JPH0133672Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、糸、テープ、布帛その他の長尺の繊
維製品の連続熱処理装置に関するものである。

従来の技術 一般に繊維製品の熱処理に当つては、繊維製品
が撚糸、織成、編成等の工程においてオイリング
が行われるため油分を含んでおり、この油分が加
熱されて油煙となり、熱処理容器内や繊維製品を
汚染したり、作業環境を悪くしたりしていた。そ
こで熱処理容器内の油煙が濃くなるのを防ぐた
め、容器内の循環している熱風の一部を排出する
と共に室外の新しい空気を一部送込むようにした
り、或いは、熱風の一部を排出するときに熱交換
器を通して排気熱を回収してから室外へ排出する
ようにしていた。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら熱交換器を通して油煙を含んだ熱
風を排出するようにしたものは、吸気との熱交換
により排気中の油煙が冷却されて熱交換器内にタ
ール状物質が固定蓄積され、排気機能が低下する
ので熱処理装置を定期的に停止し分解してタール
状物質を除去する必要があつたため、生産能率の
低下が問題となつていた。

そこで本考案は、前記の問題点を解消して熱交
換器内に固定蓄積されるタール状物質を、熱処理
装置を停止することなく容易に除去することがで
きる長尺繊維製品用連続熱処理装置を提供するこ
とを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、連続熱処理装置の熱処理容器を主加
熱室と予備加熱室とに区分し、予備加熱室内に油
回収装置を備えた熱交換器を設けて、主加熱室か
らの一部排気を熱交換器を通して調節バルブを備
えた排気管により室外に排出すると共に、室外か
らの吸気を調節バルブを備えた吸気管により熱交
換器を通して加熱して予備加熱室に放出するよう
に構成して、排気管および吸気管の調節バルブを
適宜に操作して熱交換器内に蓄積して固まつたタ
ール状物質を溶解して油回収装置により回収する
ようにしたものである。

実施例 以下図面に基いて本考案の実施例について説明
する。

１は、周壁を断熱材で構成した熱処理容器であ
つて、その内部は主加熱室２と予備加熱室３に区
切られている。主加熱室２は、長尺の繊維製品例
えばスライドフアスナー用テープ１３（以下単に
フアスナーテープと呼ぶ）を、上下に蛇行させな
がら通過させ、この間に循環熱風を当てフアスナ
ーテープを熱処理するように構成されている。隣
設の予備加熱室３において予備加熱されたフアス
ナーテープ１３は、第２入口１２から主加熱室２
に送込まれ、上部と下部に多数設置されたローラ
１８に張架され蛇行しながら所定の時間熱処理を
受けて第１出口２４を通つて装置外へ送出され
る。この間主加熱室２の下方に設けた加熱源であ
るヒーター１４により加熱された熱風は、循環フ
アン１５によりダクト１６を通つて、上部、下部
に設置したローラ群に近設した熱風放出器１７に
送られ、上方および下方から熱風を放出して移送
中のフアスナーテープ１３を加熱する。そして放
出された熱風は、主加熱室２の左端下方に設けた
フイルター付吸気口１９より循環フアン１５の吸
引力により吸引されて主加熱室２内を循環するよ
うに構成されている。

予備加熱室３は、熱処理容器１の入口側に併設
されており、熱交換器４により低い温度に加熱さ
れた吸気により処理前のフアスナーテープ１３を
加熱して、主加熱室２における処理時間を短縮す
ると共に、主加熱室２へ冷たい外気が侵入しない
ようにしたものである。予備加熱室３の上方には
熱交換器４が設けられており、この熱交換器４は
主加熱室２内の油煙を含んだ熱風の一部を通して
排気熱を回収して装置外へ排出すると共に、装置
外の清浄な空気を加熱して予備加熱室３内に放出
する。そして予備加熱室３は低い温度に加熱され
た吸気で満たされて、第１入口１１からの外気の
浸入と第２入口１２からの熱風の漏出を防止し、
予備加熱室３内を通過するフアスナーテープ１３
を予備加熱する。更に熱交換器４について詳しく
説明すると、熱交換器４の排気側は、一方は主加
熱室２と連絡し他方は熱処理容器１外に設けた調
節バルブ６付の排気管７と連通している。また吸
気側は装置外に設けた送風フアンと連結する調節
バルブ８付の吸気管９と連通し、他方は熱交換器
の反対側に設けた吸気放出口を介して予備加熱室
３に連通している。そして熱交換器の内部は普通
に使用されているものと同じ構造であつて、管部
材内を排気が通過しその周囲を吸気が通過するこ
とにより排気熱により吸気が加熱されて熱交換が
行われるようになつている。主加熱室２内の熱風
は、フアスナーテープ１３に付着している油分が
加熱されて生じた油煙が含まれており、そしてこ
の熱風中の油煙の濃度を高くならない様にするた
め熱風の一部を装置外に排出し、排出量にみあう
清浄な外気を装置内に送込むようにしてフアスナ
ーテープ１３の汚染を防止しているのであるが、
このような油煙を含んだ熱風を熱交換器４に通し
て排出すると、温度の低い吸気と熱交換が行われ
るため熱風中の油煙が冷却し熱交換器４内の管部
材の周囲や内壁にタール状物質となつて蓄積固定
される。そこで本考案は排気管の調節バルブ６と
吸気管の調節バルブ８を操作してタール状物質を
溶解させて、熱交換器の下端に設けた回収用の傾
斜板１０に落下させて容器外に設けた油回収装置
５により回収するように構成したものである。熱
交換器内に蓄積固定したタール状物質を溶解する
には、まず吸気管９の調節バルブ８を閉鎖し、排
気管７の調節バルブ６を開放もしくはある程度絞
つて、温度の低い吸気の送込みを停止し、排気熱
と隣接した主加熱室２の熱により熱交換器４内の
温度を上げてタール状物質を溶解して落下させて
回収するのである。したがつてタール状物質の除
去は熱処理装置を停止し分解することなくフアス
ナーテープ１３の熱処理を行いながら実施するこ
とができる。

そして熱処理容器１の出口側には、主加熱室２
からの熱風の漏出と外気の侵入を防止するため、
室内側に第１出口チヤンバー２０と、室外側に第
２出口チヤンバー２２が付設されている。第１出
口チヤンバー２０には、熱処理の終了したフアス
ナーテープ１３の通る第１出口２４と第２出口２
５があり、チヤンバー２０内に漏出した熱風と、
隣の第２出口チヤンバー２２からの熱交換器４か
ら連結管２３を経て放出された吸気とは、底部に
設けた導管２１により吸引されて主加熱室２のヒ
ーター１４の前方に放出するようになつている。
また第２出口チヤンバー２２には、第２出口２５
と第３出口２６があり、チヤンバー２２内には、
熱交換器４からの加熱された吸気を上方より放出
して、第１出口チヤンバー２０からの熱風の漏出
と冷たい外気の侵入を防ぐように構成されてい
る。

考案の効果 本考案は、熱処理容器内に主加熱室と予備加熱
室とを区分して設け、予備加熱室には熱交換器を
設けて、調節バルブを取付けた排気管および吸気
管により吸排気を行うようにしたため、排気中の
油煙が冷却されて熱交換器内にタール状物質とな
つて蓄積固定しても、両調節バルブを操作するこ
とにより、熱交換器内の温度を高めてタール状物
質を溶解して器外に排出することができるので、
熱交換器の掃除が非常に簡単であると共に、装置
を停止し分解することなく熱処理作業中にも適宜
タール状物質の除去ができるので生産能率を高め
ることができる優れた効果を有している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の連続熱処理装置の内部の構造を
示した断面図である。 １……熱処理容器、２……主加熱室、３……予
備加熱室、４……熱交換器、５……油回収装置、
７……排気管、９……吸気管、１３……フアスナ
ーテープ、１７……熱風放出器、２０……第１出
口チヤンバー、２２……第２出口チヤンバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱処理容器１を主加熱室２と予備加熱室３とに
   区分し、予備加熱室３内に油回収装置５を備えた
   熱交換器４を設け、主加熱室２からの一部排気を
   該熱交換器４を通して調節バルブ６を備えた排気
   管７により室外に排出するように構成すると共
   に、室外からの吸気を調節バルブ８を備えた吸気
   管９により該熱交換器４を通して加熱して予備加
   熱室３内に放出するように構成したことを特徴と
   する長尺繊維製品用連続熱処理装置。