JPH0140810Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、熱可塑性プラスチツクをブロー成形
して中空二重壁構造に構成したケース、コンテ
ナ、ハウジング部材等のプラスチツク函体に関す
るものである。

一般に種々の物品を収納する函体は、収納物品
を安定した姿勢に保持するため、その内壁の各面
のなす角度ができるだけ直角であるほうがよく、
少なくとも一面だけはその形態であることが望ま
しい。

ところで、従来、熱加塑性プラスチツクよりな
る中空二重壁構造のプラスチツク函体は、第３図
に示すように、加熱溶融して可塑化されたポリエ
チレン等の熱可塑性プラスチツクを押出ダイａよ
り筒状のパリスンｂとして押出し、このパリスン
ｂを凸形キヤビテイｃ、凹形キヤビテイｄを有す
る分割形式の金型で閉鎖した後、パリスンｂ内に
吹込針ｅより圧力流体を吹込み、ブロー成形して
製造しているが、成形品の金型からの抜取りを容
易にするため、四周面が一面開放側に向かつて拡
開する形状に成形する必要があり、内壁の各面の
なす角度を略直角にすることができない。また、
たとえ内壁の各面のなす角度を略直角に成形して
も、内壁四周面が薄肉化して強度が大きく損なわ
れる。

そこで、本考案は、熱可塑性プラスチツクをブ
ロー成形して構成される中空二重壁構造のプラス
チツク函体において、その四周面が一面開放側に
向かつて拡開状となつていても、内壁の少なくと
も一面を略直角としたものと同様に、収納物品を
安定した姿勢に保持することができるものを得る
ことを目的とするものである。

本考案は、上記目的を達成するため、特にその
構成を、熱可塑性プラスチツクをブロー成形して
中空二重壁構造に構成したものであつて、内壁お
よび外壁ともに一面開放側に向つて拡開する形状
に形成し、その内壁の四周面の少くとも一面に
は、上記開放面に対向する閉じた面側から開放面
にかけて、閉じた面側が低く開放面側が高い内側
に凸となる複数のリブを並列状に形成し、これら
複数のリブの凸端面によつて形成される仮想面が
上記閉じた面と略直角をなすように構成したこと
を特徴とするプラスチツク函体としたものであ
る。

そして、この構成により、函体の内壁の複数の
リブの凸端のなす仮想面によつて内壁に各面の少
なくとも一面のなす角度を略直角にすることがで
き、収納した物品を安定姿勢に保持することがで
きるうえ、函体はその内外壁ともに開放側に拡開
した形状であるから、成形時の型抜きが容易であ
り、しかも、内外壁とも略直角になる部分がな
く、肉厚が全体に均一になり、強度の大なるプラ
スチツク函体を得ることができる。

以下、本考案の実施例を図面について説明す
る。

第１図において、１は本体、２は蓋体であつ
て、本体１と蓋体２はヒンジ部３によつて一体に
連結されており、本体１に対して蓋体２は開閉自
在となつている。本体１および蓋体２は熱可塑性
プラスチツクをブロー成形して中空二重壁構造に
構成され、ヒンジ部３はそのブロー成形時に圧縮
薄肉化して屈曲自在に形成されたものである。

上記本体１の内壁４は、一面開放側に向かつて
拡開状に形成されており、外壁５も内壁４に沿つ
た形状に、一面開放側に向かつて拡開状に形成さ
れている。また、上記内壁４の四周面の一面に
は、開放面に対向する閉じた面側から開放面にか
けて、閉じた面側が低く開放面側が高い内側に凸
となる複数のリブ６を並列状に形成し、これら複
数のリブ６の凸端面によつて形成される仮想面が
上記閉じた面と略直角をなすように構成されてい
る。なお、リブ６の開放側端部６′を傾斜状に切
欠くように形成すれば、さらに成形性がよく、肉
厚の均等な函体を得ることができる。７は蓋体２
側の嵌合凸部、８は本体１側の凹部である。

第２図には前記の構成に対する他の実施例が示
されている。この実施例においては、本体１の内
壁４を構成する四周面のうち、対向する二面に複
数のリブ６がそれぞれ並列状に形成されている。
このリブ６は、すべて開放面に対向する閉じた面
側から開放面にかけて、閉じた面側が低く開放面
側が高い内側に凸となつており、複数のリブ６の
凸端面によつて形成される仮想面は上記閉じた面
と略直角をなすように構成されている。

本体１、蓋体２およびヒンジ部３を構成する熱
可塑性プラスチツクとしては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、塩化ビニル等のブロー成形可能な
ものが用いられる。

以上のように構成された各実施例のものにおい
ては、本体１の内壁４の一面または対向する二面
に、内壁４の閉じた面に対して略直角な面をなす
リブ６が並列状に形成されているので、複数のリ
ブ６の凸端面をつなぐ仮想面は内壁４の閉じた面
に対して略直角である。したがつて、本体１内に
おいては、複数のリブ６によつて形成される仮想
面が収納物品の姿勢を安定させる支持面となり、
収納物品の不規則な動揺を防止してその保護を完
全ならしめることができる。また、内壁４および
外壁５の四周面は開放面に向かつて拡開状に形成
されているので、成形時の型抜きは従来通り容易
にできる。しかも、内壁４には直角部を成形する
必要がないので、薄肉部が生ぜず、強度が損なわ
れることがなく、全体として強度の大なるケー
ス、コンテナ、ハウジング部材等のプラスチツク
函体を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであつて、第
１図は一部を破断して示した斜視図、第２図は他
の実施例の一部を切欠して示した斜視図、第３図
は従来のブロー成形態様を示した縦断面図であ
る。 １……本体、２……蓋体、３……ヒンジ部、４
……内壁、５……外壁、６……リブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱可塑性プラスチツクをブロー成形して中空二
   重壁構造に構成したものであつて、内壁および外
   壁ともに一面開放側に向つて拡開する形状に形成
   し、その内壁の四周面の少くとも一面には、上記
   開放面に対向する閉じた面側から開放面にかけ
   て、閉じた面側が低く開放面側が高い内側に凸と
   なる複数のリブを並列状に形成し、これら複数の
   リブの凸端面によつて形成される仮想面が上記閉
   じた面と略直角をなすように構成したことを特徴
   とするプラスチツク函体。