JPH0123911Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、自動二輪車におけるラジエータに関
するものである。

「従来の技術」 自動二輪車のなかで、特にロードレーサー等の
ように高速走行を重視した自動二輪車において
は、高速走行時での前輪分布荷重を考慮して、エ
ンジンを前に配置して前輪側の荷重を増すことが
行なわれる。

「考案が解決しようとする課題」 ところが、ラジエータ付きの自動二輪車におい
ては、エンジンをこのように前方に配置した場
合、前輪との空間が狭くなりラジエータの設置箇
所が得にくいという問題があつた。

このため、従来は第１図に示すように、ラジエ
ータ１は、前輪２と排気チヤンバ４などを含むエ
ンジン３との間の空間に傾斜して配置されるが、
この場合、ラジエータ１の傾きが大きいと、車体
前方からの投撮面積が小さくなるとともに、冷却
水を通す導水管５も傾いて、ラジエータ１に導か
れた風が図中矢印Ａの如く曲げられ、その流速が
下がつて冷却効率が下がつてしまう。

この考案は、このような背景に基づいて提案さ
れたもので、冷却効率を高めることができるとと
もに、前輪とエンジンとの間の限られた空間を有
効に利用できる自動二輪車のラジエータを提供す
ることを目的とする。

「課題を解決するための手段」 本考案では係る目的を達成するために、前輪と
後輪との間にて、前輪側から順にラジエータとエ
ンジンとが装備された自動二輪車におけるラジエ
ータであつて、該ラジエータは左右側部にそれぞ
れ設けられた一対の側方タンクと、これら２つの
側方タンクの間に配設され、かつ側方タンクを連
通させるための複数の偏平な導水管および放熱を
行うコアとからなり、前記導水管およびコアは上
下方向に沿つて交互に配列されるものにおいて、
導水管はその長径方向が前輪と後輪との接地点を
結ぶ線に対して平行であり、前記側方タンクは、
フロントサスペンシヨンが最大限縮んだときの前
輪カバーの外周面の後端の接線方向に沿つた下部
と、該外周面の後上部の接線方向に沿つた中央部
と、該中央部から垂直に延出する上部を備え、該
異形タンクの側方投影内に前記導水管とコアを配
列したことを特徴としている。

「実施例」 以下、本考案を図面を示す一実施例に基づき説
明する。

第２図は、本考案の一実施例を適用した自動二
輪車の側面図で、１０は前輪、１１は後輪、１２
は車体フレーム、１３は燃料タンク、１４はエン
ジン、１５は排気チヤンバ、１６は本考案にかか
るラジエータである。

前記エンジン１４は、その主要部が第２図に示
すように、前輪１０と後輪１１のそれぞれの車軸
の間の中心線であるホイールベースセンタＸ−
X′線よりも前方に位置すうように車体フレーム
１２に取り付けられており、またこのエンジン１
４の上方には、前記排気チヤンバ１５が配置さ
れ、この排気チヤンバ１５の一部が車体フレーム
１２のダウンチユーブ１２ａより若干前方に突出
している。そして、この排気チヤンバ１５の前方
に前記ラジエータ１６が装着されている。

このラジエータ１６は、第３図および第４図に
示すように、左右の側部に一対の側方タンク１
７，１８が設けられるとともに、それぞれの側方
タンク１７，１８を連通させる複数の偏平な導水
管１９と、放熱を行なう複数のコア２０とが上下
方向にそれぞれ交互に配列されて、冷却水が横に
流れるいわゆるサイドフロー型のものであり、全
体がエンジン１４を取り付けた車体フレーム１２
側の外形に沿う形状をなしている。すなわち、こ
のラジエータ１６の形状は、その側方タンク１
７，１８が、前輪１０、排気チヤンバ１５を避け
て２段に折れ曲がつて中央部が傾斜部１７ａ，１
８ａとされ形状をなしている。詳細には想像線で
示されるように、フロントサンスペンシヨン２２
が最大限縮んだときの前輪カバー１０ａの外周面
に対して、側方タンク１７，１８の形状は、同前
輪カバー１０ａ外周面の後端の接線方向に沿つた
下部と、同前輪カバー１０ａ外周面の後上部の接
線方向に沿つた中央部と、中央部から垂直に延出
する上部を備えている。そして、前記偏平な導水
管１９は、第３図に示すように、一実施例では一
段に前後ひとつづつ設けられ、その長径方向Ｙ−
Y′が前輪１０と後輪１１との接地線を結ぶ線Ｗ
−W′に対して平行とされている。また、側方タ
ンク１７，１８の傾斜部１７ａ，１８ａの間に配
設された導水管１９およびコア２０は段階状に位
置をずらして配列される。

したがつて、このラジエータ１６は、前輪カバ
ー１０ａが上方へ跳ね上がつた際の外周面に沿つ
た形状をなしているので、チヤンバ１５を含むエ
ンジン１４を前輪１０に近づけ、前輪１０の分布
荷重を大きくできる。また、このラジエータ１６
の導水管１９がその長径方向Ｙ−Y′を前輪１０
と後輪１１の接地点を結ぶ線Ｗ−W′に対して平
行にして側方タンク１７，１８の間に配設され、
ラジエータ１０の傾斜部分が階段状に配設されて
いるので、ラジエータ１６に導かれる風は、導水
管１９によつてその方向を変えられることがなく
速度が減ぜられないので、冷却効率を向上させる
ことができるのである。しかも導水管１９が進行
方向から入る風に対して平行とされているので、
空気抵抗も減少できることは勿論である。

なお、冷却水は、第４図に示すように側方タン
ク１８の上部に連結された流入管２１から側方タ
ンク１８内に導かれ導水管１９を通つて他方の側
方タンク１７に導かれ、流出管２２を介してエン
ジン１４のシリンダケース内に送られるようにな
つており、エンジン１４を通過して昇温した分
は、再び側方タンク１８の流入管２１に導かれて
導水管１９を通過中に冷却される。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案のラジエータは、
全体の形状をフロントサスペンシヨン２２が最大
限縮んだときの前輪カバーの外周面に沿うように
異形に形成し、かつ偏平な導水管の長径方向を前
輪と後輪との接地点を結ぶ線に対して平行にした
ので、前輪エンジンの間の空間を小さくでき、エ
ンジンを前輪に近付けて前輪の分布荷重を大きく
できるとともに、車体前方よりの投影面積を限ら
れた空間内で最大限に大きくでき、また前方より
ラジエータ内に入る風の方向を変えることがない
ので、ラジエータの大型化などを図ることがなく
ラジエータの冷却効率を向上させることができ
る。また、側方タンクを異形にすることにより、
導水管を直線的に使用できるため製作が容易とな
るなどの優れた効果を有し、高速走行する自動二
輪車に有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のラジエータの一構造例を示す
断面図、第２図ないし第４図は本考案の一実施例
を示すもので、第２図は本考案の一実施例を適用
した二輪車の側面図、第３図は第２図円部の拡
大断面図、第４図はラジエータの正面図である。 １０……前輪、１０ａ……前輪カバー、１１…
…後輪、１２……車体フレーム、１２ａ……ダウ
ンチユーブ、１４……エンジン、１５……排気チ
ヤンバ、１５……ラジエータ、１７，１８……側
方タンク、１７ａ，１８ａ……傾斜部、１９……
導水管、２０……コア、２２……フロントサスペ
ンシヨン、Ｘ−X′……ホイールベースセンタ、
Ｙ−Y′……導水管の長径方向、Ｗ−W′……前輪
と後輪との接地点を結ぶ線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前輪と後輪との間にて、前輪側から順にラジエ
   ータとエンジンとが装備された自動二輪車におけ
   るラジエータであつて、該ラジエータは左右側部
   にそれぞれ設けられた一対の側方タンクと、これ
   ら２つの側方タンクの間に配設され、かつ側方タ
   ンクを連通させるための複数の編平な導水管およ
   び放熱を行うコアとからなり、前記導水管および
   コアは上下方向に沿つて交互に配列されるものに
   おいて、導水管はその長径方向が前輪と後輪との
   接地点を結ぶ線に対して平行であり、前記側方タ
   ンクは、フロントサスペンシヨンが最大限縮んだ
   ときの前輪カバーの外周面の後端の接線方向に沿
   つた下部と、該外周面の後上部の接線方向に沿つ
   た中央部と、該中央部から垂直に延出する上部を
   備え、該異形のタンクの側方投影内に前記導水管
   とコアを配列したことを特徴とする自動二輪車の
   ラジエータ。