JPH0138245Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ この考案は、クランクケースとオイルパンとを
別体に形成し、クランクケースの下部にオイルパ
ンを、クランクケースの側部に横向きにシリンダ
ブロツク及びシリンダヘツドをそれぞれ設け、シ
リンダヘツドの横外側に設けたロツカアーム室の
上部とクランク室の上部とをガス導出路で連通す
るとともに、ロツカアーム室の下部とオイルパン
の上部とをオイル戻し路で連通してある縦軸エン
ジンのロツカアーム室からクランク室へオイルを
戻す装置に関する。

≪従来の技術≫ 上記装置においては、ロツカアーム室に供給さ
れたブローバイガスから分離したオイルをオイル
パンに戻すオイル戻し路は、単に一連の横向きの
通路として形成されているだけであつた。

≪考案が解決しようとする問題点≫ このため、エンジンがヘツド側に大きく傾斜し
た場合、オイルパンの貯留油がオイル戻し路を逆
流してロツカアームの吸気弁軸承部から燃焼室に
流入し、ロツカアーム室にオイルが吸引されてエ
ンジン不調を招くおそれがあつた。

この考案は、このような不具合を解消すること
を目的とする。

≪問題点を解決するための手段≫ 上記目的を達成するために、本考案において
は、クランクケースに連通孔を形成して、この連
通孔の上部をオイル戻し路のオイルパン側の端部
に、その下部をクランクケース下面にそれぞれ開
口し、オイルパン上面のうち連通孔に対向する部
分に凹溝を形成して、この凹溝をオイルパン内側
面に連通し、オイルにより浮上させられるボール
弁子を凹溝上に載置して、クランクケース下面と
オイルパン上面との接合面に逆止弁を付設し、ボ
ール弁子が凹溝上に位置する状態では、オイル戻
し路を連通孔及び凹溝を介してオイルパン内側面
に連通させるように構成し、エンジンのシリンダ
ヘツド側への傾斜時にオイルの浸入によりボール
弁子が連通孔の上部開口側に移動して連通孔の上
部開口を閉塞し、オイルパンからオイル戻し路へ
のオイル流動を阻止するように構成してある。

≪作用≫ これによると、通常の運転姿勢では、ロツカア
ーム室のオイルはオイル戻し路から連通孔、凹溝
を介してオイルパンへ流入し、このオイルパンへ
のオイル流入はボール弁子により妨げられること
はない。

また、エンジンがシリンダヘツド側に大きく傾
斜してオイルが浸入すると、ボール弁子が連通孔
の上部開口側に移動して上部開口が閉塞され、オ
イルパンからオイル戻し路側へのオイル逆流は阻
止される。

≪実施例≫ 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は頭上弁式縦軸型エンジンのシリンダヘ
ツド側の一部を縦断した正面を示しており、縦軸
型のクランク軸１を支承したクランクケース２の
側部に、ピストン３を横向きに摺動自在に内嵌し
たシリンダブロツク４が一体連設され、その横外
側にシリンダヘツド５及びヘツドカバー６が順次
連結され、又、クランクケース２の下部にオイル
パン７が連結されている。

シリンダヘツド５とヘツドカバー６の間にはロ
ツカアーム室８が形成され、ここに内装した吸・
排気弁駆動用の一対のロツカアーム９，９が支点
ブラケツト１０を介して上下に並列枢着され、ク
ランク室１１のカム軸１２によつて左右移動され
るプツシユロツド１３，１３で各ロツカアーム
９，９が揺動駆動されるようになつている。

クランク室１１の上部とロツカアーム室８の上
部とは、シリンダブロツク４及びシリンダヘツド
５の周壁を貫通するガス導出路１４で連通されて
おり、クランク室１１のブローバイガスをロツカ
アーム室８に導いてガスに含まれるオイルでロツ
カアーム９の摺動部位を潤滑する構造となつてい
る。尚、ブローバイガスは周知のようにロツカア
ーム室８から図外のブレザー装置に導かれ、更に
オイル分離処理される。

シリンダブロツク４及びシリンダヘツド５に形
成されたプツシユロツド挿通室１５の両端は、ロ
ツカアーム室８の下部とオイルパン７の上部に
夫々連通孔１６，１７を介して連通され、ロツカ
アーム室８のオイルをオイルパン７に戻すオイル
戻し路としての機能を与えられている。

そして、このオイル戻し路１５のオイルパン７
側の終端である前記連通孔１７にはオイルパン７
から戻し路１５へのオイル流動を阻止する逆止弁
１８が設けられている。

この逆止弁１８は、オイルパン７とクランクケ
ース２との接合面に設けられたものであつて、連
通孔１７内に収容したボール弁子１９が通常時は
オイルパン７の上端面に形成した小幅の凹溝２０
上に支持されて、連通孔１７と凹溝２０とが連通
し、エンジンがシリンダヘツド５側に大きく傾斜
してオイルパン７からオイルが凹溝２０内に流入
してくるとボール弁子１９が上方に移動して連通
孔１７を内方から閉塞する構造となつている。

尚、前記ボール弁子１９の材質はいかなるもの
でもよいが、オイルパン７からのオイル逆流によ
つて敏感に閉路作動させるためには中実又は中空
のプラスチツク球が好適である。

≪考案の効果≫ 以上説明したように、本考案によれば、クラン
クケースに形成した連通孔の上部をオイル戻し路
のオイルパン側の端部に、その下部をクランクケ
ース下面にそれぞれ開口するとともに、オイルパ
ン上面のうち連通孔に対向する部分に形成した凹
溝をオイルパン内側面に連通し、オイルにより浮
上させられるボール弁子を凹溝上に載置して、ク
ランクケース下面とオイルパン上面との接合面に
逆止弁を付設し、エンジンのシリンダヘツド側へ
の傾斜時にオイルの浸入によりボール弁子が連通
孔の上部開口側に移動して上部開口を閉塞し、オ
イルパンからオイル戻し路へのオイル流動を阻止
するように構成したので、エンジンのシリンダヘ
ツド側への大きな傾斜に伴つてオイルが浸入した
時に、この逆止弁でオイルパンからオイル戻し路
へのオイル逆流を阻止して、ロツカアーム室への
多量のオイル流入を確実に防止できるようになつ
た。

その上、上記逆止弁を付設するためには、オイ
ルパン上面の凹溝上にボール弁子を載置した状態
でクランクケースの連通孔に位置合わせしてクラ
ンクケースに接合し・組付けるだけでよいので、
逆止弁の付設がクランクケースとオイルパンとの
組付け作業と同時に、しかも非常に簡単に行え
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦軸型エンジンのシリンダヘツド側の
一部を示す縦断側面図、第２図は第１図における
−線断面図である。 ２……クランクケース、４……シリンダブロツ
ク、５……シリンダヘツド、７……オイルパン、
８……ロツカアーム室、１１……クランク室、１
４……ガス導出路、５……オイル戻し路、１８…
…逆止弁、１９……ボール弁子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ クランクケース２とオイルパン７とを別体に
   形成し、クランクケース２の下部にオイルパン
   ７を、クランクケース２の側部に横向きにシリ
   ンダブロツク４及びシリンダヘツド５をそれぞ
   れ設け、 シリンダヘツド５の横外側に設けたロツカア
   ーム室８の上部とクランク室１１の上部とをガ
   ス導出路１４で連通するとともに、ロツカアー
   ム室８の下部とオイルパン７の上部とをオイル
   戻し路１５で連通してある縦軸エンジンのロツ
   カアーム室からのオイル戻し装置において、 クランクケース２に連通孔１７を形成して、
   この連通孔１７の上部をオイル戻し路１５のオ
   イルパン７側の端部に、その下部をクランクケ
   ース２下面にそれぞれ開口し、オイルパン７上
   面のうち連通孔１７に対向する部分に凹溝２０
   を形成して、この凹溝２０をオイルパン７内側
   面に連通し、オイルにより浮上させられるボー
   ル弁子１９を凹溝２０上に載置して、クランク
   ケース２下面とオイルパン７上面との接合面に
   逆止弁１８を付設し、 ボール弁子１９が凹溝２０上に位置する状態
   では、オイル戻し路１５を連通孔１７及び凹溝
   ２０を介してオイルパン７内側面に連通させる
   ように構成し、 エンジンのシリンダヘツド５側への傾斜時に
   オイルの浸入によりボール弁子１９が連通孔１
   ７の上部開口側に移動して連通孔１７の上部開
   口を閉塞し、オイルパン７からオイル戻し路１
   ５へのオイル流動を阻止するように構成してあ
   る縦軸エンジンのロツカアーム室からのオイル
   戻し装置。 ２ 前記オイル戻し路１５がプツシユロツド挿通
   室である実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の縦軸エンジンのロツカアーム室からのオイル
   戻し装置。