JPH0135943Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は２段踏込み式ダブルクラツチを備えた
走行車輌におけるクラツチペダルの踏込み位置規
制装置に関する。

例えば、農用トラクタ等の走行車輌のクラツチ
には、走行系クラツチとPTO系クラツチとを組
合わせたダブルクラツチを使用しているものがあ
り、このダブルクラツチは１本のクラツチペダル
を２段階に踏込むことにより、走行系クラツチの
みの断状態並びに走行系及びPTO系の両クラツ
チの断状態を得ることができる。

ところで、農作業にはPTO系クラツチを切る
必要が全くなく、走行系クラツチのみを断接する
作業があり、オペレータは走行系クラツチのみを
切るのに、クラツチペダルの踏込み量を加減する
ことによつて感覚的に行なつており、そのため、
PTO系クラツチを切つたり又は半クラツチ状態
にすることが多く、PTO系クラツチの摩耗を増
大している。

そこで従来装置においては、クラツチペダルの
移動軌跡上に出退自在なストツパ部材で、クラツ
チペダルを第１段踏込み位置で位置規制するよう
に構成して、前記問題点を解消していた。しかし
ながら、この従来装置においては、ストツパ部材
をミツシヨンケースに取付けた構成であつたた
め、クラツチペダルをミツシヨンケースにできる
だけ近接して設ける必要があり、クラツチペダル
の位置が制約され、使い勝手が悪いという欠点が
あつた。またミツシヨンケースに対するストツパ
部材の取付け構造や機構も複雑となる欠点があつ
た。

そこで、本考案は上記問題点解消を図つたもの
であり、その特徴とするところは、走行車輌のダ
ブルクラツチを２段踏込みにより断接するクラツ
チペダルがステツプ上方に突設され、クラツチペ
ダルの第１段踏込み位置を規制すべく、クラツチ
ペダルの移動軌跡上へストツパ部材を出退自在に
備えたものにおいて、前記ストツパ部材が略Ｕ字
状に形成され、ストツパ部材の一方軸部がステツ
プ上に設けられた支持ブラケツト及びステツプを
上方側から貫通状として支持ブラケツトに回動自
在に支持され、ストツパ部材の該回動によりスト
ツパ部材の他方軸部側が、クラツチペダルの移動
軌跡上の第１段踏込み位置へ突出されると共に支
持ブラケツト上端にストツパ部材が当接支持され
た位置、及びクラツチペダルの移動軌跡上から退
出した位置で、係脱自在に係合する係合部がステ
ツプに夫々設けられ、かつ前記他方軸部を係合部
係合方向に付勢する付勢部材が設けられた点にあ
る。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、第１図において、１はトラクタ機体、２は
ミツシヨンケース、３は該ミツシヨンケース２の
横腹部に突設されたステツプ、４はステツプ３上
方に突設されたクラツチペダルであつて、屈曲状
杆部５と押圧面部６とからなつている。

７はペダル軸であつて、クラツチペダル４の下
端部が揺動自在に枢着されている。８は枢着ボス
部であつて、クラツチペダル４の屈曲状杆部５の
下端部に連設されると共に、該ボス部８には揺動
腕９が上方向に突設されている。

１０は戻し用引張りスプリングで、屈曲状杆部
５と車輌構成部材としてのステツプ３との間に設
けられている。

１１はクラツチペダル４とクラツチレバー１２
とを連動連結するロツドであり、その一端部は前
記揺動腕９の一端部９ａに摺動自在に枢着され、
他端部は雄ネジ部とされ、接手１３を介して、ク
ラツチレバー１２の下端部に揺動自在に枢着され
ている。上記クラツチレバー１２は、クラツチハ
ウジング１４の側壁面に突出状に枢支されたレバ
ー軸１５に固着され、該レバー軸１５がクラツチ
レバー１２により揺動されることによつて、クラ
ツチハウジング１４内のダブルクラツチ（図示省
略）が断接作動される。

ダブルクラツチは走行系クラツチとPTO系ク
ラツチとから成り、レバー軸１５が回動すること
によりシフタを介してレリーズベアリングが移動
して各クラツチを切る。即ち、第１図において、
ペダル４の自然状態位置Ａが両クラツチの接続位
置であり、第１段踏込み位置Ｂが走行系クラツチ
のみの切断位置であり、第２段踏込み位置Ｃが走
行系クラツチ及びPTO系クラツチの両クラツチ
の切断位置として構成されている。

そして第１図乃至第３図に示される如く、ステ
ツプ３の前方上面機体１側には、クラツチペダル
４の踏込み量を規制するストツパ装置１６が設け
られており、該ストツパ装置１６は、金属杆材を
略Ｕ字状に折曲形成したストツパ部材１７を備
え、ストツパ部材１７の一方軸部１７ａが、ステ
ツプ３上に着脱自在に固定された支持ブラケツト
１８の上下方向貫通を介して、ステツプ３に貫通
され、その貫通端部に割ピン或いはスプリングピ
ン等の止め部材１９を介してワツシヤ部材２０が
支持され、ステツプ３下面とワツシヤ部材２０間
に付勢部材としてのコイルスプリング２１が圧縮
状に装着されている。そして、ここにストツパ部
材１７はステツプ３及び支持ブラケツト１８に軸
部１７ａの軸心回りに回動自在に支持されると共
に、コイルスプリング２１により下方向に弾発付
勢されている。そして前記軸部１７ａの軸心回り
に回動により、ストツパ部材１７の他方軸部１７
ｂ側が、クラツチペダル４の移動軌跡上へ出退自
在とされている。また、ステツプ３には、ストツ
パ部材１７の他方軸部１７ｂがクラツチペダル４
の移動軌跡上へ突出した位置、及び退出した位置
で、軸部１７ｂ下端が係脱自在に係合する係合部
としての係合孔２２ａ，２２ｂが夫々貫通形成さ
れている。そして前記コイルスプリング２１によ
つて、軸部１７ｂ下端が係合孔２２ａ，２２ｂに
係合すべく、係合方向、即ち下方向に弾発付勢さ
れている。尚、ストツパ部材１７の軸部１７ｂの
係合孔２２ａ，２２ｂに対する貫入量は支持ブラ
ケツト１８上端とストツパ部材１７との当接によ
り適宜規制されている。

また、第１図、第４図及び第５図において、２
３は踏力軽減装置を示しており、ミツシヨンケー
ス２側面にボルトにより着脱自在に固定された取
付けブラケツト２４と、該ブラケツト２４の２叉
部２５に揺動自在に支持された揺動体２６と、該
揺動体２６に進退自在に一端が貫通された連結杆
２７とを備え、該連結杆２７他端の２叉部２８は
ピン部材２９を介して、揺動腕９の他端部９ｂに
枢支連結されている。３０は圧縮状に連結杆２７
に外挿された圧縮スプリングで、２叉部２８と揺
動体２６間に装着されている。３１，３１はスプ
リング受け部材である。尚、圧縮スプリング３０
の付勢力は、前記引張りスプリング１０の引張力
よりも弱く構成されている。そして圧縮スプリン
グ３０の付勢力は、第１図及び第４図に示される
如く、クラツチペダル４が踏込まれていない自然
状態位置Ａにあるときには、揺動腕９を時計方向
に回動させるように働いており、引張りスプリン
グ１０と同方向に作用している。そしてクラツチ
ペダル４を踏込んで行けば、第４図仮想線で示さ
れる如く、ペダル軸７と揺動体２６とを結ぶ直線
上に連結杆２７が達し、圧縮スプリング３０の付
勢力がどちらの回動方向にも作用しない中立状態
となる。そして、さらにクラツチペダル４を踏込
んで行けば、圧縮スプリング３０は不安定切換え
されて、その付勢力は揺動腕９を反時計方向に回
動させるように働き、引張りスプリング１０の引
張り作用と対抗し、引張りスプリング１０の引張
力を減少させる。従つて、スプリング３０の中立
状態を過ぎた時点より、回動協動状態になつてペ
ダル４の踏込み力が減少し、クラツチ断接操作が
容易になる。また、クラツチペダル４の踏込みを
解除すれば、引張りスプリング１０の引張力によ
つて、初期位置に復帰される。

本考案の実施例は以上のように構成されてお
り、路上走行等のようにPTO系クラツチを切断
する必要がない場合には、ストツパ部材１７をコ
イルスプリング２１の弾発力に抗して上方へ引き
上げ、ストツパ部材１７の軸部１７ｂ下端と係合
孔２２ｂとの係合を離脱させ、一方軸部１７ａ回
りに回動させ、第１図及至第３図仮想線で示され
る如く、係合孔２２ａと軸部１７ｂ下端位置とが
対応した位置で手を離せば、コイルスプリング２
１の弾発力により、軸部１７ｂ下端が係合孔２２
ａに嵌入された係合状態が得られる。ここに、ス
トツパ部材１７がクラツチペダル４の移動軌跡上
に突出して固定された状態となり、従つて、クラ
ツチペダル４を踏込めば、第１段踏込み位置Ｂま
で達した時に、走行系クラツチが切断されると共
に、クラツチペダル４がストツパ部材１７に当接
し、これ以上のクラツチペダル４踏込み操作が阻
止される。よつて、PTO系クラツチが半クラツ
チ状態になつたり、切断する等の問題を解消でき
ると共に第１段踏込み位置Ｂが確実に判別でき、
ペダル４操作が容易となる。

またPTO系クラツチの断接を必要とする場合
は、ストツパ部材１７を初期位置の係合孔２２ｂ
と軸部１７ｂ下端とが係合した状態に戻しておけ
ば、クラツチペダル４は、第２段踏込み位置Ｃま
で踏込み可能であり、PTO系クラツチを任意に
断接できる。

以上のように、ストツパ部材１７の軸部１７ａ
回りの回動により、他方軸部１７ｂ下端を各係合
孔２２ａ，２２ｂに選択的に係合させることによ
つて、クラツチペダル４の踏込み位置規制状態及
び解除状態が容易に得られ、操作性がよい。ま
た、軸部１７ｂ下端が各係合孔２２ａ，２２ｂ内
に嵌入係合されると共に、コイルスプリング２１
によつて、ストツパ部材１７が係合方向に弾発付
勢されているため、不用意に軸部１７ｂと各係合
孔２２ａ，２２ｂとの係合が解除されるおそれが
なく、ストツパ装置１６のセツト状態が確実に保
持され、安定性が大であり、よつて作動ミスが防
止でき、また機体１の振動等によるガタ付きも防
止できる。さらに、ストツパ装置１６をステツプ
３に設ける構成であるため、クラツチペダル４の
位置を任意に設定でき、そのクラツチペダル４の
位置に対応させてストツパ装置１６を設ければよ
く、使い勝手のよい位置にクラツチペダル４を設
けることができる。またステツプ３に対するスト
ツパ装置１６の取付けも容易であり、さらに支持
ブラケツト１８でストツパ部材１７を回動自在に
支持すると共に、支持ブラケツト１８上端をスト
ツパ部材１７の高さ規制に兼用した簡単な構造で
あるため、安価に製作できる。

また、ペダル４踏込みに際しても、踏力軽減装
置２３によつて、踏力が軽減され、操作性がよ
い。

尚、上記実施例において、ストツパ部材１７の
軸部１７ｂ下端が各係合孔２２ａ，２２ｂに嵌入
係合する構成のものを示しているが、係合凹部に
係脱自在に係合する構成であつてもよく、実施例
のものに限定されない。

本考案はクラツチペダルの第１段踏込み位置を
規制するストツパ部材をステツプに設ける構成と
しているので、使い勝手のよい位置にクラツチペ
ダルを設けた場合に、容易に対応できる。またス
トツパ部材が略Ｕ字状に形成され、ストツパ部材
の一方軸部がステツプ上に設けられた支持ブラケ
ツト及びステツプを上方側から貫通状として支持
ブラケツトに回動自在に支持され、ストツパ部材
の該回動によりストツパ部材の他方軸部側が、ク
ラツチペダルの移動軌跡上の第１段踏込み位置へ
突出されると共に支持ブラケツト上端にストツパ
部材が当接支持された位置、及びクラツチペダル
の移動軌跡上から退出した位置で、係脱自在に係
合する係合部がステツプに夫々設けられ、かつ前
記他方軸部を係合部係合方向に付勢する付勢部材
が設けられたものであり、他方軸部と係合部との
係合状態が不用意に解除されるおそれがなく、係
合状態の安定性が大であり、よつて作動ミスが防
止でき、またガタ付きも防止できる。さらに簡単
な構造であり、取付けも容易であるため安価に製
作できるという利点を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例を具備したトラクタの一
部側面図、第２図は第１図の要部平面図、第３図
は第２図−線矢視断面図、第４図は第１図の
部分拡大図、第５図は第４図−線矢視図であ
る。 １……トラクタ機体、３……ステツプ、４……
クラツチペダル、１７……ストツパ部材、２１…
…コイルスプリング、２２……係合孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行車輌のダブルクラツチを２段踏込みにより
   断接するクラツチペダルがステツプ上方に突設さ
   れ、クラツチペダルの第１段踏込み位置に規制す
   べく、クラツチペダルの移動軌跡上へストツパ部
   材を出退自在に備えたものにおいて、前記ストツ
   パ部材が略Ｕ字状に形成され、ストツパ部材の一
   方軸部がステツプ上に設けられた支持ブラケツト
   及びステツプを上方側から貫通状として支持ブラ
   ケツトに回動自在に支持され、ストツパ部材の該
   回動によりストツパ部材の他方軸部側が、クラツ
   チペダルの移動軌跡上の第１段踏込み位置へ突出
   されると共に支持ブラケツト上端にストツパ部材
   が当接支持された位置、及びクラツチペダルの移
   動軌跡上から退出した位置で、係脱自在に係合す
   る係合部がステツプに夫々設けられ、かつ前記他
   方軸部を係合部係合方向に付勢する付勢部材が設
   けられたことを特徴とするクラツチペダルの踏込
   み位置規制装置。