JPH0141845B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、合成樹脂を材料に成形される止め具
等において肉薄のヒンジ片により折れ曲り自由に
接続されるヒンジ部を折れ曲つた状態に拘束し、
このヒンジ部を挟んで接続される２つの部分を例
えば直角状に姿勢保持するような場合に有効に利
用できるヒンジ部のロツク装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 合成樹脂、ことに軟性を有した熱可塑性合成樹
脂を材料にして成形される止め具類に肉薄にした
ヒンジ片を介して２つの部分を接続し、このヒン
ジ片を枢着手段、つまりヒンジ部にして折り曲り
自由にしたものが各種実用に供されている。例え
ば、合成樹脂製の蝶番が最も一般的であるが、更
には電気機器内に組込まれるプリント基板を固定
する止め具や、リード線などコード類を結束する
止め具にもこの肉薄ヒンジ片を活用したヒンジ部
が利用されている。

蝶番等においては自由に折れ曲ることが主とし
て求められるが、プリント基板の止め具やコード
類の結束具においてはシヤーシ等に固定する取付
基板部分に対し、腕の部分が自由に折れ曲るよう
に接続されるので加え、必要に応じてこの腕部分
が取付基板部分に対して一定の角度で固定される
ことが望まれることが多々ある。

これらの固定はシヤーシ等に対する取付作業時
の便利さと、使用時の安定性を同時に満足させる
ため求められている。

この様に肉薄ヒンジ片からなるヒンジ部には折
れ曲り角度を一定に保持する手段、つまりロツク
装置が必要とされる場合が多々あるが、従来提案
に係る装置には構造上幾つかの欠陥があり、その
改善が望まれていた。

添加する図面中第１１図と第１２図に示すコー
ド類の止め具は上述従来の提案に係るロツク装置
を備えた一例である。

この図面の止め具はシヤーシ等にビス止めによ
つて固定する取付基板１００とコード類を束ねる
結束部１０１を有し、この両者を間隔をおいて並
行する一対の肉薄のヒンジ片１０２で屈曲自由に
接続し、且つこのヒンジ片からなるヒンジ部分に
係止爪１０３を有した係止腕１０４を臨ませたも
のにしてある。

この止め具は合成樹脂を材料に一体成形され、
シヤーシ等に止め付ける際は第１１図に示した如
く偏平に伸長させて取付基板１００に設ける穴１
０５に対するビスの揉み込みを容易にし、使用に
当つてはヒンジ片１０２を支点にして結束部１０
１を起し、このとき取付基板側から突き出す係止
腕１０４を跨いで先端の係止爪１０３を結束部の
縁に掛止め、起ち上つた状態にに拘束するものに
してある。

この拘束に当つて従来の装置は第１２図に拡大
して示した如く係止腕１０４を跨ぐ関係からヒン
ジ片を強制的に引き伸して、ときにして切断する
危険があることと、係合されたあと強い係止力に
よつて外れにくく、これがため無理に外そうとし
て破損する等の欠点があつた。特に、知られるよ
うに合成樹脂素材は温度、湿度の変化に影響され
塞冷地等においては屈曲性が衰えることから上記
従来のロツク装置の改善は強く望まれるところと
なつていた。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は上述した従来の合成樹脂製止め具等に
おけるヒンジ部のロツク装置の欠陥に鑑み、これ
を改善すべく研究開発されたもので、その目的と
するところはヒンジ片を支点に折り曲げて所定の
角度でロツクするとき従来の様にヒンジ片を引き
延すことなくこの折曲げ状態に拘束することがで
き、これによつてヒンジ片に対し折曲げ運動以上
の負担をかけないようにする一方、ロツクを解除
するに当つては所定の力で元の伸長した姿勢に向
けて折り返すことで係合を無理なく解除させるこ
とができ、この間ロツク時と同様にヒンジ片に過
大な負担をかけずに戻せるようにしたヒンジ部の
ロツク装置を提供することにある。

そして、上述操作において従来の装置は係止腕
に係脱自在に係合させるときヒンジ片に屈曲運動
に外、係止腕を乗り越えさせるためこのヒンジ片
を引き伸す必要があり、このための力を要した
が、本発明はこの係止腕に対する乗り越えの運動
を廃して係脱操作を容易に行えるようにして操作
性を改善した新規なヒンジ部におけるロツク装置
を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 即ち、本発明は従来の係止爪付き係止腕の係脱
時の抵抗と、ヒンジ片の引き伸しに伴う欠点に鑑
みなされた新たな解決手段であつて、その特徴と
するところは取付基板と、この取付基板に肉薄の
ヒンジ片を介して折れ曲り自由に接続される腕部
分とを有してなる止め具のヒンジ部において、 上記ヒンジ片は間隔をおいて少なくとも２本並
行状に渡す一方、該ヒンジ片を介して接続される
上記腕部分の接続部にヒンジ片に並行させて係止
部を備え、他方取付基板のヒンジ部に臨む一側部
にはヒンジ片の折れ曲り線に直交する直線に並行
して起立するバネ性を有した係止片を立設し、該
係止片の前記係止部に臨む一側縁に係止爪を設
け、前記取付基条に対し腕部分を前記ヒンジ片を
中心に直角状に起したとき、前記係止部を係止片
の一側面に摺り寄せる如く交錯させて前記係止爪
に掛止め、該腕部分を取付基板に対し起ち上り状
に係脱自在に拘束できるようにしてなることを特
徴とした合成樹脂製止め具等における肉薄ヒンジ
部のロツク装置にある。

次に、本発明のロツク装置につき図示する実施
例に基づき詳述する。

［実施例］ 図面に示す実施例は本発明装置をコード類の結
束用止め具につき具体化した一例で、第１図は止
め具の平面図、第２図は同じく底面図、第３図は
正面図である。

図示する止め具１は適度の弾性を有した熱可塑
性合成樹脂を材料に一体に成形されるもので、こ
こに示すものは取付基板２とコード類を結束し止
め付ける結束部３を有し、この結束部３を保持す
る腕部分４と上記取付基板２との間にヒンジ片５
を介挿して折り曲げ自由となるよう接続させてあ
る。

取付基板２は矩形の幾分肉厚の板状にしてその
中央部にはビス止め用の穴６を設け、一側縁部か
ら上記ヒンジ片５を延設させてある。

ヒンジ片５は一側縁部の両端から相互に間隔を
おいて並行状に一対をなす片として設けてあり、
長さの略中央部を肉薄にして、この肉薄部分５ａ
を基点に容易に折れ曲るようにしてある。そし
て、この両ヒンジ片の先端部に腕部分４の基端を
接続し一体としてある。

図中、７は係止片８の支えてなる基台であり、
９は係止片８と係合するため腕部分４の基端に設
けた係止部であり、１０は係止片８と係止部９が
係合したとき基台７に嵌め付けてヒンジ片５を中
心としたヒンジ部１１を補強する補強枠である。

係止部９は前記ヒンジ片５の延長上に位置して
相互の間に間隔１２をおいて並行状に一対宛設け
られる。ここでは実質的に並行するヒンジ片５の
腕部分側の向い合つた縁部から内側に突き出すよ
うに設けてある。そして補強枠１０は腕部分４の
接続端の上面を横断し、更に２つのヒンジ片５，
５の上面に達する断面コ字形をなす壁として起ち
上げてあり、上記係止部９を囲む形に形成してあ
る。

一方、係止片８を支える基台７は取付基板２の
一側縁から上記補強枠１０に対向するように起立
させてあり、その対向する一面から垂直に突き出
すように間隔をおいて一体の係止片８，８を設け
ている。

係止片８は並行状をなし、両者の間に撓み代と
しての空隙１３を有する。

この係止片８は図示するように前記並行させた
係止部９の間隔１２より広い幅をもたせて起立さ
せてあり、これによつて起立一側縁に沿つて外方
に突き出すように設ける係止片１４が係止部９と
噛み合える関係にしてある。尚、上記係止爪は係
止片の一側縁を前記ヒンジ片５の支点５ａを越え
て腕部分４側に突き出すことによつて係合部９の
上部近くに臨むようにしてあり、また基台７から
延設される並行した２つの係止片８，８は下縁を
補強板１５で一体に連結して断面がコ字形をなす
ように形成し、これによつて撓み性を保障しつつ
反発力を高めて後述する係止爪１４の係合力を高
めるようにしてある。ところで、上記の両係止片
８，８に設けられる係止爪１４は係止部９に対向
する先端面を傾斜面に形成して逆止爪形に形成し
てあり、またこれに対向する係止部９は同様に先
端縁の上面を切削して傾斜面に形成し、係止爪１
４の係合が円滑に行えるようにしてある。

前記結束部３はコード類を束ねる２本の腕３ａ
と腕の先端から延長されて相互に絡み合つて結合
する角状の結合片３ｂを有し、２本の腕には内方
に向けて弧状に突き出すバネ片３ｃが設けてあ
る。

この結束部３は結束片３ｂの間を通してコード
類を受け入れたのち、それぞれ外方に反り返る形
に形成した結束片３ｂを撚り合せる如くして掛け
合せることによつて結束するもので、腕３ａで縛
つたコード類はバネ片３ｃで押圧されしつかり止
められることになる。

さて、本発明装置は上述説明の様に構成される
もので、当該実施例における止め具の実際の使用
においては先ず第１図乃至第３図に示した様に平
面状に伸長させた状態において、例えば電気機器
のシヤーシ等に取付ける場合には取付基板２に設
ける穴６にビスを通してシヤーシに固着する。こ
の様にしてその取付けを行つたのち、コード類の
止め付けに先立つてヒンジ片５の支点５ａを中心
にして腕部分４を起き上げ、結束部３をシヤーシ
表面から起す。

本発明装置はこの様にして腕部分４を起すと、
ヒンジ片の支点５ａを中心に係合部９が起き上
り、係止片８の起き上り一側縁に接近してこれに
設ける係止爪１４に衝合するので更りこの抵抗に
抗して腕部分を起すと、係止片の一側縁が内方に
撓み係止部９の通過を許して係止爪１４対する掛
止めがなされ、両者を結合させることになる。

この係止部９の掛止めがなされるのに併せてこ
の実施例では補強枠１０が基体を７と両係止片
８，８の上に被つて嵌め合せとなりヒンジ片５に
負荷する衝撃、ことに腕部分４にかゝる横方向か
らの衝撃等から保護することになる。

第７図乃至第１０図は係止部９と係止片８の係
止爪１４が結合し、腕部分４が起立した姿勢に拘
束された状態を示す要部の拡大図で、結合時係止
片の係止爪１４は間隔１２を通して係止部９の裏
側に突き出し係合することになり、この係止片８
と基台７の全体はコの字形の補強枠１０に包み込
まれることになる。

尚、この様にしてロツクされる係止部９と係止
１４は爪の角度、噛み合いの深さによつて係合の
強弱が任意設定されるが、通常の係合において腕
部分を無理に押し倒すと係止片爪が伸び、係止片
８が内方に撓み、更に突出した係止部９が撓むた
め係合が外れて再び平面状に伸長した状態に戻す
ことができる。

さて、実施例の止め具においては上述した様に
腕部分を起立させたのち、結束部３に前述した手
順に従つてコード類を縛り付けることでその止め
付けを完了することになる。

［発明の効果］ 本発明につきその特徴とするところをコードの
止め具につき具体化した一例に従つて説明した
が、本発明におけるロツク装置は一方の部材たる
取付基体２に対し、他方の部材たる腕部分４をヒ
ンジ片５を支点に折り曲げ起ち上げてロツクする
とき、起立する係止片８は係止部９との衝合によ
つて折り曲げ方向とは直角をなす横方向に撓んで
これとの係合を果すことから、従来のロツク装置
における如く肉薄なヒンジ片を引き伸すことが全
く無く、従つて無理な負担を掛けることがないの
で容易に係合状態を確保する一方、無理にこの係
合状態を解く場合もヒンジ片自体に過大な負担を
かけないためヒンジ片を損傷し再使用が出来ない
と言つた問題を起すことがない。

ことに、この種合成樹脂製の肉薄ヒンジ片から
なるヒンジ部は温度、湿度に影響され、寒冷地等
においては柔軟性が損われ、引き伸しに耐えられ
ないことがあるが、本発明装置においてはこの引
き延しを肉薄のヒンジ片にかけることなく係止部
と係止片の係脱操作が行えることから品質保持の
上で極めて好都合である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示したもので、第１
図は一部欠截した平面図、第２図は同上背面図、
第３図は同じく正面図で、第４図は第１図−
線に沿つた断面図、第５図は同じく−線に沿
つた断面図、第６図は要部の展開した状態の斜視
図、第７図、第８図はロツク状態における要部の
斜視図、第９図はロツク状態における要部の横断
平面図、第１０図は上図−線に沿つた要部の
断面図、第１１図は従来例の平面図、第１２図は
従来例の要部の一部断面とした拡大図である。 ２……取付基板、４……腕部分、５……ヒンジ
片、８……係止片、９……係止部、１４……係止
爪。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 取付基板と、この取付基板に肉薄のヒンジ片
   を介して折れ曲り自由に接続される腕部分とを有
   してなる止め具のヒンジ部において、 上記ヒンジ片は間隔をおいて少なくとも２本並
   行状に渡す一方、該ヒンジ片を介して接続される
   上記腕部分の接続部にはヒンジ片に並行させて係
   止部を備え、他方取付基板のヒンジ部に臨む一側
   部にはヒンジ片の折れ曲り線に直交する直線に並
   行して起立するバネ性を有した係止片を立設し、
   該係止片の前記係止部に臨む一側縁に係止爪を設
   け、前記取付基板に対し腕部分を前記ヒンジ片を
   中心に直角状に起したとき、前記係止部を係止片
   の一側面に摺り寄せる如く交錯させて前記係止爪
   に掛止め、該腕部分を取付基板に対し起ち上り状
   に係脱自在に拘束できるようにしてなることを特
   徴とした合成樹脂製止め具等における肉薄ヒンジ
   部のロツク装置。