JPH0130644Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、緩衝機構付き流体圧シリンダに関す
るものである。

最近、機械のサイクルタイムを少しでも短くす
るため、エアシリンダの高速化がますます要求さ
れている。この場合に、ストロークエンドにおけ
る衝撃を緩和する必要があり、そのため、エアシ
リンダに緩衝機構が付設される。

この緩衝機構としては、ストロークエンドに近
づいたクツシヨンストロークにおいて、ピストン
ロツド上に設けたクツシヨンリングにより、シリ
ンダチユーブの端部に取付けたカバー内の凹穴を
経てシリンダポートに至る流路がシールされ、そ
れに伴つて圧縮されるヘツド室またはロツド室の
空気を絞り弁を通じて徐々に排出させ、その間の
該ヘツド室またはロツド室の圧力上昇によりピス
トンを減速するようにしたものが多用されてい
る。

しかしながら、このような緩衝機構では、ヘツ
ド室またはロツド室において上昇した背圧がシリ
ンダの加圧圧力よりも高くなると、ピストンがそ
の背圧によりバウンドすることになる。そこで、
上記ピストンのバウンドを避けるために、増圧さ
れた上記背圧をバウンドの直前で排気させる必要
がある。

このような排気のための流路を設けた緩衝機構
は既に提案されているが、それらにおいては、上
記排気のための流路に第２の絞り弁を設けている
ため、部品点数の増加及び構造の複雑化により高
コスト化するという問題があり、また上記第２の
絞り弁による一定の絞り量で減圧を行うため、バ
ウンドを吸収する時間が長くかかつたり、調整が
面倒であるなどの問題があつた。

本考案は、このような問題を解決し、簡易な構
成により、上記バウンドの原因となるシリンダ背
圧の排気制御を行うことができる緩衝機構付き流
体圧シリンダを提供しようとするものである。

かかる目的を達成するため、本考案において
は、シリンダチユーブの両端にシリンダポートを
設けたカバーを被着し、シリンダチユーブ内にピ
ストンロツド上に取付けたピストンを摺動自在に
挿嵌した流体圧シリンダにおいて、上記シリンダ
チユーブの一端または両端における上記カバー
に、シリンダチユーブ内のピストンで区画形成さ
れた室とシリンダポートとを結ぶ凹穴を軸線方向
に穿設すると共に、シリンダチユーブとの間に空
気流路を形成する間隙をもたせた筒状のクツシヨ
ンスペーサを該カバーと一体または別体に設け、
該間隙をカバー内の絞り弁を経てシリンダポート
に連通させ、ピストンロツド上に、上記クツシヨ
ンスペーサの端部のクツシヨンパツキンに接して
その間をシールする外周面を有し、且つピストン
に近い側に、ピストン側の端部にいくに従つて次
第に断面が拡大するＶ溝を有するクツシヨンリン
グを設けるという技術的手段を講じている。

上記構成を有する本考案の緩衝機構付き流体圧
シリンダにおいては、クツシヨンストロークに突
入することにより、ピストンロツド上のクツシヨ
ンリングがクツシヨンパツキン内に嵌入すると、
クツシヨンパツキンによりヘツド室またはロツド
室から凹穴を経てシリンダポートに至る流路がシ
ールされるため、該室内の空気はシリンダチユー
ブとクツシヨンスペーサとの間の間隙から絞り弁
に至り、この絞り弁において絞られて排気され
る。そのため、上記室内の空気が徐々に圧縮され
てピストンのエネルギーを吸収し、ピストンを減
速させる。ピストンがクツシヨンストロークエン
ド近くに達してバウンドする直前になると、クツ
シヨンリングにおけるＶ溝の一部がクツシヨンパ
ツキンを越えるため、上記室内の空気が、次第に
断面が拡大するＶ溝によつて形成される絞りを通
じて外部に排出され、ストロークエンドにおける
ピストンのバウンド現象を解消することができ
る。

上記構成のＶ溝によるピストンのバウンド現象
の解消は、構成が簡単で加工が容易なばかりでな
く、Ｖ溝の軸方向長さや傾斜角度等によつて流路
断面積や断面変化をきめ細かく調整できるので、
ピストンの移動速度及び減速度、並びにバウンド
吸収時間等に応じて最適に設定することができ
る。

以下、図面を参照して本考案の実施例について
詳述する。

第１図ないし第３図に示すエアシリンダにおい
て、１はシリンダチユーブで、その両端にはそれ
ぞれシリンダポート４，５を備えたヘツドカバー
２及びロツドカバー３が被着され、シリンダチユ
ーブ１の内部にはピストンロツド６上に取付けた
ピストン７が摺動自在に挿嵌されている。

上記ヘツドカバー２及びロツドカバー３には、
シリンダチユーブ内においてピストン７の両側に
区画形成されるヘツド室８及びロツド室９と各シ
リンダポート４，５とをそれぞれ結ぶ流路兼用の
凹穴１０，１１を軸線方向に穿設し、該凹穴１
０，１１の口縁にクツシヨンスペーサ１４，１５
を圧嵌するための凹段部１２，１３を形設してい
る。上記クツシヨンスペーサ１４，１５は、シリ
ンダチユーブ１との間に空気流路を形成する間隙
１６，１７をもつた筒状に形成し、その一端に上
記カバー２，３の凹段部１２，１３に圧嵌する嵌
着部１８，１９を設けると共に、他端にクツシヨ
ンパツキン２０，２１を装着したものである。

なお、吸収すべきエネルギーが小さい場合やス
トローク制限を受ける場合などでは、クツシヨン
スペーサをカバーと一体に形成することもでき
る。

而して、上記シリンダチユーブ１とクツシヨン
スペーサ１５との間の間隙１７は、第２図及び第
３図からわかるように、ロツドカバー３の端面に
切設した流通溝２２、及び該溝２２内に開口する
通孔２３を経て、ニードル弁からなる絞り弁２５
に連通させ、さらにこの絞り弁２５から上記カバ
ー３内の凹穴１１を経てシリンダポート５に連通
させている。なお、シリンダチユーブ１とヘツド
カバー２側のクツシヨンスペーサ１４との間の間
隙１６も、上述したところと同じ構造により、図
示しない絞り弁を経てヘツドカバー２内の凹穴１
０に連通させている。

一方、ピストンロツド６上には、上記ピストン
７の両側にクツシヨンリング２６，２７を配設
し、これらをばね座金２８を介してナツト２９に
より締着している。上記クツシヨンリング２６，
２７は、ピストン７から離れている方の端部にテ
ーパ３０，３１を設けて、該クツシヨンリング２
６，２７がクツシヨンパツキン２０，２１内へ嵌
入するのを円滑化し、また該クツシヨンリング２
６，２７におけるピストン７に近い側には、ピス
トン側の端部にいくに従つて次第に断面が拡大す
るＶ溝３２，３３（第４図参照）を設け、且つ端
部にストロークエンドでクツシヨンパツキン２
０，２１の張り代をなくすための凹段部３４，３
５を形設している。また、このクツシヨンリング
２６，２７の外周面は、上記クツシヨンパツキン
２０，２１に接してその間をシールするが、それ
以外の部分ではクツシヨンスペーサ１４，１５や
凹穴１０，１１の内面との間に空気流通間隙３
６，３７をもつように形成している。

上記構成を有するエアシリンダにおいては、例
えば、第１図の状態でヘツドカバー２のシリンダ
ポート４から圧力空気を送入すると、ピストン７
はロツド室９内の空気をロツドカバー３内の凹穴
１１からシリンダポート５を通じて排出させなが
ら左動する。そして、ピストンロツド６上のクツ
シヨンリング２７がクツシヨンパツキン２１内に
嵌入し、即ちクツシヨンストロークに突入する
と、クツシヨンパツキン２１によりロツド室９か
ら凹穴１１を経てシリンダポート５に至る流路が
シールされ、そのため該ロツド室９内の空気はシ
リンダチユーブ１とクツシヨンスペーサ１５との
間の間隙１７を通り、さらにロツドカバー３に穿
設した通孔２３を経て絞り弁２５に至り、この絞
り弁２５において絞られてシリンダポート５から
排気される。そのため、ロツド室９内の空気は
徐々に圧縮され、それによつてピストン７のエネ
ルギーを吸収し、ピストン７を減速させる。

このままの状態でピストン７がストロークエン
ドに達すると、ロツド室９内が昇圧してピストン
７がバウンドすることになり、そのため上記エア
シリンダにおいてはバウンドの直前でロツド室９
内の高圧空気を排出させるようにしている。即
ち、上記クツシヨンストロークにおいて、クツシ
ヨンリング２７がクツシヨンパツキン２１内に嵌
入してＶ溝３３の一部がクツシヨンパツキン２１
を越えると、ロツド室９内の空気が、次第に断面
が拡大するＶ溝３３によつて形成される絞りを通
じて、クツシヨンリング２７の周囲の空気流通間
隙３７からシリンダポート５に至り、外部に排出
される。

この場合、クツシヨンリング２６，２７のスト
ローク端からＶ溝までの距離、Ｖ溝の各部断面積
及び断面変化を、ピストン７の移動速度及び減速
度、並びにバウンドの吸収時間等に応じてきめ細
かく調整することができ、高い背圧を必要とする
場合は該距離が比較的長く設定される。

また、ピストン７がストロークエンドに達する
と、クツシヨンパツキン２１がクツシヨンリング
の凹段部３５内に位置し、ロツド室９をシリンダ
ポート５に連通させる。

第１図においてピストン７を右動させる場合に
は、シリンダポート５から圧力空気を送入し、上
述したところと同様にして、ピストン７にバウン
ドさせることのないクツシヨン作用を与えること
ができる。

上記構成を有するエアシリンダでは、クツシヨ
ン能力を大巾に向上させ、ストロークエンドでの
ピストンのバウンド現象の解消に極めて有効であ
つて、2000〜3000mm／ｓで作動するエアシリンダ
においてもバウンド現象を解消することができ
る。

なお、以上において説明した実施例は、ピスト
ンがいずれの方向に駆動される場合にも本考案の
クツシヨン作用が得られるように構成している
が、ピストンの一方向への駆動の場合のみに上記
クツシヨン作用が得られるように構成できること
は勿論である。また、上記実施例は、ピストンロ
ツド６にクツシヨンリング２６，２７をナツト２
９により締着したが、該クツシヨンリング部はピ
ストン７と一体的に設ける構成であつても差支え
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２図
は第１図のＡ−Ａ位置での断面図、第３図は第２
図のＢ−Ｂ位置での拡大断面図、第４図は第１図
のＣ−Ｃ位置におけるクツシヨンリングの断面図
である。 １……シリンダチユーブ、２……ヘツドカバ
ー、３……ロツドカバー、４，５……シリンダポ
ート、６……ピストンロツド、７……ピストン、
１０，１１……凹穴、１４，１５……クツシヨン
スペーサ、１６，１７……間隙、２０，２１……
クツシヨンパツキン、２４，２５……絞り弁、２
６，２７……クツシヨンリング、３２，３３……
Ｖ溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダチユーブの両端にシリンダポートを設
   けたカバーを被着し、シリンダチユーブ内にピス
   トンロツド上に取付けたピストンを摺動自在に挿
   嵌した流体圧シリンダにおいて、上記シリンダチ
   ユーブの一端または両端における上記カバーに、
   シリンダチユーブ内のピストンで区画形成された
   室とシリンダポートとを結ぶ凹穴を軸線方向に穿
   設すると共に、シリンダチユーブとの間に空気流
   路を形成する間隙をもたせた筒状のクツシヨンス
   ペーサを該カバーと一体または別体に設け、該間
   隙をカバー内の絞り弁を経てシリンダポートに連
   通させ、ピストンロツド上に、上記クツシヨンス
   ペーサの端部のクツシヨンパツキンに接してその
   間をシールする外周面を有し、且つピストンに近
   い側に、ピストン側の端部にいくに従つて次第に
   断面が拡大するＶ溝を有するクツシヨンリングを
   設けたことを特徴とする緩衝機構付き流体圧シリ
   ンダ。