JPH0141417Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は一般家庭において使用する脱水洗濯機
の防振装置に関するものである。

従来例の構成とその問題点 いわゆる脱水洗濯機においては、脱水時に、脱
水兼洗濯槽（以下水槽という）が高速回転する
が、その回転中に振動系の固有振動数と、回転に
よる振動数とが合致すると、共振現象を起して振
幅（振れまわり）が極めて大きくなり、いわゆる
危険速度状態となる問題があつた。この場合、振
動系に減衰構造を施しておくと、若干振幅が大き
くなるだけで、すみやかに共振点を通過するので
問題がなかつた。

この点についての従来の構成を、第１図および
第２図によつて説明する。１は水槽で、衣類の洗
濯又はすすぎ作用を行ない、かつ高速回転させて
脱水作用を行なうものである。２は水槽１を回動
自在に内設した外槽で、上端にはカバー３を配し
ており、また底部にはメカ装置４及び駆動装置５
を固設している。６は前記外槽２の下方に形成し
た球面受座、７は外枠８の上端四隅に固設した球
面受座、９は水槽１、外槽２、カバー３、メカ装
置４等の振動系をバネ体１０等を介して支持する
線材からなる支持杆である。次に第２図により防
振構造を説明する。支持杆９は復線状となし、外
枠８の上端に固設した球面受座７で支持される球
面体１１により上端を係止し、下端はバネ受け体
１２に係止させている。１３は内部に立体交差路
１４を形成した胴部とその下方外壁に球面状のつ
ば部１５を形成してなるスライダーで、前記支持
杆９を立体交差路４に立体交差状に挿通し、バネ
体１０を介して振動系の球面受座６を支持してい
る。このようにすれば、振動系要素、すなわち水
槽１，外槽２，カバー３，メカ装置４，駆動装置
５等に水槽１内の衣類のアンバランスによる上下
荷重が加わつた時、スライダー１３は球面受座７
と、バネ受け体１２の間で上下移動動作が生じ
る。この場合、スライダー１３に支持杆９を立体
交差状に挿通していることから、支持杆９と立体
交差路１４の内壁とに摩擦抵抗が生じて減衰効果
が発生する。しかしながら支持杆９の線径が細
く、かつ、振動系の支持部Ａから外枠８の上端の
支持部Ｂ迄の距離ｌが長いため、復線状の支持杆
９が大きく湾曲し、前記減衰効果が立体交差路１
４における内面摩擦抵抗のみになつてしまつて大
きな減衰効果が得られず、共振点に近い大きな振
幅となつて振動系が外枠に当る等の問題があつ
た。

考案の目的 本考案はこのような従来の問題を解消し、減衰
効果の向上により脱水洗濯機の振動及び騒音の低
減とはかつた、脱水洗濯機の防振装置を提供する
ものである。

考案の構成 本考案の脱水洗濯機は、脱水槽を収納した外槽
を外枠に支持する複数の支持杆を立体交差を有す
る８字状形成し、前記支持杆の立体交差部分を通
す立体交差路を上下方向に形成したスライダーの
上部に、筒状のガイドを係止し、前記ガイドの上
部開口部を前記スライダー上部の立体交差路の出
口間距離よりも小さくしているので支持杆の湾曲
が極めて少なくすると共に減衰効果を向上させ、
衣類のアンバランスによる共振荷重と減衰させ
て、静かな脱水作業が行なえるものである。

実施例の説明 以下、添付図面に基づいて本考案の一実施例に
ついて説明する。なお、従来例と異なる部分のみ
番号を付加し、共用のものにあつては同番号を併
用する。第３図において、１６はスライダーで、
内部に立体交差路１４を形成する胴部と、この下
方に形成した球面のつば部１５とからなり、さら
に胴部の上部外壁には係止段部１７を形成してい
る。１８は係止段部１７に下端部を係止したガイ
ドで、上端開口部には、前記立体交差路１４の出
口２０間の幅ａより小さな径小部１９を形成し、
かつこの径小部１９はスライダー１６の上端より
一定距離をへだてて設けており、この部分におい
て、支持杆９を絞り込み挾持している。すなわち
立体交差路１４の両出口２０の近傍において支持
杆９が絞り込まれるので、この出口２０における
抵抗力が増加すると共に径小部１９での抵抗が付
加され、かつ、立体交差路１４内における摩擦抵
抗と合せて大きな減衰効果が得られる。この様な
事から、洗濯またはすすぎ終了時に水槽１におい
て衣類の不均一が生じアンバランスとなつて振動
を発した時、振動系及び防振系にて必然的に構成
される固有振動と、振動系の生ずる振動数が合致
し振動系の振幅は極めて大きくなろうとするが、
前記ガイド１８が支持杆９を挾持することから減
衰効果を高め、前記振動系の大きくなる振幅を制
圧し小さな振幅を保つことが出来る。

以上のように、この実施例における脱水洗濯機
の防振装置は、下端をバネ受け体１２に、上端は
外枠８の四隅に固設した球面受座７で支持した球
面体１１に係止した線材からなる復線状の支持杆
９と、この支持杆９の下方部にて振動系の球面受
座６を、バネ体１０を介して支持するスライダー
１６とを有し、このスライダー１６は、内部に立
体交差路１４を形成した胴部と、その下方に球面
部１５を形成し、前記支持杆９をこのスライダー
１６内に立体交差して挿通しかつスライダー１６
の上部外壁に係止手段１７を形成し、この係止段
部１７に下端を係止するガイド１８はスライダー
１６の胴部上端の前記立体交差路１４の両出口２
０の幅より小さい径小部１９を上部に有してい
る。そこで胴部上端より一定距離だけ離れた部分
の支持杆９が絞り込まれ、この絞り込みによる挾
持位置はスライダー１６の上端から一定の高さに
保つことから安定した挾持力が得られると共に、
立体交差路１４の両出口２０における摩擦抵抗が
向上され、また立体交差路１４内における支持杆
９との摩擦抵抗も加重されて大きな減衰効果をう
ることができ、振動系の振幅を小さく制圧し、洗
濯機の振動を小さく、振動から生じる騒音おも減
少させることが出来るものである。

考案の効果 以上のように、本考案の脱水洗濯機は、振動が
小さく、振動から生ずる騒音を小さくできるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は脱水洗濯機の一部欠載側面図、第２図
は脱水洗濯機における従来の防振装置の断面図、
第３図は本考案の一実施例における防振装置の要
部断面図である。 １……水槽、２……外槽、９……支持杆、１４
……立体交差路、１５……つば部、１６……スラ
イダー、１８……ガイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 脱水槽を収納した外槽を外枠に支持する複数の
   支持杆を立体交差を有する８字状に形成し、前記
   支持杆の立体交差部分を通す立体交差路を上下方
   向に形成したスライダーの上部に、筒状のガイド
   を係止し、前記ガイドの上部開口部を前記スライ
   ダー上部の立体交差路の出口間距離よりも小さく
   した脱水洗濯機。