JPH0135968Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、固定プーリに対して可動プーリを軸
芯方向に移動させることによつてプーリ径を変化
させ、変速を行うようにして割プーリにおけるベ
ルトテンシヨン装置に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 一般に、この種割プーリによる変速は、例えば
脱穀機において米と麦とを脱穀する場合の如く扱
胴の回転体を変速せしめるため、扱胴の入力プー
リとして用いられる等、種々の部所に設けられて
いる。しかるに割プーリは、一方の半プーリを固
定プーリ、他方の半プーリを可動プーリとし、該
可動プーリを軸芯方向に移動することでプーリ径
を変化せしめて変速する構成になつている。この
ため、割プーリに懸回されている伝動ベルトは、
このプーリ径の変化に伴なつて、緊緩変化すると
同時に、軸芯方向にも移動することになる。これ
に対し、従来の伝動ベルト緊張用のテンシヨンプ
ーリは、プーリ径の変化に伴う伝動ベルトの上記
変位に対し、軸芯まわりに変位させて伝動ベルト
の緊緩変化に追従させるか軸芯方向に移動させる
かという何れか一方の変位に対応するものしか知
られておらず、未だ満足のいくものが提唱されて
いないという実情にある。

そこでこれら従来のものを組合せて構成するこ
とも考えられるが、そのためにはこれらの機構を
連動連結して、テンシヨンプーリをプーリ径変化
に伴い軸芯回りと軸芯方向との異なつた方向の移
動を同時的に行わせることが要求され、このため
には、連結手段が別途必要になる許りでなく、そ
の構造も複雑になつて事実上実施できないという
問題が有る。

［問題を解決する手段及び作用］ 本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点
を一掃することができる割プーリにおけるベルト
調節装置を提供すべく創案されたものであつて、
固定プーリに対する可動プーリの軸芯方向の移動
で伝動ベルトが懸回されるプーリ径を変化せしめ
て変速するようにした割プーリにおいて、前記可
動プーリに対して軸芯回りには自由回動し軸芯方
向には一体移動するよう設けた変速可動手段を、
躯体側に対する軸芯回りの作動で軸芯方向に移動
してプーリ径変化を行うよう躯体側に変速作動機
構を介して連繋する一方、上記変速可動手段に
は、伝動ベルト緊張用のテンシヨンプーリを、前
記変速可動手段と共に軸芯回り方向と軸芯方向に
同時に変位するよう一体的に設けて、テンシヨン
プーリの軸芯方向の変位は、プーリ径変化に伴う
伝動ベルトの軸芯方向の移動に追従させ、テンシ
ヨンプーリの軸芯回りの変位は、プーリ径変化に
伴う伝動ベルトの緊緩変化に追従させたことを特
徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、テンシヨ
ンプーリを、構造簡単なものでありながら、割プ
ーリのプーリ径変化に伴なう伝動ベルトの軸芯方
向の変位と緊緩変化とに同時的に追従することが
できるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面において、１はコンバインに設けられ
た脱穀機本体であつて、該脱穀機本体１に設けら
れた扱胴の入力軸２に設けられた後述する割プー
リ方式の入力プーリ３、二番ラセン体の入力軸４
に設けられた入力プーリ５、並びにエンジン側に
連動連結された駆動プーリ６には単一の伝動ベル
ト７が懸回せしめられている。８は動力断続用の
テンシヨンプーリであつて、該テンシヨンプーリ
８は運転席側に設けたクラツチレバー（図示せ
ず）に連動連結されており、クラツチレバーの操
作によつて、伝動ベルト７を緊張せしめて動力伝
動をする続状態と、伝動ベルト７を弛緩せしめて
動力を断つ断状態とに切換えることができるよう
になつている。さらに二番ラセン体の入力軸４か
らはベルト伝動機構９を介して排塵フアンの入力
軸９ａに動力伝動されており、また二番ラセン体
の入力軸４からは、図示しないベルト伝動機構等
の動力伝動機構を経由して、唐箕、揺動選別体、
フイードチエン、一番ラセン体等の他の駆動部に
連動連結されており、テンシヨンプーリ８で伝動
ベルト７を緊張せしめて動力伝動状態にすること
で、脱穀機本体１の全駆動系が駆動するようにな
つている。そして本実施例では、単一の伝動ベル
ト７でエンジン側の伝動を脱穀機と選別部側とに
同時に伝達できると共に、伝動ベルト７の弛緩に
よつて両者間の連繋を断つことができるようにな
つているが、後述する入力プーリ３のプーリ径の
変更によつて、他駆動系には全く影響を与えるこ
となく扱胴の回転数のみを高低調節できるように
なつており、これによつて扱胴の回転数を稲、麦
等に準じて変化せしめても、他の駆動部は何ら変
速されることなく一定駆動が保たれるので、扱胴
回転数の変化に伴なう選別性能等の他性能の低下
を免がれるようになつている。尚、９ｂはベルト
伝動機構９ａのテンシヨンプーリである。

前記扱胴側の入力プーリ３は、入力軸２に固定
の固定プーリ３ａと、入力軸２に対して軸芯方向
移動自在な可動プーリ３ｂとから構成されている
が、固定プーリ３ａは入力軸２にキ一溝２ａで固
定せしめられた固定ボス１０にボルト１１で固定
されている。一方可動プーリ３ｂは、前記固定ボ
ス１０に軸芯方向摺動自在にスプライン嵌合され
た可動ボス１２にボルト１１ａで固定されている
が、可動ボス１２には、さらに軸受１４を介して
軸芯まわりに回動自在で軸芯方向には一体移動す
るよう変速可動カム（本考案の変速可動手段に相
当する）１３が設けられている。この変速可動カ
ム１３は、前記固定ボス（本考案の躯体側に相当
する）１０側に固定された変速固定カム１５に噛
合して本考案の変速作動機構を構成しており、そ
して変速可動カム１３に一体的に連結された切換
レバー１６のＡ，Ｂ位置切換操作によつて変速可
動カム１３は軸芯回りに回動しながら軸芯方向に
移動することになり、これによつて可動プーリ３
ｂは、軸芯方向、つまり固定プーリ３ａに対して
離接する方向に移動することになつて入力プーリ
３のプーリ径変化が成され、入力軸２の回転数を
例えば米、麦用の高低二段階に変速するようにな
つているが、変速可動カム１３にはさらに本考案
のテンシヨンプーリ１７が一体的に設けられてい
る。つまりこのテンシヨンプーリ１７は、変速可
動カム１３の軸芯回りの回動作動に基づいた前記
入力プーリ３のプーリ径変化に伴なう伝動ベルト
７の緊緩変化に追従して略一定のベルト緊張力を
付与すべく、変速可動カム１３と一体的に軸芯ま
わりに回動すると同時に、さらに可動プーリ３ｂ
と一体的に軸芯方向に変位して、プーリ径変化に
伴なう伝動ベルト７の軸芯方向の移動に追従して
移動するようになつている。１８は入力軸２と扱
胴軸２ｂとを連結する傘歯車機構である。

叙述の如く構成された本考案の実施例におい
て、いま、動力断続用のテンシヨンプーリ８で伝
動ベルト７を緊張せしめて動力続状態にすると、
エンジン側の動力は、入力プーリ３，５によつて
扱胴側及び二番ラセン体側に入力せしめられ、こ
れらからさらに他の駆動部に入力されて全駆動部
が駆動し、脱穀作業が行なわれることとなる。ま
たテンシヨンプーリ８で伝動ベルト７を弛緩せし
めて動力断状態にすると各入力プーリ３，５への
動力伝動が断たれて脱穀作業が停止することとな
る。

この様にテンシヨンプーリ８のベルト緊緩作動
によつて脱穀作業を随時行なうことができるもの
であるが、いま、脱穀機を米から麦用に切換える
には、本実施例では切換レバー１６をＢ位置に切
換えて扱胴の回転数を遅くすればよい。即ち、切
換レバー１６をＡからＢ位置に切換えると、変速
可動カム１３は軸芯まわりに回動するが、このと
き変速可動カム１３は、噛合している変速固定カ
ム１５によつて強制的に軸芯方向の固定プーリ３
ａ側に移動せしめられ、これによつて可動プーリ
３ｂは、変速可動カム１３、可動ボス１２ととも
に固定プーリ３ａ側に移動し、入力プーリ２のプ
ーリ径が大となり、これによつて扱胴の回転数は
遅くなつて麦用として使用できることとなる。

この様に可動プーリ３ｂが軸芯回りの回動に追
随して軸芯方向に移動しプーリ径が大となる側に
変化した場合、伝動ベルト７は第１図に示すごと
く緊張状態に変化することとなるが、本考案にあ
つては、テンシヨンプーリ１７が、変速可動カム
１３と共に軸芯回りに一体移動し、そしてこれが
前記伝動ベルト７の緊張に対し、これを緩める方
向に追従した変位となり、従つて伝動ベルトは略
一定の緊張状態のままに保持せしめられることと
なる。またテンシヨンプーリ１７は、前記軸芯回
りの移動と共にさらに軸芯方向に移動することに
なるが、この軸芯方向の移動は、前記プーリ径が
大になつたことに伴なう伝動ベルト７の軸芯方向
の移動に追従した変位となる。従つて、伝動ベル
ト７とテンシヨンプーリ１７との関係は、プーリ
径を変える以前と殆ど同じ関係に維持されること
となつて、伝動ベルト７が従来の如く捻られてし
まつたリベルト緊張状態が大きく変化したりする
ようなことは全くなく、もつて伝動ベルト７が外
れたり、テンシヨンプーリ１７あるいは入力プー
リ３に無理な負荷が加わつたりすることが全くな
く、長期に亘つて常に円滑で軽快な回動をするこ
ととなる。

しかもプーリ径の変更に対応したテンシヨンプ
ーリ１７の軸芯方向と軸芯回り方向という異なつ
た方向の同時移動を、プーリ径の変更に際して変
速可動カム１３が軸芯回りと軸芯方向とに同時移
動するものであることに着目し、この変速可動カ
ム１３にテンシヨンプーリ１７を一体的に設けて
行う構成としたので、変速可動カム１３をそのま
ま有効利用することになつて、複雑な連結手段も
全く不要で構造が著しく簡略化されたものにで構
成できることになる。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものでな
いことは勿論であるが、さらにその使用例として
は、脱穀機許りでなく割プーリを用いた変速機構
の総てに使用することができ、また、変速は二段
のみならず三段等多段のものから無段変速のもの
にまで適用できるものである。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成したも
のであるから、プーリ径を変化させるには、変速
可動手段を軸芯回り方向に回動して軸芯方向に移
動せしめれば良く、これによつて可動プーリは軸
芯方向に移動してプーリ径が変化することになる
が、このときベルト緊張用のテンシヨンプーリ
は、変速可動手段と同時に軸芯回り方向と軸芯方
向とに移動する。そしてテンシヨンプーリの軸芯
回り方向の移動は、プーリ径が変化したことに伴
う伝動ベルトの緊緩変化に追従する変位となり、
一方、テンシヨンプーリの軸芯方向の移動は、プ
ーリ径が変化したことに伴う伝動ベルトの軸芯方
向の移動に追従する変化となり、従つて、プーリ
径が変化したとしても、伝動ベルトは常に略一定
の関係でテンシヨンプーリによるテンシヨン作用
を受けることができ、従来の如く伝動ベルトが捻
られたり外れたりするような不具合がない。

しかもプーリ径の変化に追従するテンシヨンプ
ーリの軸芯回り方向と軸芯方向の二つの異なつた
方向の同時的な変位を、可動プーリを軸芯方向に
移動させるため変速可動手段が軸芯回り方向と軸
芯方向とに同時作動することに着目し、この変速
可動手段にテンシヨンプーリを一体的に設けて行
うようにしたため、複雑な連結手段が別途必要に
なることもなく、プーリ径を変更するために必要
な部材である変速可動手段をそのままテンシヨン
プーリの二つの異なつた方向に対する変位部材と
して有効に利用できることになつて、構造が簡単
で部品点数も少なくコンパクト化が達成できるこ
とになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る割プーリにおけるベルトテ
ンシヨン装置を脱穀機に使用した一実施例を示し
たものであつて、第１図は脱穀機の要部側面図、
第２図は割プーリ部の断面図である。 図中、３は割プーリ、３ａは固定プーリ、３ｂ
は可動プーリ、７は伝動ベルト、１３は変速可動
カム、１５は変速固定カム、１７はテンシヨンプ
ーリである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定プーリに対する可動プーリの軸芯方向の移
   動で伝動ベルトが懸回されるプーリ径を変化せし
   めて変速するようにした割プーリにおいて、前記
   可動プーリに対して軸芯回りには自由回動し軸芯
   方向には一体移動するよう設けた変速可動手段
   を、躯体側に対する軸芯回りの作動で軸芯方向に
   移動してプーリ径変化を行うよう躯体側に変速作
   動機構を介して連繋する一方、上記変速可動手段
   には、伝動ベルト緊張用のテンシヨンプーリを、
   前記変速可動手段と共に軸芯回り方向と軸芯方向
   に同時に変位するよう一体的に設けて、テンシヨ
   ンプーリの軸芯方向の変位は、プーリ径変化に伴
   う伝動ベルトの軸芯方向の移動に追従させ、テン
   シヨンプーリの軸芯回りの変位は、プーリ径変化
   に伴う伝動ベルトの緊緩変化に追従させたことを
   特徴とする割プーリにおけるベルトテンシヨン装
   置。