JPH0129083Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、花弁形印字輪を用いた印字装置に
関するものである。

従来、この種の印字装置において、花弁形印字
輪は着脱交換自在に設けられているものである
が、その着脱手段には種々の形式のものが存す
る。まず、その一例としては、モータ軸に花弁形
印字輪を保持する駆動板を設け、モータを起伏す
るように取付けて駆動板の位置および向きを変
え、これにより、花弁形印字輪のセツト位置と着
脱位置とが選択されるようにしている。このよう
なものは、モータ、モータ軸、駆動板その他の部
品を一体として起伏させ、しかもセツト位置は正
確に定めなければならないため、構造が複雑化
し、部品点数も多くなり、構造的に安定性が低い
等の欠点を有している。

つぎに、従来の他の例は、花弁形印字輪をカセ
ツトに収納し、モータに連結された駆動板を進退
自在に設け、この駆動板を後退させた状態でカセ
ツトを落し込んで駆動板を前進させる構造のもの
が存する。そして、回転方向の位置決めは、ピン
と係合孔とにより行なうがこのピンを弾撥的に設
けておいて駆動板をある程度回転させたときに係
合するようにしている。したがつて、着脱時の可
動部品が少なく、構造も比較的簡単であると云う
長所を有しているものであるが、回転方向の位置
決めが一個のピンと係合孔であり、完全な位置決
めがなされるまでに時間的なバラツキがあること
やこの部分が結局は駆動力伝達部分になるため、
動力伝達の安定性や耐久性がない等の欠点を有し
ている。

また、従来のいずれの構造のものもモータと花
弁形印字輪の着脱構造とがキヤリツジフレーム上
の同方向に位置しているため、スペース的に余裕
がなく、リボン機構の取付構造等はかなり複雑に
なつているものである。さらに、モータ自体につ
いても進角の小さい高価なものを用いなければな
らず、ステツピングモータなどを用いると振動ダ
ンピングの発生により高速印字を行なうことが難
かしく、強いて高速化すると文字配列の精度が低
下すると云う問題がある。

この考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、花弁形印字輪の着脱を簡単に行ないうる印字
装置を得ることを目的とするものである。

この考案は、花弁形印字輪を着脱自在に保持す
る保持体に花弁形印字輪を保持体から離反する方
向に付勢する付勢体を設けることにより、花弁形
印字輪を保持体に押圧する位置と保持体から離反
する位置とに位置させるように設けられたホルダ
ーを回動させることにより花弁形印字輪を外す場
合には付勢体の付勢力によつて花弁形印字輪が保
持体から押し出され、花弁形印字輪を保持体から
外す際に花弁形印字輪を変形させることを防止す
るとともに取り外しを容易にし、セツト時には押
圧体により花弁形印字輪を保持体に押圧して確実
な保持状態を得るように構成したものである。

この考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。水平に設けられた円筒状のプラテン１の軸心
に沿つて往復動するキヤリツジフレーム２が設け
られ、このキヤリツジフレーム２の垂直面の一側
面にはパルスモータ等よりなる駆動部であるモー
タ３が取り付けられ、そのキヤリツジフレーム２
の他側面にはモータ軸４が突出され、このモータ
軸４にはプーリ５が取付けられている。また、前
記キヤリツジフレーム２の上方には先端にテーパ
部が形成された固定軸６が取付けられ、この固定
軸６には保持体であるタイミングプーリ７が回転
自在に取付けられている。このタイミングプーリ
７の一方の端面には円周を25等分した位置に凸起
８が設けられ、これらの凸起８の外周部分には各
凸起８とその位置が一致した25個のインデツクス
穴９が設けられている。さらに、前記タイミング
プーリ７のボス部１０にはリング状溝１１が形成
されている。このリング状溝１１は前記凸起８が
形成された面側に向けて開放されており、リング
状溝１１の奥部にはリング状溝１１の内径を大き
く定めるための段部１２が形成されている。そし
て、このリング状溝１１には一端を前記段部１２
に噛み合わせて抜け止めされた付勢体であるスプ
リング１３が取り付けられている。また、前記タ
イミングプーリ７の他面にはフランジ１４を残し
てタイミングベルト歯１５が形成されている。そ
して、小径の前記プーリ５にも図示しないタイミ
ングベルト歯が形成されており、このプーリ５の
タイミングベルト歯と前記タイミングベルト歯１
５とには所定の張力をもたせてタイミングベルト
１６が張設されている。

ついで、花弁形印字輪１７が設けられている。
この花弁形印字輪１７は活字１８が先端に形成さ
れた複数本の活字脚１９が設けられている。い
ま、活字１８の数は100であるものとする。そし
て、この花弁形印字輪１７の中心には中心孔２０
を有する金属芯２１が埋め込まれ、一側面には前
記タイミングプーリ７の凸起８に係合する25個の
凹部２２が形成されている。また、前記インデツ
クス穴９に重なり合うように位置決めされた単一
のインデツクス穴２３が形成されている。

ついで、前記キヤリツジフレーム２の下方に支
軸２４が設けられ、この支軸２４にはホルダー２
５が起伏回動自在に取付けられている。このホル
ダー２５は板ばね２６により前記タイミングプー
リ７に対面する方向に付勢されている。そして、
前記ホルダー２５の下端には前記花弁形印字輪１
７を一時的に保持する保持縁２７が形成され、中
間部には圧力軸２８が設けられている。すなわ
ち、前記圧力軸２８の一端には押圧体２９が固定
されて圧縮ばね３０により右方へ付勢され、他端
には抜け止め用の止め輪３１が設けられている。
また、前記ホルダー２５の上方にはハンマー３２
が取付けられている。

さらに、前記インデツクス穴９，２３に相当す
る位置における前記ホルダー２５と前記キヤリツ
ジフレーム２とには、発光ダイオード３３とフオ
トトランジスタ３４とが設けられている。

このような構成において、花弁形印字輪１７の
取り付けに当つては、第２図に示すように板ばね
２６の力に抗してホルダー２５をタイミングプー
リ７から離反する方向に回動させる。これによ
り、上部は空間が大きくなり、この部分より花弁
形印字輪１７を落し込む。これにより、花弁形印
字輪１７は保持縁２７で保持されることになり、
ついで、ホルダー２５を自由状態にすると板ばね
２６により押されて第１図に示す状態になる。こ
のとき、花弁形印字輪１７の中心孔２０に固定軸
６が嵌合することにより芯合せがなされて花弁形
印字輪１７の下端は保持縁２７より浮き上がり、
円滑な回転が可能になる。また、押圧体２９によ
り押圧されてタイミングプーリ７との間で挾持さ
れる。なお、このとき、ボス部１０のリング状溝
１１に取り付けられたスプリング１３の他端が花
弁形印字輪１７の金属芯２１に接合して花弁形印
字輪１７をタイミングプーリ７から離反する方向
に付勢するが、圧縮ばね３０の付勢力のほうが大
きく定められているためにスプリング１３は圧縮
されてリング状溝１１内に押し込められる。そし
て、モータ３の駆動によりタイミングプーリ７が
回転すると、ただちに凸起８と凹部２２とが係合
し、インデツクス穴２３はいずれかのインデツク
ス穴９に一致する。これにより、花弁形印字輪１
７がタイミングプーリ７との間で位置決めされる
ことは、モータ３の位置と活字１８の位置とが対
応のとれることになり、ハンマー３２による印字
は正確な位置に行なわれ、インデツクス穴９，２
３により活字１８の選択も確実に行なわれる。ま
た駆動力は円周上に配列された凸部８により行な
われるのでバランスのとれた状態で確実に行なわ
れ、かつ、耐久性も高い。

しかして、プーリ５とタイミングプーリ７との
直径比によつてモータ３の回転数は減速されるの
で、活字１８の配列間隔に基づく進角よりもモー
タ３側の進角をかなり大きくすることができ、こ
れにより、モータ３自体を比較的安価に作ること
が可能である。また、タイミングベルト１６を所
定の張力をもつて張ることにより、モータ３から
タイミングプーリ７にいたる伝達系の摩擦力を高
めることができ、これにより、モータ３の振動ダ
ンピングを皆無に近い状態にすることも可能であ
る。

さらに、モータ３はキヤリツジフレーム２の一
側に突出して設けられているため、ホルダー２５
側のスペースが大きくなり、印字リボン機構の設
置等がきわめて容易になる。

つぎに、第１図に示す状態にセツトされた花弁
形印字輪１７を取り外し又は交換する場合には、
花弁形印字輪１７を取り付ける場合と同様に、第
２図に示すように板ばね２６の力に抗してホルダ
ー２５をタイミングプーリ７から離反する方向に
回動させる。これにより、花弁形印字輪１７には
押圧体２９からの押圧力が作用しなくなるため、
花弁形印字輪１７はスプリング１３によつてタイ
ミングプーリ７から離反する方向に押圧され、凸
部８と凹部２２との係合が外れるとともに固定軸
６との嵌合状態が解除される。したがつて、花弁
形印字輪１７を外すために無理な力を加える必要
がなく、しかも、スプリング１３の付勢力は強固
な金属芯２１に作用するものであり、取り付け又
は交換が簡単になるとともに花弁形印字輪１７を
変形させる虞れもない。

この考案は、上述のように花弁形印字輪を押圧
体により押圧しつつ保持体に取り付けたことによ
り確実なセツト状態を得ることができ、また、保
持体に花弁形印字輪を保持体から離反する方向に
付勢する付勢体を設けたことにより、ホルダーを
回動させることによる花弁形印字輪の取り外し又
は交換時には付勢体によつて保持体による保持状
態を自動的に解除することができ、したがつて、
花弁形印字輪の取り外し又は交換を簡単に外なう
ことができるとともに保持体から取り外す際に無
理な力を作用させることがないので花弁形印字輪
の変形を防止することができる等の効果を有する
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図はセツト時の縦断側面図、第２図は開放時の縦
断側面図、第３図はタイミングプーリを拡大した
縦断側面図、第４図はその正面図、第５図はその
背面図、第６図は花弁形印字輪の縦断側面図、第
７図はその背面図である。 １……プラテン、２……キヤリツジフレーム、
３……モータ（駆動部）、７……タイミングプー
リ（保持体）、１３……スプリング（付勢体）、１
７……花弁形印字輪、２９……押圧体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プラテンの軸心方向に沿つて移動するキヤリツ
   ジフレームの前記プラテン側の下方に駆動部を取
   り付け、この駆動部に連結されて回転するととも
   に花弁形印字輪の中心孔に嵌合する固定軸が突出
   形成されて前記花弁形印字輪を保持する保持体を
   前記プラテンと逆側の手前側に設け、この保持体
   に対面して前記花弁形印字輪を前記保持体に押圧
   する位置と前記保持体から離反する位置とに位置
   させるように起伏回動するホルダーを前記キヤリ
   ツジフレームに取付け、このホルダーに前記花弁
   形印字輪を前記保持体に向けて押圧する押圧体を
   設け、前記保持体に前記花弁形印字輪をその保持
   体から離反する方向に付勢する付勢体を設けたこ
   とを特徴とする印字装置。