JPH0132679Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 産業上の利用分野 本考案は正、負極をセパレータを介して同心円
状に配置せる円筒型電池に関するものである。

ロ 従来技術 この種電池の従来構造を第１図に基づき説明す
ると、ａは正極合剤を成型した円筒状の正極ｂを
内側面に配設した正極端子兼用の電池容器、ｃは
正極ｂの中空部に円筒状セパレータｄを介して配
置された負極ｅとリード板ｆにより電気接続され
ている負極端子兼用の電池容器蓋、ｇは電池容器
ａと容器蓋ｃとを絶縁するために両者間に配設さ
れた絶縁パツキング、ｈは円筒状正極ｂの上面に
配設された絶縁ワツシヤーである。

ここで絶縁ワツシヤーｈを用いる意図は電池組
立後、例えば外部衝撃等によつて正極活物質の微
粉末が負極ｅ側に移行して自己放電を生じ容量が
低下するため、この不都合を阻止することにあ
る。

斯る従来例では絶縁ワツシヤーが絶縁パツキン
グと区別されているため部品点数が多く、組立作
業性が煩雑になると共に絶縁ワツシヤー分の電池
内体積ロスは否めない。

ハ 考案の目的 本考案は上記従来電池における問題点にかんが
み、部品点数を削減して組立作業性の向上を計る
と共に一極性電極の活物質が他極性電極側に移行
するのをより効果的に抑制することを主たる目的
とし、更に上記目的を達成すべくなされた電池構
造において電池内に注液された電解液が円筒状セ
パレータを介してこのセパレータの中空部に位置
する電極側に円滑に供給しうるようにして電池性
能を向上させることを次の目的とするものであ
る。

ニ 考案の構成 本考案は上記目的を達成すべくなされたものに
して、円筒状の一極性電極を内側面に配設した一
極性端子兼用の電池容器と、前記一極性電極の中
空部に円筒状セパレータを介して配置された他極
性電極に電気接続されている他極性端子部材と、
前記電池容器と他極性端子部材との間或いは前記
電池容器に接続され該容器の開口部を閉塞する金
属封口蓋と他極性端子部材との間に配設せる環状
絶縁パツキングとを具備するものであつて、前記
絶縁パツキングの下面に前記円筒状セパレータの
中空部に嵌着される環状立下壁を形設すると共に
該立下壁にガス抜用の透孔或いは切欠を設けたこ
とを特徴とする円筒型電池にある。

ホ 実施例 以下本考案の実施例を円筒型有機電解質電池を
例にとり図面に基づき詳述する。

１は正極端子を兼ねる電池容器であつて、その
内側面には二酸化マンガンを活物質とする正極合
剤を成型した円筒状の正極２が配設されている。
３は正極２の中空部に円筒状セパレータ４を介し
て配置されたリチウム負極である。

５は電池容器１の開口部を閉塞する金属封口蓋
であつて、その中心透孔にインサート成形によつ
て形成された環状絶縁パツキング６を介して負極
端子部材７が固着されており、この負極端子部材
７とリチウム負極３がリード板８を介して電気接
続されている。

而して、前記環状絶縁パツキング６の下面には
前記円筒状セパレータ４の中空部に嵌着される環
状立下壁６′が形設されていると共にこの立下壁
６′には第３図でより明確なるようにガス抜用の
透孔９，９が設けられている。この透孔を介して
排出されるガスについて詳述するに、電池を組立
てる場合には電池内の空間部に雰囲気ガスが封入
されて組立てられる。雰囲気ガスとしては本実施
例に示す非水電解液電池においてはアルゴンガス
などの不活性ガスであり、又アルカリ乾電池にお
いては大気ガスである。

本考案電池の組立てに際しては、第４図に示す
如くリチウム負極３の外周面に円筒状セパレータ
４を装着した後、リチウム負極３より導出せるリ
ード板の一端を金属封口蓋５に固着せる負極端子
部材７の下面にスポツト溶接によつて固着し、リ
チウム負極３、セパレータ４及び金属封口蓋５と
を一体化したるものを準備する。一方電池容器１
の内側面に円筒状正極２を配設したのち所定量の
電解液を注液し、ついで第４図に示す如きリチウ
ム負極３を一体的に取付けた金属封口蓋５をリチ
ウム負極３が円筒状セパレータ４を介して正極２
の中空部に位置するように電池容器１の開口部に
装着する。このリチウム負極３の装着時、正極２
の中空部に注液されていた電解液は一時的に上方
に押出される。一方、金属封口蓋、絶縁パツキン
グ及びセパレータで包囲された空間部のガスは透
孔９より排出され、ガスの排出が円滑に行われる
ことによりセパレータの中空部に位置する負極リ
チウム側にもセパレータを介して電解液が円滑に
供給されることになる。その後電池容器１と金属
封口蓋５との接合部を例えばレーザ溶接によつて
溶着、固定して完成電池とする。

第５図は本考案の他の実施例による絶縁パツキ
ング６を示し、透孔に代えてガス抜用の切欠１
０，１０…を設けた場合である。

又、第６図は本考案の他の実施例による電池構
造を示し、第２図の実施例と異なるところは、金
属封口蓋５が負極端子部材として構成されている
点にあり、電池容器１１内に正、負極１２，１
３、セパレータ１４及び環状絶縁パツキング１６
が存在すること、環状絶縁パツキング１６の下面
に形設した環状立下壁１６′がガス抜用透孔１９
を有し、且セパレータ１４の中空部に嵌着されて
いる点については第２図の実施例の場合と同様で
ある。

ヘ 考案の効果 本考案によれば一極性端子兼用の電池容器と他
極性端子部材とを絶縁する環状絶縁パツキングの
下面に円筒状セパレータの中空部に嵌着される環
状立下壁が形設されているため、この環状立下壁
により一極性電極の活物質粉末が他極性電極側に
移行するのが有効に阻止され自己放電を抑制する
ことができ、且つ従来電池構造と対比させると従
来の絶縁ワツシヤーを省略できるため部品点数の
削減が計れ、組立作業性を簡略化しうると共に絶
縁ワツシヤーを削減した分だけ電池内体積におけ
る電極の占有体積を大きくでき電池容量の増大を
計れる利点を奏するものである。尚、環状立下壁
に設けた透孔或いは切欠はガス抜き用であるため
微小径で良く、従つてこの透孔或いは切欠から活
物質粉末が移行することはほとんどない。

更に環状絶縁パツキングの下面に形設した環状
立下壁にガス抜用の透孔或いは切欠を設けたの
で、電池組立時、電池容器の内側面に正極を配設
し電解液を注液をしたのち、第４図に示す如き金
属封口蓋に一体的に取付けた負極を電池容器内に
収納した場合、金属封口蓋、絶縁パツキング及び
セパレータで包囲された空間内のガスは上記透孔
或いは切欠より排出されると同時にガスが排除さ
れた空間部に電解液が侵入する状態、即ちガスと
電解液との置換えが円滑に行なわれ、セパレータ
の中空部に位置する電極側にも十分に電解液が供
給されることになり電池性能を向上しうる効果も
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来電池の断面図、第２図乃至第６図
は本考案に係り第２図は一実施例による本案電池
の断面図、第３図は金属封口蓋に取付けた一実施
例による絶縁パツキングの一部断面せる正面図、
第４図は金属封口蓋と一体化した負極の斜視図、
第５図は金属封口蓋に取付けた他の実施例による
絶縁パツキングの一部断面せる正面図、第６図は
他の実施例による本案電池の断面図を夫々示す。 １，１１……電池容器、２，１２……正極、
３，１３……負極、４，１４……円筒状セパレー
タ、５，１５……金属封口蓋、６，１６……絶縁
パツキング、６′，１６′……環状立下壁、７……
負極端子部材、９，１９……透孔、１０……切
欠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状の一極性電極を内側面に配設した一極性
   端子兼用の電池容器と、前記一極性電極の中空部
   に円筒状セパレータを介して配置された他極性電
   極に電気接続されている他極性端子部材と、前記
   電池容器と他極性端子部材との間或いは前記電池
   容器に接続され該容器の開口部を閉塞する金属封
   口蓋と他極性端子部材との間に配設せる環状絶縁
   パツキングとを具備するものであつて、前記絶縁
   パツキングの下面に前記円筒状セパレータの中空
   部に嵌着される環状立下壁を形設するとともに該
   立下壁にガス抜用の透孔或いは切欠を設けたこと
   を特徴とする円筒型電池。