JPH0126342B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、単一又は複数の磁性金属から成る記
録針（スタイラス）上に、磁力によつて磁性イン
クを保持し、隆起せしめ、前記の隆起せしめた磁
性インクに、画信号に対応したクーロン力を作用
させることにより、記録面に磁性インクを飛翔さ
せ画像を得る画像記録装置における磁性インク供
給装置に関するもので、磁性インク供給路中にお
いて磁力による磁性インクの濃縮や沈降のない、
コンパクトな磁性インク供給装置を提供すること
を目的とする。

従来、インクジエツト法による記録では、イン
クを飛翔させる手段としてノズルを用いたヘツド
を使用していた。このため、ノズルの精密な加工
技術や、ノズルの目づまり防止装置を必要として
いた。また、記録の高速化・高密度をはかるため
複数の記録ヘツドを配列することに対しても、そ
の製作技術・コスト等の点から困難であつた。

これらの問題にかんがみ、第２図に示す様に磁
性体から成る記録針（スタイラス）を一列に配列
した多針記録部１（以下マルチスタイラスと呼
ぶ）と、前記マルチスタイラス１上に設けた磁石
５によりスタイラス１と、スタイラス間とに磁力
の差を構成することにより、磁性インク２の隆起
差Ｓを生ぜしめ、画信号を前記隆起と対応するス
タイラス１に印加しクーロン力で磁性インク２を
飛翔せしめ、記録面３に記録画像を得ることを可
能にした記録法として特開昭54−136330号が提案
されている。また前述した記録法に使用する磁性
インク供給装置として特開昭55−100161号及び特
開昭55−100162号が提案されている。しかしこれ
らの磁性インク供給装置においては以下に示す様
な欠点を有していた。

上記従来の磁性インク供給法では第１図に示す
様にマルチスタイラス１先端近傍に配設した磁石
５の一面に、他端がタンク８内の磁性インク２と
接している磁石９を複数個配設することにより、
磁性インク２を磁力によつてタンク８からマルチ
スタイラス１上に供給していた。なおポンプ７は
タンク８に磁性インク２を供給するもので、液面
検出手段６の液面検出信号に応じて制御されてい
る。

この構成では磁石９の全面に亘つて磁性インク
２が付着しており、また、記録によつてスタイラ
ス１先端部の磁性インク２が消費されると、磁性
インク２はタンク８から磁石９を伝わつて磁石５
の表面の各部に伝えられ、更に各スタイラスの先
端に至る挙動を示す。ここで磁性インク中に含ま
れる磁性体は、例えば50〜100Åの大きさのマグ
ネタイト又はその化合物である。また、前述のマ
グネタイトはカルボン酸、カチオン系活性剤等の
界面活性剤によりトナー分散媒中に浮遊している
が、界面活性剤の界面活性力に打ち勝つ磁力がマ
グネタイトに加えられた場合、マグネタイトは浮
遊することができず濃縮又は沈降が発生するので
ある。すなわち第３図ａ，ｂに示す様に磁性イン
ク２は常時磁力を受けているため、磁石９上にお
いて、エツジ部Ｂ等の強い磁力が発生している部
分では、時間的経過に従つて磁力により磁性イン
ク２が濃縮したり、磁性インク２中に含まれる磁
性体あるいは不純物等１０が沈降を起こしてい
た。このため磁石９上の磁性インク２の流動状能
が悪くなり、タンク８からマルチスタイラス１先
端までの磁性インク２の供給が阻害され、安定し
た磁性インク供給を行うことができなかつた。

また濃縮された磁性インクや、沈降した不純物
等１０がマルチスタイラス１上に供給されると、
磁性インク２の粘度が高くなるため、マルチスタ
イラス１とプラテン電極４との間に電圧を印加し
クーロン力を作用せしめても、磁性インク２は記
録面３に向つて飛翔しなくなるという欠点も有し
ていた。さらに、第２図の様な降起差Ｓを保ちな
がらスタイラス１部分に磁性インク２を供給する
ために、従来例においては磁性インク供給磁石９
の磁力と重力とのバランスを利用している為、高
さ方向の落差Ｈを常時正確に保つてやる必要があ
つた。この為、磁性インク供給を含む記録ユニツ
トあるいは供給装置単体としても小型化すること
が困難であり、記録装置を大きくしてしまうとい
う欠点を有していた。

ちなみに実験によれば、各磁石の磁力の強さを
300〜500ガウスとした時、落差Ｈは50〜70mm程度
であり、８本／mm程度（スタイラス径60μm）の
密度でスタイラスを配設した場合、マルチスタイ
ラス１２先端部での隆起差Ｓは約30〜50μmであ
つた。尚、記録に最適な隆起差Ｓは約30〜50μm
であり、また磁性インク１９の磁化は40〜60ガウ
ス／100エルステツドである。

上述の様に、従来の画像記録装置とその供給手
段の構成では供給路においてインクの濃縮が沈降
が起こることから磁性インク２を飛翔せしめて記
録を行う際に、磁性インク２の供給、飛翔が阻害
され、良好な品質の画像を安定して記録すること
ができなかつた。

本発明はこの様な欠点を改良し、良好な品質で
安定した記録の行える画像記録装置に使用する、
磁性インクの濃縮・沈降の影響のないコンパクト
な磁性インク供給装置を提供するものである。

本発明の一実施例の構成を以下図面に基づいて
説明する。第４図は、本発明の一実施例であり本
発明に係る磁性インク記録装置の概略構成を示
す。記録部は、記録面１１と対向して配列された
磁性体から成る複数の針線（以下マルチスタイラ
スと呼ぶ。）１２と、前記マルチスタイラス１２
面上に当接して設けられた隆起用磁石１３と、マ
ルチスタイラス１２及び隆起用磁石１３とを固定
する固定板１４とより構成されている。

前記隆起用磁石１３の一面には、非磁性体から
成る毛細管形成部材（例えばプラスチツク板、ガ
ラス板等）により構成された毛細管束１８が取付
られている。前記毛細管束１８の一端は、複数の
磁性インク回収磁石１６を有する回転ドラム１５
の近傍で、磁性インク回収タンク１７に接続され
ている。尚前記回転ドラム１５は駆動源（図示せ
ず）によつて、磁性インク供給時のみ回転する様
に制御されている。

前記毛細管束１８の上方には、磁性インク１９
を記録部に供給する磁性インク供給手段２０が設
けられている。磁性インク供給手段２０は、磁性
インクを貯蔵するタンク２１と、流量調整電磁弁
２２と供給パイプ２３とから成つている。ポンプ
２４は回収された磁性インク１９を貯蔵タンク２
１に汲み上げるものである。パイプ２５の途中に
は回収された磁性インクのゴミ等を除去するフイ
ルター２６が設けられている。

マルチスタイラス１２には、スタイラス先端部
に隆起用磁石１３によつて隆起せしめた磁性イン
ク１９を画信号に対応して記録面１１に飛翔又は
泳動させる駆動手段２１が連結されている。ま
た、駆動手段２７と背面電極プラテン２８との間
にはバイアス電圧が電源２９によつて印加されて
いる。

尚、前記の毛細管束１８を構成するのに、第５
図ｂに示す様に複数の棒状体を束ねて構成しても
良い。

以下に本発明の実施例において、記録面１１に
磁性インク１９を飛翔または泳動させて画像記録
を行う場合の、磁性インク１９の流れについて説
明する。

第４図において、駆動手段２７に画信号が入力
されると、同時に磁性インク供給手段２０の磁性
インク流量調整電磁弁２２にも通電される。通電
による流量調整電磁弁２２の開放によつて、磁性
インク１９は供給パイプ２３を通つて記録部（隆
起用磁石１３上）に供給される。この時、磁性イ
ンク１９は隆起用磁石１３の磁力によつて保持さ
れる。しかし、隆起用磁石１３の一面に接続され
た毛細管束１８のもつ毛細管現象（表面張力）に
よつて発生する磁性インク吸引力により、隆起用
磁石１３上の磁性インク１９は吸引され、毛細管
束１８中に取込まれる。従つて磁性インク１９
は、隆起用磁石１３のもつ磁力と、毛細管束１８
のもつ吸引力との差により矢印Ｃ方向に流動す
る。尚、この場合の毛細管束１８の有する吸引力
は、隆起用磁石１３のもつ磁力より若干大きく設
定されている。また、供給される磁性インク量は
第２図に示す様なマルチスタイラス１の先端部付
近を頂点とする最適隆起差Ｓ（約30〜50μm）を保
つ様に、予め供給手段２０に設けた磁性インク流
量調整弁２２によつて設定されている。従つて、
磁性インク供給時には、供給インク量と、隆起磁
石１３上で保持されるインク量及び毛細管束１８
で回収されるインク量がバランスした状態で保た
れている。ここで供給されるインク速度は、記録
に伴うインク消費に対しても途切れることなく十
分にインクを供給できる速さに設定されている。

毛細管束１８中に吸引された磁性インク１９
は、毛細管束１８下方に設けられた回転ドラム１
５上の磁性インク回収磁石１６に吸引され、回転
ドラム１５の回転に伴つて矢印Ｃ方向に流動して
ゆき、磁性インク回収タンク１７内に回収され
る。回収された磁性インク１９は、ポンプ２４に
よつて再度磁性インク供給手段２０に送られ環流
する。

以上述べた様に、供給手段２０により供給路に
磁性インク１９を満し、記録に最適な隆起差Ｓを
保つた状態で、駆動手段２７と背面電極２８との
間に500V〜2.5KVの直流バイアス電圧を与える
と共に、画信号に対応した500〜1000Vのパルス
電圧を駆動手段２７によりマルチスタイラス１２
に印加するとマルチスタイラス１２の先端から磁
性インク１９がクーロン力により飛翔する。飛翔
した磁性インク１９は記録面１１に付着し所望の
画像を形成する。

記録による磁性インク１９の消費時において
も、供給路中を磁性インク１９が常に環流してい
るため供給は常時かつ高速で行なわれる。

記録が完了すると、磁性インク流量制御電磁弁
２２の通電を切ることによつて、隆起用磁石１３
への磁性インクの供給を停止する。このとき毛細
管束１８の下方に設けられた回転ドラム１５上の
磁性インク回収磁石１６は矢印方向に回転してお
り、毛細管束１８中の磁性インクを回収タンク１
７へ回収している。このため隆起用磁石１３上に
付着していた磁性インク１９も毛細管束１８を介
して回収され隆起用磁石１３上の磁性インク付着
量は極めて少なくなり、よつて隆起用磁石１３上
での磁性インクの濃縮をも防止することができる
ものである。

上記の実施例からも明らかなように本発明によ
れば、従来例に示す様に磁性インキを磁石を用い
た供給路により記録部へ供給しない為、以下に示
す様な優れた効果を有するものである。

(ア) 磁石を供給路中の磁性インク供給手段として
用いないため、従来の様な磁性インクの磁力に
よる濃縮や沈降といつた事がなく、供給路の磁
性能力が時間経過と共に低下することがない。
また磁性インクの高粘度化による飛翔不能にな
ることがない。

(イ) スタイラス先端部における隆起差Ｓを従来の
様に磁力と重力（落差Ｈ）とのバランスによら
ず供給インク量と毛細管束の吸引力とのバラン
スによつて確保するため、従来の様な大きな供
給落差を必要とせず、スペース効率の良いコン
パクトな磁性インク供給装置を提供することが
できる。

この様に本発明は、磁石を使用した磁性インク
供給装置における磁性インクの濃縮、沈降による
供給あるいは飛翔が阻外されるという欠点を改良
するものであり、良好な品質で安定した記録を行
なわせしめ、かつコンパクトな画像記録装置を構
成する優れた磁性インク供給装置を提供するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁性インク供給装置を有する記
録装置を示す要部構成図、第２図は記録部におけ
る磁性インクの隆起状態を示す正面図、第３図ａ
は従来例における磁性インクの濃縮、沈降状態を
示す要部側面図、第３図ｂは第３図ａにおけるＡ
−A′断面図、第４図は本発明の一実施例を適用
した記録装置の要部構成図、第５図ａ，ｂは本発
明における毛細管束を示す斜視図である。 １２……マルチスタイラス、１３……隆起用磁
石、１５……回転ドラム、１６……磁性インク回
収磁石、１８……毛細管束、２０……磁性インク
供給手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁性体から成る記録針と、前記記録針先端近
   傍に設けられた磁石とを有する印字ヘツドに、磁
   性インクを供給する供給手段と、前記磁石上のイ
   ンクを回収可能なように前記磁石の少なくとも一
   面に接して設けた毛細管束と、前記毛細管束中の
   磁性インクを回収し前記供給手段に環流する手段
   とを備えたことを特徴とする磁性インク供給装
   置。