JPH0136655Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は乗物の屋根窓に係り、屋根窓を開閉す
る際に、窓開口部縁とカバー部材との間に設けら
れたシール部材が損耗することを防止できるよう
にしたものに関する。

（従来の技術） 従来、乗物の屋根窓は、屋根に窓開口部が形成
され、この窓開口部を開閉するカバー部材に前後
支持体が設けられ、この前後支持体がリフト機構
及び駆動案内機構を介して後部を昇降自在に且つ
後部上昇姿勢で前後移動自在になつている。前記
カバー部材の後部昇降は前支持体を中心とした回
動であり、カバー部材は降下した状態で窓開口部
内に嵌入されてこれを閉鎖状態にし、窓開口部周
壁とカバー部材の周縁のどちらか一方に設けられ
たシール部材を介して閉鎖時のシールが行なわれ
るようになつている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記構成では、前支持体はカバー部材前部から
略垂下されていて、カバー部材の枢支点が窓開口
部前縁（周縁の前部分）よりも後方にあるため、
カバー部材の後部が上方に回動する際、カバー部
材前縁は逆に前下方に回動し、これによつて、シ
ール部材がカバー部材前縁と窓開口部前縁との間
で挟圧された損耗する等の問題がみられた。

また、カバー部材を後部上昇姿勢でより後方へ
移動するために後支持体を可及的に前方に配置さ
れるため、前後支持体の支持間隔が狭くなつて、
窓開放時のカバー部材の支持安定性が低下してい
た。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、かかる従来の問題点に鑑み、案出さ
れたもので、従つてその特徴とするところは、乗
物の屋根を平面視略矩形状に開口して形成されて
いて屋根の開口縁を下方に折曲して周壁とした窓
開口部２と；この窓開口部２内に嵌脱してこれを
開閉するカバー部材１３と；窓開口部２の周壁と
これに水平対向する窓開口部閉塞状態のカバー部
材１３の周縁との間のシールをすべく窓開口部２
の周壁とカバー部材１３の周縁のどちらか一方に
設けられたシール部材と；カバー部材１３の下面
に設けられた前支持体１４ａおよび後支持体１５
を有し且つ前記前支持体１４ａの前端を中心にカ
バー部材１３の後部を昇降させるリフト機構と；
カバー部材１３を上昇せしめた状態にて前後移動
させるべく前後支持体１４ａ，１５を案内移動さ
せる駆動案内機構とを備えた乗物の屋根窓におい
て、 カバー部材１３の閉塞時、前記前支持体１４ａ
の前端支持点２１を前部ルーフ１ｂの下方に位置
するように前記前支持体１４ａを前方向に延出し
た点にある。

（作用） 窓開口部閉塞状態のカバー部材１３を、その後
部をリフト機構で上昇させると、カバー部材１３
は前支持部１４ａの前端支持点２１を中心に回動
する。カバー部材１３の回動軌跡は上前方とな
り、窓開口部２とカバー部材１３との間のシール
部材３，２３を挟圧することなく上動する。前支
持体１４ａは前端支持点２１を前方向に延出して
いて、その延出分だけ後支持体との間のスパンが
長くなつて支持が安定するか、又はその延出分だ
け後支持体が前方に位置したカバー部材１３のよ
り後方への開放を許容する。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図に従い説明すると、
第１図、第２図において、乗物Ａの一例としての
車輌の屋根１には、その前部を平面視略矩形状に
開口して窓開口部２が形成され、この窓開口部２
は屋根の開口縁を下方に折曲した周壁を有し、窓
開口部２の後側が後部ルーフ１ａ、前側が前部ル
ーフ１ｂとなつており、該窓開口部２は略断面Ｌ
字状のシール部材３で縁取りされている。屋根１
下面には乗物室内の上面を形成する天井板４が固
着され、窓開口部２位置で屋根１と天井板４とは
離間配置され、天井板４に窓開口部２に対応する
天井開口部５が形成されている。

窓開口部２両側で、天井板４上面に夫々案内レ
ール６が設けられ、該案内レール６に沿つて前後
移動自在とされる駆動体７及び、前・後移動体
８，９が設けられ、これによつて後述のカバー部
材１３を前後動させる駆動案内機構が構成されて
いる。該駆動体７は、駆動源、例えば電動機や手
動ハンドルに押・引可能のワイヤー等連動体１０
を介して連結される駆動体本体１１と、該本体１
１から突設された前後一対の摺動子１２，１２と
で構成され、これら摺動子１２，１２及び前・後
移動体８，９は側面視楕円形をなす樹脂材等で形
成され、断面コの字状等のなす案内レール６に前
後摺動自在に内嵌されている。

カバー部材１３は窓開口部２に嵌脱自在に内嵌
されて該窓開口部２を開閉自在とするもので、透
明ガラス、金属板、樹脂板等で構成され、カバー
部材１３の窓開口部２への内嵌時には、カバー部
材１３の周縁部が第２図ａに示す如く、窓開口部
２の周壁と水平対向してシール部材３の下片３ａ
上面及び竪向片３ｂに押接してシール機能が達成
され、窓開口部２が閉止される。

上記カバー部材１３は図外ブラケツトを介し
て、左右一対のカバーフレーム（支持体）１４に
架設支持され、その前端がカバー部材１３から前
下方へ延出された前支持部１４ａとなつていて、
前移動体８に横向軸心回り回動自在に枢支され、
その枢支点（前端支持点）２１はカバー部材１３
を閉塞状態にしたとき、前部ルーフ１ｂの下方に
位置する。

後支持体１５は左右一対設けられ、各後支持体
１５前後端は後移動体９とカバーフルーム１４回
動部に夫々枢支され、駆動体７と後支持体１５中
途部の一方にカム軸１６、他方に該カム軸１６と
係合するカム溝１７が設けられ、これらカム軸１
６及びカム溝１７等はリフト機構を構成する。図
例では、駆動体７に前・後カム軸１６ａ，１６ｂ
が軸心横向として突設され、後支持体１５中途部
に直線的な前カム溝１７ａと伏倒姿勢のくの字状
後カム溝１７ｂとが形成されている。

而して、カバー部材１３の窓開口部２対向位置
において、駆動源の作動による駆動体７の前方移
動でカム軸１６がカム溝１７に沿つて前方に摺動
して後支持体１５が後移動体９を中心として下方
回動し、これに連動するカバーフレーム１４の前
移動体８を中心とする下方回動を介して、カバー
部材１３が下方回動され、この下方回動姿勢のカ
バー部材１３で窓開口部２が閉塞状態とされる
（第２図ａ）。上記の場合、前カム軸１６ａが前カ
ム溝１７ａの上面を押圧し、後カム軸１６ｂが後
カム溝１７ｂの下面を押圧する。また、カム軸１
６がカム溝１７に沿つて前方移動する際、カバー
部材１３前端がシール部材３の竪向片３ｂに当接
し、若しくは他のストツパー部材によりカバー部
材１３の前方移動が阻止される。

一方、カバー部材１３の窓開口部２対向位置に
おいて、駆動源の作動による駆動体７の後方移動
でカム軸１６がカム溝１７に沿つて後方に摺動し
て後支持体１５が後移動体９を中心として上方回
動し、これに連動する前支持体１４ａの前移動体
８を中心とする上方回動を介して、カバー部材１
３が上方回動され、この上方回動姿勢のカバー部
材１３は窓開口部２の主に後部を開放状態とする
（第２図ｂ）。この場合、後移動体９からリフト機
構までの距離に比して、該リフト機構から前支持
体１４ａと後支持体１５の枢支部１８までの距離
をより大きく採れば、カム軸１６とカム溝１７の
上下方向の係合距離が小さくても枢支部１８がよ
り上方に回動され、よつて、カバー部材１３に十
分な上方回動姿勢を与えることができ、かつ、カ
ム軸１６とカム溝１７の上下方向の係合距離が小
さいことから、屋根窓を特に上下方向にコンパク
ト化し得る。

後支持体１５前端は更に前方に延設され、該延
設端に補助移動体１９が突設される。該補助移動
体１９は、後支持体１５が上方回動し、カバー部
材１３を上方回動姿勢とした状態で案内レール６
に摺動自在に内嵌され、カバー部材１３の窓開口
部２対向位置で、カバー部材１３が上方回動姿勢
から下方回動する間、該補助移動体１９は案内レ
ール６に形成された係合切欠２０を通過して案内
レール６に対する嵌合が解除される。そして、上
記した如く、カム軸１６がカム溝１７に沿つて後
方移動する際、補助移動体１９が係合切欠２０の
前面２０ａに押接して、カバー部材１３の後方移
動が阻止される。

上記の如く、カバー部材１３と窓開口部２が対
向する場合、前移動体８と前支持体１４ａの枢支
点２１は窓開口部２前縁（直線状側縁の前方のコ
ーナ部を含む）より前方にあつて前部ルーフ１ｂ
の下方に位置しており、カバー部材１３が上方へ
回動する際、カバー部材１３前縁は降下すること
なく漸次上方へ回動し、カバー部材１３の上方回
動時に、カバー部材１３前縁がシール部材３の下
片３ａ及び竪向片３ｂを不必要に押圧することが
回避させる。

カバー部材１３の上方回動姿勢からの駆動体７
の後方移動で、案内レール６を摺動する後移動体
９と補助移動体１９とが協働して後支持体１５を
上方回動姿勢に保持し、これによつて、カバー部
材１３の上方回動姿勢が保持され、窓開口部２が
開放される（第２図ｃ）。

第３図は、本考案の他の実施例を示し、カバー
部材１３周縁には窓開口部閉塞状態で窓開口部２
との間をシールする他のシール部材２３が嵌着さ
れており、シール部材を有しない窓開口部２の周
壁にシール部材２３が上下摺動自在に押接し、こ
の状態で、カバー部材１３が前移動体８回りに回
動自在とされる。そして、窓開口部２にカバー部
材１３が内嵌されて、該窓開口部２が閉止された
とき、シール部材２３下面が窓開口部２内面に周
設された垂直な周壁と水平な突条部２４とに同時
に押接する。

他の構成は前記実施例と同じである。

（考案の効果） 本考案によれば、カバー部材１３が上方回動し
て窓開口部２を開とする場合、カバー部材１３の
回動中心、即ち、移動体８と前支持体１４ａの枢
支点２１は窓開口部２前縁（直線状側縁の前方の
コーナ部を含む）より前方にあつて前部ルーフ１
６の下方にあるため、カバー部材１３全体がその
前縁を含めて上方回動することとなり、従つて、
屋根窓を開閉する際に、窓開口部２縁とカバー部
材１３との間でシール部材３，２３を必要以上に
挟圧してシール部材３，２３の損耗を早める等の
問題が回避され、よつて有益なる考案である。

また、カバー部材１３から前支持体１４ａを前
方向に延出しているので、後支持体１５の位置が
従来技術と同一であれば、前後支持体１４ａ，１
５間のスパンを長くして、カバー部材１３の支持
を安定させることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は乗物の平
面図、第２図ａ，ｂ，ｃ各図は第１図の−線
矢視断面図で各動作状態を示す側面図、第３図は
他の実施例を示す部分側面断面図である。 １……屋根、２……窓開口部、６……案内レー
ル、７……駆動体、８……前移動体、９……後移
動体、１３……カバー部材、１４ａ……前支持
体、１５……後支持体、１６……カム軸、１７…
…カム溝、１８……枢支部、２１……枢支点。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 乗物の屋根を平面視略矩形状に開口して形成さ
   れていて屋根の開口縁を下方に折曲して周壁とし
   た窓開口部２と；この窓開口部２内に嵌脱してこ
   れを開閉するカバー部材１３と；窓開口部２の周
   壁とこれに水平対向する窓開口部閉塞状態のカバ
   ー部材１３の周縁との間のシールをすべく窓開口
   部２の周壁とカバー部材１３の周縁のどちらか一
   方に設けられたシール部材と；カバー部材１３の
   下面に設けられた前支持体１４ａおよび後支持体
   １５を有し且つ前記前支持体１４ａの前端を中心
   にカバー部材１３の後部を昇降させるリフト機構
   と；カバー部材１３を上昇せしめた状態にて前後
   移動させるべく前後支持体１４ａ，１５を案内移
   動させる駆動案内機構とを備えた乗物の屋根窓に
   おいて、 カバー部材１３の閉塞時、前記前支持体１４ａ
   の前端支持点２１を前部ルーフ１ｂの下方に位置
   するように前記前支持体１４ａを前方向に延出し
   たことを特徴とする乗物の屋根窓。