JPH0128977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野： 本考案は、プレスにより所望の形状に加工され
たワークから、必要部を得るためにトリミングし
た残余のスクラツプを排除に便利なように処理す
るカツターに係るものである。

考案の背景： 自動車の車体外板部又は建築部材等の、所要形
状若しくは大きさをもつ金属型押し材は、プレス
型により金属板を指定されたとおりの形状に形成
し、次いで周縁の不要部分であるスクラツプを切
断除去し適宜の大きさとするトリミングを経て、
所望のプレス製品に仕上げられている。

そして、トリム線から外側のスクラツプを除去
するには、プレス製品を限定するトリム線に合致
する下ダイとこれに整合、被嵌する昇降自在の上
ダイとのせん断力によりトリム線に沿つて切断さ
れ、同時にプレス製品の中心からほぼ放射状に伸
びる線に沿い、上記トリム線たるスクラツプ内周
縁からスクラツプ外周縁に達する幾つかのカツタ
ー線で多数のセグメントに分断され、結局、トリ
ム線で切断されたスクラツプは多数の分断片とな
つてダイの周囲から取除かれ、次のトリミング作
業を支障しないようになされている。

先行技術： 第１図に示すのは適応する金属板をプレス加工
したワーク１で、所要のプレス製品２部分の周縁
部は不要なスクラツプ３となつている。そしてワ
ーク１は、第２図に示すようなダキ板７に固定さ
れた下ダイ６とこれに整合する昇降自在な上ダイ
８とからなるダイセツトにより、トリム線４部分
から切断しプレス製品２を取得すると共に、外周
部のスクラツプ３は多くのカツター線５，５にお
いても切断し、多数の分断セグメントとして一斉
に除去することができる。

この場合のスクラツプの切断は第２図に示すよ
うに、切断しようとするスクラツプの褶曲状態に
ほぼ倣つた刃形状とした切刃１１と対応する受け
台１２とをもち、この切刃１１と受け台１２上縁
とによるせん断でスクラツプ３を分断し、分断さ
れたセグメント片は受け台１２の背面につくられ
た排出斜面１３を滑り落ち、上記ダイセツト外へ
流出取除かれる。

しかし、このような在来手段では、ワーク１か
ら必要とするプレス製品２を得るための切断及び
スクラツプ３の分断には、切刃と受け刃との間に
僅かの段差を設けて被切断材の厚みを吸収するギ
ヤツプを形成しておけなければ切断は不可能とさ
れており、従つて、被切断材は切断の前に先づ曲
げられ、それから切断されるから上記噛合せギヤ
ツプによつて、板厚に随うコスリ切りとなつて、
大きな切粉を多量に発生することになつていたの
である。この不可避の原因によるスクラツプカツ
ター１０部での切断切粉が著しく発生して局部に
たまり、必要とするプレス製品を含むワーク形状
内に散乱し、いわゆるゴミ噛みの状態となり易い
ので、切粉の清掃のための運転停止とその人手に
経費が嵩み、またスクラツプ３の褶曲に切刃１１
の刃形及び受け台１２形状を倣わせようとして
も、その相似性には限界があり、スクラツプの切
断時に生ずる切刃の磨耗又は噛合せギヤツプ以上
の板厚で食込むワークがあつたときの摩擦から生
ずる刃コボレ等に対する研磨・修復が特定作業と
なり工数の増加が避けられなかつた。さらに、こ
のような切刃の保全困難は、スクラツプの完全分
断ができずにスクラツプの円滑な流出を妨げるこ
ととなり、スクラツプ３がスクラツプカツター１
０部に残留している状態となり、これに支障され
て次のワーク１の自動送込みが引掛つてできなく
なり、無理して送込むと上ダイ８と下ダイ６との
各整合噛合刃部が破損し、プレス製品に不良発生
の率が高かつたのである。

考案の目的： 本考案は斯かる現況に鑑みてなされたもので、
在来例にみるごとき複雑な形状又は噛合せギヤツ
プを形成するための段差を要せず、しかも上ダイ
の昇降時のオーバーストロークを吸収することに
より切刃の損耗を防止し、同時に切断時に生ずる
各刃とワークとの相対磨擦により生ずる切粉を、
切断操作に従つて分断スクラツプに随伴して除去
し、常に安定な条件でスクラツプを切断できるス
クラツプカツターの提供を目的としている。

考案の構成・実施例： 以下、本考案の１実施例につき詳細に説明す
る。

本考案のスクラツプカツター１０は第３図に示
すように、基本的には上ダイ８に刃付えぐり９を
施してストレートな切刃１１を形成し、下刃は下
ダイ６を固設したダキ板７に立設した受け台１２
に、上下方向に摺動自在に可動刃１４を付帯させ
た構成となつている。そして、上ダイ８と下ダイ
６との間にワーク１を送込み、上ダイ８を打下し
てトリム線４及びカツター線５で切断し終ると共
に、可動刃１４の天辺が上ダイ６の刃付えぐり９
の底面に当接し、この場合に超硬質材でつくられ
る上ダイ６と可動刃１４に比べこれらに挟まれる
スクラツプ３は軟質であり、ワーク１の切断時に
発生し上刃１１及び可動刃１４に付着・残留して
いた切粉は、上記の当接時に比較的軟質なスクラ
ツプ３と共に打たれてスクラツプに密接着し、ス
クラツプ３と一緒に排出斜面１３を経由するなど
して、特別の取除き手段を講じなくても綺麗に除
去されるのである。

次に本考案のスクラツプカツター１０を、第４
〜８図に基いて１つの具体例を挙げて示す。第４
図又は第５図に示すように上ダイ８に刃付えぐり
９を刻設して形成される切刃１１は、下ダイ６垂
直面と接する面から傾斜面をつくりだしつつ形成
するのであり、また、図示を省略してあるが上ダ
イ６に形成した切刃１１縁に近接する下面部に、
スクラツプ３上面への当接突起を設けておけば、
せん断時の引きちぎり効果を増大させる機能を発
揮し、スクラツプ分断を円滑に行う機構として有
効なものである。

下刃となる可動刃１４は第６〜８図に示すよう
に、下ダイ６を固設したダキ板７上に立設した受
け台１２の立面に、上下方向に摺動自在に取付け
られている。受け台１２及び可動刃１４と下ダイ
６との間はクリアランスＣが保たれており、この
クリアランスＣは上記上ダイ８の切刃１１形成の
ための傾斜面が介挿できる４〜５mm程度の巾が好
ましく、又、可動刃１４が昇り切つた状態では可
動刃１４天辺と下ダイ６天面とは同一レベルとな
るように設定する。

受け台１２には可動刃１４を取付けるために第
６図に示すように、長孔１６と上半が長孔１６の
上限を中心とするＲで下半が長孔１６と平行な直
線となつたＲ−直長孔１５とを穿設し、一方、可
動刃１４には第８図に示すように、ピン１８及び
レバー付きピン１７を固着し、長孔１６にはピン
１８を、又、Ｒ−直長孔１５にはレバー付きピン
１７を挿通して第７図に示すように、上下方向に
摺動自在に取付ける。さらに、受け台１２の摺動
面側には、可動刃１４のコーナーと係合し、可動
刃１４の定常位置を保全する位置決めレバー１９
を設け、可動刃１４とダキ板７との間には適当な
バネ２０，２０′を設け、可動刃１４天辺と下ダ
イ６天面とが常に同一レベルとなる原姿状態を保
つている。これらのバネ２０，２０′は上ダイ８
の降下によりトリム線及びカツター線での切断又
は分断が行われるときには可動刃に反力を保持さ
せ、可動刃１４と上ダイの刃付えぐり９底面とが
全域にわたつて当接した後は縮んで、両者間の衝
撃力を緩和することができるバネ力に予め設定す
るのである。そして、このような上ダイに設けた
切刃１１及び下ダイに付帯させた可動刃１４の組
合せを、下ダイの外周に複数組（得んとするプレ
ス製品の大小に応じて数個から数十個。）沿設し、
本考案のスクラツプカツター１０が得られる。

考案の作用・効果： 斯く構成された本考案のスクラツプカツター１
０の実際使用に際しては、第１図に示すようなワ
ーク１の所要プレス製品２に相当する上ダイ８及
び下ダイ６間に該ワーク１を送込み、作動させれ
ばスクラツプ３部分は先づ切刃１１と可動刃１４
とに挟まれ、スクラツプ３が分断されると共に、
可動刃１４に固着したレバー付きピンは受け台１
２に穿設したＲ−直長孔１５のＲ部分を移行し、
可動刃は１４′に示すように斜行しせん断力を強
める。この場合、可動刃１４′の刃端は上ダイ６
に接近し、トリム線４に連結したカツター線５と
なり円滑な分断を可能としている。

可動刃が１４′位置となつたときの刃端での損
傷を防止するため上ダイ６の該部にはウレタン等
の硬質樹脂よりなる刃先受け２１を埋設すること
が好ましい。

次いで、切刃はなおも降下し、分断したスクラ
ツプを、切刃を形成する刃付えぐり９の底面と可
動刃１４天辺との間に挟持したままの状態を保つ
て、この間に可動刃１４のピン１８及びレバー付
きピン１７は、受け台１２に穿設した長孔１６及
びＲ−直長孔１５の直線部に案内され、バネ２
０，２０′の反力に抗して下限まで到達する。こ
のときに、トリム線での切断又はカツター線での
分断で僅かながら発生した切粉は、上ダイ又は下
ダイに比べて軟質なスクラツプに圧迫され、食い
込み等の発生付着力によりすべてスクラツプに随
伴しスクラツプと共に排出斜面１３に導かれる等
してダイセツト外へ流出排除される。

この機能中には、刃付えぐり９の底面と可動刃
１４天辺との当接の他に、刃先１１と可動刃１４
に固設したレバー付きピン１７のレバー部とが同
時に当接し、全体的にみて上ダイ６と下ダイ８と
の間に発生する衝撃力を可動刃１４を介して緩和
することになり、本考案スクラツプカツターの耐
久性向上に貢献している。

以上の説明で明らかなように、本考案のスクラ
ツプカツターは、 (イ) 切断・分断の各刃先線が同一レベルにあるた
め、スクラツプ切断時に、在来例にみるものに
よるごときいわゆる２番を生ずることがなく、
こすり切りによる摩擦切粉の発生が僅少にとど
まる。

(ロ) 発生した切粉はスクラツプに随伴し、特定の
操作をしなくても自動的に排除される。

(ハ) スクラツプカツターの刃の下し過ぎによる破
損が効果的に防止され、耐用性を向上させる。

(ニ) プレス製品を含むワークと切刃との形状合せ
をしなくてもフラツトなものでよく、スクラツ
プの褶曲に倣わせる手間がなくなる。

(ホ) 受け台は、在来のものでは角台形状から機械
削正でつくられていたのがプレス加工で容易に
得られるようになる。

(ヘ) スクラツプカツテイングを確実にできるから
カツターの全数が少くて済む。

等のすぐれた効果が得られ産業上の利用性は著大
である。

【図面の簡単な説明】

第１図はプレス製品とスクラツプとを含むワー
クの説明図、第２図はスクラツプを除去しプレス
製品を得る工程の説明図、第３〜８図は本考案の
１実施例を示す図で、第４図は切刃の正面図、第
５図は第４図の−視側面図、第６図は受け台
と可動刃との正面図、第７図は第６図の−視
側面図、第８図は第６図に示す部分の背面図であ
る。 １……ワーク、２……プレス製品、３……スク
ラツプ、４……トリム線、５……カツター線、６
……下ダイ、７……ダキ板、８……上ダイ、９…
…刃付えぐり、１０……スクラツプカツター、１
１……切刃、１２……受け台、１３……排出斜
面、１４，１４′……可動刃、１５……Ｒ−直長
孔、１６……長孔、１７……レバー付きピン、１
８……ピン、１９……位置決めレバー、２０，２
０′……バネ、２１……刃先受け、Ｃ……クリア
ランス。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 トリム線で限定されるプレス製品とその周縁の
   スクラツプとを切断する上ダイ及び下ダイからな
   るダイセツトに付設して、上記スクラツプを分断
   するスクラツプカツターにおいて、 下ダイの外周に整合被嵌する内周を有する上ダ
   イの下面には複数の刃付えぐりを設けて切刃を形
   成し、下ダイを固設したダキ板に立設した受け台
   に上下方向に摺動自在な可動刃を複数組取付けた
   構造であつて、可動刃の天辺と下ダイの天面とが
   同一レベルにあり、且つ切刃と可動刃とが噛合つ
   てスクラツプを切断し終つた状態時に、可動刃天
   辺が上ダイの刃付えぐりの底面に当接する構成と
   したことを特徴とするスクラツプカツター。