JPH0124937B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、剛性材料より成る内筒と外筒との
間に弾性ゴム体を装着した２つの筒形防振ゴム
と、これら２つの筒形防振ゴムの外筒を連結する
ロツドとを備えた自動車用バツフアロツドの改良
に関するものである。

一般にFR車（フロントエンジン・リアドライ
ブ）のエンジン支持は、フロント・マウント２
個、リア・マウント１個の３点支持方法が広く採
用されている。ところが、最近増加しつつある
FF車（フロントエンジン・フロントドライブ）
における横置きエンジンの支持は、２本のバツフ
アロツドによる２点支持方法が採用されつつあ
り、この２本のバツフアロツドによりエンジンの
ローリングを抑制するものである。この種バツフ
アロツドは、剛性材料より成る内筒と外筒との間
に弾性ゴム体を装着した２つの筒形防振ゴムと、
これら２つの筒形防振ゴムの外筒を連結するロツ
ドとを備え、一方の筒形防振ゴムがエンジンに取
付けられ、他方の筒形防振ゴムが車体フレーム等
の基礎に取付けられる。このようなバツフアロツ
ドにおいて、エンジン側の筒形防振ゴムが、弾性
ゴム体のみであれば振動の吸収は不可能であり、
弾性ゴム体を外筒に圧入あるいは弾性ゴム体と外
筒とを接着したものにあつては、比較的ばね定数
が硬いために運転席側にコモリ音としてエンジン
の振動が伝播するという欠点があつた。そこで、
エンジンを支持する筒形防振ゴムにさらに弾性を
持たせることが要望されるに至つた。

この発明は、上記事情に鑑みて発明されたもの
であり、弾性ゴム体が非接着状態でしかも部分的
に接触する状態で外筒に包囲され、すなわち弾性
ゴム体をゆとりを持つた剛性材料から成る外筒に
て包囲し、外筒と接触する部位の弾性ゴム体に摩
擦係数の低い材料から成る当て物が取付けられた
エンジン支持の筒形防振ゴムを用いることによ
り、ばね定数を軟らかくしコモリ音の発生を防止
することのできる自動車用バツフアロツドを提供
することを目的とするものである。

以下にこの発明の好適な実施例について図面を
参照しながら説明する。

この種自動車用バツフアロツドは、剛性材料、
例えば金属板から成る内筒１，２１と外筒２，２
２との間にそれぞれ弾性ゴム体３，２３を装着し
た２つの筒形防振ゴム１０，２０と、これら２つ
の筒形防振ゴム１０，２０の外筒２，２２を連結
するロツド３０とを備えている。一方の筒形防振
ゴム１０は、エンジン等の被支持体に取付けられ
る。この筒形防振ゴム１０は、弾性ゴム体３と内
筒１とを接着あるいは内筒１を弾性ゴム体３に圧
入し、外筒２が弾性ゴム体３に対して非接着状態
でしかも部分的に接触する状態で弾性ゴム体３を
包囲している。この外筒２と弾性ゴム体３とが接
触する部位、すなわち弾性ゴム体３の第１図にお
ける上辺と下辺とのそれぞれ中間部に当て物４を
取付けてある。したがつて、外筒２と弾性ゴム体
３とは直接に接触せず、当て物４を介在させて間
接的に接触する。前記外筒２，２２、ロツド３０
は、第１図に示すように、金属板の両端を弾性ゴ
ム体３，２３の外周縁の略半分の形状に合致する
ように折り曲げたものを２枚使用し、この２枚の
金属板４０，４０を重ね合わせて（軸線方向にお
いて左右対称）、その重合部の所定個所でスポツ
ト溶接等の手段で固着したものである。したがつ
て、外筒２，２０は、金属板４０，４０の折曲部
４１，４１及び４２，４２とから成り、ロツド３
０は金属板４０，４０の直線部４３，４３とから
成る。なお、金属板４０，４０同士の固着手段は
溶接の他にリベツト止めでも良い。

前記当て物４は、第３図に示すように、外筒２
との接触面をチヤンネル状に形成し、外筒２の３
面、すなわち内面及び上下面と接触させ、いわば
当て物４で外筒２を挾持する。この当て物４は、
弾性ゴム体３と金属板４０との摩擦係数に比べて
金属板４０との摩擦係数が低い材料が選ばれる。
例えば６ナイロンを使用した場合、この６ナイロ
ンと金属板４０との摩擦係数は約0.1のため摩擦
力も約0.5Kgとなり、非常に滑りが良好となる。
仮りに、金属板４０と弾性ゴム体３とを接触させ
ておくと、両者の摩擦係数は約0.8〜1.0Kgのため
５Kgの軸力があり、ゴムと金属が５Kgの力で押し
付けられることとなり、摩擦力が約４〜５Kg発生
し、金属板４０が弾性ゴム体３を破損させるおそ
れ並びに弾性ゴム体３の動きを規制するおそれが
生ずる。

また、当て物４の弾性ゴム体３への取付けは、
第４図に示すように弾性ゴム体３に嵌合溝５を形
成するとともに、当て物４にこの嵌合溝５に嵌合
する嵌合片６を形成することにより図つている。
この嵌合片６の形状は、第５図に示すように、当
て物４にスパイクタイヤに打ち込まれるスパイク
と同様の形状の嵌合片６を形成し、一度弾性ゴム
体３に打ち込んだら抜出困難となるような形状で
あつても良い。

前記弾性ゴム体３は、第１図及び第２図に示す
ように、空所３１を形成してあり、図面上左右の
方向において非線形ばね特性を生じさせ、この空
所３１がつぶれ、山部３２が両側部にぶつかるま
で変形する間は軟らかいばね定数をもたらし、山
部３２と弾性ゴム体３の両側部とがぶつかつた後
はばね定数を高めることができる。

このように構成された自動車用バツフアロツド
を、例えば一方の筒形防振ゴム１０をFF車の横
置きエンジンに取付けた場合、外筒２による弾性
ゴム体３の変位の規制は、ルーズに行なわれ、適
度の軟らかさを保持し、エンジンの進行方向の振
動の制動が可能となる。

以上説明したように、この発明によれば、一方
の筒形防振ゴムは、弾性ゴム体が非接着状態でし
かも部分的に接触する状態で外筒に包囲され、外
筒と接触する部位の弾性ゴム体に外筒との摩擦係
数の低い材料から成る当て物が取付けられて成る
ので、外筒で弾性ゴム体の全周をしつかりと保持
してしまつたものに比べ、筒形防振ゴムの全体と
しての弾性が増大し、振動に伴つてスムーズな動
きが行なわれ、従来運転席側に発生していたコモ
リ音も防止することができる。また、剛性材料か
ら成る外筒は、弾性ゴム体と直接接触せず、当て
物と接触するので、当て物が外筒の内面を摺動す
ることとなり、外筒と弾性ゴム体との相対的な動
きがスムースとなる。

また、被支持体に取付けられる筒形防振ゴムの
外筒を２分割し、この２分割した外筒で弾性ゴム
体を包囲し、かつ２分割された外筒同士を固定し
たものにあつては、弾性ゴム体を複雑な形状に形
成した場合に、この複雑な弾性ゴム体の圧入が困
難であるときでも、弾性ゴム体を包囲することが
容易となる。さらに、当て物の外筒接触面をチヤ
ンネル状に形成し、外筒の内面及び上下面に当て
物を接触させたものにあつては、外筒と弾性ゴム
体との相対的な動きがより一層スムースに行なわ
れる。この当て物がナイロン等の合成樹脂材料か
ら成形されている場合には、当て物と外筒との摺
動がより円滑となる。さらにまた、弾性ゴム体に
嵌合溝を形成するとともに、当て物に嵌合溝に嵌
合する嵌合片を形成したものにあつては、当て物
の取付けが容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の好適な実施例を示す一部断
面の平面図、第２図は一部断面の正面図、第３図
は第１図―線断面図、第４図は当て物取付手
段の一例を示す斜視図、第５図は当て物取付手段
の他例を示す断面図である。 １……内筒、２……外筒、３……弾性ゴム体、
４……当て物、１０……筒形防振ゴム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 剛性材料より成る内筒と外筒との間に弾性ゴ
   ム体を装着した２つの筒形防振ゴムと、これら２
   つの筒形防振ゴムの外筒を連結するロツドとを備
   えた自動車用バツフアロツドにおいて、 エンジン等の被支持体に取付けられる一方の筒
   形防振ゴムは、 (イ) 弾性ゴム体が非接着状態でしかも部分的に接
   触する状態で外筒に包囲され、 (ロ) 外筒と接触する部位の弾性ゴム体に外筒との
   摩擦係数の低い材料から成る当て物が取付けら
   れ、 て成ることを特徴とする自動車用バツフアロツ
   ド。 ２ 前記被支持体に取付けられる筒形防振ゴムの
   外筒を２分割し、この２分割した外筒で弾性ゴム
   体を包囲し、かつ２分割された外筒同士を固定し
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   の自動車用バツフアロツド。 ３ 前記当て物の外筒接触面をチヤンネル状に形
   成し、外筒の内面及び上下面に当て物を接触させ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第
   ２項に記載の自動車用バツフアロツド。 ４ 前記弾性ゴム体に嵌合溝を形成するととも
   に、当て物に嵌合溝に嵌合する嵌合片を形成した
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第
   ３項のいずれか１項に記載の自動車用バツフアロ
   ツド。 ５ 前記当て物をナイロン等の合成樹脂材料から
   成形したことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   ないし第４項のいずれか１項に記載の自動車用バ
   ツフアロツド。