態
   に回動させたとき、このロツク歯プレートのロツ
   ク歯と噛み合うロツク孔を有するロツク孔プレー
   トを固定し、 さらに可動シート側に固定したロツク孔プレー
   トまたはロツク歯プレートに、可動シートの上記
   回動中心ピンを設け、基部シート側に固定したロ
   ツク歯プレートまたはロツク孔プレートに、この
   回動中心ピンを前後移動自在にガイドし、かつ可
   動シートの回動を可能とする移動ガイド溝を設け
   たことを特徴とする長さ調節可能なクツシヨンシ
   ート。