JPH0127506Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、コンバイン、バーベスタ等における
作業用走行機体のクローラ走行装置に関するもの
である。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 一般に、この種作業用走行機体にはクローラ型
の走行装置を設けたものがあるが、このものは従
来、圃場等での作業中、機体重量とラグ部の駆動
反力によつてクローラ周縁部の走行軌跡際に泥土
を盛り上げてしまうこととなり、特に軟弱圃場に
おいては大きな泥土の盛り上がりが生じてしまう
ことになる。そしてこの盛り上つた泥土に、次作
業の際に分草体が当つたり刈刃が突入したりして
円滑な茎稈の刈取り作業が阻害されてしまう許り
でなく、茎稈引起し体の引起し爪が盛り上つた泥
土を梳上げて泥土等を茎稈引起し体内に掻き込ん
で引起し作動に支障をきたし、さらには前記梳上
げられた泥土が脱穀部側にまで運ばれて茎稈の搬
送、脱穀作動等に重大な支障をきたすという欠点
もあり問題になつていた。

［問題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点
を一掃することができる作業用走行機体のクロー
ラ走行装置を提供することを目的として創案され
たものであつて、クローラ型の走行装置を構成す
るクローラの周縁部には、接地面側からの接地圧
を受けて側方に拡開状に変形すべく外径方向に向
けて立脚する脚部を一体的に設けてあることを特
徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、クローラ
周縁部における走行軌跡際での泥土の盛り上がり
現象を確実に防止することができて、次作業行程
での刈取り作業等の作業を何ら支障なく円滑に行
なうことができるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面において、１はコンバインに装備され
たクローラ型の走行装置であつて、該走行装置１
は、駆動輪２、転輪３、アイドラ輪４に本考案が
実施せしめられたクローラ５を懸回して構成され
るものであるが、クローラ５は、内周面側に芯金
６が突出し、外周面側にはラグ部７が突出してい
るが、さらにクローラ５の左右両周縁部には、第
２図に示す如く、ラグ部７の外側面との間に空間
部を形成するよう外径方向に向けて湾曲状に折曲
されて立脚せしめられた脚部８が一体的に延出形
成されているが、該脚部８は、クローラ本体側は
肉厚状になつて補強されている。そして、路上走
行時等においては第２図に示す如く接地面からの
接地圧を受けない場合には前記立脚状態に維持さ
れるが、圃場走行時等において第３図に示す如く
ラグ部７が泥土内に没入した状態では、接地面側
からの接地圧を受けて外側に拡開状に変形するよ
うになつている。

尚、図中、９は走行フレーム、１０はコンバイ
ンの走行機体、１１は前処理部である。

叙上の如く構成された本考案の実施例におい
て、いま、茎稈の刈取り作業において、湿田等の
如く軟弱圃場を走行したりしてラグ部７が泥土内
に没入した場合、圃場面に接地する部位の脚部８
は圃場からの接地圧を受けて側方に向けて拡開状
に変形することとなる。この結果、クローラ５の
走行軌跡際に盛り上げられようとする泥土は、こ
の拡開した脚部８によつて押圧されて殆ど問題と
ならない状態に均平化されることとなる。このた
め次刈取り行程での作業時に前処理部１１の分草
体や刈刃が従来の如く大きく盛り上げられた泥土
に突入したりするような不都合は全くなく、常に
円滑な刈取り作業を行なうことができる。しかも
路上走行のような場合においては、ラグ部７が地
面に没入しないので脚部８に接地圧が加わらず、
このため脚部８は立脚状態のままに維持されるこ
ととなつて、ラグ部７が踏みつけたりした小石等
が外側に飛びはねようとしても、脚部８によつて
捕捉され、従つて小石等が飛び跳ねて周囲のもの
傷つけたりするような危険も確実に防止すること
ができる。さらに、本考案では、クローラ５は、
前記圃場走行等において下側の接地状態から上側
の非接地状態に移動したとき、脚部８が再び立脚
姿勢になるので、クローラ５によつて非接地側に
持ちまわられた泥土等が振動などででクローラ５
の外周縁から落下することを確実に阻止すること
ができ、従つて、前記持ち回られた泥土等がクロ
ーラ５内や走行フレーム９上などに堆積したりし
て走行作動に支障をきたすような不都合も未然に
防止することができる。

また本実施例では、脚部８は、クローラ５の本
体に対する幅を、拡開した状態では広げるように
なつているので、通常走行では幅狭なクローラ幅
によつて旋回性能等の優れた走行を行なうことが
できるが、軟弱圃場等において脚部８が拡開した
場合にはその接地面積が自動的に拡大されること
となり、従つて接地圧が低くなつて圃場内への沈
下も少なくなり、もつて広幅の安定したクローラ
走行を行なうことができ極めて都合が良いもので
ある。

尚、本考案は、上記実施例に限定されるもので
はなく、例えば第４図、第５図に示す如く脚部８
を必ずしも左右両側許りでなく、左右いずれか一
方に設けてもよいことはいうまでもない。この場
合、前記第一実施例の場合の如く脚部８をクロー
ラ５の本体側から幅広となるようにしたもの（第
４図）、あるいは接地圧で変形した場合に所定の
クローラ幅となるようにしたもの（第５図）等、
いずれの場合でも良いことは言うまでもない。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は、叙述の如く構成され
たものであるから、軟弱圃場等を走行するさいに
クローラが圃場面に沈み込んだりした場合、脚部
が接地面からの接地圧を受けて外側に拡開状に変
形することとなり、このため、クローラ周縁の走
行軌跡際に盛り上げられる泥土は、該拡開した脚
部によつて押圧されて殆ど均平化せしめられるこ
ととなり、従つて次作業行程において分草体や刈
刃が従来の如く盛りあがつた泥土に突入するよう
な不都合が全くない。しかも路上走行等の如く脚
部に接地圧がかからない場合においてもラグ部等
の踏みつけによつて飛びはねようとする小石等
は、脚部に当つて落下するので側方に弾き跳ばさ
れることがなく極めて安全性が高いものである。
さらに、上側に移動したクローラの非接地面側で
は、脚部は外径方向を向いた立脚状態になつてい
るので、持ち回られた泥土等が振動によつて落下
することを確実に防止することができ、もつてク
ローラ走行装置内にに泥土等の堆積を効果的に防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る作業用走行機体のクロー
ラ走行装置の一実施例を示したものであつて、第
１図はクローラ型走行装置の正面図、第２図は同
上縦断面図、第３図は作用説明図、第４図、第５
図は第二、第三実施例を示す走行装置の縦断面
図、第６図は従来例のクローラの作用説明図であ
る。 図中、１はクローラ型走行装置、５はクロー
ラ、８は脚部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クローラ型の走行装置を構成するクローラの周
   縁部には、接地面側からの接地圧を受けて側方に
   拡開状に変形すべく外径方向に向けて立脚する脚
   部を一体的に設けてあることを特徴とする作業用
   走行機体のクローラ走行装置。