JPH0125689B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、圧縮成形における樹脂材料供給装置
に関する。

（従来技術） 上型と下型とで樹脂材料の圧縮成形を行なう圧
縮成形機の下型に樹脂材料を供給する装置に関
し、特公昭59−17931号公報には、流動状可塑性
材料を注入ノズルから下型に注入するにあたり、
注入ノズルを動作制御機構により、予めプログラ
ムされた軌跡に従つて下型上で移動させるように
したものが記載されている。

この従来技術では、注入ノズルの開口形状は一
定であるから、平面形状において巾に変化のある
成形品を得る場合、この注入ノズルを２次元上で
縦横に移動させることになる。従つて、注入ノズ
ルを下型の隅から隅まで移動させるのに時間がか
かり、最初に供給した樹脂材料が冷却ないし硬化
をはじめた後に、最後の樹脂材料が溶融状態で注
入されることになりかねず、成形型内での各部分
の樹脂材料の硬化進行度に時間的に大きなずれを
招き、フローマークあるいはチヤージマークを生
じ易い。また、上記注入ノズルを２次元ないし３
次元で移動させるためには、複雑なリンク機構お
よび配管を必要とするが、単に装置が複雑になる
だけでなく、樹脂材料をその貯留部から注入ノズ
ルまで導く間の樹脂材料の保温および流路抵抗な
どにも別途の配慮が必要となる。

なお、これに対し、シートスタンピングといつ
て、一旦板状に成形した樹脂材料を所定寸法に切
断し、圧縮成形前に再加熱して軟化させ、これを
成形型に供給して成形を行なう方式もあるが、板
状樹脂の製造、切断、加熱、圧縮成形の各工程を
必要とする。そして、成形型に供給する板状樹脂
の形状にも制限があつて、トリミングにより多量
のスクラツプ部分を生じ、また、上記加熱の工程
やスクラツプ部分の再利用のためのリサイクル工
程が入つてきて、得られる成形品の物性も低下し
易い憾みがある。

（発明の目的） 本発明は、比較的複雑な形状の成形品を得る場
合でも、樹脂材料の供給口自体を複雑な軌跡に沿
つて動かすことなく、樹脂材料を成形品に対応し
た形状でもつて成形型に対し短時間で供給するこ
とができるようにして、従来の問題を解消しよう
とするものである。

（発明の構成） 本発明の樹脂材料供給装置においては、圧縮成
形機の下型上に臨ませる樹脂材料の供給口と、こ
の供給口の開口形状を変化せしめる手段と、樹脂
材料を上記供給口へ送る手段と、上記供給口を下
型に対し相対的に移動せしめる手段とを備え、従
来のように供給口全体を２次元あるいは３次元的
に移動させて樹脂材料を成形品形状に対応させる
のではなく、供給口の開口形状を変化させて供給
する樹脂材料の形状を成形品形状に対応させるよ
うにしている。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図は樹脂材料供給装置１を圧縮成形機２と
の関係で示している。この樹脂材料供給装置１に
おいて、３は樹脂材料を加熱流動化して押出す押
出機、４はこの押出機３からの樹脂材料の所定量
を計量して貯留し、次の板状樹脂押出ダイ５の供
給口６を介して圧縮成形機２へ送り出す計量送り
手段である。圧縮成形機２は、ベツト７に取り付
けた下型８と、シリンダ装置９で昇降するラム１
０に取り付けた上型１１とで第２図に示す成形品
１２を圧縮成形して得るものである。

具体的には、上記押出機３は、押出スクリユ１
３を挿入した加熱筒１４と、この加熱筒１４に取
り付けたホツパ１５を備え、モータ１６にて押出
スクリユ１３を回転し、ホツパ１５から供給され
る樹脂材料を加熱流動化して押出すようになつて
いる。この押出機３は台車１７に昇降機１８にて
昇降可能に支持され、台車１７はモータ１９とそ
れによつて回転するねじ式シヤフト２０とを備え
た移動手段２１にて圧縮成形機２へ向けて往復移
動するようになされている。

上記計量送り手段４は、上記押出機３の押出口
に接続された樹脂材料の導入管２２と、この導入
管２２から逆止弁２３を介して送られる樹脂材料
を計量して貯留するアキユームレータ２４と、こ
のアキユームレータ２４の樹脂材料を板状樹脂押
出ダイ５に送り出す送りシリンダ装置２５とを備
える。この場合、アキユームレータ２４内のピス
トン２６と送りシリンダ装置２５のピストン２７
がロツド２８で連結されていて、アキユームレー
タ２４のピストン２６の位置決めにより圧縮成形
機２に供給すべき樹脂材料の量が決められ、この
ピストン２６の押動により計量された樹脂材料が
送り出される。

上記板状樹脂押出ダイ５は、基端が計量送り手
段４の送出口に接続されていて、先端部に供給口
６の開口形状を変化させる形状変更手段２９を備
えている。具体的には、第４図にも示す如く、板
状樹脂押出ダイ５の開口形状変更部には、その両
側壁を内外に貫通する貫通孔３０，３０が形成さ
れていて、両貫通孔３０，３０にそれぞれ開閉棒
３１，３１が供給口６内に進退できるように挿入
されている。この場合、両開閉棒３１，３１を両
側方へ後退させた際の供給口６の最大巾Ｗは第２
図に示す成形品１２の最大巾Ｗに匹敵する。ま
た、開閉棒３１の直径φは供給口６の開口高さＨ
よりも大で、両開閉棒３１，３１の進退により供
給口６の開口巾が変化し、両開閉棒３１，３１が
当接すると供給口６が閉じられるようになつてい
る。

そうして、上記板状樹脂押出ダイ５の先端部上
面には巾方向にラツク案内溝３２が形成されてい
て、このラツク案内溝３２にそれぞれ上記開閉棒
３１，３１に接続具３３，３３を介して接続され
たラツク３４，３４が移動可能に嵌められ、ラツ
ク３４，３４にはそれぞれ板状樹脂押出ダイ５に
固定のモータ３５，３５で回転駆動されるピニオ
ン３６，３６が噛合つている。

上記樹脂材料供給装置１においては、押出機
３、計量送り手段４および板状樹脂押出ダイ５の
三者が一体関係にあり、上記供給口６は昇降機１
８の作動により昇降する一方、移動手段２１によ
る台車１７の移動に伴つて、下型８の上で往復移
動することになる。

なお、樹脂材料は、導入管２２とアキユームレ
ータ２４と板状樹脂押出ダイ５とに保温用ヒータ
（図示省略）を設けることで送り系路途上での冷
却硬化が防止される。

次に、上記実施例における樹脂材料の供給、圧
縮成形について順を追つて説明する。

(イ) 昇降機１８により供給口６が下型８の上に臨
めるように板状樹脂押出ダイ５の高さを設定す
る。

(ロ) ホツパ１５からペレツト状の樹脂材料を加熱
筒１４に供給し、加熱流動化させながらスクリ
ユ１３にてアキユームレータ２４へ送り、所定
量の樹脂材料を流動化した状態に蓄える。

(ハ) 移動手段２１にて供給口６を下型８の供給開
始点まで前進めしめ、形状変更手段２９の開閉
棒３１，３１の作動により、供給口６の開口巾
をこの供給開始点での成形品巾（下型８の成形
面巾）に適合せしめる。

(ニ) 計量送り手段４による樹脂材料の送りと、移
動手段による供給口６の前進もしくは後退移動
とを同時進行させながら、形状変更手段２９の
開閉棒３１，３１の進退により、供給口６の移
動位置に対応する位置の成形品巾に応じて供給
口６の開口形状を変化させて適合せしめてい
く。これにより、供給口６から成形品形状に対
応する断面形状の板状樹脂３７が供給されてい
く。

(ホ) 下型８の供給終了点まで供給口６が移動して
きた際に、上記両開閉棒３１，３１を当接させ
て供給口６を閉じ、この供給口６より板状樹脂
３７を切り落とす。

(ヘ) 移動手段にて板状樹脂押出ダイ５を上型１１
と下型８の間よりも外へ移動させ、上型１１を
下降せしめて、第３図に示す下型８上の樹脂材
料、つまり、板状樹脂３７を圧縮成形し、成形
品１２を得る。

上記(ロ)の作動は下型８に供給された樹脂材料を
圧縮成形するときに行なう。

以上の作動において、両開閉棒３１，３１は成
形品形状に応じて互いに独立して進退し、また、
移動手段２１による供給口６の移動速度の調節に
より樹脂材料の下型８の各部に対する供給量、つ
まりは板状樹脂の肉厚が調整される。また、下型
８の成形面の上下方向の凹凸が大きい場合には、
昇降機１８にて供給口６の高さを適宜調節し、供
給口６が成形面の凹凸に沿つて移動するようにし
てもよい。

なお、この実施例では移動手段２１は、モータ
１９により回転するねじ式シヤフト２０を使用し
たが、シリンダ装置を用いてもよい。

従つて、上記実施例の場合、供給口６を下型８
上で一方向へ移動させるだけで、短時間でもつて
成形品形状に対応した巾に変化のある板状樹脂を
供給することができ、バリの発生が非常に少なく
なり、材料の歩留りが高くなるとともに、供給さ
れた板状樹脂の各部での硬化進行に時間的なずれ
はほとんど生じない。また、計量送り手段４から
の樹脂材料の供給系路が直線的であり、かつ全体
の材料供給時間が短いことと、供給される樹脂材
料が隙間なく一体化された板状体であることとが
あつて、低流動性樹脂の使用が可能であり、成形
品１２の物性を高くすることができる。

次に、上記板状樹脂押出ダイの他の実施例につ
いて説明する。

第５図に示す板状樹脂押出ダイ３８は、供給口
３９を下向きとしてその開口形状を変化させる形
状変更手段の開閉棒３１を設けたものであり、供
給口３９を下型の成形面に近接せしめて樹脂材料
を供給することができる。

第６図に斜視図で示し、第７図に縦断面図で示
す板状樹脂押出ダイ４０は、計量送り手段に接続
する基部４１に対し、供給口４２の開口形状を変
化させる形状変更手段を設けた先部４５を脱着式
としたものである。本例の場合、基部４１と先部
４５は互いのフランジ４４，４６において接続さ
れ、また、形状変更手段４３の開閉棒３１を挿入
した開口形状変更部４７は円筒状になされてい
る。この脱着式の板状樹脂押出ダイ４０において
は、成形品の大きさ、肉厚などに応じて先部のみ
を供給口の最大開口巾、開口高さなどの異なるも
のに代えて用いることができる。第８図には先部
４８の他の例として供給口４９を下向きとしたも
のを示している。

第９図に示す板状樹脂押出ダイ５０は、供給口
６の開口形状を変える開閉棒５１に特徴がある。
つまり、この開閉棒５１は樹脂材料の流れ方向に
おける上流側の円弧部に、開閉棒５１の中央側か
ら内端５２へ向けて上記流れ方向の下流側へ傾斜
した斜面５３が形成されていて、この斜面５３に
より樹脂材料の流れに対する抵抗を小さくしてい
る。なお、両開閉棒５１，５１の内端５２を当接
させると供給口６は閉じられる。

第１０図に示す板状樹脂押出ダイ５４は、形状
変更手段の作動機構に特徴がある。つまり、開閉
棒３１は板状樹脂押出ダイ５４の上面に固定のシ
リンダ装置５６のピストンロツド５７に対して接
続具５８を介して結合されていて、ピストンロツ
ド５７の進退により供給口６の開口形状を変える
ようにしている。

第１１図に示す板状樹脂押出ダイ５９も形状変
更手段に特徴があつて、この例では、板状樹脂押
出ダイ５９の側面に固定のシリンダ装置６０のピ
ストン（図示省略）に対し開閉棒３１が直結さ
れ、シリンダ装置６０の作動により供給口６の開
口形状を変えるようにしている。

なお、上記実施例では、供給口の開口巾を変化
させるようにしたが、上下方向に移動可能な開閉
体を供給口に設け、この開閉体にラツク・ピニオ
ン式などの作動手段をとりつけて供給口の開口高
さを変えることにより、樹脂材料の肉厚を精度よ
く変えることもできる。

また、開口巾変更手段と開口高さ変更手段とを
併用して樹脂材料の巾と肉厚の双方を同時に変化
させてもよく、さらには、供給口の最大開口巾よ
りも巾狭の開閉体を上下動可能に設け、この開閉
体を樹脂材料の供給途中で上下動させて供給口の
一部を閉じることにより、樹脂材料を中抜き状態
で下型に供給するようにしてもよい。

また、本発明においては、樹脂材料として熱可
塑性のもののみならず、熱硬化性のものを用いて
もよく、もちろん、強化繊維その他のフイラーを
混入した樹脂材料を用いてもよい。

さらに、上記実施例では、移動手段２１により
押出機３および押出ダイ５を圧縮成形機２に対し
て前進もしくは後退のみさせていたが、これに加
えてモータ１９および台車１７などを載置する床
部材を横方向に移動せしめ、広い成形品を成形す
るときには、床部材を順次横方向へ数回移動さ
せ、すなわち、押出機３、押出ダイ５を順次横方
向へ数回移動させ、その度に移動手段２１で押出
ダイ５を移動させて樹脂材料を下型８上へ供給す
るようにしてもよい。

（発明の効果） 本発明によれば、形状変更手段にて供給口の開
口形状を変化させることにより、成形品形状に応
じた断面形状の樹脂材料を下型に供給することが
でき、バリの発生が非常に少なくなつて材料の歩
留りが高くなるとともに型内での樹脂材料の流動
が少ないためフローマークが生じにくくなる。ま
た、樹脂材料を短時間で下型に供給することがで
き、成形型各部での樹脂材料の硬化進行度に時間
的なずれがほとんどなくなつてチヤージマークが
発生しにくくなり、高品質の成形品を得ることが
できる。

また、供給口自体は下型上で複雑に動かす必要
がなく、樹脂材料の送り系路を直線的にして流路
抵抗を小さくすることができるため、低い注入圧
力で樹脂材料が供給できるとともに、低流動性樹
脂の適用も可能であり、かつ、強化繊維を混入し
た樹脂材料においても繊維の均一分散性に優れる
ことから、成形品物性の向上が図れ、さらには、
従来のシートスタンピング方式に比べて余分な加
熱工程やトリム工程を必要とせず、生産性向上が
図れるとともに、熱履歴による物性低下もなく、
成形品の品質安定性が高くなる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は樹脂材
料供給装置を圧縮成形機との関係で示す縦断面
図、第２図は成形品の一例を示す斜視図、第３図
は下型に供給した板状樹脂を示す縦断面図、第４
図は板状樹脂押出ダイの斜視図、第５図は同ダイ
の第２の実施例での縦断面図、第６図は先部を交
換可能とした板状樹脂押出ダイの分解斜視図、第
７図は同ダイの縦断面図、第８図は板状樹脂押出
ダイの先部の他の実施例を示す縦断面図、第９図
は流路抵抗を軽減した板状樹脂押出ダイの平面
図、第１０図は形状変更手段にシリンダ装置を利
用した板状樹脂押出ダイの斜視図、第１１図はシ
リンダ装置を利用した板状樹脂押出ダイの他の例
を示す斜視図である。 １……樹脂材料供給装置、２……圧縮成形機、
６，３９，４２，４９……供給口、２１……移動
手段、２９……形状変更手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上型と下型とで樹脂材料の圧縮成形を行なう
   圧縮成形機の下型に樹脂材料を供給する装置であ
   つて、下型上に臨ませる樹脂材料の供給口と、こ
   の供給口の開口形状を変化せしめる形状変更手段
   と、上記供給口へ樹脂材料を送る樹脂材料送り手
   段と、上記供給口を下型上でこの下型に対し相対
   的に移動せしめる移動手段とを備え、成形品の形
   状に応じて供給口より供給する樹脂材料の断面形
   状を変えるようにした圧縮成形における樹脂材料
   供給装置。