JPH0143330Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《考案の分野》 この考案は、自動車のエンジンルーム等のよう
に極めて狭い空間に点状に取付けられて、エンジ
ンその他補機類から発生する騒音の低減を図るよ
うにした吸音クリツプに関する。

《従来技術とその問題点》 自動車のエンジンルームは、第１図に示すよう
に、フードパネル１、ダツシユパネル３およびサ
イドパネルに囲われる略四角形状の空間であつ
て、この内部にはエンジン５を始めとする各種補
機類が密集配置される構造となつている。

そして、前記エンジン５の発する騒音、あるい
はその他補機類の発する騒音を車室内Ｒ側あるい
は車外に伝達することを可及的に防止する手段と
しては、例えば前記フードパネル１の内面にガラ
ス繊維不織布からなる吸音シート２を貼付けた
り、ダツシユパネル３のエンジンルーム側側面に
フエルトあるいはグラスウール等の不織布からな
る吸音シート４を貼付けるようにしている。

ところが、これら吸音シート２，４は各パネル
に面状に固定するようになつているために、両者
の間の間隙に泥水等が入り込み、パネルに錆を発
生させる原因となつている。

また、そのためにこれら吸音シートの裏面に撥
水処理を行なうと、コスト的にも高くなり、かつ
吸音性が減少してしまう等の欠点がある。

また特に、前記ダツシユパネル３に貼着される
吸音シート４の場合には、ダツシユパネル３とエ
ンジン５との間の間隙が極めて小さいことや、ダ
ツシユパネル３を貫通する部品が多いために、そ
の貫通部品を挿通させるための孔を多く設けなけ
ればならず、その設定面積の割りには吸音効果が
充分でない。

《考案の目的》 この考案は、従来の吸音シートのようにパネル
面に面で固定したものに代えて、パネル面に点で
固定することにより、油分あるいは水分によるパ
ネル面の錆の発生を防止するとともに、極めて狭
い空間内でも容易に吸音体を設定できるようにす
ることを目的とする。

《考案の構成と効果》 前記目的を達成するために、本考案では、自動
車のパネル面に嵌合されるクリツプ本体と、この
クリツプ本体より延長された取付用軸部と、この
軸部に挿通される吸音体と、前記軸部に挿通固定
され、前記吸音体の抜け止めを行なう固定用ワツ
シヤとからなることを特徴とする。

前記構成によれば、パネルと吸音材との直接的
な接触がなく、パネルに錆を発生することがな
く、しかもスペース的に余裕のある部位を選んで
任意に設定できるために、従来の面状に吸音シー
トを取付けるものに対し、取付自由度が大とな
り、しかも吸音材の撥水処理が不要となるため
に、コストが低下する等の各種利点を有する。

また特に、矩形状の箱体の場合においては、そ
のコーナ部での音圧が急激に上昇することが知ら
れているが、このような部位を選んで前記吸音ク
リツプを装着することにより、その吸音性能が極
めて効率的な形で実現できる。

《実施例の説明》 以下に、本考案の実施例を第２図以下の図面を
用いて説明する。

同第２図ａ，ｂおよび第３図はこの考案の一実
施例を示すものである。

各図において、吸音クリツプ１０は皿状部１１
ａを一体化した弾頭形のクリツプ本体１１と、こ
のクリツプ本体１１の後部に所定間隔h₁をあけて
形成された第２の皿状部１２を一体化してなる取
付用軸部１３と、この軸部１３の後端に形成され
た複数のフランジ部１４と、このフランジ部１４
に嵌合するワツシヤ１６と、前記軸部１３に装着
される複数の円板状の吸音体１５，１５……とか
らなつている。

前記各吸音体１５はフエルトあるいは発泡ウレ
タン等の成形品であつて、その合計厚みは第２の
皿状部とフランジ部１４間の長さh₂のほぼ２倍の
厚みとなるように設定されている。

しかして、前記吸音体１５を取付用軸部１３に
嵌め込み、その後端のフランジ部１４にワツシヤ
１６を嵌め込むことにより、第２図ｂおよび第３
図の如く、各吸音体１５はその中心をほぼ半分程
度に圧縮された状態で固定され、これによつて周
縁部を開いた状態で取付用軸部１３に一体化され
る。

そして、以上のように組立てられた吸音クリツ
プは第３図に示すように、エンジンルームあるい
はその他の部分を構成するパネルＰに形成された
取付孔P₁にそのクリツプ本体１１を嵌め込むこ
とによつて装着され、かつ皿状部１１ａによつて
その嵌め込み深さが規制される。

そして、このように取付けられた状態において
は、第２の皿状部１２によつて各吸音体１５とパ
ネルＰとの間には所定の離間距離をおいて離され
ることになり、パネルＰと吸音体１５とが直接接
触することは全くない。

このような取付形態においては、ホイールハウ
ス部あるいはフードレツジ、ダツシユパネルとの
各種部品に形成された孔に嵌め付けることになる
が、好ましくはこれらパネルのコーナ部への設定
が、前述の如く音圧が高まる部位であるためにそ
の吸音効果が極めて高く、性能的に最も好まし
く、更には前記各コーナ部においてはエンジンル
ーム内に装備される部品との間に最も隙間ができ
易い部分であるので、スペース的にも有利なもの
となる。

第４図はこの考案の第２の実施例を示すもので
ある。

同図における吸音クリツプ２０を構成する吸音
体２１は、中実円筒状をなし、その外周に複数の
スリツト２１ａ，２１ａ……を形成してある。

この例においても、取付用軸部１３に吸音体２
１を取付ワツシヤ１６を嵌め付けた状態において
は、その外周部がスリツトで分割されているため
に羽状に広がり、実効吸音面積を大とできる（第
２図ｂ参照）。

更に、第５図に示すものはこの考案の第３の実
施例を示すもので、同図における吸音クリツプ３
０は偏心状態に取付けられる複数の円板状吸音体
３１，３１……を有しており、その偏心状の取付
孔に取付用軸部１３を挿通し、図示しないワツシ
ヤによつて固定することによりその中心部を圧縮
した状態で取付用軸部１３に固着するようにして
いる。

本実施例においても、前記各吸音体３１，３１
……が偏心状態で取付けられているために、その
実効吸音面積を増大できる。

次に、第６図に示すものはこの考案の第４の実
施例を示すもので、同図における吸音クリツプ４
０はその外周に放射状に形成された複数の短冊状
吸音体４１，４１……を有している。

このように構成した場合にも、その実効吸音面
積を増大できる。

なお、本実施例においては、例えば第４図に示
す円筒状吸音体２１に縦方向にスリツトを入れて
おけば、これが圧縮されることにより開いて前記
のような放射状短冊形の複数の吸音体４１を形成
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車におけるエンジンルーム
の吸音シートの配置を示す説明用断面図、第２図
ａはこの考案の第１の実施例に係る吸音クリツプ
の分解図、第２図ｂは同組立状態を示す斜視図、
第３図は同吸音クリツプをパネル面に装着した状
態を示す断面図、第４図はこの考案の第２の実施
例を示す分解斜視図、第５図はこの考案の第３の
実施例を示す斜視図、第６図はこの考案の第４の
実施例を示す斜視図である。 １０，２０，３０，４０……吸音クリツプ、１
１……クリツプ本体、１３……取付用軸部、５
１，２１，３１，４１……吸音体、１６……固定
用ワツシヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車のパネル面に嵌合されるクリツプ本体
   と、このクリツプ本体より延長された取付用軸部
   と、この軸部に挿通される吸音体と、前記軸部に
   挿通固定され、前記吸音体の抜け止めを行なう固
   定用ワツシヤとからなる吸音クリツプ。